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不動産の売買や開発に関しては、州法の規制下にある。
一部の州では、市民権や永住権を有さない人の農地等の土地所有に制限を設けている。
土地は君主が所有し、国民は土地を賃借するということになっている。土地の完全所有権を有する者は、土地の全部又は一部の権利を譲渡することが可能。原則として、地下、地面、地上の全てにわたって所有権を主張できる。完全所有権を有する者が、相続人を持たず遺言も残さずに死亡した場合、その不動産は君主に返還される。
不動産に関する権利は、不動産の所有及び賃貸に関する権利(estates)と不動産の使用に関する権利(interests other than estates in land)がある。Estatesは更に所有権(freehold estates)と賃貸権(leasehold estates)に分かれ、下記のように細分化されている。
原則全ての州で所有できるが、一部の州で制限がある。
登記には公信力があり、登記簿上の所有者のみが有効に譲渡可能となる。
登記は、登記代理人(Registry Agent)、弁護士(Lawyer)、公証人(Notary Public)によって行われる。所有権通知の登記を怠ると、ほとんどの場合、登記した場合に比べ、登記されていない所有権の優先度が低くなる。買主または貸主は、弁護士を通じて不動産所有権やそれ以外の所有権の調査を行い、所有者および登記の事実、優先関係の確認を行う。
登記詳細は州によって異なる。
下記2種類の公的な不動産登記制度がある。
不動産鑑定には公的な評価基準や評価法規が存在しない。
鑑定に関する資格や規制は、New Brunswick、Nova Scotia、Quebec、Albertaの4つの地方の法律で規定されている。不動産鑑定業者が関連業務の法人を設立する際の規制はない。
現在建物の鑑定評価は買主が行っているが、検査項目や検査方法は標準化されていない。2015年の年末までには標準化されるとの報道も一部ある。
不動産取引を行うには、リアルター(realtor)と呼ばれる資格を取得しなければならない。リアルターの資格を取得する方法は州により異なるが、Ontario州の場合は下記のステップを踏むことになっている。
無免許で不動産業を営業した場合、初犯で5万カナダ・ドル以下の罰金(個人の場合、5万カナダ・ドル以下の罰金/2年以下の懲役)、再犯では10万カナダ・ドル以下の罰金(個人の場合、10万カナダ・ドル以下の罰金/2年以下の懲役)となっている。
土地・不動産の所有権、土地・不動産の登記
藤木一彦「カナダ不動産法入門(上)」
Canada Mortgage and Housing Corporation
Canadian Real Estate Association (CREA) 「Become a REALTOR」
Appraisal Institute of Canada (AIC)
Ontario Real Estate Association (OREA)「Become a Real Estate Salesperson」
不動産の鑑定評価
国土交通省土地・水資源局「不動産鑑定評価基準の国際化に関する検討業務のかかる調査報告書」
不動産事業を行う際の免許制度
Ontario Real Estate Association (OREA)「Become a Real Estate Salesperson」
Canadian Real Estate Association (CREA) 「Become a REALTOR」
不動産取引を行うには、リアルター(realtor)と呼ばれる資格を取得しなければならない。リアルターの資格を取得する方法は州により異なる。例えば、Ontario州では下記の手順を踏む。
全ての不動産業者は、バンクーバー不動産協会に加盟することが義務付けられている。売り物件の95%以上は、バンクーバー不動産協会によりマルチプルリスティングとして登録され、登録物件について、全ての不動産業者が同じ条件で仲介業務を行えるシステムになっている。
営業許可は2年ごとに更新義務があり、更新費用の支払いが必要。
各州に買主や借主を保護する規制がある。例えばBritish Columbia州では、買主を保護するHomeowner Protection Act、借主を保護するResidential Tenancy Actがある。インスペクションに関する保護としては、大家や借主に対し、インスペクションレポートへの記入を必須としている。また、インスペクション業者の全国組織として、Canadian Association of Home and Property Inspectionsがある。
カナダ政府の関与は少なく、公的団体であるCanada Mortage and Housing Corporation (CMHC)が住宅購入者に住宅融資保険を提供。発足当初は任意での制度だったが、現在では10州中5州、人口の8割程度の地域で州法により付保が義務付けられている。保証事業者には、他に民間の事業者も参入している。
CMHCは住宅購入のサポートをしたり、住宅市場調査を実施しカナダ政府に状況報告する等、カナダ全体の住宅市場や財政の安定にも寄与している。
公的団体であるCanada Mortage and Housing Corporation (CMHC)より、住宅ローン保証や低所得者向けの住宅支援が行われている。
償還期間は最長25年となっている。外国人や外国企業も融資を受けることが可能。
住宅ローン利用時の貸出条件は担保価値と世帯収入や資産が勘案されている。担保価値評価は、外部鑑定人が取引事例比較法によって鑑定評価している。金融機関が内部査定する場合もある。
公民いずれの保険にも政府による保証がなされ、これら保険機関による与信審査を受ける必要がある。
住宅ローンが借りられるか否かは、保険市場で9割のシェアを持つ公的団体であるCanada Mortage and Housing Corporation (CMHC)の基準に合致するかが判断基準となっている。
賃貸住宅には普通借家契約(Periodic Tenancy)と定期借家契約(Fixed Term)がある。
一般的に契約期間は住宅で1年、収益不動産で6年。更新条約があれば契約の延長が可能。契約期間中に双方から解約を申し込むことはできるが、その内容は賃貸借契約の規定によっている。
外国人や海外企業もカナダ人と同じように扱われる。
消費者保護
国土交通省「住宅瑕疵担保履行制度のあり方に関する検討委員会 配布資料3 海外の住宅保証・保険制度等について」
住宅保証・保険制度
Canada Mortgage and Housing Corporation 「British Columbia Fact Sheet」
Canada Mortgage and Housing Corporation 「British Columbia」
Ontario Real Estate Association (OREA)
Government of Canada 「Real Estate and Rental and Leasing」
買手は購入時に、固定資産(不動産)取得税として20万ドルまでが1%、20万ドルを超えるものについては2%が課税される。新築物件には消費税6%が課税される。
property taxが毎年課税され、課税査定には市場価格が大きく反映される。さらに20~30%低く査定される場合もある。
66歳以上の高齢者向けには還付制度もある。
日本との二国間租税条約がある。源泉税率は親子会社間配当5%または15%、利子0%または10%、使用料は11%となる。
Province of British Columbia「Property Taxes」
日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る カナダ 税制」
就労許可証(Work Permit)取得義務以外なし。
在留許可取得には、ほとんどのケースで事前に就労許可証の取得が必要。
不動産の売買や開発は、各州法の規制下にある。
一部の州では外国人による土地所有に制限がおかれる。
外国人による不動産の取引について
カナダ不動産協会HP「Become a REALTOR」
外国人による不動産の取引について
日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る カナダ 外資に関する規制」
The Alberta Real Estate Association (AREA)
British Columbia Real Estate Association
Real Estate Board of Greater Vancouver
Canadian Real Estate Association (CREA)
Ontario Real Estate Association (OREA)
122米ドル/㎡
180米ドル/㎡
※外国人、外国法人による土地所有は一部の州を除き規制はない。
6米ドル/㎡月
11米ドル/㎡月
(調査2015年12月~2016年1月)
主要都市等におけるマーケット情報:日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別情報 投資・コスト比較」
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