country-flag

モンゴル

建設業に関する外資規制等

建設業関連情報(外資規制、建設業制度等)

外資に関する規制

2013 年 10 月に制定された(2013 年 11 月 1 日より施行)「投資法」によって、2002 年に導入された「外国投資法」は破棄された。「投資法」の規定により、国内外の投資家への対応の公平化が図られた。投資法は投資優遇措置に関して、国内・国外の企業を同等に扱う方針となったため、従来のような外資向けの特別な優遇措置は見当たらない。
一方、旧外国投資法では、外国資本の最低出資金規制が低かったため、多数の外国企業(主に中国と韓国)が実働の伴わない会社設立を行ったため、当該「投資法」では、外国投資企業の最低出資金が 10 万 US$に引き上げられた。

〔規制業種〕

21.1.下記の分野で事業を行うモンゴル国法人の発行した株式全体の 33%以上を外国政府が所有する法人が所有する場合には許可を受けること。
21.1.1.鉱業
21.1.2.銀行・金融業
21.1.3.マスコミ・通信

〔工事受注に当たっての現地法人の設立義務付け〕

現地法人の義務付けは無く、支店での受注も可能。

出典

〔規制業種〕

日本貿易振興機構(JETRO)「投資法(非公式訳)」(2015年3月)

JICA「モンゴルビジネス環境ガイド」(2022年11月)


〔工事受注に当たっての現地法人の設立義務付け〕

建設経済研究所調べ(2014年11月)

NNA調べ(2016年10月)

建設業許可制度、条件・手続きの流れ

〔制度概要〕

2016年2月に建設法(改定法)が制定された。建設法によると、建設は工事の難易度によって5種類にカテゴリー分けされている。建設業に関わる外資企業は、特別な許可を取得しなければならない。また、建設施設の工事を開始する前に、品質と安全性の基準に応じて分類された証明書を取得する必要がある。

カテゴリーは下記の通りである。

  • 建設許可が不要な建築物
  • 複雑性が低度かつ難易度が高い建築物
  • 複雑性が中度かつ難易度が高い建築物
  • 複雑性が高度かつ難易度が高い建築物
  • 特に複雑で難易度が高い建築物
〔手続き〕

特別な許可を取得するために以前は平均で40日前後時間を要していたが、制度の改正によって、10営業日に短縮され、手続きも簡素化された。許可申請先は、モンゴル建設・都市計画省(MCUD:Ministry of Construction and Urban Development)など。

出典

World Bank「Dealing with Construction Permits in Mongolia

Legal Info Mongol (モンゴル語)

建築・住宅国際機構「モンゴル建設法」(2016年2月)

入札契約制度、条件・手続き

一般的には、日本とさほど変わりはなく、主に一般競争入札、指名競争入札等の方法を採用している。

官庁工事の場合は一般競争入札、民間の場合は指名競争入札が一般的である。

出典

建設経済研究所調べ(2014年11月)

NNA調べ(2016年10月)

履行保証制度、条件・手続き

建設法(改定法)によると、工事開始のための証明書を取得してから、1年間の特別な期間(Period of improvement and adjustment of building for operation)が供与される。1年を終えると、さらに少なくとも3年の期間が与えられ、その間に工事や設備で違反が発生した場合、建物所有者、設計者、請負者、サプライヤー、または使用者のいずれか有責者が補償することになる。

出典

建築・住宅国際機構「モンゴル建設法」(2016年2月)

技術者・技能者の資格制度

技術者の資格は、国立モンゴル科学技術大学等の専門コースを卒業し、その後実務経験を経て技術者の資格を得るのが一般的。

技能者の資格は、溶接工、組積工事、鉄筋コンクリート、安全管理士等がある。

出典

建設経済研究所調べ(2014年11月)

NNA調べ(2016年10月)

就労許可制度

〔外国人就業規制〕

外資企業を含むモンゴルにおける企業が外国人を雇用するに際してはクオーター制度というものがあり、毎年閣議において、分野毎の外国人雇用枠を決定している。

建設業では、資本金が5億100万トグログ(約2,000万円)、従業員が50人未満の場合、20%までしか外国人を雇用できない。こうした割合は,分野毎,資本金額,総従業員数により異なるため注意が必要である。

〔在留許可〕

2010年4月より、渡航目的に関わらず、モンゴル国を30日までの短期訪問する日本国民に対して査証を免除している。30日を超える滞在の場合、招聘機関・招聘者は、モンゴル国の外国人・国籍問題担当行政機関に長期滞在の申請を行い、適切な査証許可を取得する。当該機関の許可に基づき、駐日モンゴル国大使館領事部は、適切な種類の査証を発給する。書類がそろっていれば 3営業日でビザを発給する。

モンゴル国内で就労する場合、公務主管庁及びその有権機関の許可、外国投資企業の管理職として勤める場合は経済開発省外国投資調整登録局(旧外国投資貿易局FIFTA)から付与された証明書、労働保証サービス所から発行された就労許可書、滞在地域の知事による証明書、受入機関の願書等が必要となる。

〔現地人の雇用義務〕

2013年11月「投資法」第7条にて、雇用義務は記載ないものの、従業員の知識、経験、資格、技能を向上させることが投資家の義務として記載されている。

出典

在モンゴル日本国大使館「最近のモンゴル経済トピック」(2012年9月)(p.17)


〔在留許可〕

駐日モンゴル国大使館「ビザ」(2023年5月)


〔現地人の雇用義務〕

日本貿易振興機構(JETRO)「世界のビジネスニュース(通商弘報)投資法と投資基金法が11月から施行、対内投資の回復図る(モンゴル)

国連貿易開発会議(UNCTAD)「投資政策ハブ」(2013年)

建築基準

〔建築規制〕

建設法の4.1.1.においてbuildings and structuresを8種類に定義し、これらを法の適用対象としている。つまり、法の適用対象は建築物に限定されず、道路・橋梁等の土木工作物を含めた建設行為全体を対象として建設許可を位置づけ、その順守すべき基準として建設基準(Construction Code)を定めている。

  • (1) housing
  • (2) civil and industrial buildings and structures
  • (3) power and telecommunication structures
  • (4) roads
  • (5) bridges
  • (6) hydro, petroleum, water supply, sewerage system
  • (7) dam
  • (8) associated infrastructure
〔建築基準〕

義務基準であるところの建設基準及び関連規格は、建設開発センターが関係の学術団体等の協力を得て案を作成し、建設・都市開発庁が決定して交付する。

出典

一般社団法人 建築・住宅国際機構「海外の建築規制

建設業関連データ

建設投資額(億米ドル)

6(2022年)、5(2021年)、5(2020年)

(Value Added by Economic Activity, at current prices - US Dollars)

出典

国連統計局 National Accounts Main Aggregates Database

国内の建設企業数

8,098社(Business register,2023年第三四半期)

出典

Mongolian Statistical Information Service「Business register

建設労働者

89,401(2023年第三四半期)

出典

Mongolian Statistical Information Service「EMPLOYEES POPULATION AGED 15 AND OVER

インフラ整備水準

道路
  • 延長:111.9千㎞(2021年)
  • 整備率:31.7㎞/千km2 (2002年)
  • 舗装率:3.5%(2002年)
鉄道
  • 延長:1,100㎞(2019年)
  • 整備率:0.7㎞/千km2 (2019年)
電力
  • 発電量:78億kw(2021年)
上下水道
  • 上水道普及率・・・64.4%(2015年)
  • 下水道普及率・・・59.7%(2015年)
出典

〔道路、鉄道、電力〕

アジア開発銀行「KEY INDICATORS FOR ASIA AND THE PACIFIC 2023」P239、P242、P249


〔上下水道〕

The World Bank「World Development Indicators 2015

我が国の建設投資の今後の動向

「インフラシステム海外展開戦略 2025」の追補(令和4年6月3日)

モンゴルでは、政治の動きがインフラ計画にも多大な影響を与えてきた側面があることに留意。不安定な景況サイクルを繰り返さないための堅実な経済・財政政策運営が今後の鍵。首都への急速な人口集中を背景とした都市問題を解決するため、交通・都市分野で我が国の技術やノウハウを活用することが期待され、経済・財政政策運営に留意する必要はあるが、これらの分野におけるインフラ輸出の実現も期待。新国際空港運営に我が国事業者が参画中。なお、優良な原料炭の調達先としても期待される。

国別開発協力方針・事業展開計画

我が国の ODA の基本方針(大目標):持続可能な経済成長の実現と社会の安定的発展

重点分野(中目標)
  • (1)健全なマクロ経済の実現に向けたガバナンス強化
  • (2)環境と調和した均衡ある経済成長の実現
  • (3)包摂的な社会の実現
出典

経協インフラ戦略会議「インフラシステム海外展開戦略2025」(2022年6月3日)

外務省「国別開発協力方針・事業展開計画

我が国建設業の受注実績

-(上位10か国未満)

出典

海外建設協会調べ

ODA(百万ドル)

    ・円借款
  • ‐(2018年度)
  • ‐(2019年度)
  • 250.00(2020年度)
  • ‐(2021年度)
    ・無償資金協力
  • 12.50(2018年度)
  • 15.71(2019年度)
  • 32.44(2020年度)
  • 15.40(2021年度)
    ・技術協力
  • 22.59(2018年度)
  • 22.27(2019年度)
  • 12.93(2020年度)
  • 23.38(2021年度)

(単位:億円)

出典

外務省「ODA(政府開発援助)

建設業関連企業、団体、大学

主な国内建設企業

出典

建設経済研究所調べ(2014年11月)

NNA調べ(2016年10月)

主な公共発注者

出典

建設経済研究所調べ(2014年11月)

NNA調べ(2016年10月)

出典

建設経済研究所調べ(2014年11月)

土木・建築系の学科を有する主な大学

出典

建設経済研究所調べ(2014年11月)

NNA調べ(2016年10月)

ビジネス環境

ビジネス慣行

〔ビジネス環境の現状〕
事業設立
必要な手続き数
8
平均的な手続き日数
12日
建築許可取得
必要な手続き数
17
平均的な手続き日数
137日
不動産登記
必要な手続き数
5
平均的な手続き日数
10.5日
納税
毎年支払う税の種類
19
収益に占める税率
25.7%
貿易 (輸出)
輸出に係る手続き
時間:134時間 費用:225USD
必要書類の手続き
時間:168時間 費用:55.6USD
(輸入)
輸入に係る手続き
時間:48時間  費用:210USD
必要書類の手続き
時間:115時間 費用:83USD
出典

World Bank「Doing Business

問題等の解決

  • 在モンゴルインフラプロジェクト専門官
  • 「インフラプロジェクト専門官」は,各在外公館においてインフラプロジェクトに関する情報を収集・集約すると共に,関係機関や商工会等との連絡・調整に際して窓口となる等,インフラ海外展開の支援を担当している。
  • 在モンゴル日本国大使館日本企業支援担当官
  • 国土交通省海外建設ホットライン
  • 国土交通省における、海外建設プロジェクトにおける施工技術、施工管理マネジメントへの課題・対応方策に関する、海外進出建設会社・コンサルタントからの相談窓口
出典

在モンゴルインフラプロジェクト専門官

在モンゴル日本国大使館日本企業支援担当官

国土交通省海外建設ホットライン

各国・地域特有の課題

〔ガバナンス指標のパーセンタイルランク〕

モンゴルよりランクが低い国の割合(2022年)

  • 国民の政治参加、説明責任 56%
  • 政治的安定と暴力・テロ等安全度 63%
  • 政府機関の効率性・独立性 35%
  • 規則の策定や遵守度 42%
  • 法の支配度 45%
  • 汚職の抑制 33%
出典

World Bank「Worldwide governance Indicators

マスタープラン

政府アクションプラン 2020-2024

〔策定主体〕

モンゴル政府

〔計画概要〕

モンゴル政府は、パンデミックによって引き起こされた経済的および社会的課題のの克服、人間、経済的、社会的発展の確保、および環境バランスの改善に特に注意を払い、6つの一連の問題の枠組みの中で目的と目標を策定した。ガバナンスを強化し、地域および地方の発展を確保し、以前の政府政策の継続性を維持する。

持続可能な開発ビジョン2030

持続可能な経済発展の目標を達成するために、健全なマクロ経済政策が実施され、経済が多角化される。農業、工業、特に軽工業および食品産業、建設資材、銅加工、石炭、燃料化学品、鉛加工工場、観光、鉱業および採掘産業の発展が最優先され、エネルギーおよびインフラ部門がリードセクターとして発展する。

2.1.5.エネルギーおよびインフラ部門
目標 1. 国内および国内におけるエネルギーの安定的かつ確実かつ完全な供給を確保するエネルギーを輸出する。
目標 2. 消費電力に占める再生可能エネルギーの割合を増やし、新たなエネルギー源を模索する。
目標3. 経済成長を可能にするために道路・交通物流ネットワークを拡充・整備する。

出典

〔政府アクションプラン〕

モンゴル教育科学省「政府アクションプラン2020-2024


〔持続可能な開発ビジョン2030〕

モンゴル政府「持続可能な開発ビジョン2030」(2016年)

開発案件

電力供給改善計画(令和4年)

概要:経済活動の中心都市であるダルハン市、エルデネト市及びウランバートル市に電力供給しているダルハン変電所において、蓄電池及び関連設備を整備する

供与額:20億円

出典

外務省「ODA(政府開発援助)」(2023年10月18日)

今後注視すべき主要プロジェクト一覧

ソムセンターのインフラ強化及びグリーン開発

気候変動に強いソムセンターのインフラ開発に関する政策及び技術的アドバイスを提供する

クシグ渓谷地域における緑豊かで柔軟的な新衛星都市のインフラ開発

新ウランバートル国際空港周辺の緑豊かで柔軟的であり、効率的で包括的な衛星都市としてのクシグ渓谷地域の開発をする

地方道路開発整備事業(第三期)

プロジェクトエリア内の道路輸送の効率と安全性を向上させる

アイマク(州)とソム(村)におけるグリーン地域開発

グリーンな領土開発と都市と農村のつながりを促進する

出典

Asian Development Bank「Project & Tenders

※データベースについては、関係機関等から収集した情報を掲載しており、必ずしも正確性または完全性を保証するものではありません。掲載情報の詳細については、出典元にお問い合わせいただくようお願いいたします(掲載情報以外の内容については、国土交通省としてお答えできません)。また、閲覧者が当データベースの情報を用いて行う一切の行為について、国土交通省として何ら責任を負うものではありません。

トップへ