報道・広報

第7回日EU海事政策対話の結果概要について

平成24年4月3日



2012330日(金)、欧州委員会運輸総局(ブリュッセル)において、日本及びEUの海事当局(日本:国土交通省海事局、EU:欧州委員会運輸総局D局(海事局))による第7回日EU海事政策対話が開催されました。主要議題に関する結果の概要は以下のとおりです。


 


1.海運政策


(海運政策の現状)


我が国より、現在の主な海運政策として、海事関連3法案、CO2排出削減に向けた環境対策及び海賊対策の概要を紹介した。EUからは、昨今の欧州金融危機の影響により、特に地中海沿岸諸国にとっては輸送コストの上昇が懸念されること、陸上輸送への転換を図る荷主もいることからトン税を含む国家補助ガイドライン等、現在の法律的な枠組の堅持が重要である旨が示された。


EU域内海運)


EUでは、通関手続の簡略化を通じて域内海運を促進させるため、昨年よりパイロットプロジェクト(ブルーベルト計画)を実施中との報告がなされた。なお、本プロジェクトは201561日までの間行う予定であるが、加盟国からはもう少し時間をかけて状況を見極めるべきとの意見もある旨の情報提供がなされた。


OECD造船部会)


我が国より、OECD造船部会の重要な役割に鑑み、EU各国の積極的な参加を促したところ、EU委員会としても働きかけたいとの回答であった。また同部会への中国の参加が重要という点で見解が一致した。


 


2.環境への対応


(海運分野の温室効果ガス排出削減)


昨年7月に船舶からの温室効果ガスの排出削減対策として、燃費基準の強制化等を目的とするMARPOL条約附属書6)改正案が採択されたことを受け、今後は経済的手法等に関する議論が焦点になるところ、日EU等関係国が一層の協調を図ることの重要性が確認された。また、EUが導入を検討している海運分野の温暖化対策に係るEU地域規制に関する説明がなされたところ、我が国より、温暖化対策はグローバルな取組こそ最も重要でありIMOにおける議論に注力することを要請した。


(硫黄分排出規制)


EUより、硫黄分排出規制の強化(2015年~)に関するEU指令案について紹介があり、最終決定にはなお時間を要する見込みであること等が示された。我が国からは、LNG燃料等に関する取組について説明した。


(シップリサイクル)


323日発表のシップリサイクル条約締結をEU各国に慫慂しようとするEU指令案と同条約を域内において先行実施する同規制案に関し、今後の採択予定を問うたところ、現時点では期日の見通しを得るに至っていないとの回答があった。今後とも、同条約の発効に向けて日EUが協力していくことの重要性を確認した。我が国からは、インドに対する支援策等を紹介した。


 


3.船舶の安全/保安


(船級協会に関する規則)


EUより、船舶の安全性確保の観点から船級協会の監督を強化することが重要であり、海上人命安全条約等の検査代行を行う船級協会の要件を定めた義務的規則(ROコード)の作成がIMOで進んでいることを歓迎すると述べた。我が国より、EU規則が船級協会に舶用機器の相互承認を義務づけることは他国の主権を侵害する懸念があり、ROコード等のIMOの規則の内容に沿って適切な措置を講じるよう要請したところ、EUより、相互承認については各国から誤解されているところがあるので、今後も議論を継続していきたいとの要請があり、日EU間で議論を継続することとした。


(旅客船の安全規制に関する見直し)


EUより、これまでEUが検証していたRORO旅客船に関する規制の見直し状況を説明するとともに、今般のコスタ・コンコルディア号の事故を踏まえ、損傷時復原性の見直し、脱出の方法の検証等を視野に入れている旨説明がなされた。我が国より、新規則に係る実行可能性及び合理性の確保を求めるとともに、事故の調査結果に係る情報提供を要請した。また5月のIMO90 回海上安全委員会(MSC90)において本件議論が開始されるところ、日EU間で緊密に協力していくことを確認した。


(海事債権責任制限条約の船主責任限度額の見直し)


IMO法律委員会における船主責任制限の引上げの議論に関し、我が国が提案している引上げ案の概要を説明し、支持を求めた。これに対しEUは、他の提案の検討も含め、近々に対応を協議する予定であることを表明した。


STCW条約マニラ改正等)


EUより、20126月にはSTCW条約マニラ改正をEU法化する指令が欧州議会及び閣僚理事会により承認される見込みであることが示された。我が国からは、マニラ改正の国内法化作業の進捗を報告した。


(海上労働条約)


2013年にも発効が見込まれる海上労働条約に関し、EUより、加盟国の港間における同条約の均一実施に向け、先月、旗国の義務及び寄港国検査に係る指令案を策定した旨の説明がなされた。我が国からは、国内法化作業及び条約の締結に係る進捗状況を説明した。 


(海賊対策)


我が国から海賊対処法によるアデン湾を航行する船舶の護衛状況について説明した。EUからは、2008年から実施している護衛活動を2014年まで延長することを先週決定した旨情報提供があった。また、武装警備員の乗船については、武力行使の責任の所在、警備に当たる人員の訓練など解決すべき課題が多く存在することから、EUとしては国際的な場でのルール作りが重要であると考えており、IMO90回海上安全委員会(MSC90)に文書を提出する予定である旨発言があった。


(マラッカ・シンガポール海峡協力メカニズム)


我が国より、マラッカ・シンガポール海峡協力メカニズムに対する我が国の対応について説明した。これに対し、EUとしても同海峡における航行安全対策は海洋汚染防止の観点からも重要であると考えており、現在EUが拠出している「有害液体物質への対応体制整備に関するプロジェクト」については、拠出額の増加を検討中であるとの情報提供がなされた。


 


お問い合わせ先

国土交通省海事局総務課国際企画調整室 金子、飯塚
TEL:(03)5253-8111 (内線45-601、44-414) 直通 (03)5253-8656

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