大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2024年4月26日(金) 9:01 ~ 9:16
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)ベトナム・シンガポールへの出張について

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
来週28日(日)から5月2日(木)にかけて海外出張をします。
ベトナム・シンガポールの出張についてです。
今回の出張では、ベトナムとシンガポールを訪問しますが、まず、ベトナムにおいては、我が国企業が参画を目指している事業についてのトップセールスや、我が国の企業が既に参画している事業への未払いや手続き遅延等が発生している状況に対するトップクレームなどを行ってまいります。
また、シンガポールにおいては、海事、港湾をはじめとした、国土交通分野における両国間の協力についての意見交換や、来年秋のICAO理事会議長選挙に立候補している、国土交通省航空局大沼(おおぬま)次長について、理事国であるシンガポールに対する必要な働きかけなどを行ってくる予定です。
詳細は事務方にお問い合わせください。私からは以上です。

質疑応答

IHI原動機データ改ざんについて

(記者)

IHI(アイエイチアイ)原動機が、船舶エンジンなどの燃料消費率データを改ざんしていたことを発表しました。
これまでに国土交通省で把握している事実関係と今回の件に対する受け止め、今後の対応についてお聞かせください。

(大臣)

一昨日(24日)、株式会社IHI原動機及び親会社の株式会社IHIより、「IHI原動機が製造する舶用エンジン等について、試運転時に行う燃料消費率の測定において、データが改ざんされるという不適切な行為があった」旨の報告を受けました。
このような事態は、ユーザーからの信頼を損なう行為であり、また、船舶の環境・安全性能の確保の観点からも極めて遺憾です。
この報告を受け、国土交通省としては、両社に対し、不正の全容を解明し、再発防止策を策定すること、関係事業者への丁寧な説明や対応に努めること、などを指示するとともに、まずは来月末までに、その時点で判明・措置したことを報告するよう求めているところです。
あわせて、今般データ改ざんが行われた燃料消費率に関連する、船舶用エンジンのNOx(窒素化合物)規制に係る規則の遵守が確認されるまでの間は、IHI原動機に対する関連証書の交付は行わない旨を伝達したところです。
国土交通省としては、今申し上げた規則遵守状況の確認も含め、昨日から、IHI原動機の工場への立入検査を行い、事実関係の確認を進めているところですが、その内容等については現時点で予断をもってお答えすることは差し控えさせていただきます。
いずれにしても、国土交通省としては、必要な調査を速やかに実施し、事実関係の確認を行った上で、厳正に対応していきたいと思います。

海上保安庁船艇への影響について

(記者)

IHI原動機に関連してなのですが、海上保安庁の船にもエンジンを納品していると聞いています。
海上保安庁の業務への支障も含めて今後の対応などを教えてください。
あと、関連証書の交付を停止したことによる巡視船の造船、建造にも影響があるのかないのか、その点も含めて教えてください。

(大臣)

お尋ねのあったとおり、海上保安庁の巡視船艇の一部において、IHI原動機が製造したエンジンを搭載しているとの報告を受けています。
海上保安庁では、建造中の巡視船も含め、まずは、データ改ざんが行われたエンジンが納品されているかどうかを確認するため、IHI原動機に対して、詳細な説明を求めている段階であると聞いています。
どの船のどのエンジンかということを一つ一つ確定したいということです。
その報告をIHIに対して説明を求めています。
お尋ねのIHI原動機の証書交付停止による巡視船の建造への影響については、まずは、IHI原動機からの詳細な説明を踏まえて判断していくものであり、海上保安庁において、適切に対応していくものと承知しています。
詳細については海上保安庁にお尋ねください。

大手企業の技術部門による不正について

(記者)

もう1点お願いします。
日野自動車に始まり、ダイハツ・豊田自動織機による不正、今回、更にIHI原動機によるデータの改ざんがあったと承知しています。
近年、乗り物や部品の製造大手企業の技術部門で不正が相次いでいることに対しての大臣の受け止めをお聞かせください。

(大臣)

御指摘のとおり、近年、交通関連の大手メーカーにおいて、不正が複数確認されています。
御質問にあった自動車関連の事案について、国土交通省では、自動車メーカー各社に対し、道路運送車両法に基づく是正命令の発出や型式指定の取消しを行うなど、不正を起こさない体制をつくるため、厳正に対処してきたところです。
そのような中、今般、船舶用エンジン等の分野においても、データ改ざん事案が新たに発覚したことは、極めて遺憾であり、重く受け止めています。
国土交通省としては、今般の事案についても、事実関係の確認を行った上で厳正に対応することにより、我が国の交通分野における安全及び環境性能に対する信頼の確保に努めていきたいと思います。
私も民間企業の技術分野で研究もし、技術分野で育ってきた人間です。
一技術者としてデータを取っていると、予測した、ほぼこんなデータが取れるのではないか、と思っているときに飛びだしたデータが出ることがあります。
そのほとんどは間違いで出るのですが、そうではない場合もあります。
そうではない場合に、ある意味では技術的にはそこに宝の山があると言われています。
つまり、そこに新しい現象が現れているのではないかとか、期待するデータ、予測するデータから外れたデータが出た時に、技術者はそこに注目せよというのが、私も技術者として生きてきて教えられたことです。
そういう意味で、今回は規則との関係なので、今私が話していることと直接関係ないかもしれませんが、そういうデータが出てきた時に、正直に何でこういうデータが出てきたのだろうというのを見ることが、技術者の良心であり基本だと思います。
そういう意味で今、日本のものづくりの現場で技術者魂が失われてきているのではないか、ということをその分野で育ってきた人間として、大変危惧をしており、もう一度ものづくり大国日本の基礎を支える技術の分野を大きく育てるためにも、しっかりと二度とこのようなことがないような日本のものづくりの現場にしていくという決意で私も取り組んでいきたいと思います。

人口減少問題について

(記者)

人口減少についてお伺いします。
少子高齢化に歯止めがかからず、弊紙朝刊でも今日、賃上げだとか魅力ある都市づくりへの提言を行っております。
国土交通省として、人口減少に関する現状認識と対策についてお伺いします。

(大臣)

今朝の読売新聞の提言を読ませていただきました。
各分野での提言、非常に関心を持って読ませていただきました。
国土交通省関係では、地域づくり、若者が住むような地域づくり、そういう提言もありました。
非常に参考にさせていただきたいと思います。
4月24日、経済界や有識者等で構成される人口戦略会議において、全自治体の約4割に当たる744自治体が、将来的に消滅の可能性が高い「消滅可能性自治体」に該当する、などを内容とする報告書が公表されました。
国でも、2050年には現在の居住地域の約2割が無居住化すると試算しており、東京一極集中の傾向と相まって、特に地方の生活・経済の存立そのものが脅かされ、我が国全体の更なる人口減少にも繋がることを懸念しています。
こうした課題認識を踏まえ、昨年7月に閣議決定した新たな国土形成計画において、「新時代に地域力をつなぐ国土」を掲げ、地域の力を最大化し、地方への人の流れを創出・拡大することで、東京一極集中を是正すること、それから、これにより人口減少・流出の流れを変え、安全・安心で個性豊かな地域を全国に広げることで、未来に希望を持てる国土への刷新を図ることとしています。
国土交通省としても、この実現に向け、地域公共交通や買い物、医療・福祉・介護、教育などの暮らしに必要なサービスが持続的に提供される「地域生活圏」の形成をはじめ、今国会に法案を提出している「二地域居住」の促進、安心して子供を産み育てられる「こどもまんなかまちづくり」の推進など、様々な施策を総動員して取り組んでいるところです。
引き続き、デジタルの活用など新たな方策も取り入れながら、人口減少問題の解決に全力で取り組んでいきたいと思っています。

ゴールデンウィークのオーバーツーリズムについて

(記者)

世界的にオーバーツーリズムが問題になる中で、ゴールデンウィークに入ろうとしています。
国としてもいろいろな対策を講じたり、実証実験を行ったりしていますが、改めて呼びかけたいことがあれば、お伺いさせてください。

(大臣)

ゴールデンウィークとオーバーツーリズムということですが、昨年10月に観光立国推進閣僚会議において、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」を決めたところです。
この対策パッケージでは3点柱があります。
一つが「観光客の集中による過度の混雑やマナー違反への対応」、それから「地方部への誘客の推進」、それから「地域住民と協働した観光振興」の三つの柱を立てました。
この三つの柱に則して言うと、今回ゴールデンウィークでいろいろなところに行かれたとしても、マナーを守って行動していただきたい、楽しんでいただきたい、みんなが楽しむためにマナーを守っていただきたいということと、地方部への誘客の促進ということで、できるだけ地方へ行っていただきたいということかと思います。
最も今、自然が美しい季節ですので、大いに楽しんでいただければと思います。
それから、今朝テレビでも何日が渋滞をするというような報道がありましたが、各高速道路会社が渋滞予測もホームページ等で発表しています。
それらを見ていただいて、できるだけ渋滞にかからないように旅を楽しんでいただければと思います。

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