報道・広報

国際油濁補償基金(IOPCF)2009年10月会合の結果概要について

平成21年10月20日

国際油濁補償基金2009年10月会合(92年基金第14回総会(92年基金14回総会は、定足数に満たなかったため、第6回運営評議会として開催)、追加基金第5回総会、71年基金第24回運営評議会及び92年基金第46回理事会)が下記のとおり開催され、国土交通省海事局大黒次長ほかが出席したところ、結果概要について、お知らせ致します。

 
1.日程:平成21年10月12日(月)~ 10月16日(金)
2.場所:国際海事機関(IMO)本部 ロンドン
3.主要議題の結果概要
1)理事国の選挙
 92年基金理事国の任期は1年となっており、毎年通常総会時に選挙が行われ理事国が選出される。今次会合では、規定に基づき、最大拠出国とされる11ヶ国の中から7カ国(日本、カナダ、フランス、ドイツ、オランダ、シンガポール、スペイン)、その他の加盟国の中から8カ国(カメルーン、中国(香港)、キプロス、リベリア、フィリピン、スウェーデン、トリニダート・トバゴ及びウルグアイ)の計15カ国が選出された。
 
2)議長等の選出
92年基金総会、追加基金総会及び71年基金運営評議会の議長及び副議長の選出が行われ、日本からは、92年基金総会の第一副議長及び追加基金総会の第二副議長に選出された。
 
3)通常予算及び大規模請求基金に関する予算の承認
 92年基金、追加基金及び71年基金それぞれについて、事務局提案の予算が承認された。 この結果、92年基金に関連する大規模請求基金について、Prestigeの事故に関し総額3百万ポンド(約4億3千万円)、Volgoneft 139の事故に関し総額4千万ポンド(約57億円)及びHebei Spiritの事故に関し総額5千2百万ポンド(約74億円)の拠出金の徴収を行うことが決定された。
 
4)拠出金未払い問題への対応
 拠出金未払い問題への対応として、各国に対して拠出金未払いに関する国内措置の報告を求めること、また、拠出金未払い者の名前を各国と協議しつつIOPCFの報告において公開すること等を主な内容とする決議案が監査委員会により提案され、総会において採択された。
 
5)賠償関係
(1)「船舶」の定義に関する検討
船舶を改造して作られた油の浮体貯蔵施設(FSUs)等の事故に係る賠償請求事案において、ギリシャの最高裁判所が、国際油濁基金のこれまでの解釈と異なり、同施設が92年責任条約(CLC)上の船舶にあたると判断したことを受け、同条約における「船舶」の定義の解釈の変更を検討する作業を行うか否かの検討が行われた。
多くの国が検討の開始に賛同する一方、我が国を含め複数の国が、油の輸送に従事していないFSUs等が92年責任条約の対象とならないことについてはこれまで基金の総会等において確認されてきており、1つの加盟国における裁判結果のみをもって解釈の変更を行うには足りないことから、「船舶」の定義の解釈の変更について検討を行うことを支持しないとしたほか、我が国からは、FSUs等を対象とする政策変更を行うのであれば、単なる解釈の変更として行われるべきではなく、92年責任条約に基づく保険加入と92年基金条約に基づく拠出金徴収の的確な実施を確保する観点から、関連条約の改正によりなされるべきとの指摘を行った。
議論の結果、FSUs等による油濁損害を92年基金条約の対象に含めるか否かに関する船舶の定義の解釈の変更の可能性についてさらに検討を行うことが決定され、FSUs等の運用の実態と解釈変更による影響についてより詳細な調査を外部コンサルタントを活用して行うこととなった。
 
(2)損害額の証明が難しい多数の少額請求への対応及び補償金仮払いのリスクへの対応
 2007年に韓国で発生したHebei Spiritの事故に係る請求の処理に関連して顕在化した2つの問題への対応(損害額について十分な証明ができない少額請求者が非常に多く存在することに係る少額請求の処理方法の確立及び全ての請求を査定する前に迅速な補償の一環として行われる補償金の仮払いに関するリスクを回避する方法の確立)を検討するため、事務局及びP&Iクラブ国際グループから作業部会を設置する提案がなされ、審議の結果、両方の問題を検討する作業部会の設置が承認された。
 
6)Hebei Spiritの事故に関する対応
2007年12月に韓国沖合において発生したHebei Spiritの事故に関連する汚染損害について、請求処理の進捗状況が説明された。また、韓国において小規模の宿泊施設を営む事業者等が損害及び損害額の証明を十分にできない問題について、事務局から、通常の査定方法とは異なる、面談による聞き取り調査等に基づく新たな査定方法の開発と当該方法による査定の試行的実施が提案され、本件に限り試行的に実施することを前提に同提案が了承された。また、各請求者に対する補償金の支払い水準については35パーセントに据え置くことが承認された。
 
7)その他
オーストラリアが2008年10月に追加基金に加盟し、加盟国数が24カ国となったこと、カナダが2010年1月に追加基金に加盟予定で、この結果加盟国数が25カ国になる見込みであることが報告された。
 

お問い合わせ先

国土交通省海事局総務課危機管理室 中橋、永井
TEL:(03)5253-8111 (内線43-268) 直通 (03)5253-8616

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