平成21年4月3日
近年、平成20年2月24日に高波災害が発生した下新川海岸をはじめ、前面の砂浜が著しく侵食した海岸において、堤防基礎からの吸い出し等による堤防・護岸の陥没、倒壊等の災害が頻発しています。前面の砂浜があるという前提で設計・施工された堤防等は、波浪が直接堤防に来襲することを想定しておらず、放置しておくと倒壊等のおそれがあります。
また、気候変化に伴う海面水位の上昇や台風の激化などにより、倒壊の危険性や被害のポテンシャルが増大します。このため、堤防の設置後に前面の砂浜が、著しく侵食され、倒壊等のおそれがある海岸堤防・護岸について、全国的な調査を実施しました。調査結果を踏まえ、今後5年間を目途に、緊急的な対応が必要と考えられる箇所について重点的な対策を進めていきます。
1).すべての海岸を対象とした砂浜や堤防等に関する現況調査
・全国の海岸保全区域約14,000kmについて、海岸省庁で連携し、海岸ごとに代表断面を選定し、堤防等の堤脚の露出状況、堤防等の前面の砂浜の侵食状況、海岸背後地の状況などに関する悉皆調査を実施しました。
・その結果、代表断面が以下の条件に該当する海岸が全国で281海岸、延長約160km*(全延長の約1%)存在することが判明しました。
1.前面の砂浜が著しく侵食された海岸において堤脚下端の露出高が大きい箇所
2.同様の海岸において、堤防等の前面の砂浜幅が20m以下の箇所
*代表断面と同様の現象が生じている箇所の延長
2).堤防の倒壊等のおそれが高いと考えられる海岸の抽出
全国の281海岸について現地の状況等を詳しく把握し、前面に消波工がなく基礎が露出している直立堤のある海岸など堤防の倒壊等のおそれが高いと考えられる海岸を、全国で25海岸、約8km抽出しました。【別表参照】
これらの海岸について、今後5年間を目途に、堤防基礎の根継ぎ、地盤改良など緊急的に必要な対策を進めていきます。