第7回21世紀の国土・地域・社会と道路政策検討小委員会 議事概要



日時: 平成12年1月25日(火)13:00〜15:00
場所: 東條インペリアルパレス4階「吹上の間」
議事: (1) 意見発表
    (2) これまでの議事の概要 等
    (3) 総括討議
出席者: 森地茂委員長、石田東生委員、川嶋弘尚委員、幸田シャーミン委員、
白石真澄委員、橋元雅司委員、森野美徳委員、屋井鉄雄委員、山根孟委員
意見発表及び総括討議における主な発言要旨は以下のとおり
  [意見発表]
   マクロに見て情報化によって交通需要が下がっているということは証明できない。交通関係の調査は量の調査がほとんどで、交通需要の質の変化については推定しがたいのが現状。このような調査を統合化し、将来に向けてのデータを作っていくことは非常に大きな労力を要するが、こうした議論の場で取り上げて方向づけをしていく必要がある。
   物流の変化による道路負荷の軽減、環境への影響などについては、我が国はやはりデータ不足。アメリカでは交通関係の統計だけ集めるBTSという組織を設置し、統括的に行うこととしている。日本の統計は使いにくくなっており、データベース化してネット上で紹介するといった方針にすべき。ユーザーやドアツードアの視点、ネットワーク論や道路のライフサイクルマネジメントの視点にたった将来計画用のデータ収集が21世紀を議論するうえでの基礎的作業。ITS関係の開発も統計を新しく収集すると言う場面で有効である。
   国際的な動向として、アメリカでは運輸サービスの規制緩和を各国に求める体制を着々としいている。世銀や開発途上国援助に関する国際機関でも運輸サービスの充実に関して資金を提供するように変わってきている。アメリカでは、日本の道路整備特別会計に相当するものを、自分の国だけでなく他の国(例えばメキシコ側のインターモーダルに関するインフラ整備)に充てようとするほどに変わってきている。
   国内の状況としては、最終商品の輸入が非常に増えているなかで、関東、近畿などに陸揚げし地方まで陸送しているという構造があり、そのほとんどを道路交通が担っている。陸揚げする港を調整するだけで大きくコストが変わり得るが、このようなことも前提として連結部分の道路をどう造っていくか整理すべき。全体的な視点での地方港の見直しが必要であり、グローバルロジスティクスの観点から言うと必ずしも東京、大阪、4大港をハブにすることが良い方向とも思えない。日本の企業活動が国内をベースにしつつも、海外に広がっていることなどをどう捉えるかという観点も国土の開発という面からみると大切で、その一つの考え方として地方港の有効利用がある。
   欧州、アメリカでも自国だけでなく周辺も含め全体で社会資本整備を考えている。我が国でも地方港の有効利用はアジア、アメリカとの物流の行き来を考えないと生きてこない。国土開発というのは日本の国土だけでなくバーチャルな国土を考えるべき。どれだけ進んでいるかということを各国比較できるような指標などについて提案することが大事であり、我が国で充分議論すべき。
   他の国では陸、海、空全てにわたって検討しているが、日本ではまだ検討されておらず、それが21世紀の社会基盤整備の一つの課題。長期的には情報の影響、あるいは社会が変化していくことうまく捉える仕組みをビルトインしていくべき。現状では、そうした裏付けがなく、予算執行や計画を進めていくための材料が不足している。
  [総括討議]
   今後、物流に対するサービス水準という考え方も出てくる。  地方港の活性化は、その周辺地域の活性化と結びついており、その地方から発信する材料があるべきということを中心として考えるべき。そのとき国内だけでなく国際市場での競争力、可能性を考えればいろいろなオプションがある。  地方港のサービスレベルは必ずしも高くないという問題もあり、総合的に解決していく必要がある。
   物流に関して、港については臨港地区がかかっているために都心に近いところに安価の用地があり、地価負担力がなくてそこに集めたほうがいいものを集める機能に意味があるかもしれない。  かつてトラックターミナルがうまくいかなかったと諦めてしまっているように見えるが本当にそれで良いか。TDMなどを大きく取り上げると、都心のトラック規制の議論など違った施策が出てくるのではないか。環状道路ができるとトラックターミナルがそこにある意味が違ってくる。また、そこに地域指定や用地の手当てなどを組み合わせればよいインセンティブになる。
   インターモーダルは両側がつながっている必要がある。ものの動きを考えたとき、国を越えて両側で整備が行われている例もあり、国内でも境界を越えた整備という動きが広がっていくのではないか。21世紀の可能性ということでいえば、例えば、日本もODAを含めた日本のお金でスービックの港を物流拠点として一緒に進めることなど、全体的な視点で考えていく必要がある。
   IT革命の進展で物流が全体としては減り、その結果物流を担うハードも減っていくという考えはありえないか。
   直轄事業を持たない米連邦政府がデータをきっちり持っているということが、いろんな意味での補助採択につながっていったりしており、BTSがアメリカにできた背景としてはこの意義が大きい。日本の場合もデータをきっちり持っていると言うことが国民に対するアカウンタビリティなどいろいろな意味で重要。道路の場合は自ら整備などを行っているので第三者的なニュアンスは若干低いが、マルチモーダルということから考えると、データを統合的に整備してそれを役立てていくということは大変重要。
   現在、データは、だれも制限していないにもかかわらず、現実問題としてアクセスできにくくなっている。いろいろ課題も生ずるが、これをオープンな形とすべき。
   ずいぶん以前から計画も量から質へ転換しなければならないと言われているが、質に関するデータは少ない。しかし、ITS関係の技術が非常に進んで、環境、渋滞、安全などの質に直結するようなデータがリアルタイムにとれる環境、それを蓄積して瞬時に引きだせるシステムが出てきており、こうしたテーマにどう前向きに取り組んでいくかが重要。また、道路管理者の日常の業務の中でよいデータがとれることもあり、それを大事にすべき。以上のようなことを全国的に広めようとするとロジスティックの部分をきちんとしなければならない。
 PIについては、道路についても相当真剣に取り組む必要がある。
   いろいろな指標を集めることは大変大事。そのなかでもカスタマー・サティスファクションは重要な部分で、男女、年齢層、一般ドライバーなどいろいろなニーズの人がいるので、幅広く声を聞き、それがどういう人の意見なのかを皆に見えるようにするべき。
   BTSの情報などは、企業戦略や採用計画などに非常に有効。情報がオープンになったほうが企業の戦略立案、民間の生活向上に役立つ。
   交通情報などはもっとオープンにすべきだが、今後データを整備していくときに、どのような形態で運営していくかが大事な問題。
   人の流れのデータを常にリアルタイムで情報をとり、どういう動きをしているか、動態としてとらえることが重要。これからネットワーク、人の移動、物の移動を考えていくうえで、量として年、月、日単位でとることも重要だが、その瞬間に発生していることをとらえることも非常に重要。
   道路ユーザーに密着して提供するようなリアルタイムのデータ(インフォメーション)というカテゴリーのものと、人の流れや物の流れなど年々の統計として整理しておくべきものを、どのようにうまく構築しておくのがいいのか、法的なことも含めて検討するべき。
   情報化によってメーカーから卸、小売、末端の買手までの中間がなくなっていく、そのとき物流量がどう変わるかを議論すべき。


[本議事要旨は暫定版のため、今後修正の可能性があります。]





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