土地区画整理事業は、様々な場面で地域の課題解決に活用することができる事業制度である。
空洞化が進行している地方都市等の中心市街地を活性化させるため、土地区画整理事業により街区の再編、低未利用地の集約化や基盤整備を図ることにより、商業、福祉、文化等の各種施策と連携しつつ、核となる商業施設や、福祉・文化施設等の公益施設、共同住宅の立地等を促進し、中心市街地の活性化を推進する。
【土地区画整理事業活用のイメージ】
【活用事例と効果】
~区画道路・小広場等の整備を伴う小規模な区画整理による活性化の事例~
地区内歩行者通行量増(約0.5千人/日から約1.7千人/日)
地区内営業店舗増(24店から39店)
道路、公園等の都市基盤が未整備で老朽化した木造建築物が密集している防災上危険な市街地において、以下の措置により防災性の向上を図り、安全な市街地を形成。
効率的かつ効果的に密集市街地の防災性を向上させる土地区画整理事業の代表的な活用方法には、以下の2つの手法がある。
【1】地権者の建替えに合わせた不燃化の推進
膨大に広がる密集市街地の解消のためには、行政による事業展開だけではなく、民間の有するノウハウ、資金力、機動性を最大限に活用し、民間による事業展開を推進することが必要。
(石原東・幸福北地区の例:大阪府門真市) 木賃アパートの建替えに合わせて、組合施行による土地区画整理事業を実施。街区の再編、敷地の整序を行い、建築条件が整備されたため、不燃化された賃貸マンションへの建替えが実現された。
【2】公共団体の公共施設整備に併せた防災環境軸の集中整備
密集市街地の防災性を効率的に向上させるため、都市計画道路の整備と一体的に沿道の建築物の不燃化を促進し、避難路・延焼遮断帯として機能する空間「防災環境軸」を緊急かつ重点的に整備する。このため、土地区画整理事業のほか、街路、公園等の各種事業を組み合わせ、集中的に実施する。
防災環境軸の整備イメージ
【活用事例と効果】
公共用地率が16%から30%に増加 |
<地区別>
土地利用が細分化された既成市街地において、街区の再編に合わせて散在した低未利用地や共同利用希望者の土地を集約化することにより、敷地規模の拡大、土地の高度利用を図り、オープンスペースが確保されたゆとりある良好な市街地環境の形成を推進する。
【土地区画整理事業活用のイメージ】
【活用事例と効果】
就業人口 (約3千人 →約1万人)
商業業務系の床 (約7万㎡ →約15万㎡) |
大都市、地域の中心となる都市等において、既成市街地内の鉄道跡地、臨海部の工場跡地等を活用して、都市構造の再編に資する拠点市街地の整備を推進する。
【活用事例と効果】
秋葉原駅付近土地区画整理事業(東京都千代田区等)
世界的なIT産業拠点の形成(大学等20機関が入居)* *2007年1月現在 |
【活用事例と効果】 連鎖型都市再生の流れ
大手町土地区画整理事業(東京都千代田区)
連鎖型都市再生による国際ビジネス拠点の再構築
|
高度成長期の都市への急激な人口流入の受け皿として郊外に無秩序に開発されたスプロール市街地は十分に基盤整備されないまま狭小な戸建て住宅等が建ち並び、放置すると居住環境の悪い密集市街地になることが想定される。こうした市街地において、既存のコミュニティの維持に配慮しつつ、土地区画整理事業により街区の再編、基盤整備等を実施することにより、市街地環境の整備・改善を図る。