報道・広報

国際海事機関(IMO)第101回法律委員会の結果について

平成26年5月15日

 4月28日から5月2日までの間、英国ロンドンにおいて、国際海事機関(IMO)第101回法律委員会(LEG101)が開催され、我が国からは、国土交通省、(公財)日本海事センター、(一社)日本船主協会等から構成される代表団が参加しました。
 今次会合における主な審議内容・結果は、以下のとおりです。

1.韓国沖で発生したフェリー沈没事故への追悼

 冒頭、関水IMO事務局長より、本年4月16日に韓国沖で発生したフェリー「Sewol号」の沈没事故の犠牲者に対するお悔やみの言葉が述べられ、出席者全員で今回の事故の犠牲者に対する哀悼の意を込めて黙とうがささげられました。また、この会期中、我が国を含む多くの国がそれぞれの最初の発言の機会に当該事故の犠牲者に対するお悔やみの意を表明しました。

2.2010年の危険物質及び有害物質の海上輸送に関連する損害についての責任並びに損害賠償及び補償に関する国際条約(2010年HNS条約)の発効促進

 カナダから、昨年のLEG100以降の2010年HNS条約発効促進に向け、同条約に関する意見交換、情報交換を目的とした、次の取り組みが紹介されました。
 [1]非公式会合の開催(2013年10月、ロンドン)
 [2]非公式なコレスポンデンスグループ(メールベースの意見交換の場)の設置
 [3]国際油濁補償基金(IOPC Fund)事務局によるHNSブログの立ち上げ
 さらに、同条約の発効促進のため、公式なコレスポンデンスグループの立ち上げがカナダから提案され、了承されました。今後、グループは、カナダを調整役として、メンバー国間により、同条約の発効促進に向けた議論を行い、次回のLEG102に報告を行うこととなりました。なお、我が国も同グループに参加することになりました。

3.海難事故発生時における船員の公正な取り扱い

 海難事故が発生した際に船員が不当に拘束されることを防止すること等を目的とした「海難発生時における船員の公正な取り扱いに関する指針」(2006年、LEG91で採択。)に関して、各国の当該指針を取り込むための国内法制化の状況について、非政府機関である「Seafarers’ Rights International」(SRI)がアンケート方式により行った調査の結果が報告され、回答があった国の多くは指針の原則を取り込むために国内法制化を行ったか、既存の国内法制がすでに十分に船員の権利を保護していると回答していること等が紹介されました。この回答結果についてSRIが更なる分析を行い次回LEG102に報告することになりました。

4.法律委員会が作成した条約等の発効状況

 法律委員会が作成した各条約等の加盟国数、発効状況が事務局から報告され、「1974年の旅客と手荷物の輸送に関するアテネ条約の2002年の議定書(2002年アテネ条約議定書)」が本年4月23日に発効したこと及び「2007年の海難残骸物の除去に関するナイロビ国際条約(レックリムーバル条約)」が2015年4月14日に発効することが紹介されました。

5.その他の議題:支援を求める船舶に対する避難場所

 国際海運会議所(ICS)等から、最近、海難事故等により、沿岸国に対して避難場所提供を求めた船舶が当該沿岸国から避難場所の提供を拒否される事例が相次いで報告されているとして、支援を要請された沿岸国はIMO総会決議A.949(23)「支援を求める船舶の避難場所に関する指針」を十分考慮すべきとの問題提起がなされ、各国から、懸念を共有する旨の発言がありました。我が国は、避難場所の問題は疑いなく重要であることは認識しつつ、当該指針は沿岸国に受入れ義務を課したものではなく、すべてのリスク及び要素を公平な見地で考慮してケースバイケースで判断することを沿岸国に求めているにすぎず、指針を完全実施した場合であっても避難場所受入れにはつながらないこともある旨主張しました。
 最終的に、法律委員会は、避難場所提供の問題に関連して、既存の責任及び補償に関するすべての条約の批准・実施を促進すべきであることが再確認されました。

お問い合わせ先

国土交通省海事局総務課国際企画調整室 伊藤・長島
TEL:03-5253-8111 (内線44403) 直通 03-5253-8656 FAX:03-5253-1642

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