世界ではカーボンニュートラル目標を表明する国・地域が急増しており、我が国も2050年カーボンニュートラル等の目標を掲げています。
港湾においては、サプライチェーン全体の脱炭素化に取り組む荷主等のニーズに対応し、港湾施設の脱炭素化等の取組を進めることで、荷主や船社から選ばれる競争力のある港湾を形成することが必要となっています。また、港湾・臨海部には温室効果ガスを多く排出する産業が集積しており、港湾において、産業のエネルギー転換に必要となる水素・アンモニア等の供給に必要な環境整備を行うことで、産業構造の転換や競争力の強化に貢献することが重要です。
そこで、国土交通省では、我が国の港湾や産業の競争力強化と脱炭素社会の実現に貢献するため、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や水素・アンモニア等の受入環境の整備等を図るカーボンニュートラルポート(CNP)の形成を推進しています。
港湾は輸出入貨物の99%以上が経由する国際サプライチェーンの拠点です。港湾においても、サプライチェーン全体の脱炭素化に取り組む荷主等のニーズに対応していくことが求められています。
荷主や船社から選ばれる競争力のある港湾を形成するため、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化を図る取組を官民が連携して進めています。
港湾・臨海部にはCO2排出量の約6割を占める産業の多くが集積しています。これらの産業においては、脱炭素化に向けて化石燃料から水素・アンモニア等へのエネルギー転換が検討されています。水素・アンモニア等の大規模なサプライチェーンの構築のためには、港湾における受入環境の整備も必要になります。
産業の構造転換及び競争力の強化に貢献するため、港湾において、水素・アンモニア等の受入環境の整備を図る取組を官民が連携して進めています。
港湾における脱炭素化の取組は、多岐に亘る官民の主体が関係することから、その実効性を高めるためには、官民連携により、継続的かつ計画的に取組を進めていくことが必要です。
このため、令和4年の港湾法改正により、港湾管理者が、官民の関係者が参加する「港湾脱炭素化推進協議会」を開催し、同協議会における検討を踏まえ、「港湾脱炭素化推進計画」を作成し、各関係者が同計画に基づいてそれぞれの取組を進める体制を構築しました。
国土交通省では、港湾管理者による港湾脱炭素化推進計画の作成を支援するため、「港湾脱炭素化推進計画」作成マニュアルを公表しています。
・報道発表資料
・「港湾脱炭素化推進計画」作成マニュアル
・参考資料1:CNPの形成に資する技術・取組に関する事例集
・参考資料2:関係法令等
・参考資料3:港湾脱炭素化推進計画イメージ
全国89港湾で港湾脱炭素化推進協議会等が設置済であり、28港湾で港湾脱炭素化推進計画が作成済です(令和6年9月10日時点)。
港湾 | 港湾管理者※ | 公表日 |
室蘭港 | 室蘭市 | 令和6年3月28日 |
苫小牧港 | 苫小牧港管理組合 | 令和6年3月27日 |
八戸港 | 青森県 | 令和6年3月22日 |
仙台塩釜港 | 宮城県 | 令和6年3月29日 |
酒田港 | 山形県 | 令和6年3月25日 |
小名浜港 | 福島県 | 令和6年6月13日 |
茨城港 | 茨城県 | 令和5年3月31日 |
鹿島港 | 茨城県 | 令和5年3月31日 |
川崎港 | 川崎市 | 令和5年10月6日 |
新潟港 | 新潟県 | 令和6年3月27日 |
伏木富山港 | 富山県 | 令和6年6月26日 |
清水港 | 静岡県 | 令和6年3月27日 |
名古屋港 | 名古屋港管理組合 | 令和6年3月28日 |
衣浦港 | 愛知県 | 令和6年3月18日 |
三河港 | 愛知県 | 令和6年3月18日 |
四日市港 | 四日市港管理組合 | 令和6年3月29日 |
大阪港・堺泉北港・阪南港 | 大阪市・大阪府 | 令和6年3月29日 |
徳山下松港 | 山口県 | 令和6年3月26日 |
坂出港 | 坂出市 | 令和6年3月26日 |
高松港 | 香川県 | 令和6年7月12日 |
新居浜港・ 東予港(東港地区) |
新居浜港務局・愛媛県 | 令和5年9月8日 |
北九州港 | 北九州市 | 令和6年2月22日 |
博多港 | 福岡市 | 令和5年11月9日 |
佐世保港 | 佐世保市 | 令和6年3月29日 |
川内港 | 鹿児島県 | 令和6年3月29日 |
学識経験者等の意見を聞きながら、カーボンニュートラルポート(CNP)の形成に向けた施策等を検討するため、「カーボンニュートラルポート(CNP)の形成に向けた検討会」を開催しています。
開催状況
サプライチェーン全体の脱炭素化を目指す荷主等のニーズに対応するため、国土交通省港湾局では、港湾のターミナルにおける脱炭素化の取組を客観的に評価する認証制度の創設に向けて検討しています。
まずはグローバルサプライチェーンを支えるコンテナターミナルに着目し、令和5年3月に「CNP 認証(コンテナターミナル)」の制度案を取りまとめたところであり、同年11月から、海外ターミナルとも連携し、評価基準の妥当性や認証機関に求められる能力、体制等を検討するため試行を実施しました。
現在、試行結果を踏まえ、制度の検討を継続しています。認証を取得した我が国の港湾が、荷主・船社等から選ばれる競争力のある港湾となることを目指します。
本制度で評価する脱炭素化の取組例
○ターミナル等における貨物の取扱等に関する脱炭素化の取組例
・荷役機械(ガントリークレーン、トランスファークレーン等)の脱炭素化
・ヤード照明の脱炭素化(LED化等)
○ターミナルを利用する船舶や車両の脱炭素化に資する取組例
・陸上電力供給機能、低炭素燃料供給機能の導入
・ゲート前渋滞の緩和等に資するゲート予約システムの導入
・ 報道発表資料
・ 港湾のターミナルの脱炭素化の取組に関する認証制度要綱(案)[試行版]
・ 港湾のターミナルの脱炭素化の取組に関する認証制度 ガイドライン(案)[試行版]
学識経験者等の意見を聞きながら、認証制度の創設に向けた検討を行うため、「港湾ターミナルの脱炭素化に関する認証制度の創設に向けた検討会」を開催しています。
開催状況
我が国港湾の競争力強化と脱炭素社会の実現に必要なメタノールバンカリング拠点の形成を目指し、設備や手続きの基準、拠点形成の課題と対応策等に関して、関係行政機関及びメタノール燃料の活用に積極的な民間事業者から構成する検討会を開催しています。
開催状況
水素社会推進法案の閣議決定について(令和6年2月13日)