和田長官会見要旨

最終更新日:2023年1月23日

日 時:2023年1月18日(水)16:15~16:38
場所:国土交通省会見室

会見事項

(2022年計及び同年12月の訪日外国人旅行者数について)
  • 今年もよろしくお願い申し上げます。私からは2点ご報告させていただきます
  • 1点目は、2022年計及び同年12月単月の訪日外国人旅行者数等についてです。
  • 2022年の訪日外国人旅行者数は、3,831,900人となりました。2021年に比べ、約16倍となりました。
  • また、12月単月では、1,370,000人となりました。2021年12月と比べ、約113倍、コロナ前の2019年12月と比べると、中国を除き、74%まで回復いたしました。
  • 2022年の出国日本人数は、2,771,700人となりました。2021年に比べ、約5倍となります。
  • また、12月単月では、432,100人となりました。2021年12月と比べ、約9倍、コロナ前の2019年12月と比べると、25%まで回復いたしました。
  • 観光庁としては、引き続き、国内外の状況を注視してまいります。

(訪日外国人消費動向調査の結果(2022年10-12月期1次速報)について)
  • 2点目は、訪日外国人消費動向調査の結果についてです。
  • この調査については、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年4月以降、2021年9月まで中止していました。2021年10月からの調査再開後は、必要な回答数が確保できないため、試算値として公表していたところです。
  • 昨年10月の水際措置の大幅な緩和を受けて目標回答数の確保が可能となったため、今回、2022年10-12月期の調査結果について、通常通りの1次速報としてご報告いたします。
  • 2022年10-12月期の訪日外国人旅行消費額は、5,952億円と推計されました。コロナ前の2019年同期比では、約5割まで回復、前期の7-9月期と比べますと、約3.6倍まで回復しました。
  • 訪日外国人1人当たりの旅行支出は、21万2千円となりました。2019年同期比では、24.6%の増加となっていますが、これは、コロナの影響により、観光目的の短期滞在旅行者の割合が相対的に小さくなったこと等から、全体的な単価が押し上げられたものと考えられます。
  • さらに、観光・レジャー目的に絞って見てみると、1人当たり旅行支出額は20万円、2019年同期比で20.0%増となりました。
  • 観光庁としては、引き続き、訪日外国人の消費額拡大に向けて、施策に取り組んでまいります。

質疑応答

(問)今日年間の訪日客数が発表となりましたけれども、この本格的に水際緩和が始まった9月以降、右肩上がりにどんどん増えていっている状況です。
12月の130万人近くが訪れたという状況で、かなり下半期に向けて増えていった、年間の訪日客の状況をどう受け止めていらっしゃるのかということと、あと今年1年、この今の状況だと期待できるものも大きいかなと思うのですけれども、長官はどのようにお考えになっているのかをお教えいただきたいです。
(答)
  • 冒頭申し上げましたとおり、12月の訪日者数は137万人ということで、前月11月に比べて1.5倍となりました。
  • 昨年10月以降、訪日者数は3か月連続で増加をしています。これは水際措置の大幅な緩和や円安の効果などが相まって、中国を除いて堅調に回復しているというふうに認識をしております。
  • それから2022年の年計の方でございますけれども、こちらも383万人と2021年に比べて16倍となっています。
  • これを分解してみてみますと、1月から9月までの各月の平均入国者数は11.4万人でありますが、10月から12月までは月平均で93.4万人と約8倍になっています。
  • 受け止めの方ですけれども、2022年も年間を通して新型コロナウイルスの影響が継続をしているものの、昨年10月からの水際措置の大幅な緩和や円安の効果などが相まって、10月から12月期は、中国を除いて堅調に回復してきているものと受け止めております。
  • 今後の感染状況や、国内外の水際措置のあり方などコロナの影響を読むことは大変難しい状況にありますけれども、私ども観光庁といたしましては、新たな観光立国推進基本計画において、2025年にインバウンドをコロナ前の水準に回復させることを基本としながら、具体的な目標について観光分科会において、現在議論をいただいているところであります。
  • いずれにしても私どもといたしましては、円安のメリットを生かして速やかに、訪日外国人旅行消費額5兆円を達成することを目指していきたいと考えています。

(問)インバウンドに関連してなのですが、現在、政府の方で新型コロナの分類を5類にした後は、マスクの着用推奨を緩和して、もちろん安全性を専門家の意見を取り入れて、確認した上で、マスクの着用の推奨を緩和しようというふうに答えています。やはり彼らがマスクをしていない中、日本に来てマスクをしてくださいというふうな、今はガイドラインになっているかと思うのですが、このマスク着用が緩和されることでのインバウンドの影響について、期待とか、今のお考え、どのような影響があると思いますか。お聞かせください。
(答)
  • ご指摘の点、特に感染症の類型2類から5類という点については、旅行業界、観光業界からも見直しのご要望が出ていると承知をしています。
  • 観光という観点から見ればメリットがあるかもしれませんけれども、これは今、政府全体で様々な観点から、検討をされているところでありますので、私どもとしてもそこに参画をしながら、全体の観点でどうするか考えていきたいと思っています。

(問)もしマスクが、大幅に室内でもつけなくてもいいという状況になることについては、やはり観光についてはプラスというふうにお考えでしょうか。
(答)
  • 行動がしやすくなるという面では観光にとってプラスかもしれませんけれども、感染拡大の拡大のリスクをどう見るか、という点については慎重に検討する必要があると思いますので、そこのあたり、専門家のご意見も踏まえながら考えていく必要があると思います。

(問)先ほどの説明があった出国の方についてお伺いします。アウトバウンドの方なのですけれども、インバウンドと比べると伸びを欠いていると思います。改めてになるかもしれませんが、その原因と、23年に向けてどのようなことが考えられるのか、もしくは観光庁として対応できるものが何かあるのか教えてください。
(答)
  • 2022年10月から12月期、第3クォーターで見てみますと、インバウンドの方、訪日外国人旅行者数は2019年同期比で4割程度まで回復したことに対して、出国日本人数は2割程度にとどまっているということで、そこにギャップがあるということだと思います。
  • この原因として考えられるのは、円安であったり、また、燃料費の高騰、そして感染への不安と、そういう意味で金銭的な面と心理的な面と両方が原因になっていると考えています。
  • JTBさんが、年末年始における業界全体の海外旅行の予約動向を発表されていますけれども、前年比で8倍以上と見込まれる、という内容になっています。
  • 足元では少しずつですが改善の兆しも見えていると思います。
  • 観光庁といたしましても、双方向の人的交流の拡大は重要と認識しておりますので、今後の旅行動向などを注視しながら関係業界などとも連携をして、アウトバウンドの回復に取り組んでまいりたいと考えています。
 
(問)先ほど発表いただいた消費動向調査の関係ですけれども、観光・レジャー訪日外国人1人あたりの支出額なのですが、2019年と比べて2割くらい増えているとのことですが、理由の分析などをしているのであれば教えてください。
(答)
  • 10月から12月期、本格的な回復の第一歩でありますので、ここの中から認めることについて我々の推測を申し上げるとすれば、やはり円安などの影響が非常にプラスに働いたということと、それから久しぶりの海外旅行で、訪問して来られた外国人の皆様も、支出が割と増えたということもあって、単価が上昇しているということが伺えます。
  • 中国がまだ回復していないのですけれども、その他の国に関して申し上げれば、今申し上げたように比較的旺盛に観光消費をしていただいたと認識をしております。
 
(問)ちなみに10月-12月からある意味調査を再開していると思うのですが、2022年年間の消費額が幾らかみたいな数字は出せるのでしょうか。
(答)
  • 今日お示ししているものは、1次速報値でありまして、これから精査を行って、3月末をめどに確定値を出していくという作業になります。その際にあわせて年間値、多分推計値になるとは思いますけれども、お出ししたいと考えています。

(問)国内の旅行支援について伺いたいと思います。10月からおよそ3か月間、全国旅行支援がまず行われまして、それについて国内の旅行需要や消費にどの程度影響を与えたと評価されているか、また規模は縮小されますが、今月から再開された旅行支援についても、どのようなご期待を持っていらっしゃるかお聞かせ願います。
(答)
  • 昨年10月11日に開始をした全国旅行支援でありますけれども、非常に多くの方々にご利用いただいて、10月、11月の日本人の国内宿泊者数は、コロナ前を上回っている状況にあります。
  • また、インバウンドの方も12月には、先ほど申し上げた通り、コロナ前の半分程度まで回復をしてきているということも相まって、観光や交通分野の需要が回復をして、全国の観光地ににぎわいが戻ってきている状況だと認識をしております。
  • 1月10日からも再開をしておりますので、できる限り多くの方にご利用いただければと考えているところであります。
 
(問)インバウンドの関係で、まもなく春節休みに入りますけれども、コロナ禍になってから初めて、中華圏の方から大勢の観光客が来ることが見込まれます。それに対しての期待感と、もう一つ期待感という意味で、1月の初めに、中国がゼロコロナ政策を終了させたことで、今後、日本にも来やすくなってくると思いますけれども、それに対しての受け止めもお願いいたします。
(答)
  • 中国との関係ですが、2019年には3,188万人訪日をいただいておりまして、中国は959万人と、約3割でした。
  • ところが、昨年の年計を見ますと、中国からの訪日者数が19万人と、全体の5%に満たない状況であります。
  • 政府としては、官房長官もおっしゃっておりますけれども、中国において新型コロナの感染状況が急速に悪化をし、詳細な状況の把握が困難であることや各国の水際措置も踏まえて、昨年12月30日以降、中国からの入国者に対する水際措置の見直しを行うとともに中国の感染状況や中国側による情報開示のあり方などを見つつ、適切に対応していくということとしています。
  • 中国はコロナ前の訪日者数全体の約3割を占める重要な市場と認識をしておりますので、観光庁としては中国の感染状況の改善などが見られ、双方向の観光交流が円滑に行われるようになることを期待しているところであります。

(問)中華圏という意味でいいますと、台湾や香港からは問題なくこの春節の際に来られると思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
(答)
  • 中国本土は、今申し上げた通りでありますが、香港や台湾は、先ほど申し上げました通り、堅調に回復してきていると認識をしておりますので、春節の機会にぜひ日本にお越しいただければと思います。
 
(問)中国に関して、日中政府間で、例えば、ビザの発給が中国側から停止になっているという動きもありますけれども、こちらが両国の観光での往来、主にインバウンドに対して、何らかの影響があるかという点に関して、どのようにお考えでしょうか。
(答)
  • 中国政府から発表があった、日本人への査証発給制限の件については、旅行会社にも実態を確認しました。
  • これまでの中国側の水際措置によりまして、日本人の中国向け海外旅行はほとんど実施されていないこと、そして、1月8日以降の中国側の水際措置の緩和から今般の1月10日の査証発給制限の発表が間もなかったこと等がありまして、日本人のアウトバウンド観光には、実質的に大きな影響はなかったと認識をしております。
  • 中国側の発給停止の件は、日本人が中国に行く際のお話ですので、直接はインバウンドとは関係をしないわけでありますけれども、中国側の措置が撤廃され、双方向での観光交流が円滑に行われるようになることを期待しているところであります。

(問)今の人手不足の問題についてお伺いいたします。特に、水際対策が緩和されてから宿泊施設や観光地での人手不足は高止まりしている状況だと思いますが、これについての現状認識をお伺いしたいのと、1月になって、全国旅行支援やインバウンド需要の回復もあり、さらに高止まりが強まってきているのか、それとも高止まりの状況が続いているのか等、そのあたりも含めてご認識お伺いできますでしょうか。それと併せて、これに関して、観光庁としてできる対策やどのような対応を講じられるのかということも併せてお聞かせください。
(答)
  • 人手不足の問題でありますけれども、宿泊事業者をはじめとする観光関連事業では、観光需要の回復などに伴って人手不足感が高まっている状況にあると認識をしています。
  • 今申し上げたとおり、需要はどんどん回復してきているわけですから、人手不足感もそれに応じて高まってきているという状況だと思います。
  • こうした人手不足に対しては短期的には、何よりも官民で連携して賃金水準をはじめとした従業員の方々の待遇向上を図り、人材確保のための環境を改善していくことが重要と考えています。
  • このため、観光庁といたしましては、観光地の再生高付加価値化、また、観光のDXの推進を図るとともに、例えば、国から支援をするにあたって、賃金水準の引き上げをお願いするというようなことなども含めて従業員の方々の待遇向上が図られるよう取り組んで参ります。
  • このようにして、国内人材の担い手確保を進めながら、それでもなお足りない部分に関しては、外国人材の活用を図る必要があります。
  • このため、私どもとしては、海外での特定技能試験の実施に加え、我が国宿泊業での就労意欲を喚起するため、業界団体とも連携をして、宿泊業の魅力であったり、雇用環境などを外国人に向けて積極的に周知、発信するなど、必要な環境整備に取り組んでまいりたいと考えています。
 
(問)賃金というところが一つ鍵になるというお考えでしょうか。
(答)
  • そうですね。やはり、人手不足については、観光産業の昔からの課題として賃金が低いということがありますから、そこの部分を何とか手当をして、様々な方に産業に入ってきていただくという形にしていければと考えております。
 
(問)そういった点で、競争力を高められるに、国からの支援があるということでしょうか。
(答)
  • そうですね。国の支援を活用していただくのであれば、ぜひ、働く方の賃金なども改善をしていただければというお願いをしていきたいと考えております。
 
(問)人手不足の状況としては、強まってきている状況なのでしょうか。
(答)
  • 直近はまだ伺っていませんけれども、これまで私どもが伺ってきている中では、多くの企業や宿泊事業者の皆様が人手不足を感じているというふうにおっしゃっていますので、これは、私どもの推測として、需要がどんどん回復をすれば、当然のことながら人手不足が強くなってくるということだと思います。
以 上

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