第3回21世紀の国土・地域・社会と道路政策検討小委員会 議事概要



日時: 平成11年10月15日(金)15:00〜17:00
場所: 東條インペリアルパレス2階「千鳥の間」
議事: (1) 意見発表
    残間里江子委員、橋元雅司委員、山根孟委員
    (2) フリートーキング
出席者: 森地茂委員長、石田東生委員、幸田シャーミン委員、残間里江子委員、玉川孝道委員、橋元雅司委員、山内弘隆委員、山根孟委員
意見発表及びフリートーキングにおける発言の概要は以下のとおり
  [意見発表]
   私がプロデューサーをしている「東海道400年祭」のコンセプトは、「通り過ぎてきた道から立ち止まる道へ」、「道路から道へ」として、高度成長から駈け抜けてきた私たちの歩みをとらえ直し、それぞれの町に何があるのか、道路を軸に何ができるかを考えてみるというもの。その経験からは、概念を少し昔に戻すなり、考え直すことで結果として画期的なことにつながるのではないか。
   大きな流れとしては、つくらなければいけないものもまだあるが、3秒でわかるキャッチコピーとして「つくる」より「使う」へ概念規定を移しかえることが重要。
   使い方として、機能性とか有用性のみならず、例えばモナコグランプリやストリートミュージアムのように、道の真ん中で立ち止まってもう少し楽しむことができないか。「使う」ことのシンボリックな例がまだまだ演出が可能な領域ではないか。
   東京の近隣の県、市町村の意見を聞いてみると、道路を使うためにはインターフェイスとしての駐車場が必要だが、今のところ通行の途上にある止まる場所ということで、道路を使ったり楽しんだりするために止まるというようには整備されていない。
   道路とまちづくりとの連携は否めないところにきているが、道路だけではない道路にまつわる周辺の立体的な空間デザインということが全体的に遅れている。一体何を示しているのか分からないサインがある。
   情報については、「つくる」にせよ「使う」にせよ、なぜ、いつまで、どう行うのか、あるいは便利になるが負担も増える、というように功罪両面についてきちんと知らしめることが重要。
   道路に「使う」ことについて、一市民が参加できるかどうかの余地、幅、柔軟性というものをきちんと提示してもらいたい。
   PIに続く道路における新しいコミュニケーション戦略のキーワードが求められており、シンボリックなワードとして何をどうしていくか勇気をもって考えるべき。
   道の駅など広がりを持ったプロジェクトに関して、公正な目で精査していく仕組み、評価軸というものをきちんと取り入れていく時期にきている。
  [意見概要]
   一番目として、交通手段のラインについてはいろいろ議論がなされているが、ノード(始まりと終わり、あるいは結節点)についてはきちんとした議論が少なかったのではないか。
 その意味で道の駅は画期的だが、地域との連携などもっと多彩な機能、展開を考え、積極的に進めるべき。また、高速道路のバス停に活用すれば利便性が高まる。
 物流については、高速道路から直接出入り可能な大規模センターを、トラックの積み替えだけでなく、保管機能や流通過程での加工機能、情報通信機能を持ったものとして整備すべき。
 人とものの流れについてノードの多彩な機能を積極的に評価して展開することが大事。
   二番目として「走る機能」と「停る機能」で、よりよく走るためにも、停る、あるいは停めるということをあわせて考える必要がある。
 貨物トラック用の駐車場について、以前、標準駐車場条例の改正もあったが、貨物の取扱場所を付置義務のような形で整備することを国として推進してはどうか。
 大都市のビルなど相当の物流が発生するところでは、設計段階からトラックのクリアランスがとれるよう考えるべき。
   三番目として、対話型、下からのボトムアップの行政を考えるべき。ノードの問題も地域の声を聞く必要があるし、地域において日常的にいろいろな注文を聞く懇談会などの場により透明性やアカウンタビリティが増進できる。
 建設省と警察の交通行政は今後ともつながりを強化する必要がある。道路標識、交通整理などについても利用者の声を聞くような機会がもっとあったらよい。
 魅力ある都市には、まちなみの景観とか、緑や水の豊かな環境、あるいは文化的な雰囲気を感じさせる空間づくりが必要。欧米では道路柵、街柱などによく木を使っている。
   四番目に、物流について、物流コストの低減、国際的に見て遜色のない物流システムの形成にはインフラ整備が不可欠であるが、インフラ全体がかなり足りないのではないか。
 インターモーダルは、単に市場原理に委ねるだけではなかなか進まない。例えば道路の負担の軽減のため鉄道を動く道路と考えて経済的なインセンティブを与えるなど、国として環境整備、条件整備の形でバックアップすべき。それぞれの輸送手段が効率化を充分磨いたうえでベストミックスを考えることが必要であり、また、可能だと考える。
  [意見概要]
   現行の政策課題としては、新たな経済構造実現に向けた支援、活力ある地域づくり・都市づくり、よりよい生活環境の確保、安心して住める国土の実現、というところに集約されている。整備という概念の中に、使うことを考えた上でのサービスの提供、オペレーション(警察との連携になるが)をどう取り込んでいくのか課題。
 また、道路整備の進め方については、道路事業の効率化、評価システムの導入、事業の透明性の確保・PI方式の導入、パートナーシップの確立の4つが提言されている。
 現在行なわれている主たる事業はどういうコンセプトのもとにどういうことに貢献しようとしているか、今後どういう点に重点をおいていかなければならないか、全く考え方を変える点があるとすればどういう点かと考えようとすることが必要。
   「環境時代への道路」という点で、町並みや沿道景観、地域にふさわしい並木づくり、ランドスケープなど豊かな社会文化環境を創出し、次世代に伝えるという視点も重要。
 また、地球環境への負荷の軽減、自然環境との調和、沿道の生活環境の改善という視点も重要。既存の道路についてもミチゲーションの考え方の導入すべきではないか。
 道路の管理、維持管理、更新に伴う副産物についても発生抑制、リサイクル、リサイクル製品の活用、廃棄物の適正処理など、つまり循環型社会の実現を念頭に対応すべき。
   「生き生きとした高齢社会への道路」として、高齢社会を意識した安全、円滑な道路交通の確保方策については、しっかりと検討、実施する必要がある。
 また、バリアフリーの歩行空間、あるいは自転車空間を確保する。地域づくり、都市づくり、コミュニティづくりの一環としてバリアフリー歩行空間のネットワークを構築する必要がある。
 計画をつくるときの問題として歩道の段差(段差はあるとバリアになるが、盲導犬は段差がないと識別できない)、歩行者と自転車のフリクション、車道との交差処理など、道路構造をどう考えるかという課題がある。
 介護活動が効率的に行なわれるためには、モビリティが確保されている必要があり、日常生活に直結した施策になる。
   情報社会の道路をどう考えるかという点で、ITS、ETC、自動運転、その一歩手前の情報をうまく使ったリアルタイムの交通マネジメントが大きな役割をもつ。
   交通需要マネジメント施策の普及という点で、なかなか定着しないが、みんなの合意形成をどういう仕組みでやっていくのがいいのかを真剣に検討するべき。
   既存道路のリニューアルという点で、陳腐化への対応、機能回復、新しい価値の付加・創出といった視点から考える必要がある。
  [フリートーキング]
   道路の空間デザインについて、場所によりカラーコーディネーションがトライできる。橋では、土木と建築、デザインの融合、コラボレーションの事例が見られる。
   道路の空間デザインの面では、従来は機能的な設計をすればそれが美しいということであったが、周辺との調和を一体どう考えるかが土木構造物では特に大事になってきている。
   道路空間の占める割合がこれだけ大きくなってきて、共有空間としてみんなに愛されたり、かわいがられたりしていくという観点から言うと、アートを見極める目が事業主体者に備わっていないことが大きな課題。
   コスト縮減が大きな課題であるが、いろいろな制約の中でいろいろな試みが行われており、コスト縮減、品質管理のため標準設計を多用した結果、どこでも同じ面白みがなくなった悪い例がある。デザインを支援するような環境条件とか制度、費用負担などについて、国民から支持してもらう試みも重要。
   トラックが夜中に高速道路でなく一般道路を多用している状況は好ましくない。つくるから使うに視点を移すべき。
   例えば真夜中などは一定区間についてもっと弾力的、きめ細かい料金の適用を行うことなど有効なやり方を議論しなければならない。
   鉄道で簡易駅をずいぶんつくったが、ITSや新技術などの活用により道路でも簡易なエントランスを必要なところに積極的に作るべき。
   路上駐車政策として、路上駐車場をきちんと整備する、また、料金体系も短時間の必要なものは認め、長時間のものは排除するということを道路管理者として積極的に行うべき。
   道路や違う分野に携わっている現場の人が道路構造令を使いこなすために、構造令とマニュアル、いい事例、悪い事例をコンピューターに乗せ、設計支援システム、計画支援システムというものにできないか。
   駐車違反や過剰な設計とか交通事故など全ての事柄について都市単位、ルート単位で評価するシステムをつくり、地方自治体の人がどこを直すか選択できるようにすべき。
   地方都市の都心空洞化について、自分の町やコミュニティを愛すること、関係者が集まってどうすべきか考える場をつくることが最初に必要。
   市民からの評価、環境対策、効率化などの視点からマネジメントの役割が非常に重要。例えば停車する場所をへこませて示すなどデザインでシンボル化できるのではないか。マネジメントというのは最初に国が動き、きっかけを作る必要がある。
   企業、一般の人が入って、日頃の掃除などよりよい道路にする貢献ができる道路ユーザーの会みたいなものがあってよい。
   四輪自転車、電動車椅子みたいなものが普及するとどうなるのか考える必要があるのか。
   交通需要マネジメントは自動車の制御も必要だが、もっと広げて道路の使い方などのプランを町ごとにつくるべき。TDMを使い方の計画として制度化すれば自治体も考える。
   既存道路のリニューアルのときなどPIスタイルで、細街路や近接する部分について、地域とのつながりにおいて国がもう少し責任を持つべき。
   使う側から見ると交通警察も建設省の道路管理も関係ない。それが一体になって道路サービスに対して満足度を与えるので、もつと連携するべき。
   CSに関して、国道に不満があったとき、どこへ行きますかと聞くと、警察や区役所が出てきて、だれも道路管理者といわない。もっとプレゼンスを示すことが必要。
   管理全体はともかく、家庭ごみの道路へのなげすてや掃除などは、規制よりもNPOを使う、あるいは育てるような施策を行うべき。官はものをつくるのと同時に管理や維持をするためにきっかけをつくったり先導する必要があり、道路を使用する人が自主的に関わっていくシステムを考えるべき。
   たとえば道路に水やりをするための水道栓を付けるなど、道路を愛してもらうための工夫が必要。
   介護の話では、介護される人がでかけていくとか、介護される人のところを混雑に巻き込まれないで回れるというのは重要な機能になる。


[本議事要旨は暫定版のため、今後修正の可能性があります。]





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