住宅

既存住宅・リフォーム市場の活性化に向けた取組み

1.既存住宅・リフォーム市場の現状

我が国の全住宅流通量に占める既存住宅の流通シェアは約14.5%(平成30年)にとどまっており、欧米諸国と比べると1/6~1/5程度と低い水準にあります。
 また、住宅のリフォーム市場規模についても、住宅投資に占める割合が諸外国と比較して小さい水準にあります。


2.既存住宅市場の活性化に向けた政府の目標

少子高齢化が進行して住宅ストック数が世帯数を上回り、空き家の増加も生ずる中、「いいものを作って、きちんと手入れして、長く使う」社会に移行することが重要であり、政府としても、既存住宅流通・リフォーム市場の環境整備を進めていきます。

○住生活基本計画(全国計画)(令和3年3月19日閣議決定)
○経済財政運営と改革の基本方針2022(令和4年6月7日閣議決定)
○新しい資本主義実行計画グランドデザイン及び実行計画・フォローアップ(令和4年6月7日閣議決定)
○デジタル田園都市国家構想基本方針(令和4年6月7日閣議決定)


3.国土交通省の取組み

目次

(1)必要に応じた適切な維持管理・リフォームの推進
[1]長期優良住宅化リフォーム推進事業
[2]住宅リフォーム事業者団体登録制度
[3]住宅リフォームの推進のための税制措置
[4]消費者が安心してリフォームができる市場環境の整備
[5]住宅履歴情報「いえかるて」の普及
[6]住宅金融支援機構等による融資
[7]個人住宅の賃貸流通を促進するための指針(DIY型賃貸借の活用について)
(2)質の高い住宅が円滑に流通するための環境の整備
[1]既存住宅に係る建物評価の改善に向けた指針
[2]不動産鑑定評価における「既存戸建住宅の評価に関する留意点」の策定
[3]既存住宅インスペクションに対する信頼の確保と円滑な普及
[4]安心R住宅
[5]買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置
[6]検査と保証がセットになった既存住宅・リフォーム用の保険制度の整備
[7]住宅ストックの維持向上・評価・流通・金融等の一体的な仕組みの開発への支援
[8]住宅のリースバックに係るガイドブック
[9]検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合調査の確認のためのガイドライン
[10] 不動産に関する情報ストックシステムの構築検討

(1)必要に応じた適切な維持管理・リフォームの推進
[1]長期優良住宅化リフォーム推進事業
優良な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備等を図るため、既存住宅の長寿命化や省エネ化等に資する性能向上リフォームや子育て世帯向け改修等に対して支援を行います。
   ○長期優良住宅化リフォーム推進事業評価室事務局

[2]住宅リフォーム事業者団体登録制度
住宅リフォーム事業の健全な発達及び消費者が安心してリフォームを行うことができる環境の整備を図るために、国土交通省の告示による住宅リフォーム事業者団体登録制度を創設しました(告示公布・施行平成26年9月1日、最終改正令和2年12月23日)。
 ○住宅リフォーム事業者団体登録制度
 ○事業者団体を通じた適正な住宅リフォーム事業の推進に関する検討会

[3]住宅リフォームの推進のための税制措置
 既存の住宅ストックについて、耐震化、バリアフリー化、省エネルギー化等の適切なリフォームにより品質・性能を高め、持続的な有効活用やリフォーム市場規模の拡大を通じた経済の活性化、国民の住生活の向上を図るため、所得税、固定資産税等の各税制の特例措置を講じています。
 ○各税制の概要

[4]消費者が安心してリフォームができる市場環境の整備
「住まいるダイヤル」(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)における電話相談業務及び具体的な見積書について相談を行う「リフォーム無料見積チェックサービス」を実施しているほか、各地の弁護士会における「専門家相談制度」等の取組を進めています。
 また、悪質なリフォームに関する注意喚起や地方公共団体の相談窓口一覧等、消費者保護に資する情報の周知を行っています。
 ○公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター
 ○【チラシ】悪質なリフォーム事業者に御注意ください
   ○地方公共団体におけるリフォーム相談窓口のご案内

[5]住宅履歴情報「いえかるて」の普及
住宅履歴情報とは住宅がどのようなつくりで、どのような性能があるか、また、建築後にどのような点検、修繕、リフォームが実施されたか等の記録を保存、蓄積したものです。住宅の建築時や点検、リフォームなどの維持管理時に蓄積した住宅履歴情報は、さらなる維持管理や売買の際に活用できます。
 ○住宅履歴情報とは
 ○一般社団法人住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会

[6]住宅金融支援機構等による融資
 一定の要件を満たすリフォームを実施した既存住宅を取得する場合、【フラット35】の借入金利を一定期間引き下げる【フラット35】リノベ等、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化に資するような融資制度を設けています。
 ○独立行政法人住宅金融支援機構 融資・金融商品のご案内
 ○【フラット35】リノベ

[7]個人住宅の賃貸流通を促進するための指針(DIY型賃貸借の活用について)
 個人住宅を適切に管理し、賃貸流通を促進するため、平成26年3月に借主が改修等を行うDIY型賃貸借に係る指針をとりまとめました。さらに、平成27年3月にDIY型賃貸借を一般的に活用するための考え方と、有効な取組み事例を整理した報告書を公表しています。
 ○個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会報告書(平成26年3月)
 ○個人住宅の賃貸流通の促進に関する調査報告書(平成27年3月)


(2)質の高い住宅が円滑に流通するための環境の整備
[1]既存住宅に係る建物評価の改善に向けた指針
中古住宅市場については、質に対する不安が大きいことや、木造であれば築後約20年~25年で価値がゼロと評価されてしまう慣行が市場活性化の阻害要因とされており、この解消に向け、平成26年3月に「中古住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を策定・公表しました。また、公益社団法人不動産流通推進センターにおいて、「中古住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」の考え方を反映し、「既存住宅価格査定マニュアル」の改訂を行いました。
 ○中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針(平成26年3月)
 ○公益財団法人不動産流通推進センター 価格査定マニュアル

[2]不動産鑑定評価における「既存戸建住宅の評価に関する留意点」の策定
不動産鑑定士が既存戸建住宅の評価を行うに当たって、建物の性能やリフォームの状況等を的確に反映し、信頼性の高い価格情報を市場に提供することを目的として、平成27年7月に「既存戸建住宅の評価に関する留意点」を策定・公表しました。
 ○既存戸建住宅の評価に関する留意点(平成27年7月)

[3]既存住宅インスペクションに対する信頼の確保と円滑な普及
既存住宅売買時のインスペクションへのニーズが高まっていることから、平成25年6月に「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を策定・公表しました。
 また、ガイドラインを踏まえ、「既存住宅状況調査技術者講習登録規程」及び「既存住宅状況調査方法基準」を制定し、既存住宅売買時に重要事項説明の対象となるインスペクションの担い手育成を進めています。(平成29年2月3日公布・施行)
 ○既存住宅状況調査技術者講習制度について
 ※講習の実施機関についてもこちらに掲載しています。

[4]安心R住宅
 既存住宅の流通促進に向けて、「不安」「汚い」「わからない」といった従来のいわゆる「中古住宅」のマイナスイメージを払拭し、「住みたい」「買いたい」既存住宅を選択できる環境の整備を図るため、国が商標登録したロゴマークを事業者が公告時に使用することを認める「安心R住宅」制度(特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度)を実施しています(平成30年4月1日標章使用開始)。
 ○「安心R住宅」

[5]買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置
買取再販とは、不動産取引について様々なノウハウを有する宅地建物取引業者が、既存住宅を取得し、効率的・効果的にリフォームを行った後に販売する事業形態であり、消費者の既存住宅の「質」への不安感を払拭し、質の高い既存住宅の流通を促進させることから、既存住宅流通市場の活性化に大きな役割を果たすものとして期待されています。国土交通省では、平成26年より買取再販に係る消費者の負担を軽減し、消費者がより多くの選択肢から良質な既存住宅を、より低価格で購入できるようにするための制度を設けています。
 ○買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置

[6]検査と保証がセットになった既存住宅・リフォーム用の保険制度の整備
消費者が安心して既存住宅を購入できるよう、また、安心してリフォームができるよう、専門家による建物検査と保証がセットになった保険制度が用意されています。構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分等に瑕疵がある場合に、事業者に対して修繕費用等を保険金としてお支払いすることができます。
 ○既存住宅売買瑕疵保険(既存住宅用の保険)、リフォーム瑕疵保険(リフォーム用の保険)等の概要

[7]住宅ストックの維持向上・評価・流通・金融等の一体的な仕組みの開発への支援
現在の住宅市場は、良質な住宅ストックが適正に評価されず、維持管理・リフォームを行うインセンティブが働かない悪循環構造にあるため、長期優良住宅、住宅性能表示、瑕疵保険、インスペクション、履歴等を活用し、住宅ストックの維持向上・評価・流通・金融等の仕組みを一体的に開発・普及等する取組みに対し支援を行うことにより、良質な住宅ストックが適正に評価される市場の好循環を促します。
 ○住宅ストック維持・向上促進事業

[8]住宅のリースバックに係るガイドブック
 近年取引件数が増加傾向にある住宅のリースバックは多様なライフスタイルの実現や既存住宅市場の活性化、空き家の発生防止等につながるものとして期待される一方、契約内容や将来の収支計画について、消費者の理解が不十分なままで契約を締結したこと等を理由としたトラブル事例も見られます。
国土交通省では、こうした状況を踏まえ、リースバックの適切な活用方法や留意点等について、令和3年12月より有識者や不動産業界団体で構成される「消費者向けリースバックガイド策定に係る検討会」において検討を進め、ガイドブックとして取りまとめました。
 ○消費者向けリースバックガイドブック策定に係る検討会

[9]検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合調査の確認のためのガイドライン
 既存建築ストックの有効活用や不動産取引の円滑化の観点から、指定確認検査機関を活用し、検査済証のない建築物について建築基準法への適合状況を調査するための方法等を示したガイドラインを平成26年7月に策定・公表しました。
 ○検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン(平成26年7月)

[10]不動産に関する情報ストックシステムの構築検討
 既存住宅の流通を促進させるために、各所に分散している不動産取引に必要な情報を集約・管理し、宅建業者等が効率的に情報を収集できるシステムの構築を進めています。
○不動産に係る情報ストックシステム基本構想(平成26年3月)
○不動産に係る情報ストックシステムの施行運用に向けた横浜市との連携について(平成26年6月)



【参考】 
令和4年度予算
 ○不動産・建設経済局関係 予算概要
 ○住宅局関係 予算概要

4.これまでの主な研究会・検討会等

 ○中古住宅リフォーム・トータルプラン(平成24年3月)
 ○不動産流通市場活性化フォーラム 提言(平成24年6月)
 ○不動産流通市場における情報整備のあり方研究会 中間とりまとめ(平成24年9月)
 ○中古住宅の流通促進・活用に関する研究会 報告書(平成25年6月)
 ○中古住宅市場活性化ラウンドテーブル 報告書(平成27年3月)
 ○既存住宅市場活性化ラウンドテーブル 報告書(平成27年11月)
 ○政策レビュー:既存住宅流通市場の活性化(令和2年3月)
  評価書1/2 評価書2/2 概要
 

お問い合わせ先

国土交通省 不動産・建設経済局不動産業課
電話 :03-5253-8111(内線25126、25119)
国土交通省 住宅局住宅企画官付
電話 :03-5253-8111(内線39219、39214)
  • 10月は住生活月間

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