第10回21世紀の国土・地域・社会と道路政策検討小委員会 議事概要



日時: 平成12年7月11日(火)10:00〜12:00
場所: 東條インペリアルパレス6階「九重の間」
議事: (1) 21世紀の人とくらしについて
    (2)介護生活と道路とのかかわりについて(報告)
出席者: 森地茂委員長、石田東生委員、幸田シャーミン委員、残間里江子委員
白石真澄委員、杉山雅洋委員、玉川孝道委員、橋元雅司委員
森野美徳委員、屋井鉄雄委員、山内弘隆、山根孟委員
意見発表及び総括討議における主な発言要旨は以下のとおり
  [討議内容:21世紀の人とくらしについて、介護生活と道路とのかかわりについて]
   中山間地域について、20年・30年後にどうあるべきかということを議論すべき。積極的にそういったところに住もうとしている人々を視座の中心に据えて物事を考えねば、世の中に受け入れられないのではないか。
   現在中山間地に住む人々は苦しい生活を余儀なくされているが、人々が安心して暮らせるような病院、防災等のシステムが整った新しいコミュニティづくりを計画してゆくのが有効かつ効率的ではないか。高齢化社会下での国づくりのプランニング上、議論を要する課題。
   人流のみならず物流の視点からも、この50年間の達成点の評価をすべき。ドア・トゥ・ドアのサービスを可能にするモビリティのベースが道路である、といった点をもう少し強くアピールしてゆくべき。
   非都市圏の人々が、生活全体での動きとしてどの都市に依存しているか、そこからネットワークがどうあるべきかといったことがまとめられればよい。
 また、今回については介護と道路との関わりのなかでどんな問題が起こっているか、といったことから道路空間の話につながっているが、これとあわせてネットワークの話を論じることが必要。
   今どういったコミュニティが形成されていて、2010年もしくは2050年に一体どういった姿になっているかという予測が付与されるとわかりやすい。その上で、仕事・消費・医療・介護といった生活に必要なものが広域的に分布し、これらを道路でカバーするにあたって、道路としてどういったサービスを提供してゆくか、どういった将来図を描くかをダイナミックに考えてゆくべき。過疎地域の人々は、今のままのくらしでよいとは考えていないので、年寄りだけでなく若い人々まで含め、国土ないしは地域・コミュニティづくりを如何に行い、全体の都市との関わりをどう考えてゆくかといったアプローチを行ってゆくべき。
   工業地帯、農業地帯、住宅地域における道路はそれぞれ性格が異なるので、それらの区域が国土の中でどのように組み合わせられるかといった観点、また余暇の増大に対応したレジャーに対しての道路政策といった観点等を整理してみてはどうか。
   これからの中山間地域は、観光のみならずもう少し広い意味で、農村でのくらしや山村でのくらしを次世代に伝達するといった、「観光」や「学び」の機能が大きくなる。そういった観点で見ると、道路は都市の人々にとりレジャーや訪問のためのものであり、地域にとっては産業のものであったりする。これらをネットワーク的に考えたとき、いかなる使い分けがあり得るか、どういった効用がそれぞれの主体にもたらされるかといった見方でさらに整理して議論すべき。
   世の中の人々が、公共投資対介護・福祉といった分離的思考を行っているのに対して、これらが分離したものでなく連関しているものであり、その中で最適解を見出そうとして試行錯誤している、といったメッセージを発信するべきではないか。そうして問題が認識された後に答えを求めてゆくべき。
   強調すべき点は、地域機能の再編をにらんだ道路づくりではないかと考える。
 都市においても、中山間地域においても、どの地域にどういうように住んでゆくかということを切り離しては道路整備は考えられない。
 介護分野と道路に関しては、介護保険が始まって数ヶ月であり、いまだ過渡期にあることから、中長期的な視野で考えるべき。今後2、3年ないし5年ぐらいのうちに施設整備は再編され、より採算の取れる地域や大きなマーケットを志向する形に変わってくるであろうし、現在デイサービスのための車を保有しているところが、採算を検討した結果タクシー会社との契約に切り替えるという動きも出てきている。
 また、多摩ニュータウンの中で廃校になった小学校の中に多機能の施設が盛り込まれ、そこを再整備してより多くの人で使おうとするような動きも起こってきている。
 このように、どういった輸送形態をとってゆくのか、どこの地域にどういった施設計画をしてゆくのか、さらに住宅配置をどのように考えてゆくのかにより、道路の前提が大きく変わってくるのではないか。
   中山間地域においても、機能を維持しなければならない最低限がもちろんあるのだが、ある地域のオリジナリティをきちんと保持するためには、必ずしも開かれることがいいのかという議論もあるため、そこに住む人々が余計なお世話だと思うようなところまで入り込まないようにすべき。
   道路整備は必要だという前提に立ちつつも、道路整備をすれば地方都市との連携やくらしの向上に結びつくかというと必ずしもそうではなく、限界は存在する。限られた予算をいかに使うかという点では、その地域の中でどういった生活をしているのか、あるいはどういったことが最も望まれているのか、といった実態を把握する必要があるのではないか。
   道路行政を考えてゆく場合、様々な分野について目配りするということは非常に重要。ただ、道路行政が福祉や中山間地域を考えてゆく際には、福祉などの分野に入り込みすぎて境界線があいまいとならないようにすべき。 なぜ女性の視点が重要なのかについては疑義がある。現在中年のサラリーマン層に重きを置いて、その人々が60歳、70歳になったときにどうなるかを本来議論すべき。
   中山間地域では他と隔絶された状態では生活できず、地方都市とセットして考えねばならない。少なくともセットにして考えねば、くらしの向上ということはあり得ない。
   まずは道路とくらしぶりが密接に関係しているということの理解を得る必要がある。その上で、ただ道路整備の要望ではなく、それとあわせてどういうことを行ってゆくのかを地元に考えていただき、実行してゆく。その際、結果実現する姿を示すことが重要。
 これを日本全国について行うのか、あるいは原則論を示すのか、これについては議論があるであろう。


[本議事要旨は暫定版のため、今後修正の可能性があります。]

連絡先:建設省道路局 企画課 道路経済調査室
TEL03-5251-1897





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