平成24年3月13日

１．概要
　大管工業株式会社（本社：福岡県福岡市中央区、代表取締役：中島肇）が製造した合併処理浄化槽について、建築基準法第６８条の１０第１項の規定に基づく型式適合認定の添付図書の改ざん及び設計計算ミスがあったことが判明しました。

２．内容
　（１）型式適合認定の添付図書の改ざんについて
　　　平成２３年１１月１４日、福岡県から国土交通省九州地方整備局を通じて、大管工業株式会社が製造した合併処理浄化槽について、建築基準法に基づく型式適合認定の添付図書が改ざん、販売・設置されている疑いがあるとの報告を受け、同社に対し事情聴取を行うとともに、改ざん内容及び建築基準法への適合状況等を詳細に確認してきたところですが、その結果、次のような事実が判明しました。
　＜改ざんされた型式適合認定の概要＞
　　・型式取得者名：大管工業株式会社
　　・型式名：ダイカン浄化槽　ＤＫＴ－２Ａ型、ＤＫＴ－２Ｂ型
　　・型式適合認定番号：型01Cad0a1012643、型01Cad0a1012644
　　・型式適合認定年月日：平成１７年７月６日
　＜添付図書の改ざん箇所＞
　　・流入水質のＢＯＤ値（「200mg/l」を「200～450mg/l」に改ざん）
　　　※ＢＯＤ：生物化学的酸素要求量をいい、この数値が大きいほど水質が汚れていることを意味します。
　　・処理水槽の有効容量（「1,812～2,630m3」を「1,598～2,630m3」に改ざん）
　　・処理水槽の寸法（「650～1,040mm」を「600～1,040mm」に改ざん）
　　・消毒槽の有効容量（「2,035m3」を「1,645～2,035m3」に改ざん）
　　・消毒槽の寸法（「1,200mm3」を「1,000～1,200mm」に改ざん）
　　・チェッカープレートの寸法（「600×800、600×1200」を「600×800、600×1000、600×1200」に改ざん）
　＜建築基準法に基づく大臣認定への適合性の確認結果＞
　　改ざんされた物件について詳細に確認した結果、改ざん内容は建築基準法施行令第３５条第１項の規定に基づく大臣認定の内容には適合するものであり、建築基準法上の実態違反は認められませんでした。
　＜浄化槽法への適合性の確認結果＞
　　浄化槽法第１３条第１項の規定に基づく型式認定と異なる浄化槽を製造したことにより、浄化槽法上の手続き違反となります。
　（２）設計計算ミスについて
　　　型式適合認定の改ざんに関する調査を進める中で、個別物件において、嫌気濾床槽の有効容量の設計計算ミスがあり、必要容量を満たしていない場合があることが判明しました。このため、浄化槽より排出される放流水が水質基準を満たさない可能性があります。
　　　※嫌気濾床槽：流入汚水中の汚物、浮遊物質などを分離・貯留し、嫌気性菌の働きによりBODの低減と汚泥の減量を行うための槽。

３．国土交通省における対応
　（１）浄化槽法に基づく型式認定の取消し
　　　改ざんされた型式の合併処理浄化槽について、浄化槽法に基づく型式認定を取り消します。また、申請に基づき新たな型式適合認定（建築基準法）及び型式認定（浄化槽法）を行います。
　（２）設計計算書の訂正指示
　　　大管工業株式会社に対し、同社が納入した類似型式の合併処理浄化槽の設置物件をリストアップし、個々の物件についての設計計算書の訂正を指示しました。 特定行政庁において、訂正した設計計算書に基づき個々に法適合性を確認し、適合しない場合は必要な是正指導を行います。

（参考）
○型式適合認定（建築基準法第６８条の１０第１項）
　　事業者等からの申請により、建築設備等の型式部材が、建築基準法における一連の規定に適合するものであることをあらかじめ国土交通大臣（指定認定機関が指定されている場合は当該機関）が認定するもの。建築確認申請においては、型式適合認定書を添付することにより、申請図書の省略及び認定された内容に関する一連の審査が簡略化されます。
○型式認定（浄化槽法第１３条第１項、第１８条第２項）
　　浄化槽を工場において製造しようとする者は、製造しようとする浄化槽の型式認定を受けなければならないこととされており、浄化槽製造業者の主たる事務所の所在地を管轄する地方整備局長等が型式認定を行っています。また、型式認定と異なる浄化槽を製造した場合には当該型式認定が取り消されます。