建設産業・不動産業

CM方式活用ガイドラインについて

1.ガイドライン策定の背景、経過

 CM(コンストラクション・マネジメント)方式は、1960年代に米国で始まった建設生産・管理システムであるが、近年、我が国においても、コスト構成の透明化や発注者内技術者の量的・質的補完の観点から、CM方式に対する関心が高まっており、一部の民間工事ではその活用が始まっている。
 しかしながら、建設産業全体でみれば、CM方式に対する取組は緒についたばかりであり、CM方式が今後、我が国の建設生産・管理システムの一つとして定着するためには、発注者、設計者、施工者等がCM方式について共通の理解や問題意識を持ち、CM方式が効果的かつ適正に活用されることが重要である。
 国土交通省では、こうしたことを踏まえて、平成12年12月に「CM方式研究会」を設置し、CM方式の内容、課題等を整理し、平成14年2月6日、CM方式の活用に当たっての基本的な指針となるものを目指して、「CM方式活用ガイドライン」のとりまとめを行った。
 
平成12年12月 「CM方式研究会」を設置(計6回開催)
(座長:碓井光明 東京大学大学院教授)
平成13年11月 「CM方式活用ガイドライン」(中間とりまとめ)を公表、パブリックコメントを募集。
平成14年2月 「CM方式活用ガイドライン」の策定
 

2.CM方式とは

○CM方式とは、「建設生産・管理システム」の一つであり、発注者の補助者・代行者であるCMR(コンストラクション・マネージャー)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、コスト管理などの各種マネジメント業務の全部又は一部を行うもの。
我が国では、従来は、一括発注方式が多用されており、施工に関するマネジメント業務は主に元請業者(総合工事業者)が担ってきた。
 
○我が国において、CM方式の導入が進めば、発注者にとって建設生産・管理システムの選択肢が多くなる。
CM方式は一括発注方式と比べると、発注者が抱えるリスクは大きくなるものの、コスト構成などの透明化が進むといわれている。
CM方式と一括発注方式は、それぞれ発注者にとってメリットがあり、今後、我が国においても、うまく共存が図られると考えられる。
 

3.CMRのマネジメント業務の主な内容

設計段階 ①設計候補者の評価、②設計の検討支援、③設計VE、等
発注段階 ①発注区分・発注方式の提案、②施工者の公募・評価、③工事価格算出の支援、④契約書類の作成・アドバイス、等
施工段階 ①施工者間の調整、②工程計画の作成及び工程管理、③施工者が行う施工図のチェック、④施工者が行う品質管理のチェック、⑤コスト管理、⑥発注者に対する工事経過報告、⑦文書管理、等
 

4.CM方式導入の課題

○我が国にCM方式を導入する場合、以下の課題について検討が必要。
 
 ①CMRの公的位置づけ
 ②リスク負担と責任関係
 ③コスト構成の透明化
 ④CMRに支払う経費とフィーの積算
 ⑤CMRの選定・契約          など
 

5.公共建設工事におけるCM方式導入の可能性

○公共建設工事においては、技術者が不足している公共発注者ほどCM方式を対するニーズが高く、その活用の中心となることが予想。
公共発注者が期待するCMRの活用パターンは以下のとおり。
 
 ①設計・発注アドバイス型CMR
  設計図書のチェック、設計VE、発注区分の提案など、設計・発注段階で発注者へのアドバイスを行うもの。
 
 ②コストマネジメ ント型CMR
  コストの分析、工事費の算出、実費精算による支払など、コストマネジメントを行うもの。
 
 ③施工マネジメント型CMR
  施工図の審査、施工者間の調整、工程管理などの発注者の監督業務の一部を補助するもの。
 
 ④総合マネジメント型CMR
  上記①~③のマネジメント業務の全部又は一部を一貫して行うもの。
 
 ⑤アットリスク型CMR
  施工に関するリスクについても負担するもの(但し、建設業法上の位置づけなどの検討が必要)。
 
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