報道・広報

液化水素運搬船の暫定的な安全要件が承認されました ~国際海事機関(IMO)第三回貨物運送小委員会の結果概要~

平成28年9月12日

国土交通省は,世界初の液化水素運搬船による日豪航路での実証実験に向け、その安全要件の策定について国際海事機関(IMO)の議論を主導しております。9月5日から開催されたIMO第三回貨物運送小委員会(CCC3)において,日本の提案をもとに安全要件の最終案が審議され、その結果、暫定勧告として承認されました。
※ 実証実験を行う実証船は,2020年の完工を目標としており,完成後,荷役機器等の試験,長距離輸送実証試験,積荷・揚荷等の習熟オペレーション等を実施する予定。

【国際海事機関(IMO)第三回貨物運送小委員会(CCC3)】
  1. 日 時:平成28年9月5日(月)~9日(金)
  2. 場 所:国際海事機関(IMO)(ロンドン)
  3. 参加者:国土交通省,在英国日本国大使館,海上技術安全研究所,その他海事関係機関・団体
  4. 主な議題
(1)液化水素運搬船の安全要件
 水素社会の実現のためには,大量の水素の海上輸送が必要とされます。その運搬船の安全要件を策定するため,日本とオーストラリアは共同で液化水素運搬実証実験船の安全要件を昨年9月に開催された第二回貨物運送小委員会(CCC2)に提案し,継続的に検討を行ってきました。
 また、国土交通省は,各国からの支持を得るため,CCC3の開催に合わせて、IMOにて「液化水素運搬船の安全要件に関するワークショップ」を海上技術安全研究所と共同で開催し,安全要件の合理性などについて説明し,IMOにおける「暫定勧告」への早期合意に向け努力して参りました。
 今回のCCC3では,その最終案について審議が行われ,日本からの提案通り承認されました。今後は、承認された「暫定勧告」を基に、実証実験の具体的な内容について、オーストラリア政府との調整を進めることとします。

(2)高マンガンオーステナイト鋼のLNGタンク材への適合性の検討
 液化天然ガス(LNG)などの極めて低温の物質を貯蔵するタンクの鋼材として使用可能な材料のリストに,新たに韓国が開発した高マンガンオーステナイト鋼を追加する検討が行われました。
 しかしながら,韓国が示した同材料の物性・試験データに対して,LNGタンク材としての安全性を検証するために必要な項目が不十分であり、日本からこれを指摘したところ,本件は更なる検討が必要とされました。来年開催予定のCCC4において、引き続き審議される予定です。
(参考)
LNGのように極めて低温の物質を貯蔵するタンクの鋼材は,国際ガスキャリア(IGC)コード及び国際ガス燃料船安全(IGF)コードで定められています。本年5月の第96回海上安全委員会(MSC96)において,韓国より高マンガンオーステナイト鋼を両コードに追加する提案が行われ,CCC3において審議されることとなっていました。


(3)海上輸出コンテナの総重量確定に関する状況報告
 本年7月1日より,海上輸出コンテナの総重量の確定を義務づける改正SOLAS条約(国際海上人命安全条約)が発効しました。各国の取組状況を調査した世界海運会議所(WSC)等が報告し,現状約9割の国際海上輸出コンテナが条約に対応していることが確認されました。
(参考)
改正SOLAS条約は,コンテナ重量の誤申告等に起因すると思われる海難事故の発生を踏まえ,荷送人に対し,各国が承認した方法により海上輸出コンテナの総重量を確定し船長等に提出することを義務づけたものです。日本においては,同条約の実行を徹底するため,コンテナ総重量を確定する者の届出・登録制度を本年7月1日より施行しています。

 
以 上

 

お問い合わせ先

国土交通省海事局安全政策課 平島・枌原(そぎはら):(2)関係
TEL:03-5253-8111 (内線43-562・43-564) 直通 03-5253-8631 FAX:03-5253-1644
国土交通省海事局検査測度課 伊藤・日坂(にっさか):(1)(3)関係
TEL:03-5253-8111 (内線44-171・44-177) 直通 03-5253-8639 FAX:03-5253-1642

Get ADOBE READER

別ウィンドウで開きます

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Acrobat Readerが必要です。
左のアイコンをクリックしてAdobe Acrobat Readerをダウンロードしてください(無償)。
Acrobat Readerをダウンロードしても、PDFファイルが正常に表示されない場合はこちらをご覧ください。

ページの先頭に戻る