和田長官会見要旨

最終更新日:2022年11月21日

日 時:2022年11月16日(水)16:15~16:34
場所:国土交通省会見室

会見事項

(2022年10月の訪日外国人旅行者数等について)
  • 本年10月の訪日外国人旅行者数は、498,600人となりました。国・地域別の入国者数の上位は、韓国が12.3万人、米国が5.3万人、香港が3.6万人となりました。なお、9月が206,500人でしたので、9月と比べると約2.4倍となります。
  • また、10月の訪日外国人旅行者数のうち、観光目的での入国者数は288,909人となりました。9月が19,013人でしたので、9月と比べると約15倍と大幅に増加しました。
  • 2022年10月の出国日本人数は、349,600人となりました。なお、9月が319,165人でしたので、9月と比べると約1.1倍となります。
  • 観光庁としては、引き続き、国内外の状況を注視してまいります。
 
(旅行・観光消費動向調査の結果(2022年7-9月期速報)について)
  • 本年7-9月期の旅行・観光消費動向調査の速報について報告します。本調査は日本人の旅行を対象としております。
  • 7-9月期の日本人国内旅行消費額は、5兆3,359億円となりました。前年同期と比較すると2.3倍に増加しましたが、コロナ前の2019年7-9月期に比べますと、まだ20.3%の減となっております。
  • 日本人国内延べ旅行者数は、1億2,608万人となりました。前年同期と比較すると90.0%の増ですが、コロナ前の2019年7-9月期に比べますと、まだ25.6%の減となっております。
  • また、日本人国内旅行の1人1回当たり旅行支出は、42,322円となりました。この支出には、参加費、交通費、宿泊費、飲食費、買物代、娯楽等サービス費等が含まれております。
  • 旅行単価については、本年1月以降、コロナ前の2019年の同期よりも増加が続いております。
  • 今後の動向については、引き続き注視してまいりたいと思います。

質疑応答

(問)10月の訪日外客統計について。水際緩和の効果が表れているかと思いますが、受け止めをお願いいたします。
(答)
  • 訪日観光につきましては、先月10月11日から、ビザなし渡航や個人旅行の再開など、水際措置が緩和されたところであります。
  • 出入国在留管理庁によれば、10月の観光目的での新規外国人入国者数は、9月に比べて、先ほど申し上げましたとおり、15倍、288,909人と大幅に増加をいたしました。
  • これは、10月11日からの水際緩和と円安の効果が相まったものと認識をしております。
  • 本日明らかになったデータも含めまして、インバウンドの回復動向は、関係局やJNTOとも密接に連携をとって、国際線の復便支援やプロモーションなどに反映していきたいと考えています。
 
(問)訪日旅行について、現在の旅行先ですとか、旅行目的といったトレンドについてはどのように分析されていますでしょうか。
(答)
  • 現時点では詳細なデータが明らかになっていませんので、ご指摘のような、旅行先や旅行目的のトレンドについては、観光庁で四半期ごとに行っている訪日外国人消費動向調査や、宿泊旅行統計調査などの結果も踏まえて今後分析を行ってきたいと考えております。
 
(問)7月から9月期の旅行観光消費動向調査について。今回の調査結果の中で、県民割ですとか、いわゆるブロック割、こちらの効果についてはどのように表れているのでしょうか。
(答)
  • ちょっと振り返りになりますけれども、いわゆる県民割支援は、昨年4月1日から開始をして、昨年の11月19日には隣県まで拡大し、そして、本年4月1日から地域ブロックまで順次支援対象を拡大してまいりました。
  • いずれのタイミングでも、旅行者数や旅行消費額は、前の期に比べて増加をしており、一定の需要喚起効果が見られたものと認識をしております。
  • 一方で旅行需要は、コロナの感染状況とも連動していると分析をしており、本年初めの第6波の時期、本年の1月から3月期でありますが、需要の減少が見られます。
  • ただし、直近の7月から9月期の実績では、第7波の時期にも関わらず、需要は増加をしており、新型コロナウイルス感染拡大後の2020年4月以降では最大となっております。
  • これは、本年3月にまん延防止等重点措置が全面解除となり、行動制限のない夏の旅行シーズンを迎えたことが、旅行マインドに影響し、これまでのような需要の減少を招かなかったのではないかと考えております。
 
(問)続いて全国旅行支援についてお伺いします。開始から1か月以上経過しましたけれども、こちら先ほどお話のありました県民割に続く需要喚起策ということで、目的の1つである旅行とか宿泊産業の経営基盤の立て直しがあるかと思いますが、こちらについてはどの程度達成できていると長官は評価されていますでしょうか。
(答)
  • 全国旅行支援を開始してから1か月余りが経過をし、高い需要喚起の効果が現れているものと認識をしております。
  • 具体的に申し上げますと、例えば旅行業につきましては、全国旅行支援開始後の販売予約実績が、コロナ前の同時期を越えた旅行会社もあると聞いておりますし、12月までの予約動向も順調に推移して、資金繰りの見通しも改善傾向にあると認識をしております。
  • それから宿泊産業につきましては、全国旅行支援開始後、稼働率は増加傾向にあると聞いておりまして、資金繰りの見通しもやや改善傾向にあることを認識しております。
  • 一方で、これまで旅行業や宿泊業はコロナによって甚大な影響を受けており、例えば宿泊業については、3年近くにわたるコロナ禍の影響を受け、2021年度の売上高はコロナ前の2019年度と比較しても、3割以上落ち込んでいるということでありますし、また、2021年度末の債務残高は、2019年度と比較して約4割増大しているという状況であります。
  • このように、観光産業については、コロナ禍によって受けた打撃は大きく、短期的な需要の回復のみによって、直ちに経営状況が改善するものではないと考えております。
  • そのために、引き続き需要喚起策に取り組みつつ、事業の高付加価値化やDX化など、観光立国復活の担い手となる関係者に対して多面的に支援を行っていきたいと考えています。
 
(問)先ほど、訪日観光客が水際対策の緩和を受け、15倍ぐらいになったという話がありましたが、中国の大陸本土からはまだ観光客が入国できていない状況があります。このインバウンド復活に向けて、中国本土からの観光客がどのように影響があるかの受け止めを聞かせていただきたいのと、それから、インバウンド復活に向けて中国本土の観光客に寄せる期待、どのように受入体制を整えていくか、教えていただけますでしょうか。
(答)
  • インバウンド旅行者についてコロナ前の2019年には3,188万人、訪日いただいております。
  • そのうち中国からの訪日者数は959万人と、全体の約3割を占めていました。
  • 中国との観光交流は経済的側面のみならず、両国国民の相互理解にも寄与し、建設的かつ安定的な日中関係の構築に資するものと認識をしております。
  • 現在、中国では周辺国に比べて厳しい水際措置がなされているものと認識をしておりますけれども、これらの措置が緩和されたときには、ぜひ日本に来ていただきたいと考えております。
 
(問)今回外国人観光客が増えた理由として、水際対策の緩和と、プラス円安の効果が相まったとご説明いただいたと思うのですけれども、為替が一時期、ドルで言うと150円を超えるような水準まで円安いきましたけど、足元ちょっとやや緩んで140円台半ばぐらいまでと。円安という意味での誘因効果というのでしょうか。また、それはまだ維持されていると考えてよいのでしょうか。
(答)
  • 旅行のお申し込みをいついただいたのかというところと連動すると思います。
  • 足元では一時期150円ぐらいから、少し円高の方に振れていると思いますけれども、旅行のお申し込みをされたのが、実際に日本に来られているのが今だとしても、円安のピークの頃に申し込んだかもしれませんし、そこのあたりはもう少し状況を見極める必要があるのではないかと思っております。
 
(問)これから申し込む人たちにとっては、一時期150円ぐらいまでいったけど、今145円でちょっと円高だね、みたいな話があって、それがもう少し為替の様子を見ようとか、そういう話はまだないというところなのですか。
(答)
  • 一時期115円ぐらい、今年の初めだったと思いますけれども、それに比べればまだ円安の状況だとは思います。
  • ただ、ピークの150円の頃に比べると若干円高に振れているということが、旅行の申し込みどういう影響を与えるかということについては、もう少し状況を見る必要があるのではないかと思います。
 
(問)先ほどの質問と同じなのですが、今回訪日外国人旅行者数が50万人近く訪れたという結果についてですけど、4月から8月まで5ヶ月間はずっと10万人台で、なかなか6月に緩和したときもその後伸び悩んでいた部分もあったと思うのですが、それが9月で初めて20万人をコロナ以降超えて、今回一気に2.5倍に増えたということで、今後の期待感みたいなところ、昨日も国際クルーズ船受け入れ再開もしましたし、期待感をどのように今感じておられるのかというのを一言お話しいただきたいと思います。
(答)
  • そういう意味では、水際緩和措置の効果と、それから一時期に比べれば大幅に円安に振れているということは、現時点でも間違いないわけですから、このままインバウンド観光客が増えていく事について、我々としては非常に期待をしている、という状況にあります。
 
(問)来ている方を見ても、先月ぐらいはまだベトナムの方がかなり上位で、今回香港とか台湾とか、国、地域も少しトレンドが変わっているように感じるのですけども、このあたりは何か分析されることはありますか。
(答)
  • まだデータが出たばかりではありますが、国地域別に見てみると、韓国やアメリカ、香港、台湾、タイというあたりが上位です。
  • この他、東南アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、こういったあたりも回復傾向が見られていますので、こういうところについて、一体どのようにプロモーションを打っていったらいいのかとか、それから航空便の回復状況など、少し遅れているところがあれば我々の方としても関係局、またJNTOと連携しながらどうやって対応して行くか考えていきたいと思っています。
 
(問)訪日外国人の人数なのですが、10月は10日までと11日以降で少し差があるのではないかと思うのですが、そのあたりの状況はどのようになっていますか。
(答)
  • 10月1日から10日まで、これは水際措置の緩和直前ということですが、1日当たり約2000人の外国人の方が来られていたということでございますが、水際を緩和した11日から10月の末まで、31日までは1日あたり13,000人と、約7倍に増加をしています。
  • そしてさらに、11月に入ってから、11月1日から7日までの間は1日当たり約20,000人、ということで、緩和前に比べて約11倍増加しているという状況でございます。
 
(問)もう一点訪日関連についてなのですが、今の政府の指針としていわゆる富裕層、高付加価値旅行者の受け入れというところを推し進めていくというところがあると思うのですが、改めてこちらの意義についてお話しいただけますでしょうか。
(答)
  • これはコロナのときから色々と検討してきた課題であります。
  • 1回あたり100万円以上の旅行消費される方、人数的には1%でありますけれども、消費額的に見ると約12%というボリュームは非常に大きな消費額であります。
  • 従いまして、今後、これまでの取り組みの課題であった消費額の部分について、てこ入れをしていく上で、高付加価値層の皆さまに、いかに日本に来ていただくかというのが重要だ、と考えています。
  • そこで今、全国各地からモデル地区を選んでいこうと思っておりまして、そして今年度中に10ヶ所程度を選ぼうと思っておりますが、その公募が終了したところであります。
  • これから、有識者を交えて選定委員会を開いて、選定をしていくというプロセスになりますのでこちらの方もしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
 
(問)訪日客は今増加していると思うのですが、一方で、今国内で新型コロナの第8波への懸念も徐々に高まってきています。感染が拡大した場合、訪日客のインバウンドに向けた対応、対策については何か今、現時点でお考えでしょうか。
(答)
  • 第8波への対応については、政府全体で様々な取り組みがなされていると承知をしております。
  • 水際対策のあり方については、これは官房長官もおっしゃられていますけれども、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取りながら、これまでの水際対策の経験や外国人観光客を含む様々な往来のニーズ、そして、内外の感染状況、主要国の水際措置の状況などを踏まえながら、きめ細かく判断をしていく、というのが政府の基本スタンスとなっています。
  • 観光庁も政府の一員として関係省庁と連携をして検討していきたいと考えています。
 
 
以 上

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