第8回21世紀の国土・地域・社会と道路政策検討小委員会 議事概要



日時: 平成12年3月3日(火)15:00〜17:00
場所: 東條インペリアルパレス2階「千鳥の間」
議事: (1) 個別検討項目について
    (2) 総括討議
出席者: 森地茂委員長、家田仁委員、石田東生委員、川嶋弘尚委員、
幸田シャーミン委員、残間里江子委員、白石真澄委員、杉山雅洋委員、
玉川孝道委員、屋井鉄雄委員、山根孟委員
意見発表及び総括討議における主な発言要旨は以下のとおり
  [個別検討項目:CS(顧客満足度)活用について]
   CS調査の対象としてどのような道路を選ぶかというメルクマールを持っているべき。個別の道路の満足度から圏域あるいは全体を描くことについては留意が必要。
   道路によっては地域性で違う場合があるかも知れないので、川越街道のような東京と埼玉にまたがっているような道路については区間によって分けたほうが満足度がわかりやすい。
   今回の検討においては、道路の場合、従来の民間によるCS調査と違って提供しているサービスが何か、商品は何だと言うところが曖昧であり、そのため一方で圏域において日常的に利用しているネットワークとして道路全般についてどう思うかということを聞くこと、もう一方で対象が明確にわかるという範囲の個別具体的な道路を取り上げることの両面から設計をスタートした。サンプリングの議論については、クリアすべき課題であると認識している。
   渋滞の改善のために長期間道路が工事中になるといったように、「改善」のプロセスのなかには耐えなければならない要素が必ずある。どこまでなら耐えるのか、どこまでリスクを負ってくれるならプロフィットが得られるかなどがきちんと明確に読み取れるようなものにする必要がある。
  [個別検討項目:道路交通政策について]
   交通政策に関する検討の視点として、キーポイントは他の交通モード、他の政策との連携ということ、また、そのなかで特に道路がどう役立っているかということに着目した。また、具体性、実効性に着目した。道路の役割のキーポイントとしては、いろいろな交通があるが大層を占めているのが道路であるということ、道路でなければできないことが少なくないこと、他の交通機関との相互関係において道路交通と代替関係、補助的関係のあることががあげられる。このようなことからキーワードとしてマルチモーダルな交通戦略という言葉を使った。内容として、交通機能という面からの他の交通との連携、特に道路空間を利用する道路公共交通との道路政策の連携、また、駅、ターミナルなど交通結節点の空間を立体的に活用するという面での連携。第三点は地方部での地域連携方策、地域人口の定着などの面での道路の政策をどのように生かしていくことができるか、という点から議論を行った。
   これからの道路交通政策を考えるうえで市場機構を重視するか、あるいはその枠からはみ出して考えるのか。2020年くらいまでは市場機構を活用した方向でいくべき。
   市場機構については、施設の整備を一体で行えばコストが下がる場合や、社会的な外部効果があるような場合、また、道路を代替する機能があるような場合などに市場では盛込みきれないような部分についてなんとかするということを考えている。その場合、道路の補助性があることについて本当にどれだけ補助機能があるかをきちんと評価したうえで柔軟に対処できないかということを議論した。
   ここ数年でヨーロッパでは、重要なものについては公的関与が増えても仕方がないというように交通行政が変わってきている。日本は規制緩和やマーケットメカニズムの徹底が不十分なので安易に方向転換すべきではないかもしれないが、重要な点ではある。また、連携という言葉は大変よいが、都市計画との連携、民間との連携のなかで福祉とかスペシャルトランスポートなどについても議論すべき。
   交通結節点における都市空間の高度利用は大変よいが、結節点の機能強化だけしても捌きの方についても考えないと身動きがつかなくなってしまう。
 また、100円バスへの利用客のシフトなど、規制緩和全体の流れとこれからの道路の問題を考えておくべき。
   我国の社会経済、環境変化から最後に政策に結び付ける論理のように演繹的に議論したとき、最後のところまで見て抜け落ちがないかチェックを行うべき。
  [国勢調査データ等を活用した地域構造の解析について]
   市町村別の保有台数のデータから自動車化の地域的な進展の状況が、また、センサスの走行台キロなどを面積で割ってみることで地域毎の交通ニーズがわかったり、あるいは環境のデータなど、データを増やしていけばいろいろな見方、解析ができるのでできるだけデータを増やすことを考えるべき。
   人口推計の前提条件、仮定などのインプットデータ自体が貴重なデータであり、今回用意してもらったデータを見るうえで非常に参考になる。
   通勤圏や病院への通院圏、できれば買物などについても、どこが拠点になっていて、それと道路のネットワークが合っているかどうか、救急医療などについても救急車の到着時間などのデータからどこが弱いかといったように、道路政策と関わるような処理を行うべき。
   医療機関のレベルについても高次の医療、普通の医療など、そのレベル毎の圏域がどのようになっているか調べておくべき。
   高速道路のインター圏で圏域人口がどうなるかに非常に興味がある
   高速道路が早くできたところだから人口が集まったのか、あるいは遅くできたところはどうなのか、という観点について、同じような地域で比較してみると面白い。
   どの村もが高度医療を持つ必要はなく、道路で結ぶことによって価値が出たことを実証分析したケースなどを活用すべき。  また道路を整備したことによって可住地面積が変わっていることを分析する手立てはないか考えるべき。
   国道レベルで災害などで半日以上止まった箇所などリダンダンシーに関して、ネットワークの整備に関わるようなデータは公表すべき。
   一般道国道の中で「強さ」を表現しえるかどうか非常に興味がある。
 地方の道路において、インターのカバレッジ、インター間隔などと連携度がよくなるかなど、生活圏、生活パターンと道路のクオリティを把握すべき。その場合、センサスのようなフローデータといっしょに扱うといろいろいろいろな結果が得られるのではないか。
   行政サイドでニーズを見つけるという処理の仕方と、国民に見せて感覚的にわかるという両面から作っていくべき。
  [道路政策の基本的な考え方について]
  [質疑討議]
   「つくる」から「使う」などわかりやすい言葉はよい。「環境」という言葉をどこかの柱にきちんと入れるべき。  具体的な手法を検討すべき。ターゲット、例えば達成率などの目標のようなものを具体的に検討するべき。
 今後道路を効率的にスムーズにしていくために、スムーズアクセスといった前向きの提案があってもよいのではないか。
   「安全から安心」の安心が盛込まれていてもよいのではないか。また、整備した道路のキャパシティが100%使われる交通管理がされているかどうかといった、サービス供給能力の活用といった面でのチェックする制度などの視点も欲しい。また、港湾へのアクセス道路をきちんとすることによって内航海運を活用することは物品によってはありうる。
   「車から人へ」と言う言葉は、感覚的にはわかるが単独で聞くとわからない。「愛される道路」という言葉について、今後はTDMなどで「憎まれる道路」になる可能性があり、誤解を招く恐れがある。
   環境とか安全、安心、効率化など国民が欲しいと思っている価値をきちんと方向性として掲げるべき。
 プライシングなどの負担のところでどう対応するか、また、PFI、あるいは広域道路網整備を考えたとき、どういう価値を達成するためにどういうことをネットワークとして実現していくか、それをサービスレベルの目標値の関係において達成するということを示すなど、そのした考え方についてももっと掲げるべき。
   環境に資する交通手段との関係を盛り込むべき。また、「みんなの道路」という言葉は結局はメンテナンス等との関わりがあるが、「道路政策の進め方」という中で考えるのが良いか否か整理すべき。「情報提供から情報共有へ」という言葉については情報が両方から飛び交うようなニュアンスの出る言葉の方が良い。
   愛される道路とか緑の配置、良好な景観の形成、文化的な雰囲気の醸成、NPOといった一連の概念を大切にすべき。道路は歴史を作ってきたし、町も文化も作ってきており、これからの道路も日本を作っていくというイメージが欲しい。
   進め方の改革について、例えば行政自体のIT革命や時間管理の概念を入れるなど考えるべき。
   都市と地方では事情がまったく違っており、大都市ではスムーズ、スマートを目指す、それ以外では快適空間をめざすとか、きちんと区別しそのメリハリが一般にわかるようにすべき。
 道路がきれいになったことにより街が違って見えるといったよい結果をどんどんつ くっていくべき。
   シームレスとか道路公共交通といった言葉を使うなら慎重に議論すべき。「みんなの道路」と言う場合に負担の話をどこかで触れておくべき。また、情報の共有という点について特定財源など一般の人がほとんど知らない情報については共有の前に一般の人にもっと知ってもらう工夫が必要。


[本議事要旨は暫定版のため、今後修正の可能性があります。]





国土交通省トップページ


道路局トップページ


意見募集