建設施工・建設機械

建設機械の騒音及び振動の測定値の測定方法

 低騒音型・低振動型建設機械の指定に関する規程(平成九年建設省告示千五百三十六号)第二条第三項の規定に基づき、建設機械の騒音及び振動の測定値の測定の方法を次のように定める。

                                                         平成九年七月三十一日 建設省告示第千五百三十七号 建設大臣 亀井 静香
                                                     改正 平成十二年十二月二十二日 建設省告示第二千四百三十九号 建設大臣 林 寛子
                                                     改正 平成十三年四月九日 国土交通省告示第四百八十八号 国土交通大臣 林 寛子

建設機械の騒音及び振動の測定値の測定方法

 低騒音型・低振動型建設機械の指定に関する規程(平成九年建設省告示千五百三十六号)第二条第三項の建設機械の騒音及び振動の測定値の測定の方法は、別表のとおりとする。


別表

建設機械の騒音及び振動の測定値の測定方法
第1 騒音の測定値の測定方法

1 . 用語および記号

 この測定方法で用いる用語の意味は、次によるほかJIS Z 8106(音響用語(一般))、JIS Z 8107(音響用語(機器))による。

(1)騒音レベル,LA

 音圧実効値に計量単位規則第6条で定める聴感補正を行って得られた値を基準の音圧(20μPa)で除した値の常用対数を20倍して求まる音圧レベル。単位はデシベル、単位記号はdB。

(2)等価騒音レベル,LAeq,T

 騒音レベルが時間とともに変化する場合、測定時間内でこれと等しい平均二乗音圧を与える連続定常音の騒音レベル。単位はデシベル、単位記号はdB。

(3)音響パワーレベル,LwA

 音源から放射される全音響パワー(音響出力ともいう。)を基準の音響パワー(1pW)で除した値の常用対数の10倍。単位はデシベル、単位記号はdB。特に、この測定方法では、計量単位規則第6条で定める聴感補正を行った音響パワーを対象とする。

(4)測定面

 測定対象音源を取り囲み、その上にマイクロホンが配置される仮想表面。

(5)暗騒音

 測定音場における測定対象音源が発生する音以外のすべての音。

2 . 騒音の測定値

 建設機械の型式の騒音の測定値は、当該型式に係る一の建設機械から発生する騒音の音響パワーレベルとする。

3 . 測定環境

3-1 測定場所地表面の種類と適用機械

 測定場所の地表面は原則として次の3種類とする。

(1)コンクリートまたはアスファルト舗装

 コンクリートまたはアスファルト舗装は、3-1(2)の地表面を適用する機械を除く機械の測定に使用する。

(2)コンクリートまたはアスファルト舗装と砂の組み合わせ

 供試機械の走行路部分を砂で構成し、供試機械とマイクロホンの間の地表面はコンクリートまたはアスファルト舗装とする。砂は、粒径2mm以下の湿った砂とし、最小深さは0.3mとする。もし、砂の深さが0.3mでは履帯の走行に不十分な場合は、適宜増やしてよい。

 この地表面は、ブルドーザー及び履帯式トラクターショベルの走行モード、さく岩機(コンクリートブレーカー)の測定に使用する。

(3)砂

 ブルドーザー及び履帯式トラクターショベルの走行モードと定置油圧動作モードの試験は、全面が砂の地表面とすることもできる。砂は、3-1(2)で規定する砂とする。

3-2 測定場所の広さ

 測定場所は、音源中心から測定距離(測定面の半径)の3倍の距離の範囲内に音の反射物がないものとする。また、3-1(1)及び(2)で規定したコンクリート又はアスファルト舗装は、少なくとも測定面の地上への投影面をカバーしていなければならない。

3-3 音場補正値,K

 測定面の地上への投影面が3-1(1)及び(2)以外の場合はJIS A8305-1988の附属書1に規定する音場補正値Kを測定する。125Hzから8000Hzの測定周波数帯域での音場補正値Kは3.5dB未満であること。音場補正値Kが0.5dBを超えるときは、音響パワーレベルの算出の際に補正が必要である。

3-4 暗騒音の条件

 各マイクロホン位置において、暗騒音と供試機械の騒音とのレベル差は、10dBを超えていなければならない。ただし、原則として静的な運転を試験条件とする機械の場合は、暗騒音と供試機械の騒音とのレベル差が10dB以下であっても、6dBを超えた範囲であれば補正を行うことができるものとする。

3-5 天候の条件

 次の場合、試験を行なうことはできない。

[1] 降雨、降雪、降雹があるとき
[2] 積雪があるとき
[3] 気温-10℃以下、または+35℃以上のとき
[4] 風速が8m/sを超えるとき。
なお、地上2mの高さで測定した風速が1m/sを超える場合はマイクロホンに風防を装着する。この場合には、校正において適正な補償を考慮すること。
4 . 騒音計

 騒音計は計量法(平成4年 法律第51号)第71条の条件に合格したもので積分平均機能を有する精密騒音計(IEC Pub.804のtype1又はJIS C1505-1988の附属書による)とする。

5 . 等価騒音レベルの測定

5-1 測定面の大きさ

 測定面は仮想半球とし、その半径rは供試機械の基本寸法Lに基づき決定する。供試機械の基本寸法のとり方は表-2による。

 測定面の半径rは原則として次のとおりとする。

r= 4m ……… L<1.5m
r= 10m ……… 1.5m ≦L<4m
r= 16m ……… 4m ≦L
5-2 マイクロホンの位置

 マイクロホンは、図-1及び表-1(座標)に示す測定面上の6個所とする。

 ただし、少なくとも3個のマイクロホンを用いて供試機械の片側ずつ測定することもできる。この場合は、供試機械を反対向きにして同じ運転状態にするか、または、マイクロホンの位置を反対側の測点に移動させる。

5-3 等価騒音レベルの測定

 図-1に示す6個所の測点において、供試機械が表-3、4に示す運転状態で運転する時間,Tの間について等価騒音レベルを測定する。

6 . 機械の配置と運転

6-1 一般事項

 原則として、供試機械は作業に必要な装置を取り付けた運転質量状態とし、運転室の窓、扉などの開閉部分は閉じた状態とする。

6-2 供試機械の配置と運転状態

(1)定置ハイアイドルの測定を行う機械

   供試機械の基本寸法の中点を図-1のCと一致させる。供試機械の長軸方向中心線をx軸に合わせる。

(2)走行モードの測定を行う機械

   走行モードは、図-1中に示すAB間を測定区間とする。供試機械の走行は車体中心線をx軸に一致させて行う。

   等価騒音レベルは供試機械の中心点が図-1のAとBの間を通過する間について測定する。供試機械の前進走行はAからBへ、後進走行はBからAの方向に行う。

(3)バックホウの配置

   バックホウは上部旋回体の中心を図-1のCと一致させる。機械の運転状態は表-3による。

(4)トラクターショベルの定置油圧動作モード

   供試機械の長軸方向中心線をx軸に合わせ、機械の前方をBの方向に向ける。供試機械の基本寸法Lの中点を図-1のCに合わせる。機械の運転状態は表-3による。

7. 音響パワーレベルの決定

7-1 平均等価騒音レベルの算出

 各マイクロホン位置における等価騒音レベルの測定値をもとに、次式により測定半球面上の平均等価騒音レベルを求める。

    __

   LAeq,T=10log10{(1/N)Σ100.1LAeqi}

ここで、
LAeqi:i番目のマイクロホンによる等価騒音レベルの測定値 (dB)
N:マイクロホンの総数
T:別表-2で規定する測定時間 (s)
7-2 音響パワーレベルの算出

 音響パワーレベルは次式により求める。

      __

   LwA=LAeq,T-K+10log10(S/S0

7-3 音響パワーレベルの決定
 測定は3回繰り返して行い、3個の音響パワーレベルを求める。もし、3個のうちの2個の数値に1dBを超える差がある場合は、2個の数値の差がそれぞれ1dB以内となる結果が得られるまで測定を追加する。音響パワーレベルは、それぞれ1dB以内の差となる数値のうち大きい方の2個の数値の算術平均とする。

 音響パワーレベルは小数点以下第一位を四捨五入した整数値とする。

 図-1 測定位置(マイクロホンの位置)  

図-1 測定位置(マイクロホンの位置)

   

表-1 測定面上の測定点の座標


マイクNo. x/r y/r z





6
0.7 
-0.7 
-0.7 
0.7 
-0.27 
0.27
0.7 
0.7 
-0.7 
-0.7 
0.65 
-0.65
1.5m 
1.5m 
1.5m 
1.5m 
0.71r 
0.71r
    
表-2 基本寸法の定義と適用機械
基 本 寸 法 の 定 義 適 用 機 械
上部旋回体の全長 
(ただし、アタッチメント類は除く)
・バックホウ 
・ドラグライン 
・クラムシェル 
・クローラークレーン
本体または履帯(タイヤ、ローラ)を含む機械の全長
(ただし、牽引具,ブレード等は除く)
・ブルドーザー 
・トラクターショベル 
・バイブロハンマー 
・さく岩機(コンクリートブレーカー) 
・ロードローラー 
・タイヤローラー 
・振動ローラー 
・アスファルトフィニッシャー 
(エクステンションは除く) 
・コンクリートカッター 
・発動発電機(タイヤは除く) 
・空気圧縮機(タイヤは除く)
トラックシャシーの全長または作業用エンジンが上部旋回体にあるものは上部旋回体の全長(ただし、クレーンブーム、アタッチメント類は除く) ・トラッククレーン 
・ホイールクレーン 
・コンクリートポンプ(車)
ベースマシンまたは動力源となる機械の全長(ただし、専用機の場合は本体または履帯(車輪)を含む機械の全長) ・油圧式杭抜機 
・油圧式鋼管圧入機・引抜機 
・油圧式杭圧入引抜機 
・アースオーガー 
・オールケーシング掘削機 
・アースドリル 
・コンクリート圧砕機
                  (注) 金具等の取付け腕の寸法については、基本寸法に含まない。
      

 

 
 

表-3 供試機械の運転状態(動的運転状態)


機 械 名 供試機械の運転状態および作業装置の位置
ブルドーザー [1]運転 
 エンジンと油圧機器は通常の運転状態となるよう暖機する。 
 排土板は標準品を装着し地上高さ0.3m±0.05mの走行姿勢にする。エ ンジンのコントロールレバーはフルスロットルの位置にして図-1のAB間を排土板を操作することなく一定速度で通過する。走行速度、前進は4km/hを超えない範囲で4km/hにできるだけ近く、後進は速度に関わりなく対となる変速段を使用する。
 仮に、最低速度段の走行速度が規定速度より速い場合でも、エンジンフルスロットルで走行する。
 ハイドロスタティックドライブ式機械は、原則として3.5~4km/hの範囲とする。

[2]等価騒音レベルの算出 
 前進、後進モードは2つの独立したモードで、時間と騒音レベルの両方を個々の走行方向に対して各々測定する。

等価騒音レベルLAeq,Tは、 
    LAeq,T=10*log10〔1/(T1+T2)*{T1*10(0.1*LpAeq,1)
                   +T2*10(0.1*LpAeq,2)}〕
 ここで、T1: 規定の測定区間内にいるときの前進走行時間。 
     T2: 規定の測定区間内にいるときの後退走行時間。 
 LAeq,1及びLAeq,2: T1,T2時間における等価騒音レベル。

バックホウ  機械は、標準のブーム、アーム、バケットを取り付ける。エンジンと油圧機器は通常の運転状態となるよう暖機する。エンジンのコントロールレバーはフルスロットルの位置にし、全ての運転動作はリリーフバルブが作動しないよう、または油圧シリンダのストロークエンドに当てない範囲で、実用的な最大速度で行う。
 機械は、図-1のC位置に、Bの方向に向けて配置し、運転動作は溝を掘削してその側に放土する作業サイクルを模擬する。
 初めに、ブーム、アーム、バケットを操作して、バケットの爪先を最大掘削半径の75%の位置で地上0.5mの高さとする。その時のバケット切刃の背面が地面となす角度は60度とする。
 作業サイクルの開始は測定開始の合図と同時とする。最初にバケットを地上0.5mの高さに保ちながら、ブーム上げとアーム引きを同時に操作して手前に引き、最大に引いた時のバケット刃先位置までの50%の位置で止めてバケットを巻き込む。
 次いでブームを上げ、バケットが溝の縁を乗り越えるのに十分な高さ(最大ダンプ高さの30%)まで上がったら、なおもブームを上げつつ左方向に90度旋回する。バケット高さが最大ダンプ高さの60%に達したら、(ブーム上げは停止し)アームをシリンダストロークの75%まで伸ばし、バケットを切刃が垂直になるまでダンプする。
 その後、右旋回し、ブームを下げ、バケットを巻き込みながら、最初の位置に戻る。
 上記の動作を3回連続して繰り返し、1運転サイクルとする。 
 測定は1運転サイクルの停止と同時に終了する。 
 等価騒音レベルの測定時間Tは、測定の開始合図から終了までとする。
トラクターショベル  機械は、標準バケットを取り付ける。エンジンと油圧機器は通常の運転状態となるよう暖機する。
[1]走行モードの運転 
 機械は空のバケットを走行姿勢(バケット底面の地上高さ0.3±0.05m)として走行する。機械はエンジンのコントロールレバーをフルスロットルの位置にして一定の速度で図-1のAB間を前進および後退する。前進走行速度は、履帯式では4km/hを超えない範囲で4km/hに最も近く、車輪式では同様に8km/hとする。後退走行は速度に関わりなく対となる変速段を使用する。
 走行モードは、バケットを操作することなくノンストップで測定半球内を前後進する。仮に、最低速度段の走行速度が規定より速い場合でも、原則としてエンジンフルスロットルで走行する。
 ハイドロスタティックドライブ式は原則として3.5~4km/h(履帯式)、7~8km/h(タイヤ式)の範囲とする。
[2]走行モードの計算 
 ブルドーザに同じ 
[3]定置油圧動作モード 
 定置油圧動作モードは機械中心を測定半球の中心に合わせて以下の手順で行う。
 エンジンのコントロールレバーはフルスロットルの位置にし、全ての動作は最大速度で行う。ただし、リリーフバルブが作動しないよう、または油圧シリンダのストロークエンドに当てないよう運転する。変速機は中立とする。バケットを走行姿勢から最高持ち上げ高さの75%の高さまで持ち上げ、続いて走行姿勢に戻す操作を連続して3回行う。この動作を定置油圧動作モードの1運転サイクルとする。
 測定時間Tは、走行姿勢のバケット持ち上げ動作の1回目の開始から、3回目のバケット戻し動作の終わりまでとする。
[4]走行モードと定置油圧動作モードの合成サイクルの計算 
 等価騒音レベルLpAeq,Tの計算は以下のとおりとする。 
   LAeq,T=10*log10{0.5*10(0.1*LpAeq,3)
              +0.5*10(0.1*LpAeq,4)
 ここで、LAeq,3:走行モードで得られた値 
     LAeq,4:定置油圧動作モードで得られた値
バイブロハンマー  空中に吊上げた状態とし、地上高さ50㎝以下とする。また、十分な出力を持つ動力源から得られた規定電圧または油圧をかけ、最大振動数となるようにする。測定時間Tは30秒以上とする。
コンクリートブレーカー  規定圧による作業状態を測定するものとし、チゼルをコンクリート版に強く押しつけた状態とする。また、組合せ機械が測定値に影響を与えないように配慮し作業員を騒音測線上におかないようにする。測定時間Tは30秒以上とする。
コンクリートポンプ(車)  最大能力の運転状態でコンクリート(高スランプ)を圧送する。この時、ブーム式はブームを水平方向に延ばし、配管式は10m程度の水平配管とする。測定時間Tは30秒以上とする。
コンクリートカッター  次表のようなサイズのブレードを装着し、定格回転で切削を行う。その時のカッター深度は、ブレード径の約1/4にセットする。
 また、切断するコンクリート版(厚さ200㎜以上、強度180kg/cm2以上)は、地表に固定する。測定時間Tは30秒以上とする。 

  
 

定格出力(P) 参考ブレードサイズ
(kW) 

11≦P<15

15≦P<30

30≦P

(㎜) 

305

356

508

  
 

空気圧縮機  定格回転定格負荷状態とする。測定時間Tは30秒以上とする。

    

表-4 供試機械の運転状態(静的運転状態)


機 械 名 供試機械の運転状態および作業装置の位置
ドラグライン 
クラムシェル 
クローラークレーン 
トラッククレーン 
ホイールクレーン
 ブームは、傾斜角度60度、フック、バケット等は巻上げの状態とする。
 定置ハイアイドルとする。
油圧式杭抜機 
油圧式鋼管圧入・引抜機 
油圧式杭圧入引抜機 
アースオーガー 
アースドリル 
コンクリート圧砕機 
オールケーシング掘削機
 ベースマシン又は動力源となる機械を測定対象とするものは定置ハイアイドルとする。ただし、専用機を測定対象とするものは作業装置を作業時姿勢とし定置ハイアイドルとする。
ロードローラー 
タイヤローラー 
振動ローラー
 バラストを装着できる機械にあっては最大量を積載した状態とする。
 定置ハイアイドルとする。
アスファルトフィニッシャー  舗設作業の状態とし、舗装厚さが5㎝になるよう各機器を調節する。
 定置ハイアイドルとする。
発動発電機  無負荷定格回転(60Hz)とする。

静的運転状態での測定時間Tは30秒以上とする。

   

第2 振動の測定値の測定方法

1. 用語および記号

 この測定方法で用いる用語の意味は、次による。

(1) 振動レベル,Lv

 計量単位規則第7条に定める感覚補正を行って得られた振動加速度の実効値と基準の加速度(1×10^-5m/s^2)の比の常用対数を20倍して求まる振動加速度レベル。単位はデシベル。単位記号はdB。

(2) 振動評価値,Lv,(15m)

 対象の建設機械が発生する振動の評価に用いる値で、測定によって得られた振動レベルの距離に関する減衰特性に基づいて統計的に算出した建設機械から15mの地点における振動レベル。単位はデシベル。単位記号はdB。

(3) 暗振動

 振動測定地点における測定対象機械が発生する振動以外の全ての振動。

2. 振動の測定値

 建設機械の型式の振動の測定値は、当該型式に係る一の建設機械から発生する振動の振動レベルとする。

3. 測定環境

3-1 測定場所

 振動測定は独立行政法人土木研究所建設機械屋外試験場で行う。

3-2 地表面の状態

 地表面は平滑に整地された状態とする。

3-3 暗振動の条件

 各振動測定点において、暗振動と供試機械との振動レベルのレベル差は10dBを超えていなければならない。

4. 振動レベル計

 振動レベルの測定は計量法(平成4年 法律第51号)第71条の条件に合格した振動レベル計(JIS C1510)を使用して行う。

5. 測定点の配置

 振動ピックアップの設置個所は、原則として建設機械の中心から、2方向(挟角90゜とする)に4m,7m,15m,30m離れた4地点、計8点とする(図-2、図-3)。

6. 機械の設置と運転

6-1 バイブロハンマー

 バイブロハンマーは、鋼矢板(最大起振力245kN以上においては2)型、長さ6m)を取り付けてクレーンで吊り下げ、鋼矢板を鉛直に保ちその先端を図-2に示す位置に合わせる。鋼矢板を深さ5mまで単杭で打ち込み、この状態で停止後、再び、起振し引き抜く操作を1サイクルとする。

 打ち込み位置をずらしながらこの操作を3サイクル繰り返し行う。停止時および再起振時の過渡振動計測のため、打ち込み時のみ深さ1mおよび打止め時(深さ5m)において供試機械の停止・再起振を行う。

 動力源またはバイブロハンマー運転条件の設定の差違により発生する振動の大きさが変化する建設機械については、出力を定格最大に設定した上で、振動が最小となるように設定する。

 なお、バイブロハンマーの最大起振力245kN(25tf)未満の場合は、使用可能な種類、長さの鋼矢板を用い、上記の運転条件、測定方法を準用する。

6-2 バックホウ

 バックホウは図-3に示す位置に合わせて設置する。図-4に示すとおり、アームの運転室側の面を垂直、バケット上面を水平にした状態で、アームトップピンとブームフートピンが水平になるようにブーム仰角を決める。この姿勢を基本姿勢として図-5の(a)、(b)、(c)に示すブーム動作、アーム動作、バケット動作を行う。操作レバーは、中立→フルストローク及びフルストローク→中立の切り替えを約0.1秒で動作(ブーム上げ←→下げ、アーム伸し←→引き、バケット掘削←→排土)する操作レバー切り替え装置により高速で切り替える。操作レバーの切り替えパターンを図-6に示す。

 エンジン出力等のオペレータが作業時に自由に設定できる要素によって建設機械から発生する振動の大きさが変化するものについては、出力、油圧、流量を定格最大に設定することによって、ブーム、アーム、バケットの各シリンダの動作スピードのピーク値を最大に設定した上で、振動が最小になるように設定する。

 なお、バケットには土砂平積状態と同重量のバラストを固定することとする。

 ただし、バラストの密度が土砂の密度(1.8t/m3)と著しく異なる場合は、バラスト固定時のバケットの重心位置が土砂平積み時のバケットの重心位置と概ね同一となるように配慮しなければならない。

(a)ブーム動作

 基本姿勢からブームシリンダ残りストロークの1/2までの上げ動作、基本姿勢までの下げ動作を1サイクルとする。同一場所で、3サイクル繰返す。この一連の動作を供試建設機械の位置をずらしながら3回繰返す。

(b)アーム動作

 基本姿勢からアームシリンダ残りストロークの1/2までの伸し動作、基本姿勢までの引き動作を1サイクルとする。同一場所で、3サイクル繰返す。この一連の動作を供建設機械の位置をずらしながら3回繰返す。

(c)バケット動作

 基本姿勢からバケットシリンダ最小ストローク(シリンダ最縮小)までの排土動作、基本姿勢までの掘削動作を1サイクルとする。同一場所で、3サイクル繰返す。この一連の動作を供試建設機械の位置をずらしながら3回繰返す。

7. 振動レベルの測定と振動評価値の決定

7-1 一般事項

 振動レベルの読みとりは表-5に示す方法とする。振動レベルは小数点以下1桁まで読みとるものとする。

7-2 バイブロハンマー

(1)鋼矢板打ち込み時

 [1] 1サイクル毎に1m,2m,3m,4m,5mに達した時の前後約10秒間の振動レベルのパワー平均値を測定する。

 [2] 深さ1m,2m,3m,4m,5m、5つのパワー平均値のパワー平均値を求める

 [3] 8つの測定地点にてそれぞれパワー平均値を求める。

 [4] 打ち込み位置をずらし、同様に3サイクル(鋼矢板3枚)測定を行い、24点のデータを得る。

 [5] [x軸:起振点からの距離] [y軸:エネルギー平均値]のグラフに24点のデータをプロットし、最小二乗法でy=f(x)=A・log(x)+Bx+Cの近似式の係数A,BおよびCを決定し、この近似式による15m地点での振動レベルLv,(15m)を振動評価に用いる値とする。図-7に振動評価値の決定方法を示す。

(2)起振時・停止時

 [1] 深さ1m,5m(打止時)の振動を計測した直後、供試建設機械を停止する。

 [2] 完全に供試建設機械が停止するまでの間の振動レベルのピーク値を読む。

 [3] 10秒間のインターバルの後に再起振を行う。

 [4] 再起振時の振動レベルのピーク値を読む。

 [5] 8つの測定地点毎に深さ1m,5m(打止時)の2つの停止時振動レベルのピーク値のパワー平均値を求める。

 [6] 7-2(1)と同様に24点のデータをプロットし、近似式で15m地点の振動レベルLv,(15m)を求め振動評価に用いる値とする。

 [7] 8つの測定地点毎に深さ1m,5m(打止時)の2つの再起振時振動レベルのピーク値のパワー平均値を求める。

 [8] 7-2(1)と同様に3サイクル分、24点のデータをプロットし、近似式で15m地点の振動レベルLv,(15m)を求め振動評価に用いる値とする。

 (注) 最大起振力245kN(25tf)未満の場合は使用可能な種類、長さの鋼矢板を用い、上記の運転条件、測定方法および振動評価値の決定方法を準用する。

7-3 バックホウ

(1)ブーム動作時

 8つの測定地点毎に3サイクル分のブーム上げ動作、下げ動作時の振動レベルのピーク値を読みとり、これらのパワー平均値を求め、これを1測定地点のブーム動作の振動レベルとする。

 供試建設機械の位置をずらして3回繰り返して得た24点のデータを[x軸:起振点からの距離][y軸:エネルギー平均値]のグラフにプロットし、最小二乗法でy=f(x)=Alog・)+Bx+Cの近似式の係数A,BおよびCを決定し、この近似式による15m地点での振動レベルLv,(15m)を振動評価に用いる値とする。

(2)アーム動作時

 7-3(1)と同様に3サイクル分のアーム伸し動作、引き動作の振動レベルのピーク値を読みとり、それらのパワー平均値を求め、これを1測定地点のアーム動作の振動レベルとする。7-3(1)と同様に近似式で振動評価に用いる値を求める。

(3)バケット動作時

 7-3(1)と同様に3サイクル分のバケット掘削動作、排土動作の振動レベルのピーク値を読みとり、そのパワー平均値を求め、これを1測定地点のバケット動作の振動レベルとする。7-3(1)と同様に近似式で振動評価に用いる値を求める。

7-4 振動評価値の決定

 振動評価値は、7-2または7-3で得られる3個の振動評価に用いる値Lv,(15m)のうちの最大値とする。

     

表-5 測定時間および指示値の読み


機械名(測定時間)指示値の読み 波  形
バイブロハンマー打ち込み中 

          (10秒間) 

 レベル変動はあるが急激な変動はない振動であり観測地点(打ち込み深さ1m毎)の前後10秒間のエネルギー平均値を読みとる

波形グラフ
バイブロハンマー起振OFF,ON 

          (発生毎) 

 OFF、ONの動作により発生する振動であり、発生毎のピーク値を読みとる

波形グラフ
バックホウ 

          (発生毎) 

 個々の事象が独立に測定できる振動であり、発生毎のピーク値を読みとる

波形グラフ

  

  

図-2 振動ピックアップの設置個所(バイブロハンマー)

図-2 振動ピックアップの設置個所

(バイブロハンマー)

  

図-3 振動ピックアップの設置個所(バックホウ)

図-3 振動ピックアップの設置個所

(バックホウ)

    

図-4 バックホウの基本姿勢

図-4 バックホウの基本姿勢

   

図-5 バックホウの機械動作

図-5 バックホウの機械動作

   

図-6 バックホウ操作レバーの切替えパターン

図-6 バックホウ操作レバーの切替えパターン

   

図-7 振動の評価方法

図-7 振動の評価方法

お問い合わせ先

国土交通省大臣官房技術調査課環境技術係
電話 :03-5253-8111(内線22434)

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