大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2024年6月28日(金) 10:52 ~ 11:19
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)令和6年版国土交通白書について

(大臣)

本日の閣議案件で、私から2点報告があります。
1点目は、「令和6年版国土交通白書」についてです。
本日の閣議で「令和6年版国土交通白書」を配布しました。
「令和6年版国土交通白書」では、深刻な少子高齢化と人口減少に直面している我が国の現状を踏まえ、「持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦」をテーマとしました。
このテーマに基づき、具体的には、人口減少の影響を最小限に抑えるための、防災、まちづくり、公共交通、物流、インフラなど、国土交通分野における施策の方向性を示した上で、今後の「持続可能で豊かな社会像」を展望したものとなっています。
また、令和6年1月1日に発生した能登半島地震における国土交通省の対応についても、「特集」として掲載しています。
詳細は事務方にお問い合わせください。

(大臣から)令和6年度の予備費使用の閣議決定について

(大臣)

2点目は、本日の閣議で、令和6年能登半島地震について、国土交通省関係では、公共土木施設の災害復旧に要する経費として、総額約658億円の予備費使用が決定されました。
後ほど資料を配付します。詳細は事務方にお問い合わせください。

(大臣から)能登復興事務所の体制強化等について

(大臣)

このほか、私から3点報告があります。
1点目は、閣議案件との関連で、能登復興事務所の体制強化などについてです。
復旧・復興事業を迅速に進めるため、現地に設置している能登復興事務所、金沢港湾・空港整備事務所、能登上下水道復興支援室について、本復旧を加速するため、7月下旬に体制を強化します。
これにより、応急的な体制から、緊急増員も活用し総勢100名規模の安定的な体制に移行することになります。
このほか、復興まちづくりについては、8月以降、朝市イベントなどの先行的な復興プロジェクトの実施や、国・URの支援体制の強化に取り組みます。
また、液状化対策については、7月末までに、液状化被害を受けた住宅の傾斜修復・再建に着手します。
今後は、7月1日に政府として設置する「能登創造的復興タスクフォース」の下、関係機関とも連携し、引き続き、被災地の復旧・復興に全力で取り組んでいきたいと思っています。
詳細は事務方にお問い合わせください。

(大臣から)自動車運送業等の担い手確保に向けた防衛省・自衛隊との連携について

(大臣)

2点目は、自動車運送業などの担い手確保に向けた、防衛省及び自衛隊との連携についてです。
バス・タクシー・トラックなどの自動車運送業や自動車整備業では、担い手不足が大きな課題となっています。
自衛隊では、多くの自衛官が50代半ば、または30代半ばまでに退職することとなっており、令和4年度には合計約8800人が退職していることから、防衛省では、退職自衛官の再就職支援が重要となっています。
退職自衛官の皆さまは、職業訓練として毎年度1500名程度が大型免許や二種免許、自動車整備士の資格を取得しているなど、自動車運送業などにとって即戦力として期待されています。
こうしたことから、この度、国土交通省、防衛省、業界団体の3者において、自動車運送業などの担い手確保と退職自衛官の再就職支援などを連携して進めていく体制を構築することとしました。
これにより、既に北海道で先行的に行われていますが、自衛官向けのバスやトラックの運送体験会などをこれから行っていきたいと思っています。
また、就職説明会も行っていく予定です。
これらの取組を全国各地で行っていきたいと考えています。
これは北海道の例ですが、参加した自衛官の声として、就職先の一つの選択肢になった、バスに対する興味が倍増した、説明会を継続してもらいたいという声もあったと聞いていますので、これを全国で行っていきたいと思っています。
後ほど資料を配付します。詳細は事務方にお問い合わせください。

(大臣から)日本版ライドシェアの雨天時に対応したバージョンアップについて

(大臣)

3点目は、「日本版ライドシェア」の雨天時に対応したバージョンアップについてです。
地域交通における「担い手」や「移動の足」不足への対応として、「日本版ライドシェア」を4月に開始したところです。
6月27日までに、既に15地域において運行が開始しており、各地域のマッチング率については、概ね改善されているところですが、強い雨などの悪天候の場合に、マッチング率が下がるというデータが確認されています。
このため、「日本版ライドシェア」のバージョンアップの一環として、7月1日より大都市の12地域において、天気予報で一定の強さの雨が予測される時間帯には、これまで「日本版ライドシェア」の対象ではなかった時間帯であっても「日本版ライドシェア」を使用可能とするとともに、既に対象となっている時間帯については、使用可能な車両数を増やします。
これにより、雨天時の「移動の足」不足の解消を目指してまいります。
また、引き続き、「日本版ライドシェア」のバージョンアップと全国展開を進めていきたいと思っています。
今日も雨が降っていますが、これは予報によると、時間雨量が5ミリ程度だそうですが、5ミリから今回の雨天時のバージョンアップの対象としていると、これは後から事務方から詳しい説明があるかと思いますが、今日もある人が呼んでみたら中々やはり雨が降っていて捕まりにくいという現象があるそうです。
こういうところにもきちっと対応できるような「日本版ライドシェア」のバージョンアップ、それから「公共ライドシェア」を積極的に進めていきたいと思っています。私からは以上です。

質疑応答

JOINの損失計上について

(記者)

幹事社から2点お伺いします。
まず1点目ですが、企業の海外インフラへの投資を支援する官民ファンドのJOINが、今週巨額の損失の計上を発表しました。
このことに対する大臣の受け止めと、国土交通省の監督責任について、どう考えていらっしゃるのかお願いします。

(大臣)

JOINの2023年度決算において、複数の個別事業について損失計上を行ったことにより、約799億円の当期純損失を計上したと承知しています。
今回損失計上した個別事業の大部分は、ミャンマーにおける都市開発3事業やテキサス高速鉄道事業などです。
JOINとしてはこれらの事業を継続し、今後も事業の実現や事業価値の向上に取り組んでいくものの、監査法人の意見も踏まえ、会計ルール上の整理に従って損失計上したものと承知していますが、国土交通省としては、今回の多額の損失計上に至った事実を重く受け止めています。
そのため、国土交通省に、官民ファンド、金融実務、海外プロジェクト、組織ガバナンス等に関する学識者・専門家から構成される有識者委員会を設置し、JOINの役割、あり方、経営改善策などの幅広い論点について、例えば、収益確保に向けた、より適切なポートフォリオのあり方なども含め、検証・検討していただくこととしました。
できるだけ早く立ち上げたいと思っています。
また、国土交通省の監督責任についてですが、JOINは、我が国事業者の海外市場への参入を促進するため、資金の供給や専門家の派遣などの支援を行う組織です。
このため、JOINの投資は、その目的により、おのずから、民間金融機関が担うことの難しいリスクマネーの供給を行うものとなっており、とりわけ海外インフラ投資は、投資から回収までに長期間を要し、投資先地域のカントリーリスクなどの事業環境にも左右されるものが多くみられるといった特性を有しています。
国土交通省としては、今般損失として計上したミャンマーにおける都市開発3事業やテキサス高速鉄道事業などを含め、これまでのJOINの支援事業の認可に当たっては、支援基準に照らして適切に判断してきたところです。
また、認可後においても、JOINに対して必要な指導を行っているほか、現地政府等への働きかけも実施してきています。
私もブラジルの案件ですが、手紙を書いたり、また副大臣がブラジルに行って交渉してきたりということもしています。
先ほど申し上げた有識者委員会での検討結果も踏まえながら、引き続き、国土交通省としての監督責任を果たしていきたいと思っていますし、国土交通省としての監督責任がどういうものであるべきかということについても、この有識者委員会で議論していただきたいと思っています。

踏み間違い防止機能の搭載義務化について

(記者)

2点目です。
国土交通省が、車のアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置の搭載義務化の検討に入り、来年6月に道路運送車両法に基づく省令を改正して、新車に搭載を義務化するという一部報道がありました。
この事実関係ですとか、現在の検討状況についてお願いします。

(大臣)

ドライバーの意図しない加速による衝突を抑制する「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」については、これまでの日本国内でのペダル踏み間違いによる悲惨な事故の発生状況などを踏まえ、2022年に日本がその国連基準策定を提案するなど、議論を主導してきたものです。
現在開催中の国連自動車基準世界フォーラム(WP.29)の作業部会において、加速抑制装置の性能基準が決まりました。
次回本年11月のWP.29(親委員会)で正式に採決予定となったところです。
今後は、来年6月に予定されている国連基準の発効に合わせて、国内基準を整備し、義務化に向けた準備を進めていきたいと思っています。
国土交通省としては、引き続き、自動車の安全性向上を推進してまいります。

JOINの損失計上について

(記者)

大臣に何点か質問させていただければと思っています。
いずれもJOINの関係です。
まずお話をお伺いさせていただければと思いますが、先ほど監督責任について大臣お話くださったと思います。
そこについては、基準に従って適切に判断してきたということで、文意として責任はなかったということをおっしゃっておられるかと思います。
国土交通省の監督責任はなかったという理解でいいのか、あったとすればどういったところなのか、仮にあったとすれば、どういった形でどなたが責任を取られるお考えなのか、大臣のお考えをお伺いできればというのが1問目です。

(大臣)

先ほど答弁申し上げたように、これまで一つ一つの案件については、認可する基準に従って認可してきたつもりです。
その上で、しっかりこの監督責任を果たしていかなくてはいけないということですが、今回のいわゆるインフラ投資のリスクマネジメントをどう管理するか、第一義責任はJOINにありますが、それを監督する者としての、その監督がどうあるべきかということについては、国土交通省として常に自覚をしていかなければならない。
そういう意味で、今回多額の損失を計上したことについては我々、先ほど申し上げたように、深く受け止めています。
そういう意味で深く受け止めているからこそ、今回有識者委員会を設置し、先ほど申し上げましたが、国土交通省の監督責任のあり方も含めて、議論をしていただきたいと思っています。
全く我々は国土交通省として責任ありません、などと言うつもりはありません。
しっかり責任を果たすあり方を我々としても考えていきたいと思っています。

(記者)

次の質問ですが、大臣、長く公明党で税制調査会長をやっておられて、税金のあり方ということは見識が深い方だと理解しています。
その上で、この事業は税金でやっているものでは基本的になくて、財政投融資の枠組み、産業投資でやっていると。御承知のとおりこれについては、基本的に利益が上がることが有望な案件について出すということで、これは国庫に返納するということが前提になっています。
その返納がなければ、国庫に対する納付金、税外収入がなくなることになるので、いずれ国民が国民負担することになるという仕組みになっていると私は理解しています。
その上で、いろいろな公益性を先ほどおっしゃってくださいました。
公益性があるとすれば、官民ファンドをやる十分条件ではなくてあくまで必要条件の一つでなければならない。
それはやはり元本を返済した上で、ファンディングする国債の金利部分は返済するというのが前提の立て付けの制度になっていると思います。
そこで大臣に伺せていただきたいと思います。
現行計画の2031年度に実績損失を解消する計画になっています。
これだけの巨額の赤字を計上している中で、今後、国民負担が発生しない形に持っていけるのかどうかについて、大臣のお考えを伺えればと思います。

(大臣)

今回、会計ルールに則って、また、監査法人のアドバイスもいただきながら損失計上したものです。
いずれもまだ継続案件です。
この継続案件の中で、しっかり将来、この事業が成り立っていくような最大限の努力をするというのが、直接の答えにはなっていませんけれども、まず我々国土交通省、またJOINがとるべき対応だろうと思います。
その上で、その他にもいろいろJOINは事業をやっています。
そういう中でトータルで考えて、財政投融資とはいえ、最終的に国民負担になる可能性がある事態を避けるために、全体としてしっかりとプラスになるように全体のマネジメントもしっかりしていかなくてはならないと思っているところです。

(記者)

たしか今から5年前だったと思いますが、江藤(えとう)農林水産大臣だった頃、()()FIVE(ファイブ)で似たような事例があったと認識しています。あの時はA-FIVEを廃止するという判断をされたということだと思うのですが、今回、第三者委員会を設置してあり方を考えていただくということですが、そのあり方を考えるという選択肢の中には、廃止は含まれるものなのか、それとも存続を前提とした上で事業の修正を図るというものなのか、その位置づけについて大臣の考えを伺えればと思います。

(大臣)

今回、有識者にお伺いする事態になり、先ほど申し上げましたが、JOINのあり方ということ、そしてそういう意味ではそもそもの存在意義ということからも議論していただく、当然そもそもから議論していただくということだと思っており、そういう風に期待をしています。

(記者)

今回の公表で若干気になるのが、全体で799億円の損失が2024年3月期で発生したと、その内訳についてはミャンマーとテキサスを示してくださっていて、だいたい600億円くらい。
そうすると残り200億円どうなのという話になってくると思うのですが、公金を使った投資の中で損失事案、巨額の損失があった場合、内訳というか事案をしっかり説明できないというあり方の中で、このような官民ファンドという制度が運用されて良いのだろうかということは、疑問を持つ国民の方もいらっしゃると思います。
そこについて大臣はどう考えておられるのか、今後改善を考えておられるのであればどうされるべきと考えているのか伺えればと思います。

(大臣)

官民ファンドという性質上、非常に公的色彩の強いお金を使いながら、それを株主との、また株主間の契約に基づく守秘義務、詳細を公表できないものがある、これは是非御理解をいただきたいと思います。
先ほどの質問に対しては、守秘義務で明らかにできないものがあることは御理解いただきたいのですが、それ以外のものについてはできるだけオープンにしなくてはいけないと思います。
今日の午後、ブリーフィングを事務方からさせますので、そこで明らかにできるものは明らかにしていきたいと思っています。

(記者)

質問というより要望も含めてなのですが、これまでの事案で申し上げると、例えばミャンマーの事案は既に民間企業が損失を開示している。
質問主意書でも国会でも議論になった話だと思うのですが、守秘義務を理由に皆さまそれについては減損の有無すら公表しなかったという問題がありました。
民間企業は守秘義務がある中で公表できるものを、より透明性を持つべき交付金で公表できないというのは、やはり説明がつかないのではないだろうかと。
仮にその守秘義務を被るのであればそもそも投資するべきではない、あるいは先方との契約を当初から公表できるようにするべきであると思っており、今後改善を考えていただけると有難いと個人的に思っております。
また、公表の時期ですが、共同で出資している企業は、ものによっては既に3年くらい前から公表しているところがあります。
その中でやはり問題を先送りしてきたのではないだろうかという印象は否めません。
この件について大臣はどのようにお考えなのか伺えればと思います。

(大臣)

まずミャンマーの件ですが、まず一般的に事業の損失計上を行うかどうかは各社の判断によるものと承知していますが、JOINの2022年度決算においては、監査法人の意見も踏まえ、ミャンマーの情勢の変化の可能性を考慮して、損失として計上しないこととしたものと聞いています。
他方、今般の決算にあたっては、総選挙の延期など、ミャンマーの直近の情勢を考慮し、損失として計上したものと聞いているところです。
いずれにしてもJOINにおいては毎年度決算において、監査法人の意見も踏まえながら、会計ルールに則って、損失計上の要否について判断をしているということで、また監査法人からも適正との意見を得ているということで聞いています。
しかしながら、非常に公的色彩の強いお金を使っているという自覚のもとに、これをどうあるべきかということについては、今回の有識者委員会でしっかり議論していただきたいと思っています。

(記者)

清水建設、民間企業で働いていらっしゃった大臣には言わずもがなだと思いますが、そもそも監査法人の適正意見がなければ決算が事実上できないということなので、監査法人が認めたというのは決算を発表しましたと言っているのとほぼ同義の話なのかと、監査法人が良いと言ったのだから良いだろうという話ではないのかもしれませんが、そうだとすると公的機関としての責任回避だという印象は拭えません。
元々、非上場企業の株式の公正価値というのを評価するのは元々難しい話なので、幅広い見方があり、唯一絶対の解がないケースが多いと思います。
それを損失処理としてどう捉えるかというのは、まさしく事業会社がどう考えるのかということが、まず第一義的に求められる問題だと私は思います。
その中で監査法人が認めてきたというのであれば、これまで皆さまの側から監査法人に対して、これは損失計上すべきだと言って止められたという事実があるのかどうか、そこを明らかにしていただきたいと思います。

(事務方)

担当の参事官です。
JOINの会計処理についてはミャンマーの件も含め、監査法人の意見も踏まえながら、JOINとしても監査法人といろいろやりとりし、処理しているところです。
その上で、監査法人の適正との意見を受けているところであり、その中で適性のものに落ち着いているということで理解しています。

(記者)

多分、大臣がおっしゃってくださったことをまたおっしゃっていただいて、必ずしもストレートに答えていただいていないのかなと思いますが、この場でこのやりとりが続くのはあまり生産的ではないと思いますので、またそこについてはいろいろお話をさせていただければと思います。

(大臣)

今日午後、先ほど申し上げたようにブリーフィングをします。
そういうことも含めて、また細かい点について御質問いただければと思います。

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