報道・広報

株式会社IHI原動機による舶用エンジン等の燃料消費率に関する データ改ざん事案の中間報告について

令和6年6月4日

 本日、株式会社IHI原動機及び親会社の株式会社IHIより、IHI原動機が製作する舶用エンジン等の試運転時に測定した燃料消費率のデータ改ざんに関する同社の調査状況及び現時点の再発防止策について中間報告を受けました。
 顧客向け仕様確認のための出荷前運転のほか、別途実施されるNOx放出量確認試験においてもデータ改ざんが確認されましたが、現時点で、国内向け出荷エンジンにおいてNOx放出量に係る基準非適合事案は確認されておりません。
 国土交通省からは、同社に対し、残りの調査及び報告の速やかな実施と、同社に設置された特別調査委員会の調査結果も踏まえた抜本的かつ具体的な再発防止策の策定を指示しました。
 また、今後新たに製作される同社製のエンジンについて、再発防止策の妥当性確認の一環として、当分の間、NOx放出量確認試験を国の立ち会いの下で厳格に行った上で、証書の交付を再開します。
1.IHI及びIHI原動機からの中間報告概要
(1)不適切行為の概要
 IHI原動機の太田工場と新潟内燃機工場において、以下の2種類の試験における燃料消費率に関する改ざんが判明。なお、安全性に関する不適切行為は確認されていない。
 [1]顧客に納入するにあたっての仕様確認のための出荷前試運転
 [2]海洋汚染等防止法に基づくNOx放出量確認試験
※国際条約に基づき各機種の初号機について各国の認証機関の立ち会いの下、データを計測し認証機関に提出
【改ざんを行った理由】
 [1] 仕様確認のための出荷前試運転
  両工場において試運転による燃料消費率の計測値が顧客に提出している仕様値に入らない場合に仕様値の範囲に収めるため、あるいは、過去に顧客に納入した同一エンジンの値との整合を図るために改ざんを行った。
 [2] 海洋汚染等防止法に基づくNOx放出量確認試験
  新潟内燃機工場において、NOx放出量確認試験での燃料消費率が顧客に伝わった場合の懸念から、燃料消費率の改ざんを行った。
【改ざんの内容】
 [1] 仕様確認のための出荷前試運転
  規制の対象外であるが、燃料消費率計測時の数値と異なる数値を顧客へ提出する成績書に記載すること等により、2003年以降の国内向けに出荷された舶用エンジン1,973台中、1,689台について改ざんを行い、そのうち621台において顧客に提出している仕様値からの逸脱が判明。
 [2] 海洋汚染等防止法に基づくNOx放出量確認試験
  新潟内燃機工場において燃料消費率計測時の数値(実測値)と異なる数値をNOx計算時に使用し、この数値を認証機関に提出しており、NOx放出量規制の対象となる国内向け舶用エンジン1,932台のうち242台において改ざんを確認した。
  このうち、国内向けに出荷された舶用エンジンについては、NOx放出量に係る基準値を逸脱するものは確認されなかったが、海外向けに出荷された舶用エンジン4台について、NOx放出量に係る基準値を逸脱しているものが確認された。
  なお、国内向けに出荷された舶用エンジンのうち、226台が調査未了。
【主な再発防止策】
  • 運転検査員の検査機能を品質管理部門に移管する等の組織体制の再構築
  • 現場で記録を確認し、工場試験成績書にする作業フローの策定
  • NOx放出量確認試験、出荷前試運転における燃料消費量計測・記録の自動化 等
 
2.国土交通省の対応等
(1)同社の報告を踏まえ、以下の通り指示を行った。
  • 調査未了のエンジンについて引き続き調査を行い、調査結果を踏まえた対応方針を速やかに報告すること。
  • 特別調査委員会の結果も踏まえ、抜本的かつ具体的な再発防止策を検討すること。
  • 海外を含めた関係事業者等への丁寧な説明や対応に努めること。
(2)今回の中間報告書の内容は現時点における立入検査等による調査の結果とも整合することを踏まえ、国内向け出荷エンジンについて、以下の対応を実施。なお、現時点では国内向けに出荷したエンジンにおいてNOx放出量規制に非適合となるものは確認されていないことから、既存船の航行に影響を及ぼす状況にはならない。
  • [1]改ざんが確認されなかったエンジン及び[2]改ざんはあったが実測値によりNOx放出量を再計算したところ基準を満たしていることを確認できたエンジンについては、再発防止策の妥当性確認の一環として、当分の間、NOx放出量確認試験を国の立ち会いの下で厳格に行った上で、証書の交付を再開するとともに、[2]については準備が整い次第、証書の書き換えを行う。
  • IHI及びIHI原動機の調査と並行して、国土交通省としても調査や対応策の検討を継続するが、調査中において新たに製作されたエンジンについては、NOx放出量確認試験を国及び認証機関の立ち会いの下で厳格に行い、基準の適合性が確認できれば証書の交付を行う。
  • 今後の調査により、NOx放出量規制に非適合となるものが発見される等の問題が生じた場合には、調査結果を踏まえ厳正に対応する。

お問い合わせ先

国土交通省海事局 海洋・環境政策課 大野
TEL:03-5253-8111 (内線43-902) 直通 03-5253-8636
国土交通省海事局 検査測度課 上田
TEL:03-5253-8111 (内線44-122) 直通 03-5253-8639

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