大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2023年3月14日(火) 9:06 ~ 9:22
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)再配達削減PR月間について

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告することはありません。
このほか、私から1点報告があります。
「再配達削減PR月間」についてです。
トラックドライバーに対する時間外労働の上限規制が適用される2024年4月まで、あともうすぐ残り1年となります。
国土交通省では、これまでも宅配便の再配達削減に取り組んできましたが、このたび、2023年4月、来る今度の4月を「再配達削減PR月間」と位置づけ、経済産業省、そして宅配事業者、eコマース事業者や通販事業者の皆さまと連携して、政府広報も活用しながら、再配達削減に向けた取組みを強力に推進していくこととしました。
「再配達削減PR月間」の期間中には、宅配事業者等の皆さまと連携して、消費者の皆さまに再配達の削減に向けた協力を呼びかけるとともに、国土交通省のHPにおいて、民間事業者の取組みの一覧を掲載し、取組内容をわかりやすくお示しする予定です。
再配達の削減に当たっては、国民の皆さまの御理解と御協力が大変重要です。
パネルを用意しました。
パネルに記載しているような取組みを実施していただき、再配達の削減に向けてより一層の御協力をお願いします。
生活者も荷物を送る立場、受け取る立場としてできることがあります。
ぜひ御理解を賜りたい、このように思います。
一つは宅配ボックス、置き配を活用しよう。これらは街中にある宅配ロッカーを活用しようとか、コンビニ受け取りを活用しようとか、ということとも連動します。
もう一つはどうしても本人が受け取らなければならない、例えば冷凍の物ですとか、そういう物については1回で確実に受け取れるような場所を指定しようとか、そのために配送状況の通知アプリを活用しようとか。
その他のいろいろな我々にできることをこういうポスターに掲げさせていただき、御協力を呼びかけたいと思っています。
この2024年問題を解決するにはもちろん業界の皆さまの御協力そして我々も全力を挙げますが、どうか国民の皆さまにも御協力いただきたい。
それが日本の今の困難を乗り越える大きな力になるということでどうかよろしくお願いします。
私からは以上です。

質疑応答

引越時期の分散化に向けた取組について

(記者)

これからの時期、進学や就職に伴う引越が増えてくる時期かと思いますが、これまで把握されている混雑状況ですとか、引越の予定のある方に求める対応などがあれば教えてください。
引越時期が年度末や4月頭ぐらいに集中することへの構造的な解決策として国土交通省として実施検討しているような政策があればお聞かせください。

(大臣)

今まさに3月、4月の引越しシーズンといわれるそういう期間に入ってきました。
まず、本年春の引越の予約状況についてですが、3月中旬又は4月中旬以降は比較的余裕がある状況です。
引越を御予定の皆さまにおかれましては、混雑時期をできるだけ避け、引越時期の分散に向けて御検討・御協力をお願いします。
国土交通省では、引越が3月から4月に集中するという課題を踏まえ、引越時期の分散化に向けた取組を行っています。
具体的には、関係機関の御理解・御協力を得ながら、経済団体を通じて、各企業における従業員の異動時期や引越時期の分散化を要請しました。
また、要請しています。
この他国公立・私立大学構内や地下鉄駅構内における周知、カレンダーで、こういう混雑状況だからこの日に引越してもらうと比較的空いてるとかのポスター等ですが、こういう周知等にも取り組んでいるところです。
また、国家公務員に対する取組みとして、内閣人事局から関係省庁に対して、国家公務員の人事異動時期の分散等の取組みを依頼しているところです。
さらに、全国の地方運輸局等において、引越のトラブルなどに関する情報提供をいただくための窓口を設置し、必要に応じて、悪質な事業者への指導等を行っています。
国土交通省としては、このような取組を進めることにより、引き続き、引越時期の分散化に努めてまいりたいと思っています。

再配達削減PR月間への期待と物流の2024年問題への対応について

(記者)

今日発表されました、再配達削減キャンペーンについてお伺いします。
宅配ドライバーの方取材していますと、再配達となるとその日の内に3回、4回、もう一回と訪ねて、それでもだめだと翌日に行くというような、見ていても余計な仕事だなと思うことがあります。
この再配達の削減のキャンペーンを今の時期に行う、やはりネット通販も増えていますし、この時期に行う狙いとか背景を改めてお聞きしたいのと、あと今、大臣もお話しされていた2024年問題に関する、いろいろな問題があると思うのですが、どのように、どこから手を付けて解決していくのかというお考えを改めてお聞きしたいと思います。

(大臣)

いわゆる2024年問題により、物流への影響が懸念されていることから、取引環境の適正化などを通じた担い手の確保、生産性向上が喫緊の課題になっています。
今この我々お願いをするということですけれども、まさにこの問題が大きな2024年問題の課題になってきた、ちょうどその1年前ということもございます。
これを踏まえ、貨物自動車運送事業法に基づく荷主等に対する「働きかけ」や「要請」に加え、物流DXやモーダルシフトによる輸送の効率化等に取り組んでいますが、荷待ち時間や再配達の回数を削減するためには、荷主や消費者の方々の御協力も必要です。
非常に重要です。
このため、荷主を所管する経済産業省や農林水産省と共同で検討会を開催し、荷主や消費者も一緒になって、より実効性のある措置に取り組めるよう、検討しているところです。
このような取組みの一環として、今回は、再配達の削減に向けて、宅配事業者等の皆さまと連携して、消費者の皆さまに再配達の削減に向けた協力を呼びかける取組みなどを実施することとしました。
今回のPR月間を通じて、再配達の削減に向けた機運が高まり、物流の生産性向上がより一層進むことを期待するとともに、引き続き、関係省庁・産業界と緊密に連携し、スピード感を持って、2024年問題に対応してまいります。
2024年問題、これは特に物流業界にとって大きな課題です。これをどう解決していくか。
そのためにもちろん我々も荷主団体等にいろいろな効率化に向けてのお願いをしているところですが、もう一つ、その荷物を受け取る消費者、国民の皆さまにもお願いをさせていただきたい。
こういう検討会のお考えもあり、今回、国土交通省先頭に立って国民の皆さまに御理解をいただきお願いをしていこうとした次第です。

トラック下請け事業者への適正な価格転嫁について

(記者)

今の2024年問題、私も何年も追いかけています。
今のお話で官民一体、あるいは荷主、あるいは利用者と相互に連携して効率化を図るのはその通りだと思いますが、やはりその目を向けなきゃいけないのは中小零細事業者と運転手さん。
それも中小零細事業者で働いている運転手さん、しかも出来高の人もたくさんいます。
やはり繁閑の差が激しい、年末はすごい混んでましたけども、年明けは逆に非常に荷物が少なかったということで、出来高の方たちが苦労されていてアパートの家賃も払えないという方をたくさん見聞きさせたいただき、お話もさせていただきました。
やはりハイライトを当てるべきは、大手の荷主さんもそうですし、大手の宅配業者あるいは運送業者もそうなのですが、そこを支えている下請けさんですよね。
そこをいわゆる全体底上げをしていかないと、いつまでたっても、トラックの運転手をやろうという人は現れないだろうと。
是非、その一番底辺という言い方は当たらないんですけど、支えている、苦労してくださっている方、今960も、あるいは215、430も全然守られていませんと。
そこにどのように手を打っていくのか、決めるのは、当局であったり有識者の会議だと思うのですけど、やはり大臣には是非リーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、若干、決意があればいただきたいと思います。

(大臣)

まったく同じ問題意識を持っています。
この物流業界、特にトラック業界の多重構造が非常に大きな課題だと思っています。
しかし、多重構造そのものは、現在の日本の社会構造の中で、一朝一夕にすぐ解決できる問題ではありません。
下請け業者が元請け業者に対して価格転嫁をきちっとできるかどうかというところが、一番のポイントだと思います。
トラック運送業は中小企業が多く、荷主などに対する交渉力が弱い状況にあることから、安定的な物流を確保するためには、価格転嫁を進めることができる環境を整備することが重要と認識しています。
政府においては、トラック運送業も含めて適正な価格転嫁を進めていくために、令和3年末に関係省庁が連携して、転嫁円滑化施策パッケージをとりまとめたところです。
岸田総理中心に、私ももちろん参加させていただきました。
そして、物流業界からは、トラック協会の会長など、運送業界の方も参加しました。
そこで総理中心に、この価格転嫁がしっかりできるようにということで、いろいろな経済団体、経団連をはじめとする、全国の商工会議所をはじめとする経済団体に要請をしたところです。
国土交通省としては、この施策パッケージに基づき、関係省庁と連携して、価格転嫁の推進に向けた取組を進めてまいりたいと思います。
(事務方に対し)具体的に言ってもらえますか。

(事務方)

事務的に補足させていただきます。
大臣が御指摘いただいた転嫁円滑化施策パッケージに従いまして、国土交通省では、先ほどおっしゃっていただきました貨物自動車運送事業法に基づく働きかけ制度であったり、標準的な運賃の周知浸透であったりに取り組んでいます。
また、多重下請け構造の是正については、業界、全日本トラック協会さんの方でも原則2次までに制限するといった自主行動計画を策定されているなど、業界においても取組が進められているところです。
加えまして国土交通省としては、運賃ですとか運送について違反事例を示したガイドラインを策定していたり、元請け運送事業者をメンバーとする適正取引のための会議を推進しているなど、あらゆる機会を通じて、荷主や元請け事業者に対して、適正な運賃収受に向けた理解と協力を呼びかけているところです。
こうした取組に加えまして、農林水産省、経済産業省と共同で開催している検討会においても、多重下請け構造に関する実態を調査した上で、適正な運賃収受の実現に向けた必要な措置を検討するとしており、引き続き、関係省庁と業界団体とよく連携の上、トラック運送業における適正な取引の推進のために、取組を進めてまいりたいと考えています。
以上です。

(大臣)

私自身も直接声をいろいろ聞いていますし、また、国会の審議も非常に多くの与野党問わず多くの議員の方がこの問題を取り上げて、国会質疑で質問されています。
それに真摯に我々も取り組んでいきたいと思っています。

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