★平成20年4月より、航空会社、フォワーダー、荷主企業等の参画の下、「航空物流に関する懇談会」を開催し、その検討成果として、我が国の航空物流の今後目指すべき方向性、アクションプラン等を盛り込んだ「我が国航空物流のグランドデザイン」を策定した。
★本グランドデザインを指針として、具体的施策の策定、実行、評価及び改善を実施することにより、関係者の連携・協働による施策の総合的・一体的な推進を図っていく。
我が国の航空物流産業の新たな成長戦略として、今後急速な増大が見込まれるアジア発着の航空貨物需要を積極的に取り込んでいく。
航空貨物の輸送プロセスの効率化・円滑化の促進
我が国の航空物流産業の国際競争力強化に向けて、航空会社、フォワーダー及び行政機関の連携により、航空貨物輸送プロセス全体を一層効率的かつ円滑にしていく。
多様な荷主ニーズに的確に対応するため、ハード・ソフト両面におけるイノベーションを推進し、航空貨物輸送の特長であるスピードと品質を一層向上していく。また、海上・陸上輸送との連携等により、総合的・複合的かつ高度な物流サービスを実現していく。
大都市圏拠点空港については、アジアの大規模空港を意識し、物流機能の24時間化に加え、貨物の集約化や国際物流拠点の形成等を通じて、競争力のさらなる向上を目指していく。また、地方空港については、規模・ロケーション等それぞれの特性を考慮した戦略的な活用を進めていく。
我が国航空物流産業の成長戦略として、今後も増大が見込まれるアジア発着貨物の取り込みや航空自由化等の環境整備を通じ、国際航空貨物市場における競争力の向上を目指す。
トータルコストの削減、リードタイムの短縮、空港内の混雑緩和、環境負荷の低減等の観点から、荷主、フォワーダー、航空会社等の連携・協力の下、航空貨物輸送におけるオペレーション(積み付け、保管、輸配送等)の共同化・集約化を推進する。
サプライチェーン・マネジメントの高度化に対応した高品質な物流サービスを提供するとともに、航空貨物輸送におけるオペレーションの効率化を実現するため、航空貨物情報(個品情報、位置情報、通関情報、セキュリティ情報等)の電子化及び関係者間での共有化を推進する。
地球環境保全意識の世界的な高まり、燃油価格高騰によるコスト増大等への対応として、航空貨物輸送に係るCO2排出の一層の削減、エネルギー消費の効率化等を実現する。
セキュリティ強化と貿易円滑化の両立を目指す国際的な動きに対応し、我が国産業の国際競争力強化を図るため、輸出入手続の更なる簡素化、物流事業者のコンプライアンス体制確保等を推進する。
ハンドリングの効率化、輸送品質の向上、環境負荷の低減等の観点から、新たな航空貨物輸送機材(コンテナ、パレット、地上支援機材等)の設計・開発・導入により、物流システムのイノベーションを促進する。
国際物流サービスに対する荷主ニーズの多様化、燃油価格高騰によるコスト増大等に対応するとともに、我が国空港・港湾の国際物流ハブ機能の強化を図るため、海上と航空の連携によるSea&Air(シー・アンド・エア)輸送を推進する。
2010年供用開始に向けて成田国際空港の北伸事業及び羽田空港の再拡張事業を推進するとともに、成田・羽田両空港の一体的活用を通じた首都圏全体の物流機能の最大化・24時間化を実現する。併せて、空港貨物地区等の混雑緩和、空港周辺の物流関連施設との有機的連携、成田・羽田間の物流円滑化等を推進する。
関西国際空港においては、アジア発着貨物を中心に、国際トランジット貨物の戦略的誘致、深夜貨物便ネットワークの拡充、海上輸送との連携等により、国際物流ハブ機能の強化を図る。
中部国際空港においては、日本経済をリードする中部圏のものづくり産業の活力と継続的発展のため、深夜貨物便を含めた国際ネットワークの拡充、新規航空貨物の開拓、総合保税地域を活用した物流機能の高度化等により、空港の利活用を推進する。
地方空港においては、規模、地理的条件等の地域特性に応じて、国内流通拠点、国際中継拠点、地域産業振興拠点等としての多様な発展可能性について検討を行う。更に、それぞれの発展可能性に応じた地方空港の戦略的な活用支援により、地域の活性化を図る。
空港を核とした物流拠点(航空ロジスティクス・パーク)の形成を目指して、空港貨物地区内の物流機能向上に加えて、空港周辺地域におけるアクセス改善、物流効率化、貿易手続の簡素化、物流関連産業の集積等を推進する。そのため、空港管理者、航空会社、フォワーダー、地元産業、関係行政機関等の参画による、地域的な協働システムの構築を図る。