報道・広報

第1回日印海運政策フォーラムの開催結果について

平成22年2月16日

 急速に経済成長を遂げ、我が国にとって重要なパートナーであるインド及び日本が外航海運における政策課題について意見交換を行い、両国の海運当局・関係者間の連携を強化するため、約50名の参加を得て政策フォーラムを開催しました。会議の結果概要は以下のとおりです。

         記

1.日時:平成22年2月15日(月)

2.場所:国土交通省(中央合同庁舎2号館16階 観光庁 国際会議室)

3.出席者:
 海事当局
  日本側:国土交通省 小野海事局長、森重審議官、森技術審議官 他
  インド側:海運省 グプタ海運局長、ガルグ海運課長 
           アグニホトリ海運庁(ムンバイ)局長 他
 民間関係者
  日本側:外航海運事業者、(社)日本船主協会、(社)日本造船工業会 他
  インド側:The Shipping Corporation of India(インド最大の国有船社)

4.主要議題の結果
(1)両国の海運政策に関する情報交換
 インド側から、一昨年の金融危機以降も貿易量が順調に伸びている一方、インド籍船による貨物取り扱いの比率が年々減少していることを問題視していることが説明された。また、インドにおけるトン数標準税制の概要(適用対象会社はインド籍船舶を51%以上保有しなければならないこと等)が説明された。
 日本側からは、金融危機以降の我が国外航海運を取り巻く市況の悪化の状況を報告したうえで、かかる状況下においても自由な競争の確保が重要であり、公平かつ公正な政策として、トン数標準税制の実施及び航行安全のための政策の実施(海賊対策等)について紹介した。

(2)シップリサイクル
 日本側より、昨年5月に採択されたシップリサイクル条約の策定におけるインドの貢献に謝意を示すとともに、同条約の早期発効のためには主要リサイクル国であるインドの締結が不可欠であること、我が国としてもインドの早期締結のための協力を惜しまない旨発言した。さらに、インド・グジャラート州における船舶リサイクル施設整備調査の説明を行い、インド側の関心及び謝意を得た。
 インド側からは、同国もシップリサイクル条約の重要性を認識しており、条約締結のための関係法案をまもなく内閣に提案する予定であること、伝統的なビーチング方式※のリサイクルを禁止するのではなく、環境に良い方向に改善する方針であり、日本からの協力を歓迎する旨発言があった。
※ビーチング方式・・・砂浜に船舶を乗り上げさせた状態で行う船舶解体の方式。一部の国においては、本方式の労働安全性及び本方式による廃油の海への流出等が問題となっている。

(3)インドにおける港湾等のインフラ整備
 インドの経済成長を背景にインド発着の貨物量は今後も増加していくことが予想されるところ、日本側民間事業者より、インドにおいて事業を展開する日本の海運会社にとって、効率的かつ円滑な貨物の流れを確保するために重要となる各主要港湾や内陸輸送におけるインフラ整備の状況(例:ジャワハルラル・ネルー港におけるターミナルの整備状況)について情報提供を求めるとともに適時適切な整備を依頼したのに対し、インド側からは、国家海事発展計画(NMDP)に基づく港湾関係インフラの整備状況の説明があった。

(4)外航海運の独占禁止法適用除外について
 日本側民間事業者より、インド海運省がこれまで行ってきたインドにおける外航海運の独占禁止法適用除外のための関係省庁への働きかけに対して謝意を表明した。インド側からも独占禁止法適用除外を完全に廃止することは逆に円滑な海上輸送へのマイナス要因になりうると考えている等の発言があった。

(5)安全・保安対策
 マラッカ・シンガポール海峡の航行安全対策に関し、我が国より、同海峡における沿岸国と利用国の協力のあり方を具体化した「協力メカニズム」(2007年9月創設)について、これまでの日印両国の貢献を評価するとともに、同メカニズムを持続可能な枠組みとするよう、今後も沿岸国・利用国・民間セクターが連携しつつ、より広い利用国や利用者の参加を引き続き継続的に求めていくことが重要であるとの説明を行い、インド側の賛同を得た。
ソマリア沖海賊対策に関し、日本側より、昨年6月に新たに制定された海賊対処法に基づく我が国の護衛活動の概要及びインド関係船舶の護衛実績等について説明を行った。また、日本側民間事業者からは、インド海軍による護衛活動に関し謝意を表明するとともに、スケジュール変更等に伴う円滑な連絡についての要望があり、インド側から本国に伝えるとの回答があった。インド海運省と我が国海事局は共に護衛活動にかかる船社からの護衛申請の窓口を行っているところ、同海域の安全確保に向けて、引き続き連携協力を図っていくこととなった。

(6)今後の予定
 今回のような官民関係者参加による海運政策フォーラムの重要性が共有され、年1回のペースで今後も開催していくこととなった(次回はインドで開催予定)。
 

フォーラムの様子

グプタ海運局長と小野海事局長

フォーラム参加者

添付資料

日印海運政策フォーラム結果概要(PDF形式)PDF形式

お問い合わせ先

(フォーラム全般)海事局外航課海運渉外室 西田、川村
TEL:(03)5253-8111 (内線43-354) 直通 (03)5253-8620
(造船・シップリサイクル関係)海事局船舶産業課国際業務室 貴島、古賀
TEL:(03)5253-8111 (内線43-635) 直通 (03)5253-8634

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