報道・広報

マラッカ・シンガポール海峡における第3回協力フォーラム等の結果概要について

平成22年10月12日

 エネルギー輸送など世界貿易上、重要な海上輸送路であるマラッカ
・シンガポール海峡(マ・シ海峡)の航行の安全及び環境保全のた
めに創設された協力メカニズム※に基づき、第3回協力フォーラムが
開催され、同海峡沿岸国、利用国及び利害関係者が会し、同海峡の
安全対策に関して意見交換等が行われました。また、第3回プロジェ
クト調整委員会が開催され、同海峡沿岸国から提案されたプロジェ
クトについて、沿岸国及び支援を表明している利用国等が具体的な
実施について調整を行いました。さらに、同海峡の航行援助施設の
維持・更新にかかる費用を支弁する基金の運営に関する第5回基金
委員会が開催されました。それぞれの結果は下記のとおりです。

※ 協力メカニズムは、平成19年9月に開催されたIMOシンガポ
ール会議において創設され、協力フォーラム・プロジェクト調整委
員会・航行援助施設基金の3つの要素で構成されている。

1.第3回協力フォーラムの概要

開催日 平成22年10月6日(水)~7日(木)
場所 ジョグジャカルタ(インドネシア)
出席者 沿岸国(インドネシア、マレーシア、シンガポール)
利用国(オーストラリア、ブルネイ、カナダ、中国、インド、日本、韓国
    ノルウェー、タイ、米国)
海事関係者(日本財団、マラッカ海峡協議会、BIMCO、ICS、
      OCIMF、IFSMA、INTERTANKO、ASF等)
国際機関等(IMO)

※ 日本側出席者:後藤海事局審議官、日本財団海野グループ長、
        マラッカ海峡協議会金子専務等

結果の主な概要

☆ 協力メカニズムの今後の発展について、我が国より後藤審議
 官が以下のようなプレゼンテーションを行った。
 ・ 世界の海上荷動量が増加しており、外航海運の今後の成長
  に際して、極めて重要な海域であるマ・シ海峡についても、
  通航船舶の増加が予測されていることから、同海峡に設置さ
  れている航行援助施設の重要性は増している。
 ・ 航行援助施設の維持管理のために協力メカニズムにおいて
  航行援助施設基金が設立されたが、我が国は日本財団やマラ
  ッカ海峡協議会を通じた日本船主協会、石油連盟、電気事業
  連合会、日本ガス協会、LPガス協会による同基金への拠出の
  ほか航行援助施設の代替に係る事前調査などによる協力を行
  ってきたほか、航行援助施設の維持管理に関するキャパシテ
  ィ・ビルディングについても検討している。
 ・ 今後も航行援助施設基金が安定的な発展を行うためには、
  基金への安定した拠出を確保すること,沿岸国にとって利用
  しやすいものであること、沿岸国への協力が重要である。
 後藤審議官のプレゼンに対し,シンガポールより、日本のこれ
までの貢献とさらにキャパシティ・ビルディングの検討について
感謝が述べられた。

☆ 従来の6つのプロジェクトの進捗状況が説明されたほか、航
 行安全と海洋環境保護のそれぞれについて、TTEG(沿岸3カ国
 専門家会合)でのTSS(分離通行帯)の横切り船の表示や緊急
 曳航サービス問題についての検討状況やインドネシアで新たに
 建設されるVTSセンターの紹介などが行われた。また、マレー
 シアより協力メカニズムの概要やプロジェクトの進捗などの情
 報を共有するウェブサイトを開設することが提案され了承された。

2.第3回プロジェクト調整委員会の概要

開催日: 平成22年10月8日(金)
場所 : インドネシア・ジョグジャカルタ
出席者: 沿岸国(インドネシア、マレーシア、シンガポール)
利用国(オーストラリア、中国、インド、日本、韓国、カナダ、)
海事機関(マラッカ海峡協議会、IMO、日本マリタイムセンター)
※ 日本側出席者:中川外航課課長補佐、マラッカ海峡協議会金子専務等

結果の主な概要:

☆ 協力メカニズムの各プロジェクトについての以下の報告等と検討が進められた。

☆ プロジェクト1(分離通行帯における沈船の除去)については、マレーシアより、
 財政支援、人材育 成,技術協力の3つの分野に分けてプロジェクトを進めている
 こと、現在の交通量や制約での沈船の状況から鑑みるとマ・シ海峡を通航する船舶
 の大型化に伴い障害となるかもしれないこと、沈船観測に関するインドの貢献やコ
 ンサルテーションに関するドイツの貢献について報告が行われた。

☆ プロジェクト2(有害危険物質(HNS)への対応体制整備)については、マレ
 ーシアより、有害危険物質流出事故への対応についてのキャパシティ・ビルディン
 グが重要であり、沿岸3カ国による「Joint Standard Operating Procedure
  (Joint SOP)」をまとめることが必要であると報告が行われた。また、中国より、
 トレーニングコースを実施して協力することが表明され,海運産業界からも本分野
 における協力を行う旨表明があった。

☆ プロジェクト4(潮流・潮汐等の観測システムの整備)については、シンガポール
 により、潮流・潮汐等の観測センターなどについて2010年8月に入札が行われたこと
 が報告された。

☆ プロジェクト5(航行援助施設の維持管理)については、インドネシアより、2009
 年及び2010年の事業計画が報告され、韓国から協力を継続して行う旨、また、日本か
 ら航行援助施設の代替事前調査について説明し、また航行援助施設維持管理に関する
 キャパシティ・ビルディングを検討していることを説明した。
 


3.第5回基金委員会

開催日: 平成22年10月11日(月)~12日(火)
場所: ランカウィ(マレーシア)
出席者: 沿岸国(インドネシア、マレーシア、シンガポール)
利用国(中国、日本)
海事機関(日本財団、マラッカ海峡協議会、中東航行援助サービス(MENAS))
※ 日本側出席者:西田外航課海運渉外室長、日本財団海野グループ長、
  マラッカ海峡協議会金子専務等

結果の主な概要:

☆ 基金への2009年第4四半期の拠出として韓国(8.4万ドル)、IMO
 (「IMOマラッカ海峡基金」から5万ドル)、2010年の拠出として、サウ
 ジアラビア(10万ドル)、中国(2万5千ドル:プロジェクト4への協力とし
 て基金に拠出。プロジェクト4に使用した後残余があればプロジェクト5に
 使用可)、韓国(8.8万ドル)、UAE(10万ドル)、マラッカ海峡協議会
 (50万ドル)、日本財団(139万ドル)、拠出があったことが報告された。
 今回初めて拠出を行った中国及びIMOと、プロジェクト4への協力として
 基金に拠出をしているインドが基金委員会の正式なメンバーに迎えられた。

☆ 基金委員会は2010年の第4四半期及び2011年の事業計画及び予算につい
 て検討を行った。沿岸3カ国より、各国の管理する航行援助施設についての事
 業計画が提出され、検討が行われたが、内容が提出されたのが直前であったこ
 とと、追加された使用計画の妥当性を更に検討する必要があることより、201
 1年1~3月の事業計画を暫定的に了承した上で、適正な予算執行及び作成を図
 るために、年2回の基金委員会を、第1四半期及び第3四半期に開くこととさ
 れた。次回委員会は平成23年3月頃に開催されることが了承された。

☆ 日本より、我が国が行っている航行援助施設の代替事前調査を説明するとと
 もに来年度は航行援助施設の維持管理に関するキャパシティ・ビルディングを
 検討していることを紹介した。

お問い合わせ先

国土交通省海事局外航課 
TEL:(03)5253-8111 (内線43-323)

ページの先頭に戻る