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アメリカ

建設業に関する外資規制等

建設業関連情報(外資規制、建設業制度等)

外資に関する規制

〔規制業種・禁止業種〕

米政府は一般的に、外国による対内直接投資(FDI)を歓迎し、公平に扱うという姿勢。ただし、国家安全保障の観点から、財務省が所管する外国投資委員会(CFIUS)が国内資本の買収案件を審査する。外資のみを対象とするものではないものの、建設産業に対し連邦政府が定める規制には、下記のように危険性廃棄物の処理等に関して定めるものがある。

航空、通信、海運、発電、銀行、保険、不動産、地下資源、国防の9つの産業分野に対しては、外国からの対米投資に関する連邦規制が適用されることがある。

  • 資源保存及び回復法(RCRA:Resource Conservation and Recovery Act)
  • 有害化学物質規正法(TSCA:Toxics Substances Control Act)

その他、各州政府が独自の規定を有している。

〔工事受注に当たっての現地法人の設立義務付け〕

支店、現地法人いずれでも営業可能である。

出典

規制業種・禁止業種

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 米国 外資に関する規制


工事受注に当たっての現地法人の設立義務付け

日本貿易振興機構(JETRO)「米国におけるサービス産業基礎調査

建設業許可制度、条件・手続きの流れ

〔制度概要〕

各州で定められている。州ごとのライセンス例は下記の通りである。

カリフォルニア州
    Contractors State License Board (CSLB)がライセンスを管理している。
  • General Engineering Contractor
  • General Building Contractor
  • Specialty Contractor
ハワイ州
    Contractors License Boardがライセンスを所管している。
  • General Engineering Contractor
  • General Building Contractor
  • Specialty Contractor
テキサス州
    Texas Department of Licensing and Regulation (TDLR) がライセンス所管の委員会等を統括している。
  • Air Conditioning and Refrigeration Contractors
  • Electrician Licensing
  • Water Well Drillers and Pump Installers
フロリダ州
    Construction Industry Licensing Boardがライセンスを管理している。
  • Building Contractor
  • Air Conditioning Contractor
  • General Contractor
出典

カリフォルニア州

Contractors State License Board (CSLB)


ハワイ州

Department of Commerce and Consumer Affairs「Professional & Vocational Licensing


テキサス州

Texas Department of Licensing and Regulation (TDLR)


フロリダ州

Florida Department of Business and Professional Regulation 「Construction Industry Licensing Board

入札契約制度、条件・手続き

〔入札制度概要〕

連邦政府調達は、Federal Acquisition Regulation(FAR)に規定されている。

〔入札参加条件〕
    FARでは、下記の入札方式が定められている。
  • 簡易手続き(Simplified Acquisition Procedures)
  • 封印入札(Sealed Bidding)
  • 交渉、提案(Contracting by Negotiation)
  • 州政府の調達は、各州においてそれぞれ規定されている。
出典

国土交通省国土技術政策総合研究所「海外における公共調達

Federal Acquisition Regulation「

履行保証制度、条件・手続き

〔工事履行保証制度〕

FARにおいて、下記の保証が定義されている。

  • 入札保証(Bid guarantee)
  • ボンド(Bond)
  • 支払いボンド(Payment Bond)
  • 履行ボンド(Performance Bond)

ミラー法(Miller Act)により、連邦政府の10万ドル以上のすべての建設工事に履行ボンドが必要であるとされている。また、2.6万ドル以上の工事に支払いボンドが義務付けられている。

出典

国土交通省国土技術政策総合研究所「海外における公共調達

National Association of Surety Bond Producers「Miller Act

技術者・技能者の資格制度

〔制度概要〕
カリフォルニア州

Board for Professional Engineers, Land Surveyors, and Geologistsが、Professional Engineer等の資格認定を行っている。

ハワイ州

Board of Professional Engineers, Architects, Surveyors and Landscape Architectsが、Professional Engineer等の資格認定を行っている。

テキサス州

Texas Board of Professional Engineersが、Professional Engineer等の資格認定を行っている。

フロリダ州

Florida Department of Business and Professional Regulationが資格認定試験を行っている。

出典

カリフォルニア州

Board for Professional Engineers, Land Surveyors, and Geologists


ハワイ州

Board of Professional Engineers, Architects, Surveyors and Landscape Architects


テキサス州

Texas Board of Professional Engineers


フロリダ州

Florida Department of Business and Professional Regulation 「Bureau of Education and Testing

就労許可制度

〔外国人就業規制〕

駐在して就労するためには就労目的に応じたビザを取得する必要があるが、外国人に対する就業上の規制はない。

〔在留許可〕

外国人が米国内で就業するには、就業ビザが必要。米国に進出した日系企業では、主として、E-1(条約貿易業者)/E-2(条約投資家)、L-1(同系列企業内転勤者)、H-1Bビザ(短期就労専門家)の非移民ビザを活用している。 なお、2019年5月31日から、ビザ申請者に対して、SNSアカウント情報の提出を義務付けた。

〔現地人の雇用義務〕

連邦レベルでも州レベルでも現地人の雇用義務はない。

出典

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 米国 外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用

建築基準

〔建築規制〕

各州及び各都市がそれぞれに定めた法令集の中にBuilding Codeと称する部分があり、その中で建築物の許認可等の制度及び安全性等に関る建築基準を規定し、運用している。

〔建築基準〕
  • 構造安全性の基準の中で、荷重及び外力に関しては地域性に応じた数値が規定されている一方、応力解析の手法に関してはコンクリート構造学会や鋼構造学会が定めた基準が広く採用されている。火災安全性の基準は、ICCやNFPAが作成したモデルコードを参照しつつ、地域性を加味した基準がそれぞれに作成されている。
  • 建築基準に関連する規格は、ASTM等の規格が統一的に採用されている。
出典

一般社団法人建築・住宅国際機構「海外の建築規制

建設業関連データ

建設投資額(億米ドル)

10,827(2012年)、11,307(2013年)、11,758(2014年)、11,527(2015年)、11,757(2016年)、12,596(2017年)

(Value Added by Economic Activity, at current prices - US Dollars)

出典

国連統計局 National Accounts Main Aggregates Database

国内の建設企業数

事業所数 760,924(2015年第1四半期速報値)

出典

Bureau of Labor Statistics 「Industries at a Glance Construction: NAICS23

建設労働者

建設業界従事者全て:662.0万人 現場労働者のみ:498.0万人 (2016年1月速報値)

出典

Bureau of Labor Statistics 「Industries at a Glance Construction: NAICS23

インフラ整備水準

道路
  • 延長:4,115,462mile(2013年)、4,177,073mile(2014年)
鉄道
  • 延長:228,218km(2014年)
電力
  • 一人当り電力消費量:12,954.5kwh(2012年)、12,988.3kwh(2013年)
上下水道
  • 上水道普及率:99.2%(2015年)
  • 下水道普及率:100%(2015年)
出典

道路

Federal Highway Administration「Highway Statistics 2014


鉄道

The World Bank「World Development Indicators」Rail lines


電力

The World Bank「World Development Indicators」Electric power consumption


上下水道

The World Bank「World Development Indicators 2015

我が国の建設投資の今後の動向

米国からの我が国に対するLNG輸出について、FERC(米国連邦エネルギー規制委員会)の承認を取得。2016年以降、順次、日本へのLNG輸出が開始する見込みであり、また、2015年のTPP合意により、日本向け輸出プロジェクトの承認が今後更に迅速化する見込み。

超電導リニアについて米国政府が連邦補助金の交付を決定したことを受け、日米両国が連携して調査を行うための予算を確保するとともに、カリフォルニアにおける高速鉄道計画について2015年4月の総理訪米の際にトップセールスを行い、また、テキサスにおける高速鉄道計画について2015年11月にJOINが事業への参画を決定したところであり、引き続き取組を強化していく。

交通インフラ分野(スマートシティ及びモビリティを含む)における技術面での協力、交流の促進、企業間ビジネスネットワーキングの発展に向けた検討が進んでいる。

出典

経協インフラ戦略会議「インフラシステム輸出戦略(平成28年度改訂版)

我が国建設業の受注実績

  • 2014年度:4,279億円
  • 2015年度:4,895.6億円
出典

海外建設協会調べ

建設業関連企業、団体、大学

主な外国建設企業

〔我が国建設企業(2016年6月現在)〕
  • IHIインフラシステム
  • 大林組
  • JFEエンジニアリング
  • 竹中工務店
  • 日立造船
  • 安藤ハザマ
  • 鹿島建設
  • 清水建設
  • 日立製作所インフラシステム社
  • 不動テトラ   等
〔その他〕
出典

我が国建設企業

海外建設協会「海外進出状況


その他

NNA調べ(2016年7月)

ビジネス環境

ビジネス慣行

〔ビジネス環境の現状(ニューヨーク、ロサンゼルスの加重平均)〕
事業設立
必要な手続き数
6
平均的な手続き日数
4日
建設許可取得
必要な手続き数
15
平均的な手続き日数
89日
不動産登記
必要な手続き数
4
平均的な手続き日数
12日
納税
毎年支払う税の種類
11
収益に占める税率
45.7%
貿易(ニューヨーク)
(輸出)
輸出に係る手続き
時間:2時間  費用:175USD
必要書類の手続き
時間:2時間  費用:60USD
(輸入)
輸入に係る手続き
時間:2時間  費用:175USD
必要書類の手続き
時間:8時間  費用:100USD
出典

IFC「Doing Business

問題等の解決

  • 在アメリカ合衆国インフラプロジェクト専門官
  • 「インフラプロジェクト専門官」は,各在外公館においてインフラプロジェクトに関する情報を収集・集約すると共に,関係機関や商工会等との連絡・調整に際して窓口となる等,インフラ海外展開の支援を担当している。
  • 在アメリカ合衆国日本国大使館 日本企業支援窓口
  • 国土交通省海外建設ホットライン
  • 国土交通省における、海外建設プロジェクトにおける施工技術、施工管理マネジメントへの課題・対応方策に関する、海外進出建設会社・コンサルタントからの相談窓口
出典

在アメリカ合衆国インフラプロジェクト専門官

在アメリカ合衆国日本国大使館 日本企業支援窓口

国土交通省海外建設ホットライン

各国・地域特有の課題

〔ガバナンス指標のパーセンタイルランク〕

アメリカ合衆国よりランクが低い国の割合(2015年)

  • 政治的安定と暴力・テロ等安全度 70%
  • 政府機関の効率性・独立性 90%
  • 規則の策定や遵守度 88%
  • 法の支配度 90%
  • 汚職の抑制 90%
出典

World Bank「Worldwide governance Indicators

マスタープラン

2019年度予算教書

(概要)

生活保護等の社会保障費の削減や経済成長、無駄な経費の切り詰め等で歳出入を10年間で合 計4兆4,000億ドル超改善させることにより、財政赤字は2028年度には対GDP比で1.1%まで低下すると予想。

内訳は、生活保護費の削減等で約1兆1,100億ドル、予算1ドルあたり2セントを圧縮し無駄使いをなくす「2ペニー計画」で約1兆5,000億ドル、経済成長で約8,100億ドル等。

その前提となる経済成長率は、減税効果等を背景に3%前後の成長が続くことが想定されているが、 米議会予算局(CBO)は米国の潜在成長力を1.8%程度と分析しており、高い税収見通しに支えられた内容になっている。

2021年度予算教書

(概要)

2021年度予算:歳入3.9兆ドル,歳出4.8兆ドル,1.0兆ドルの財政赤字。実質成長率は,2020年2.8%,2021年3.1%,その後2030年にかけて2.8%まで逓減する見込み。米国内のインフラ投資については,10年間で合計1兆ドル規模の投資を実施。内訳として高速道路・鉄道等に8,100億ドル,高速通信や水道などに1900億ドルを拠出予定。各省庁の予算は,国防省,国土安全保障省,財務省,退役軍人省,NASAを除き,ほぼ全ての省庁について2020年度実績比減額要求となっている。

出典

外務省「アメリカ合衆国2021年度予算教書

外務省「アメリカ合衆国2019年度予算教書

OFFICE OF MANAGEMENT AND BUDGET 「America's Future

開発案件

カリフォルニア高速鉄道計画

サンフランシスコ~ロサンゼルス等を結ぶ。2019年に建設計画の撤回を州知事が発表。

テキサス高速鉄道計画

ダラス~ヒューストンを結ぶ。2022年開業目標。

超伝導リニア(マグレブ)導入構想

ワシントンD.C.とニューヨークを結ぶ。2021年代ワシントン~ボルティモア間開業目標。

出典

外務省「米国経済と日米経済関係

AFP通信「カリフォルニア州高速鉄道

今後注視すべき主要プロジェクト一覧

ワシントンDC~ボルティモア間の超電導リニア計画

ワシントンDC~ボルティモア間(約60km)に超電導リニア技術を導入する高速鉄道計画。将来は、ニューヨークまでの延伸を目指す。

テキサス高速鉄道計画

テキサス州ダラス~ヒューストン間(約 385km)を新幹線技術の活用を前提として整備する高速鉄道計画。

カリフォルニア高速鉄道計画

サンフランシスコ~アナハイム間等(約 840km)を結ぶ高速鉄道計画。

出典

国土交通省「国土交通省インフラシステム海外展開行動計画 2021

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