報道・広報

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)の公表について

平成23年8月16日

民間賃貸住宅の退去時における原状回復をめぐるトラブルの未然防止のため、賃貸人・賃借人があらかじめ理解しておくべき一般的なルールを示した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について、さらなる普及促進などを図るために、記載内容の補足、Q&Aの見直しや新しい裁判例の追加などを行い、同ガイドラインの再改訂を行いました。

 

1.  改訂のポイント

(1) トラブルの未然防止に関する事項について、別表等を追加しました。

(2) 残存価値割合の変更を行いました。

(3) Q&A、裁判事例を追加しました。

 

2.  改訂の概要

(1)原状回復にかかるトラブルの未然防止

[1]賃貸住宅標準契約書との連動を意識とした原状回復条件様式の追加

     退去時の原状回復にかかるトラブルを未然に防止するためには、契約時に原状回復条件を契約書に添付することにより、賃貸人・賃借人の双方が原状回復に関する条件を合意することが重要です。そのため、契約書に添付する原状回復の条件(賃貸人・賃借人の改善負担分担、賃借人の負担範囲、原状回復工事目安単価等)に関する雛形の様式を追加しました。 

   [2]原状回復費用精算書様式を追加 

     原状回復にかかるトラブル防止のためには、契約段階(入口)における賃貸人・賃借人の合意が重要であることと同様に、費用精算(出口)の段階の透明化も重要です。そこで、費用請求の際の精算明細書の雛形を示し、各対象箇所の破損の状態を確認し、原状回復の精算を具体的に実施するようにしました。

   [3]特約について

     賃貸借契約において特約を設ける場合の要件について、現行のガイドラインに記載されている内容が不明確であるとの指摘を受け、最高裁判例やQ&Aを追加し、特約の有効性・無効性の考え方の明確化を図りました。

 

(2)税法改正による残存価値割合(10%1円)の変更

   ガイドラインにおいては、経過年数による減価割合については、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」を参考にするとしており、償却期間経過後の賃借人の負担が10%となるよう賃借人の負担を決定してきましたが、平成19年の税制改正によって残存価値が廃止され、耐用年数経過時に残存簿価が1円まで償却できるようになりました。このため、ガイドラインにおける経過年数の考慮も、税制改正に従った形で改訂しました。

 

(3)Q&A、裁判事例の追加

[1]Q&Aの追加

ガイドラインの運用等においてこれまでによくある質問として、具体的な事項のQ&Aを追加しました。

例)Q 賃貸借契約にクリーニング特約が付いていたために、契約が終了して退去する際に一定の金額を敷金から差し引かれました。このような特約は有効ですか。

     A クリーニング特約については[1]賃借人が負担すべき内容・範囲が示されているか、[2]本来賃借人負担とならない通常損耗分についても負担させるという趣旨及び負担することになる通常損耗の具体的範囲が明記されているか或いは口頭で説明されているか、[3]費用として妥当か等の点から有効・無効が判断されます。

 

Q 物件を明け渡した後、賃貸人から原状回復費用の明細が送られてきませんが、明細を請求することはできますか。 

      A 賃貸人には、敷金から差し引く原状回復費用について説明義務があり、賃借人は賃貸人に対して、明細を請求して説明を求めることができます。

 

[2]裁判事例の追加

前回のガイドライン改訂後に出された主な判例21事例を追加しました。これにより、掲載裁判例数は42事例となりました。

 

なお、今回の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)(平成23年8月)については、こちらからダウンロードできます。

お問い合わせ先

国土交通省 住宅局 住宅総合整備課 課長補佐  西川
TEL:(03)5253-8111 (内線 39-364)
国土交通省 住宅局 住宅総合整備課 賃貸市場整備係長  今駒
TEL:(03)5253-8111 (内線 39-365)

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