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メキシコ

不動産関連情報

不動産に関する法制度

不動産関連法・制度の現状

土地所有に一部制限のあるメキシコにおいて、外資企業又は外国人が不動産取得の際に留意すべき事項は、規制地帯である。規制地帯とは、憲法第 27 条第 1 項で規定されている国境沿いの幅100km と沿岸 50km 以内の地帯のことで、国家安全保障の観点から外資企業や外国人による不動産の取得が禁じられている。

土地・不動産の所有権

〔外国人の不動産所有権〕

不動産の取得には一部規制があるものの、原則的には可能。

1.不動産の取得

a.「外国人排除条項」を有するメキシコの会社、または当該規定に言及した協約を取り決めたメキシコの会社は、憲法第27条第1項の規定に従い、直接不動産を取得することができる。なお、協約を取り決めたメキシコの会社は、規制地帯(憲法第27条第1項に言及される国境沿い100キロメートルおよび沿岸50キロメートル以内の地帯)については、居住以外を目的とする不動産の取得は可能であるが、外務省に報告する必要がある(外資法第10条)。

b.外国法人または自然人が規制地帯以外で不動産を取得する場合、憲法第27条第1項の規定に言及した協約を取り決めた書状を事前に外務省へ提出し、当該許可を取得しなければならない(外資法第10-A条)。

2.規制地帯の不動産信託

外国法人・自然人、および「外国人排除条項」を有しないが、憲法第27条第1項の規定に言及した協約を取り決めたメキシコの会社は、規制地帯における不動産を信託方式で使用できる。ただし、信託先の金融機関については、外務省の許可が必要。なお信託期間は最長で50年であるが、更新が可能(外資法第11、12、13条)。

土地・不動産の登記

売買公正証書署名の後、通常は同じ公証人が当該公正証書の謄本を用いて不動産登記を執り行う。

不動産の鑑定評価

  • 不動産鑑定士は国家資格である。
  • メキシコ国内の銀行内部評価に対応するCNBS(National Banking and Securities Commission)、政府、民間の評価に対応するSHCP(National Secretary of Treasury)、国有財産の評価に対応するINDAABINが国内基準を発行している。

法制度が確認できるWebサイトの紹介

米国政府「Library of Congress」Mexico(英語)

不動産事業を行う際の免許制度

不動産業を行うための全国ライセンスは存在しないが、メキシコ不動産専門家協会(AMPI)がメキシコ連邦消費者保護庁(PROFECO)と提携し、不動産業者の登録所を整備している。
ソノラ州、シナロア州、グアナフアト州等、メキシコのおおよそ半数の州においては、不動産業を行う際の登録が義務付けられている。

出典

〔不動産関連法・制度の現状、土地・不動産の登記〕

国際協力銀行「メキシコの投資環境/2021年10月


〔土地・不動産の所有権〕

日本貿易振興機構(JETRO)「外資に関する規制」(2023年06月30日)


〔不動産の鑑定評価〕

日本不動産鑑定士協会連合会「各国の国際評価基準(IVS)導入状況」(2010年)


〔不動産事業を行う際の免許制度〕

AMPI

不動産の取引に関する制度

不動産を取引する際の制度

  • 不動産取引は通常、不動産取引は、通常、不動産エージェントを通して行われ、不動産エージェントは、不動産の価格その他の売買条件について交渉する。
  • ブローカーライセンスが存在しないため、信頼のある業者をメキシコ不動産専門家協会(AMPI)に照会することが推奨されている。
  • 居住用不動産の取引において、買い手の利益を守るために弁護士が雇われることもある。

消費者保護(インスペクション、瑕疵対応、その他)

  • 商業団体(デベロッパー等)からの不動産購入については、消費者保護法が適用される(個人からの不動産の購入はカバーされていない)。
  • 通常、現地の法務局(Registro Publico de la Propiedad)において、潜在的な担保権の負担を含む不動産の背景事情の調査が行われる。

不動産行政の方向性(新築・中古、長期・短期、持家・借家)

メキシコは高中所得国と呼ばれるまでに経済成長を遂げているが、依然として国内に大きな社会格差、貧困問題を抱えており、雇用・所得状況の改善、食料自給率の向上・貧農救済、福祉環境の向上等が重要課題となっている。さらに、同国は中米諸国から米国を目指し、同国を通過する移民受入れが負担になっている他、同国からも米国を目指す移民が発生している。

これらの課題に対し、メキシコ政府は「国家開発計画 2019-2024」を策定し、弱者支援、福祉環境向上を中心とした社会政策、国内市場の強化、国内インフラ整備(道路、港湾、鉄道、エネルギー等)及び貧困解消のための中小規模農家への支援といった経済政策を長期目標として掲げている。

不動産金融(住宅ローンの実態、ローン審査、担保評価)

メキシコの住宅ローンは、INFONAVIT(連邦労働者住宅公社) およびFOVISSSTE(公務員向け住宅基金) が58%、商業銀行が20%の割合で供給されている。

住宅ローンの一般的な融資条件は、常勤の仕事に就いて社会保障登録があること、一年以上の先任権があること、家族収入が月間最低賃金の2倍を超えること、17歳以上50歳未満であること等とされている。

出典

〔不動産を取引する際の制度〕

AMPI


〔消費者保護(インスペクション、瑕疵対応、その他)〕

FEDERAL CONSUMER PROTECTION LAW


〔不動産行政の方向性(新築・中古、長期・短期、持家・借家)〕

外務省「対メキシコ国別開発協力方針」(2021年6月)


〔不動産金融(住宅ローンの実態、ローン審査、担保評価)〕

Sociedad Hipotecaria Federal, S.N.C.(SHF)「Current Housing Situation in Mexico 2011」

不動産に関する税制

不動産取得に関する税制

〔不動産取得税〕

売買、贈与、相続等取得形態にかかわらず、不動産を取得した者に課せられる税金。課税標準の詳細や税率は州により若干の違いがあるが、取引価額、地籍上の価額、査定市価等のうち一番高いものの2%前後が目安である。また、州によっては、投資インセンティブとして全額または一部を免税する場合がある。

不動産保有に関する税制

〔地租または固定資産税〕

土地および建物の評価額に対して課税される。州・地方自治体によって税率が異なる。

その他税制(租税条約等)

    日本とメキシコとの租税条約が締結されている(2014年1月発効)
  • 配当:親子会社間0~5%、配当一般15%
  • 利子:10%、15%
  • 使用料:10%
出典

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る メキシコ 税制

不動産取引に関する外国人及び外国資本に対する規制

外資に関する優遇措置もしくは規制

不動産の取得

「外国人排除条項」を有するメキシコの会社、または当該規定に言及した協約を取り決めたメキシコの会社は、憲法第27条第1項の規定に従い、直接不動産を取得することができる。なお、協約を取り決めたメキシコの会社は、規制地帯(憲法第27条第1項に言及される国境沿い100キロメートルおよび沿岸50キロメートル以内の地帯)については、居住以外を目的とする不動産の取得は可能であるが、外務省に報告する必要がある(外資法第10条)。

外国法人または自然人が規制地帯以外で不動産を取得する場合、憲法第27条第1項の規定に言及した協約を取り決めた書状を事前に外務省へ提出し、当該許可を取得しなければならない(外資法第10-A条)。

規制地帯の不動産信託

外国法人・自然人、および「外国人排除条項」を有しないが、憲法第27条第1項の規定に言及した協約を取り決めたメキシコの会社は、規制地帯における不動産を信託方式で使用できる。ただし、信託先の金融機関については、外務省の許可が必要。なお信託期間は最長で50年であるが、更新が可能(外資法第11、12、13条)。

就労ビザ、長期滞在について

〔在留許可〕

駐在予定者が「訪問者」として一旦メキシコに入国し、その後「一時的居住者」にステータスを変更するという方法は、現在は原則として不可能である。

2012年9月28日、移住法施行規則が公布された。「訪問者」「一時的居住者」「永住者」という3通りの滞在ステータスについて、移住法は次のように規定している。

訪問者
  • 1.メキシコで報酬を得ない訪問者(報酬を伴う活動許可なし。連続滞在期間は最長で180日)
  • 2.メキシコで報酬を得る訪問者(報酬を伴う活動許可あり。同180日)
  • 3.地域訪問者(指定国境地帯の居住者。報酬を伴う活動許可なし。同3日)
  • 4.国境地帯労働訪問者(隣国の国民のみ。報酬を伴う活動許可あり。同1年)
  • 5.人道的理由による訪問者(政治的迫害、亡命希望者など。滞在期間は不特定)
  • 6.養子縁組のための訪問者(メキシコと協定を締結した特定国国民のみ。滞在期間は手続き期間中)
一時的居住者
  • 7.一時的居住者(報酬を伴う活動許可あり。連続滞在期間は最長で4年だが、更新も可能)
  • 8.一時的居住者:学生(大学以上の場合は、報酬を伴う活動許可あり。滞在期間は在学期間中)
永住者
  • 9.永住者(報酬を伴う活動許可あり。滞在期間は無期限)

これらの滞在ステータスのうち、日本からの出張者は1.や2.の「訪問者」(日本人の場合、滞在期間180日以内の訪問者についてビザは不要)、駐在員については7.の「一時的居住者」のステータスを得る必要がある。

出典

〔外資に関する優遇処置または規制〕

日本貿易振興機構(JETRO)「外資に関する規制


〔就労ビザ、長期滞在について〕

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る メキシコ 外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用

主要都市等における不動産マーケット情報

主要都市などにおけるマーケット情報

〔工業団地(土地)購入価格〕
メキシコシティ

483米ドル/m2

アグアスカリエンテス

62米ドル/m2

イラプアト

48米ドル/m2

ケレタロ

113米ドル/m2

サンルイスポトシ

47米ドル/m2

ティファナ

105米ドル/m2

モンテレイ

180米ドル/m2

〔工業団地借地料〕
メキシコシティ

6.1米ドル/m2月

アグアスカリエンテス

4.88米ドル/m2月

イラプアト

4.24米ドル/m2月

ケレタロ

4.88米ドル/m2月

サンルイスポトシ

5.03米ドル/m2月

ティファナ

6.44米ドル/m2月

モンテレイ

4.91米ドル/m2月

〔事務所賃料〕
メキシコシティ

21米ドル/m2月

アグアスカリエンテス

14米ドル/m2月

イラプアト

6.71米ドル/m2月

ケレタロ

16米ドル/m2月

サンルイスポトシ

13米ドル/m2月

ティファナ

12米ドル/m2月

モンテレイ

19米ドル/m2月

〔市内中心部店舗スペース/ショールーム賃料〕
メキシコシティ

53米ドル/m2月

アグアスカリエンテス
  • アグアスカリエンテス市内
  • 8.09米ドル/m2月
イラプアト
  • イラプアト市内
  • 15米ドル/m2月
ケレタロ
  • ケレタロ市内Centro Sur地区
  • 13米ドル/m2月
サンルイスポトシ
  • サンルイスポトシ市内
  • 8.48米ドル/m2月
ティファナ
  • ティファナ市内
  • 22米ドル/m2月
モンテレイ
  • サンペドロ(デルバジェ)地区
  • 22米ドル/m2月
〔駐在員用住宅借上料〕
メキシコシティ
  • ヌエボポランコ(グラナダ、イリガシオン等)地区
  • 52~300m2、コンドミニアムタイプ、家具付
    1寝室 1,000~3,421米ドル/月
    2寝室 1,316~2,789米ドル/月
    3寝室 1,816~8,600米ドル/月
アグアスカリエンテス
  • アグアスカリエンテス市内
  • 200~300m2、3寝室 税・諸経費込み
    (100~200m2、2階建て、3ベッドルーム、税別)
イラプアト
  • イラプアト市内
  • 150~250m2、コンドミニアムタイプ、2寝室~3寝室
    237~1,053米ドル/月
ケレタロ
  • ケレタロ市内Juriquilla地区
  • 100~200m2、コンドミニアムタイプ、2~3寝室
    974~1,842米ドル/月
サンルイスポトシ
  • サンルイスポトシ市内Lomas地区(第4セクション等)
  • 80~250m2、コンドミニアムタイプ 税・諸経費別
    789~1,947米ドル/月
ティファナ
  • ティファナ市内
  • 70m2~150m2、コンドミニアムタイプ 税・諸経費含む
    1寝室 899米ドル/月
    2寝室 1,200~1,600米ドル/月
モンテレイ
  • サンペドロ(デルバジェ)地区
  • 50~250m2、コンドミニアムタイプ、1寝室~3寝室 税・諸経費込み
    895~6842米ドル/月

(調査実施時期:2022年12月~2023年1月)

取引履歴・物件情報などのデータベース化

出典

〔主要都市等におけるマーケット情報〕

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 投資コスト比較」 (2016年3月)

不動産業者に関する情報

主な国内不動産業者

〔デベロッパー〕
〔仲介業〕

不動産業(住宅販売等を含む)を展開する主な日系企業

  • スターツコーポレーション  等

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