報道・広報

第1回日韓海運協議の結果概要について

平成24年11月28日

 日本及び韓国の海事当局(日本:国土交通省海事局長、韓国:国土海洋部海運政策官)による第1回日韓海運協議が下記のとおり開催されました。

1.開催日

2012年11月23日(金)

2.場所

韓国・ソウル

3.出席者

海事当局

日本側:森 雅人 国土交通省海事局長 ほか
韓国側:ジョン・キジョン 国土海洋部海運政策官 ほか


民間関係者

日本側:(一社)日本船主協会、外航海運事業者、(公財)日本海事センター
韓国側:海運事業者、沿岸貨物協会、韓国海事協会 ほか


4.主要議題の結果

(1)海運政策に関する情報交換

 韓国より、海運の重要性、現状、対策についての説明があり、外航海運は安定している反面、内航海運は減少傾向、船舶管理業等の関連業種は緩やかな上昇傾向にあることなどが紹介されたほか、国際船舶登録制度、投資会社制度、トン数標準税制等について紹介された。
 日本からは、外航海運、内航海運、船員分野における現状、課題及び対応策について説明したところ、韓国より、船舶の共有建造方式、船舶管理会社を通じたグループ化及びトン数標準税制における準日本籍船の考え方等の具体的な内容に関する質問があった。



(2)北極海航路の利用

 気候変動に伴う航行可能海域の拡大により、北極海航路の商業航海に多くの国が興味を示している中、韓国もエネルギー輸送の観点から基本計画を作成中であること、ロシア、デンマーク、ノルウェー等と協議を進めていること、来年には試験航海を実施したい意向であることなどの説明があった。
 日本からは、1992年以来、海洋政策研究財団(OPRF)において、実船航海(1995年)を含めた研究実績があること、最近の海運の状況を踏まえ改めて商業航海の議論が始められている状況であること、昨年5月の日・ノルウェーの協力覚書に協力が盛り込まれていること等について説明した。



(3)EUによるイラン産原油の輸送にかかる再保険禁止措置

 今年7月に発効したEUの対イラン制裁に関し、韓国より、10月以降はイラン国有石油会社のタンカーでイラン産原油の輸送を再開しており、イランの保険会社を介して約10億ドルの保険をカバーする形を取っている旨の説明があるとともに、日本の対応に関する情報提供と今後の協力の依頼があった。
 日本からは、関係省庁で検討した結果、国交省が新法を作り6月27日から施行されていること及び当該法律の内容(従来加入してきた保険のうち日本のP&I保険が担保できる800万ドルを超過する分を政府が交付金の形で交付する)について説明した。



(4)2006年の海上の労働に関する条約

 海上労働条約に関して、韓国より、関連法の改正を本年5月に完了し、来年第1四半期には批准予定である旨の説明があるとともに、発効後の検査等の円滑な履行のため人員配置の強化を検討中であること、登録検査機関として船級協会の活用を検討中であること、条約の解釈の統一につき協力が必要であることなどについて説明があった。日本からは、条約の担保法として改正船員法を本年9月に公布しており、政省令・通達等の準備が整い次第、批准書を寄託する予定であること、登録検査機関として船級協会の活用を考えていること、条約の解釈については東京MOUでもPSC実施について解釈の統一を定めつつあること等を説明した。



(5)パナマ運河通航料

 日本より、協議なしで値上げを通告してきたパナマ運河庁に対して意見書を送付するなどの対応を通じて成果を上げたことに関し、韓国の協力に対して謝意を表するとともに、パナマ側に施設と利用者の共栄が必要であることを説明したことを紹介した。また、今後は12月10日に開催予定のパナマ運河庁と利用者の協議が重要であり、料金問題に特化し過ぎることなく、運河拡張工事の完了に向けた運用の円滑化などを含め包括的に協力していく形が望ましいことを説明した。韓国からは、日本の要請に協力して値上げの延期が実現できたこと、利用者との協議が重要というメッセージが伝わり協議の場が設けられたことについて評価し、引き続き日韓両国で運賃のみならず拡張後の活用について議論していきたい、との発言があった。



(6)海賊問題

 日本より、民間武装警備員の乗船に関し、韓国の法的枠組や国の関与について質問したところ、韓国では、韓国人船員の拉致被害がある中で民間武装警備員の必要性が関係者間で共有されており、乗船が認められているが、本来は特別法を作るべきであると考えており、本年末までに調査を終了して法制化を進める予定であること、民間人の武装警備基準や会社の設立・認証について検討を進めている旨の説明があった。また、日本からは、次期通常国会への提出を目指して法制化作業中であるが、様々な課題が残されている状況を説明し、両国間で情報交換を進めていくことが確認された。



(7)マラッカ・シンガポール海峡における協力

 日本より、協力スキームに対する韓国の協力に感謝の意を表したのに対し、韓国より、日本財団等による基金への拠出に対し、謝意が表された。また、日本から、今後は海峡利用国の更なる拠出が重要となることを指摘し、韓国の積極的な参画を求めたところ、韓国からは、基金についても約9万ドルを拠出しているがさらに業界からの拠出を促すとともに、人的支援も進めていきたい旨の発言があった。



(8)その他

 バラスト水管理条約に関し、日本より、バラスト水処理装置の搭載が進んでいないのは韓国も同様と聞いているが、同条約の発効に関する韓国の海運業界の受け止め方はどうかと問うたところ、韓国側からは、IMOから承認を受けた装置は複数あり、その設置を行う能力も充分あると考えているので、政府としては当初予定通りに条約が発効・履行されることを期待している旨の回答があった。




お問い合わせ先

国土交通省海事局総務課国際企画調整室 金子、大崎
TEL:03-5253-8111 (内線45601、45611) 直通 03-5253-8656 FAX:03-5253-1642

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