報道・広報

第6回日EU海事政策対話の結果概要について

平成23年4月8日

 標記について、平成23年4月7日(木)国土交通省において、日本及びEUの海事当局(日本:国土交通省海事局、EU:欧州委員会運輸総局C局(海事))による第6回日EU海事政策対話が開催されました。主要議題に関する結果概要は以下のとおりです。

 
1.東日本大震災関連
 冒頭、EU側より今般の東日本大震災に関連し、駐日EU代表部ハンス・ディートマール・シュヴァイスグート大使からのお見舞いのメッセージが伝達され、日本側からEU加盟各国の支援に対する謝意が表された。
 日本側より、東日本大震災に伴う東京電力福島原子力発電所被災以降の状況について、国際海事機関(IMO)等の国連機関が発表しているとおり、現在の放射性物質濃度は極めて低く、放射線による健康上の危険は生じていないこと、国土交通省のHPにおいて東京湾内主要港湾の放射線測定値を掲載していること等を説明し、EU内への周知を依頼した。
 EU側より、現在、EU独自に日本周辺に航行区域を設定することについては現時点では議論は行われておらず、航行区域の設定は不要との発言があった。また、不確実な情報に惑わされることなく、科学的根拠に基づいて冷静に判断し行動することが肝要であるとの認識で一致した。

2.トン数標準税制をはじめとする自国籍船及び自国船員確保のための施策
 日本側より、国際的な競争条件の均衡化、日本船舶・日本人船員の計画的増加を図るため、トン数標準税制を導入していることを紹介した。EU側より、「EU国家補助ガイドライン」に基づいて多くの加盟国がトン数税制を導入していること、当該ガイドラインには、トン数標準税制のほかに加盟国船員の社会保障費や所得税の軽減なども含まれていることについて説明がなされた。
 
3.欧州単一運輸区域へのロードマップについて
 EU側より、EUにおける効率的で統合された運輸体系の構築に向けた提言(ホワイトペーパー)が説明された。このなかで、EU域内の自由な水運である「Blue Belt」構想が紹介された。これは、EU域内の水運(Short Shipping)において、ITを活用することによる税関の検査等各種手続きの効率化を図り、域内水運を活性化させるためのもの。今年末までのパイロットプロジェクトには、様々な船籍の251隻の船舶が参加している。

4.WTO海運サービス交渉について
 日本側より、ドーハラウンドにおける交渉の状況について説明し、我が国が議長を務める海運自由化推進国(海運フレンズ)におけるEUの貢献について謝意を表した。また、交渉の早期妥結に向け、今後とも双方が協力していくことが確認された。

5.外航海運における温室効果ガス削減について
 本年7月に開催される第62回海洋環境保護委員会(MEPC62)において、船舶からの温室効果ガスの排出削減対策として、燃費基準の強制化等を目的とするMARPOL条約附属書6)改正案の採択のための審議がなされる予定であり、同改正案が採択されるよう協力していくことが確認された。また、MARPOL条約附属書6)改正案と並行して、IMOにおいて検討されている経済的手法に関連して、日本側より、EUにおいて導入している地域的な排出権取引に国際海運を組み込むのではなく、IMOによる世界一律の規制を追求していくべきとの立場を説明した。

6.船舶用燃料油の規制(SOx規制)について
 EU側より、燃料油中の硫黄分濃度に関する規制について、低硫黄燃料油の価格が輸送モード間の競争に悪影響を与えている可能性が指摘されているが、低硫黄燃料油の供給自体には問題はないとの認識が示された。また、欧州におけるECA(排出規制海域)の拡大について、今のところ具体的な動きはないとの説明があった。

7.世界造船市場の公正な競争条件について
 造船市場における正常な競争条件を確保するためには、OECD造船部会の役割は今後も重要であるとの認識で一致した。

8.シップリサイクルについて
 日本側より、2009年5月に採択されたシップリサイクル香港条約策定におけるEU側の貢献を高く評価するとともに、同条約の円滑な履行を促進するため、IMOにおいて関連ガイドラインの策定を進めている旨説明した。
 EU側より、各国における同条約の批准を促すためには関連ガイドラインの早期策定が必要であるとの発言があった。同条約の早期発効に向け、今後も双方が連携していくことが確認された。

9.船級協会の相互承認に関するEU規則について
 舶用機器等に関する船級協会の証書を相互承認するように求めたEU規則について、我が国よりEU域外の旗国の権限を侵害するものであり、その懸念は多くの国が有していることを改めて表するとともに、来月開催のIMOの海上安全委員会でも議論がなされる予定であるので、十分考慮するようEU側に求めた。

10.マラッカ・シンガポール海峡航行安全対策
 日本側より、マラッカ・シンガポール海峡における沿岸国と利用国の協力のあり方を具体化した「協力メカニズム」(2007年9月創設)に関するわが国の貢献について説明を行った。EU側より、本件に関するこれまでの日本の支援を評価する旨の認識が示され、今後ともこの分野において双方が連携して取り組んでいくことが表明された。

お問い合わせ先

国土交通省海事局外航課海運渉外室 深石、羽村 
TEL:(03)5253-8111 (内線TEL:03-5253-8111 (内線内線43-363、43-354) 直通 03-5253-8620)

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