報道・広報

維持管理・再生に取組むマンションのモデル支援を始めます
~マンション等安心居住推進事業の採択事業を決定しました~

平成21年8月11日

分譲マンションの維持管理・再生について、マンション管理組合等を対象にモデル的に支援を行うことにより、必要なノウハウ蓄積等を図るマンション等安心居住推進事業(モデル支援に係る事業)を、平成21年5月26日から平成21年7月14日まで、国が公募し、学識経験者からなる評価委員会での議論を踏まえ、以下のとおり採択事業を決定致しましたので、お知らせします。

なお、評価委員会委員名簿については、表1のとおりです。

 

 

1.マンション等安心居住推進事業(モデル支援に係る事業)の概要

分譲マンションは、近年では年間約20万戸が供給され、その累計は、平成20年末で545万戸、居住者数は国民の約1割に当たる1,400万人と推計される我が国における重要な居住形態として定着しており、その数は着実に増加しています。

こうした中、少子・高齢化等に対応した住生活の安定の確保及び向上の促進の観点からはもとより、都市景観の改善、治安の維持といった観点からも、マンションの適正な維持、管理、再生に対する社会的意義が高まっています。

しかしその一方で、一つの建物を多くの人が区分して所有するマンションは、各区分所有者等の共同生活に対する意識の相違、多様な価値観を持った区分所有者間の意思決定の難しさ、建物構造上の技術的判断の難しさなどから、マンション管理組合内で合意形成を行うことが困難な状況が見られます。

また、今後建築後相当の年数を経たマンションが急激に増大していくものと見込まれ、これらのマンションが適切な維持、管理、再生がなされないままに放置されると、区分所有者自らの居住環境の低下のみならず、マンション管理の空洞化、さらには、スラム化の進展による周辺の住環境や都市環境の低下など、深刻な問題を引き起こす可能性があります。

このような状況に鑑み、国土交通省では、将来世代にわたって安心して居住できる良質なマンションストックを形成していくために、マンションについて適切な維持、管理、再生を促進する施策を講じる必要があると考え、今年度より、本事業を創設いたしました。

本事業は、マンションの維持管理・再生について必要なノウハウ蓄積等を図り、良質な分譲マンションのストックの形成を促進するため、ソフト面やハード面のあり方を見直すマンション管理組合等を対象にモデル的に支援を行うこととしたものです。

支援対象となる事業主体は、マンション管理組合又はマンション管理組合の活動を支援する法人です。

円滑な維持管理・再生に関する課題の特性に応じて、「管理の適正化」「第三者管理方式」「老朽マンション」「団地型マンション」の4タイプのマンションを対象としました。

タイプごとの取組み内容の概要については、表2のとおりです。

 

2.応募状況

今回の募集に対して、76件(事業主体がマンション管理組合のもの64件、事業主体がマンション管理組合の活動を支援する法人のもの12件(59管理組合))の応募がありました。

内訳は、表3のとおりです。

 

3.評価委員会の総評

評価委員会においては、以下の観点から評価を頂きました。

○ 社会にとってのテーマの重要性及び緊急性

老朽化、高齢化、賃貸化、耐震性、自主管理、第三者管理、建替え、長期修繕、既存不適格、コミュニティ機能など、マンションの問題を検討する上で重要となっているテーマを取り上げているか。

○ 当該マンションにとってのテーマの重要性及び緊急性

当該マンションにおいて、取組むべき課題(事業の目的、必要性)が明確になっているか。

○ 提案内容の具体性

事業内容が具体的になっているか。

○ 事業実施によって期待される効果の大きさ

モデル事業として採択されることによって、その取組み及びプロセスの公表を通じて、他のマンションにおける取組やマンション政策の検討に寄与する成果が得られると期待できるか。

○ 事業費積算の妥当性

 

提案内容に関しては、今年度創設された事業ということもあり、単純な計画策定や調査診断等を行うのみに留まる内容など、本事業の趣旨を踏まえ切れていない提案が散見された一方で、維持管理・再生に係る様々な課題の解決のためのプロセスのモデル性に重点を置いた多様な提案も見受けられたという評価を頂きました。

併せて、紛争が発生し本事業の目的が達成されない懸念がある又は紛争当事者の一方に訴訟費用等を助成することとなる内容については、採択対象外とすることが望ましいというご意見を頂きました。

 

4.採択の結果

国土交通省においては、上記3.の評価委員会での評価を踏まえ、36件(事業主体がマンション管理組合のもの27件、事業主体がマンション管理組合の活動を支援する法人のもの9件(31管理組合))の提案を、モデル事業の対象として適切と判断し、採択することを決定致しました。内訳は表4のとおりです。

採択結果一覧については別紙をご参照ください。

 

 

☆ 事業の詳細及び応募書類については、住宅局ホームページをご覧下さい。

HPアドレス:http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/manseimodel.htm

 

  


表1:評価委員会委員名簿

 

委員長

秋山 哲一

戎 正晴

齊藤 広子

篠原 みち子

東洋大学教授

明治学院大学教授・弁護士

明海大学教授

弁護士

 

 

表2:タイプごとの取組み内容の概要

 

[1]管理の適正化を図るマンション

マンションの建物の状態を適切に把握していない、長期修繕計画がない、過去に大規模修繕工事を実施していない等の理由により、計画的な管理が行われておらず、今後の適正な維持管理が懸念されるマンションであって、その管理の適正化を検討する。

[2]第三者管理者方式に取組むマンション

高齢化や賃貸化の進行等により、マンション管理の担い手が不足しているマンションにおいて、区分所有者以外の第三者を管理者に選任して、マンション管理を行う。

[3]老朽マンション

建物の老朽化、エレベーター未設置、空室化の進行等の問題が顕在化しているものの、建築基準法上の既存不適格建物であること、敷地の権利関係が複雑であること等から、これらの対応策を検討する。

[4]団地型マンション

・団地型マンションにおいて、団地全体と各棟の管理の役割分担等についての調整や見直しを検討する。

・団地の段階的な建替え等、各棟のニーズや意向に応じた再生の取組みを検討する。

 


表3:マンション等安心居住推進事業(モデル支援に係る事業)の応募内訳

 

○事業主体がマンション管理組合のもの:64管理組合

 

マンションタイプ

マンション管理組合数

管理の適正化を図るマンション

22

第三者管理方式に取組むマンション

老朽マンション

23

団地型マンション

16

合計

64

 

 

○事業主体がマンション管理組合の活動を支援する法人のもの:12法人

 

マンションタイプ

支援する法人が支援する

マンション管理組合数

管理の適正化を図るマンション

26

第三者管理方式に取組むマンション

老朽マンション

15

団地型マンション

合計

59

 


表4:マンション等安心居住推進事業(モデル支援に係る事業)の採択内訳

 

○事業主体がマンション管理組合のもの:27管理組合

 

マンションタイプ

マンション管理組合数

管理の適正化を図るマンション

第三者管理方式に取組むマンション

老朽マンション

11

団地型マンション

10

合計

27

 

 

○事業主体がマンション管理組合の活動を支援する法人のもの:9法人

 

マンションタイプ

支援する法人が支援する

マンション管理組合数

管理の適正化を図るマンション

12

第三者管理方式に取組むマンション

老朽マンション

10

団地型マンション

合計

31

 

添付資料

別紙(採択結果一覧)(PDF形式)PDF形式

お問い合わせ先

国土交通省住宅局市街地建築課マンション政策室 
TEL:(03)5253-8111 (内線39684)

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