和田長官会見要旨

最終更新日:2022年12月22日

日 時:2022年12月21日(水)16:15~16:26
場所:国土交通省会見室

会見事項

(2022年11月の訪日外国人旅行者数について)
  • 本年11月の訪日外国人旅行者数については、10月の約2倍、934,500人となりました。
  • コロナ前の2019年11月と比べ、現在厳しい水際措置が講じられている中国を除くと、54%まで回復しました。国・地域別の入国者数の上位では、韓国が31.5万人、台湾が10.0万人、米国が8.4万人となりました。
  • また、11月の訪日外国人旅行者数のうち、観光目的での入国者数は、732,311人となりました。
  • 本年11月の出国日本人数については379,200人となりました。10月が349,557人でしたので、10月と比べると約1.1倍となります。
  • 観光庁としては、引き続き、国内外の状況を注視してまいります。
 
(旅行需要の平日への分散について)
  • 本年10月からの「旅行需要の平日への分散」の効果について、報告します。
  • 旅行需要の平準化は、旅行需要の喚起や観光産業従事者の通年雇用化などの効果に加え、感染拡大防止の観点からも重要であり、観光庁においては、本年10月より、全国旅行支援における平日のクーポン券の上乗せや、観光関連事業者と連携した「平日にもう1泊」キャンペーンを実施してまいりました。
  • 大手のOTAからは、10月から12月を対象とした宿泊について、平日予約の割合が増えたと報告を受けております。「平日にもう1泊」キャンペーンを開始した9月末時点では平日予約の割合は約4割でありましたが、12月12日には、休日の割合を逆転して、5割を超えたと聞いております。
  • 観光庁としては、引き続き観光関連事業者と連携して旅行需要の平日への分散を図ってまいります。国民の皆様には、基本的な感染対策をしっかり行った上で、全国旅行支援や「平日にもう1泊」キャンペーンをご利用いただき、平日の旅行をお楽しみいただければと思います。
 
(令和5年度税制改正要望について)
  • 先週16日に令和5年度与党税制改正大綱がとりまとめられ、観光庁として要望していたIRに関する税制については、令和3年度税制改正大綱において示された方向に沿って、カジノ所得の非課税措置等の法制化を行うこととなりました。
  • 具体的には、非居住者のカジノ所得に係る所得税の非課税措置について、IR事業の国際競争力及び長期の安定性・継続性を確保する観点から、令和9年1月1日から令和13年12月31日の5年間の措置を講ずることなどを定めるものです。
  • 観光庁としては、この税制措置が、「長期間にわたって、安定的で継続的なIR事業の実施」が確保されるための重要な前提条件の一つと認識し、今後も、確実に継続されるよう取り組むとともに、この税制措置の適用期日についても、今後、開業時期等の状況によっては見直されるよう取り組むことと致します。詳細についてはIR担当参事官室にお問い合わせください。

質疑応答

(問)この1年間の観光政策の推進状況の所感をお願いできますでしょうか。あとは、年明けからも旅行支援が続きますが、今後の課題や期待についてもお願いします。
(答)
  • この3年近く、観光行政の最大の課題はコロナへの対応でありました。
  • 感染拡大防止と社会経済活動のバランスを図りながら国内需要の喚起の他、宿の高付加価値化やデジタル化の支援など、深刻な影響を受けている観光関連産業を多面的に支援してまいりました。
  • そうした中、ようやく本年10月からは全国旅行支援の開始とともに、ビザなし渡航、また、個人旅行再開など水際措置の大幅な緩和が図られ、いよいよ国内外の観光需要を本格的に復活させる局面に変わりました。
  • 10月に開催された観光立国推進閣僚会議でも、総理から観光立国の復活に向けてご指示をいただくなど、我が国の観光の復活に向け、大きな転換点を迎えた1年だったと思います。
  • 今後の課題、また、期待でございますけれども、全国旅行支援の効果もあり、本年10月には日本人の国内延べ宿泊者数がコロナ前を上回るとともに、11月の訪日外国人旅行者数は、中国を除くと、コロナ前の半分程度まで回復を致しました。
  • 引き続き、国内外の観光需要の本格的な回復、また、拡大を図ることが重要で、私どもとしては今後、消費額の拡大、そして地方誘客促進、持続可能な観光と、この三つのキーワードに特に留意して、三つの戦略、すなわち、一つ目に全国旅行支援や第2のふるさと作りなどによる国内交流拡大戦略、二つ目に消費額増加や地方誘客の促進等を図るためのインバウンドの回復戦略、そして三つ目に観光地や宿の高付加価値化の計画的継続的支援などによる、高付加価値で持続可能な観光地域づくり戦略、この三つを総合的、かつ、強力に推進していきたいと考えています。
  • 今回の補正予算を初め、必要な予算をしっかりと確保しつつ、我が国の観光を持続可能な形で復活させるため、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 
(問)訪日客の数字についてお伺いします。100万人近くの水準に戻ってきて、2019年比で中国を入れたとしても、4割弱の水準まで回復してきているということですけれども、これについての長官の受け止めと、2023年度に向けての回復見通しについて、どういったところを描いていらっしゃるのかということと、中国に関してゼロコロナ政策も緩和したということで、春節後を見据えれば、ある程度戻りも見えてくるのかなという予測もあると思うのですけれども、どういった形でより拡大をはかっていくかということも含めてお伺いします。
(答)
  • 先程、934,500人と申し上げましたが、もう少し内訳を詳しく見ると、コロナ前の2019年11月と比べると、韓国が153.8%、それからベトナムが80.2%、シンガポールが61.7%など、アジア圏における堅調な回復が見られると考えています。
  • この他、アメリカが56.6%、インドも56.5%など、回復傾向が見られると思っています。
  • 韓国は2019年以降の訪日旅行控えなどがあったので非常に大きな数字にはなっておりますけれども、それはちょっと留意をしながら考える必要があるとは思います。
  • 相対的にインバウンドは回復基調だと思っておりますけれども、もっともっと頑張っていかなければいけないと思っています。
  • 今後の感染状況とか中国の水際措置などコロナの影響を短期的に予測するのはなかなか難しいところでありますけれども、現在、観光立国推進基本計画の議論を有識者の皆様とさせていただいておりますが、2025年にコロナ前の状況に回復をさせるという基本的な考え方のもと、目標のあり方についても議論をさせていただいているところであります。
  • いずれにしても観光庁としては、円安のメリットも生かして、できる限り速やかに訪日外国人旅行消費額5兆円超を達成することを目指していきたいと思います。
  • そのためにも、全国各地で特別な体験等を提供して世界に発信する観光再始動事業がありますけれども、これにつきまして、関係省庁とも連携をしながら、外国人に魅力的なコンテンツを用意して速やかに実施をするなど、インバウンドの回復ピッチを加速させていきたいと考えております。
 
(問)出国日本人数の統計についてお伺いします。今月もあまり伸びはなく、4ヶ月連続で30万人台ということで、インバウンドに対しては、足踏みが続いているかと思いますが、こちらの現状認識と今後増えていくためには何が必要かお願いします。
(答)
  • アウトバウンドでありますけれども、水際措置の緩和によって海外旅行に行きやすい環境は整ってきているとは思います。
  • 一方で、旅行業界の方からは円安であったり、また、燃油費高騰によるサーチャージの上昇や、それから、これは気持ちの問題かもしれませんが感染への不安などがあって現時点では需要の戻りが芳しくないというふうに聞いております。
  • 今後、円安、また燃油費の高騰、感染症の状況などを正確に見通すことはなかなか難しいですが、日本旅行業協会(JATA)からは来年のアウトバウンドにつきまして、コロナ前の4割から5割程度の需要回復を見込んでいると聞いております。
  • 観光庁としては、今後の旅行動向などを注視しながら関係業界等々と相談そして連携をしながら、アウトバウンド回復に取り組んでいきたいと考えています。
 
以 上

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