報道・広報

国際海事機関(IMO)第100回理事会(C100)の結果

平成20年6月23日

 本件会合が、6月16日から20日までの5日間、国際海事機関本部(英国・ロンドン)において開催されました。主な結果は次のとおりです。

1.「IMOの将来」に関する柴田国土交通審議官の演説

 本年がIMO条約採択60周年(発効50周年)であること及び第100回目の理事会であることから、記念行事として、「IMOの将来」に関し、IMO事務局長、IMO総会議長等とともに我が国の柴田国土交通審議官がIMO加盟国を代表する形で演説を行いました。柴田国土交通審議官は演説の中で、「IMOの将来」に関し、[1]海事に関する国連の専門機関として海上安全及び環境保護に関する世界共通のルールづくりをしっかり行っていくべき[2]全ての海事関係者が英知を結集する場を提供していくべき、及び[3]世界の激しい変化に対応した積極的な取り組みを行っていくべきと述べました。

2.ソマリア沖海賊対策

 我が国を始め、デンマーク、フランス、ギリシア等多くの国から、ソマリア沖で海賊が頻発していることへの憂慮とIMOのソマリア沖海賊対策の対応への評価が述べられました。現在、IMOの協力の下、ソマリア沖海賊対策として地域協力に関する協定(覚書)の策定が検討されているところ、我が国より、これまでの海賊対策に関する知見を活かして同協定策定の検討に貢献していきたいと述べました。
 また、ケニアから、協定が発効した際に設立される海賊情報センターを誘致したいという発言が出るなど、各国は大きな関心を示していました。

3.地球温暖化対策等

 我が国を始め、先進諸国から国際海運からの温室効果ガス排出問題をIMOが検討を進めていることを評価するとともに本年4月に開催された第57回海洋環境保護委員会で決定された[1]実際に国際海運からのCO2排出削減の効果があること[2]世界単一市場を構築している国際海運の市場を歪曲しないものであること[3]世界経済の動脈である国際海運の活動を妨げることなくCO2排出を削減すること等の原則をもとにIMOの検討を進めていくべき旨が述べられました。さらに、我が国は、我が国提案の実燃費指標がIMOで合意されることを期待している旨述べました。中国、インド、南アフリカ等、いくつかの国は、国際海運からの温室効果ガス排出問題は京都議定書の考え方である「共通だが差異のある責任」の原則に基づくべきであり、海洋環境保護委員会で決定されたすべての旗国に共通に適用されるという内容を含む原則は認められないとの立場を表明しましたが、今後の検討は、委員会で決定した原則をもとに進めていくことが合意されました。
 また、シップリサイクル条約(解撤時の環境保護を含めた船舶のリサイクルに関する事項を規定する条約)の採択会議を2009年5月に香港で開催することを合意しました。

4.IMO加盟国監査制度

 IMO事務局長から2006年から開始された任意によるIMO加盟国監査制度の実施状況の報告を行うとともに、同制度の今後の在り方についての文書を本年11月に開催される次回理事会に提出したいとの発言がありました。デンマーク、カナダ等から、同制度の今後の発展方策に関し、同制度の監査受け入れを全ての加盟国に義務付けることが適当であるとの発言があり、先進諸国はこれを支持しました。我が国も、同制度の提唱国として、円滑な実施に協力してきているところ、義務付けを支持することを表明しました。しかしながら、開発途上国は、義務付けは時期尚早との意見が続出し、次回理事会では、多数の国が義務付けには反対していることを考慮して検討を進めることになりました。

5.技術協力に関するIMOとの連携

 我が国は、これまで実施してきている技術協力をIMOと連携して進めていく意向であることを表明しました。具体的には[1]開発途上国の行政官を対象にした船舶検査官研修、及び[2]IMO加盟国監査のための監査員養成研修を本年度IMOと連携して開催することを表明しました。
 また、世界海事大学(WMU)への日本財団と海洋政策研究財団(OPRF)による支援及び国際海事法大学(IMLI)への日本財団の支援について、IMO事務局長より謝意が表明されました。

お問い合わせ先

国土交通省海事局外航課 
TEL:(03)5253-8111 (内線43361、43365)

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