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不動産鑑定士インタビュー

Interview04 忙しく働きながら、不動産鑑定士試験に挑戦
ディベロッパーで再開発を通じ、まちの魅力向上に貢献
ディベロッパー 勤務
村部むらべ 裕哉ゆうやさん

不動産鑑定士になろうと思ったきっかけは何ですか?

新卒で入社した現在の会社で鑑定部に配属されたことをきっかけに不動産鑑定士を目指そうと決意しました。

試験はどのように乗り越えましたか?

とにかく勉強時間を確保し、覚えたことを忘れないようにする工夫をしていました。
私の場合、仕事をしながらの受験勉強だったので、時間の確保に苦労しましたが、平日は朝晩で数時間・休日は8時間程度勉強していました。ボイスレコーダーに自分で「不動産鑑定評価基準※1」を吹き込んで、通勤の行き帰りなど歩きながらでも勉強できるようにしていました。

現在はどのようなお仕事をされているのですか?

現在の仕事は、八重洲地区の市街地再開発事業の推進に携わり、権利者の方々とともに八重洲・日本橋エリアをより良いまちにするお手伝いをしています。
権利者の方々と協議を重ね、まちの魅力向上に繋がるより良い再開発ビルの施設計画検討等を行っています。

仕事上、不動産鑑定の知識がどのように役立っていますか?

不動産という分野の共通言語や考え方を広く知っていることが役に立っていると感じます。
大規模再開発では、オフィスビルや住宅をはじめ、飲食店や物販店舗等の商業施設、地域貢献施設など、多様な用途が計画されます。ベースとなる知識をある程度持っているので、どのような不動産であっても抵抗なくその収支構造を理解できますし、区分所有や共有、借地・底地といった複雑な権利関係の不動産にも抵抗を感じないのは鑑定評価で得た知識や経験があるからだと思います。

鑑定部にいた際、都心にあるSクラスビルを評価したこともありますが、権利関係が物凄く複雑な地方の大規模商業施設や定期借地権が付着した底地を借地人が買い取る場合の評価と言った所謂綺麗な不動産ではない不動産も評価した経験があるので、そういった知識が今に生きているのかなと思います。

鑑定評価の知識以外にどのような知識が必要ですか?

市街地再開発事業の推進においては、当然ながら都市計画法の知識、開発の知識が必要です。

また、あらゆる用途の収支構造や様々な権利関係といった面以外の部分でも、例えばビルの管理運営に関する知識も必要ですし、施設計画を行ううえで建築の知識も必要となります。多様な分野の知識が要求される仕事であると感じています。

また、相手の意図を理解する力、情報を整理し調整する力、判断する力など、机に向かって得られる知識以外の能力も要求されます。

どんなときに仕事のやりがいを感じますか?

東京駅前に位置する八重洲地区でディベロッパーの社員として再開発事業に携わり、まちの魅力向上に少しでも貢献できているのかなと思える時は物凄くやりがいを感じます。

また、まちの歴史や権利者の方々が求めていることを理解し、施設計画に反映していくことは、難しさでもあり、やりがいでもあります。

試験前の不動産鑑定士のイメージは?実際はどうですか?

単に「不動産の鑑定評価をする人」というイメージから、「マーケットの代弁者」というイメージに変わりました。「鑑定の世界では~」という、あたかも不動産鑑定という独自の世界があるような言われ方をされることが多いですが、不動産鑑定士の目指すべき姿はマーケット参加者がどのように考えているかを順序立てて論理的に説明することだと思うので「鑑定の世界では~」という言われ方がされているうちは、不動産鑑定士のあるべき姿になれていないんだろうなと感じています。

※掲載内容は2020年3月に取材した内容です。

用語解説

※1不動産鑑定評価基準
不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行うに当たっての統一的基準です。
不動産鑑定士試験との関係では、短答式試験・論文式試験ともに出題される「不動産の鑑定評価に関する理論」で学びます。

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