第6回21世紀の国土・地域・社会と道路政策検討小委員会 議事概要



日時: 平成11年11月30日(火)15:00〜17:00
場所: 東條インペリアルパレス2階「千鳥の間」
議事: (1) 「次世紀の暮らしを語る懇談会」の報告
    (2) 意見発表のとりまとめ報告
    (3) 総括討議
出席者: 森地茂委員長、家田仁委員、石田東生委員、橋元雅司委員、
屋井鉄雄委員、山内弘隆委員、山根孟委員
総括討議における主な発言要旨は以下のとおり
  [意見発表]
   人口が少なくなっているところの道路への影響をもっと具体的に考える必要があ る。人口5万、10万の都市が崩壊して、30万くらいのかたまりがないと都市的なサー ビスが受けられないとすれば、今つくっている高規格道路、国道、県道で住まい方が 規定されてしまう。そのとき今のネットワークで大丈夫かどうか。高速道路ではなく もっと下のレベルの道路を含めてどんな住まい方になるか検討が必要ではないか。
   病院、教育といった日常生活から見た圏域、中山間地域のもつ国土の機能などをど う維持していくか。どれくらいのマンパワーでどんな管理をすることが必要なのか、 その場合どういうネットワークの広がりがあり、それを構成する道路構造はどの程度 のものであればよいのか。また、それらと今の生活レベルでの都市的な施設をもった まとまり、中山間地域の生産能力などについて整理はできないか。
   地方の道路については検討項目に加えて相当真剣に検討するべき。 地方部では中核都市周辺の30kmくらいより外では中核都市の圏域にならず人口が伸 びない。そのような地域では高速道路はIC間隔が大きすぎるため、移動距離が50km 程度になってようやく利用され始めるという状況。IC間隔が短ければ生活レベルで 使うなど、地域高規格的な使い方ができるのではないか。
   人口規模別の都市の分布、隣接の都市間距離を整理したものがなければ分かりにく い。高規格幹線道路14000km、地域高規格道路でどの程度の人口、エリアがカバーで きているか、ネットワークと地域、ネットワークとノードの空間配置がどうなってい るかなどを整理しなければこれ以上の議論は進まない。ネットワークと地域構造の特 性をもっと浮き彫りにしてパターン化、整理を行い、具体的なイメージを持たなけれ ば、「21世紀の国土・地域・社会」と道路との関連は出てこないのではないか。
   中山間地域の集落の在りようとしては、崩壊しているところと少し集積していると ころの二極分化が起こっている。その見極めを行うことが重要で、崩壊しているとこ ろにどういう人が住んでいて、住まなくなった人がどういうところへ転出して、とい うようなレベルまで動きを追いかけるようなミクロな検討を行わなければ、集落、地 域と道路の関わりは出てこない。  国土保全の観点から言うと、わが国の自然の回復力をみれば人が住まなくなっても 長期的な視点ではそれほど問題はないのではないか。限られた資源制約の中でどう重 点配分するかという見極めが非常に重要。
   10km、20kmといったイメージの空間上の人口構造がどうなるかという資料がない。 20歳ピッチの人口構造がどうなっているか、20年後にはどうなるかを調べれば、将来 の住まい方が見えてくる。それに対して今の道路ネットワークで足りるかどうか、形 がこれで良いか悪いか。道路を考えるとき県単位ではなく、30万の人がどれくらいの 距離で分布するか図面に表す方が分かりやすい。
   人々の住まい方はどうなるか、住宅の広さは今のままでいくのか、そういう場合の 土地利用の転換は起こりえるか、といったことを難しく考えないで大胆に考えてもよいのではないか。
   今後20年間で都市近郊の戸建ての住宅地で、高齢化が進み車が運転できなくなってくると住み替えを余儀なくされる。その場合の受け皿がない。生活利便施設の適切な配置が必要であるが全くなっていない。そういう場合の都市のあり方、道路のサービスのあり方、生活利便施設のあり方を考えることが中枢都市の大きな問題になる。
   問題になるということがわかっていれば、国、市町村はひとつの方向性を持っているべき。
   あらゆる問題があり、道路が貢献できるものとできないものがあるが、私見では非常に過疎が進んだ地域と地方都市との間のところが道路として貢献できるところではないかと考える。大都市については、問題が多すぎるので、ポイントを押さえて議論すべき。
   現在の長いIC間隔でなく、高速道路にもっと簡便な出入りができる仕組みができないか。地方へ行けばいくほど医療とか消防などが広域化するのでそういう交通が増えるのではないか。今の技術を持ってすれば可能ではないか。高速バスの途中の乗り降りは大変不便であり、簡便な出入りを可能にすればそれも対応できるのではないか。
   地方の道路については、不要論と必要論が二極分化しており、それをどう整理するか。B/Cで測りきれない効果があるが、生活者の顔がわかるような具体的な意味が伝わってこない。峻別していくという議論をするときの項目を具体化する必要がある。  環境についても項目を頭出しするべきではないか。ITSと環境について、アメリカでは総合交通体系にしないと解決しないとして、ソフト・ハード含めて施策を提示している。わが国でも渋滞、安全性とともに環境についても考えられているが、ITSを考えた時に、将来的には道路の使い方にかなり制約を加えられるし、排出についてすらコントロールする使い方ができる。道路が持っているネガティブな要素を技術で解決していけるという視点でのITS、新技術について強く打ち出すべきだし、長い目で見たとき打ち出すことが充分可能。
   ITSにより安全と混雑緩和がかなり期待できる。  環境については、既往のもののリニューアルをする際のミティゲーションは、過去の社会的な費用の清算として必要であり、歩道や自転車道及びその緑化なども、自動車交通の社会費用の内部化として行っていると考えることができるのではないか。  地方の道路と言えども都会の人が大きな割合で使っていることを考えるべきだし、検証するやり方もありそうだ。
   事業時より上流の計画時に効果の分析をすべきという議論がある。その場合、環状道路として整備したときのトータルの効果などマクロで考えるといった、マクロのことを上の粗いレベルで検討するといったアセスについても勉強をして、スタンスを決めておくべき。
   PIをするとき、幹線道路とコミュニティ内の道路を議論するときとでは、対象となる人の範囲、考える内容が違ってくる。戦略的というからにはそれなりの人と議論することが必要。
 高齢者に対しては、ちょっとした見守り、声かけなど住み続けたまちで生活するための支援づくりが必要。
   計画論のあり方をまじめに考えるべき。計画論のありようをいろいろなところで議論しなければいけない。


[本議事要旨は暫定版のため、今後修正の可能性があります。]





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