報道・広報

国際海事機関(IMO)船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約(STCW条約)締約国会議の結果について

平成22年6月28日

1.会議の概要
 6月21日から25日までの間、マニラのフィリピン国際会議場において、標記の会議が開催され、日本からは大黒伊勢夫国土交通省海事局次長他が出席した。 
 同会議においては、「船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約」(以下「STCW条約」という。)の改正案について審議が行われ、6月25日に最終合意の上、改正条約が採択された。

2.STCW条約の経緯 
 1967年に英仏海峡で発生した大型タンカー「トリーキャニオン号」座礁事故を契機として、船員の技能に関する国際基準の必要性が高まり、STCW条約が1978年に採択され、1984年に発効した。
 本条約は、1995年の包括的改正から十数年が経過しているため、時代に適応し、かつ船員の確保育成に資する内容と改めるべく、2008年から再度の包括的改正が検討され、今回のSTCW条約締約国会議において最終審議が行われ、改正案が採択されることとなった。

3.STCW条約の概要
 STCW条約は船長以下、甲板部及び機関部に乗り組む船員に求められる最低限の能力要件等を規定するほか、加盟国政府に対し、各船員の能力審査および資格証明書(免状)の発給を義務付けている。

4.今回採択された条約における主な改正点
[1] 船内における明瞭な意思伝達、効果的なリーダーシップの発揮等、ヒューマンエラー事故防止対策として、コミュニケーション能力を資格要件に追加。
[2] 自動衝突予防援助装置、電子海図システム、船舶航行安全システムの使用等、近年の技術革新への対応策として、各種新技術に対応する能力を資格要件に追加。
[3] 不審者の船内侵入の防止、航行中の船内監視の実施、船舶・陸上間の連絡体制の強化等、海賊及びテロへの対策として、保安措置に関する能力を資格要件に追加。
[4] 積載物の化学的特性に応じた荷役作業の実施、消火体制の強化等、被害の甚大なタンカー事故防止策として、タンカー乗組員に対する訓練要件を強化。
[5] 機関士資格取得に係る期間要件の柔軟化、機関士業務の一部を担う電気技師資格の創設等、船員の確保育成のため、機関士資格取得に係る要件を柔軟化。
[6] 適切な当直体制の確保策として、最短休息時間を週70時間から77時間に引上げ、例外として70時間にする場合の要件を明確化。具体的なアルコール上限値の設定等により、薬物の乱用及びアルコール規制を強化。

添付資料

報道発表資料(PDF形式:361KB)PDF形式

お問い合わせ先

国土交通省海事局総務課国際企画調整室 石塚、大立
TEL:03-5253-8111 (内線45601、45621)

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