報道・広報

第4回日中海運政策フォーラムの開催結果について

平成24年3月29日

 世界の主要海運国である日本と中国が海事政策全般について意思交換を行うことにより、両国間の政策課題に係る相互理解を促進し、課題解決に繋げることを目的として、官民参加による日中海運政策フォーラムが以下のとおり開催されました。
          記
1.開催日: 平成24年3月27日(火)

2.場 所: 中国交通運輸部(北京)

3.出席者: 
  海事当局
    日本側: 坂下 広朗  国土交通省大臣官房技術審議官(海事) 他
      中国側: 李   宏印  交通運輸部水運局副局長 他
  民間関係者
    日本側: 外航海運事業者、公益財団法人日本海事センター
    中国側: 船主協会、外航海運事業者

4.主要議題の結果
(1)日中両国の海運政策と国際海運業界の展望
   国際海運業界の展望について、中国側より、世界経済の停滞によって海上輸送力の余剰状態が当面続くと予想される中で、燃料油や船員のコスト上昇、航行の安全やサービスの質の維持といった諸課題に対処していく必要があるとの見解が示された。また、日中両国の海運業は友好関係を築いてきており、邦船社が学校建設の支援、大学への船員養成クラスの設置、奨学金の提供等も行なっているとして日本側への謝意が示された。
   日本側より、造船分野においても好況期に発注した船舶の竣工時期が重なっており、当面は供給過剰状態となるが、そうした中でも中国やインドなどアジア諸国の経済成長は中期的に続くと見ているとの見解を示した。また、今国会において、海事産業の健全な発展・強化を目指し、トン数標準税制の拡充に関する海上運送法の改正案、海上労働条約改正に対応する船員法の改正案、MARPOL条約改正に対応する海洋汚染防止法等の改正案を提出している旨を説明した。
   これに対し、中国側より、[1]トン数標準税制は中国も検討中であること、[2]CO2排出削減問題は、公平かつ合理的に対応する必要があり、日本とも認識を共有できる点もあるので密に情報交換して対応したいとの発言があった。また、エネルギー消費量の制限値を設ける法案を作成しており、船社に対して経済的なインセンティブを与えて排出削減を進めることも検討しているとの説明があった。
 
 (2)港湾における放射線の測定等について
   中国側より、日本の港湾における放射線量率に関する情報提供の要請があり、日本側から、国内港湾における大気中及び海水の放射線測定結果について、国土交通省のウェブサイトに4か国語(日・英・中・韓)で掲載し
ていること、国際会議など様々な場面で情報提供していることなどを紹介した。

(3)日本の港湾における港湾料金制度
  中国側より、日本の港湾の混雑により発生する夜間・休日等の荷役作業の割増料金が船会社の負担になっているとの指摘があり、日本の港湾料金制度について情報提供の要請があった。
  日本側からは、荷役作業が夜間・休日に及ぶ場合には、当該作業のための港湾労働者を確保する必要があるため、各港湾事業者が割増料金を設定している場合があることを紹介する一方、港湾の混雑については、鋭意、施設整備などにより改善を進めていることを説明した。また、荷役作業が夜間・休日に及ぶ原因としては、港湾の混雑による場合のほか、船舶の運航スケジュール上の遅延など船社側の都合による場合もあることを指摘した。

(4)中国におけるコンテナ運賃届出制度
   中国側より、2009年に導入されたコンテナ運賃届出制度の説明があった。2010年秋に届出対象者を非船舶運航業者(NVOCC)にも拡大して以降、過当競争をもたらす不適切な運賃収受の防止に一定の成果を挙げていること、関係する船社を対象に当該措置に係る調査をしていること等が紹介された。

(5)海賊対策
    日中両国より、現在、ソマリア沖・アデン湾で実施している海賊対策を紹介した。両国とも、自国船のみならず外国船の護衛も行っており、引き続き両国で協力していくことを確認した。また、武装警備員による乗船警備については、今後、国際海事機関(IMO)を中心に議論を進めていくことを確認した。

(6)シップリサイクル
    日本側より、2009年5月に採択されたシップリサイクル条約の発効を目指して、早期締結に向けて関連法案の準備を進めていることを説明した。条約の発効には、締約国の解撤量が世界の船腹量の3%以上という要件が最も重要なポイントになると考えており、主要な解撤国である中国、インドの動向に大いに注目している旨発言した。
    中国側より、本条約は世界の解撤業の発展に良い機会を提供するとの発言があった。また、中国は世界の主要な海運国、解撤国としてシップリサイクル事業を重視しており、環境に配慮した解撤を通して海運の持続的な発展と環境保護に貢献していきたいとの発言があり、引き続き同条約の早期発効に向けて日中両国で協力していくことを確認した。

お問い合わせ先

国土交通省海事局総務課国際企画調整室 志賀、丸山
TEL:(03)5253-8111 (内線45-611、45-614) 直通 (03)5253-8656

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