大臣会見

斉藤大臣会見要旨

2022年5月24日(火) 9:21 ~ 9:30
国土交通省会見室
斉藤鉄夫 大臣

閣議・閣僚懇

(大臣)本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
(しれ)(とこ)での遊覧船の事故についてですが、改めて、亡くなられた方々及びその御家族の皆さま方に対し心よりお悔やみを申し上げるとともに、今回の事故に遭遇された皆さまとその御家族に心からお見舞い申し上げます。
事故を起こした「有限会社 知床遊覧船」に対しては、事故発生日の翌日から、特別監査を実施し、海上運送法の違反事項を多数確認しました。
当該事業者は安全管理体制の改善意識が見られず、このまま事業を継続させることは、再び重大な事故を起こす蓋然性が高いことから、事業許可の取消処分が適当と判断し、処分に向けた聴聞の通知を本日行うこととしました。
当該事業者に対しては、今回の処分手続きの開始を重大に受け止め、被害に遭われた方々やその御家族に誠心誠意対応するとともに、今後進められる事故原因に関する捜査や調査に真摯に協力するよう、引き続き強く求めてまいります。
今後、聴聞手続きを経て、6月中旬にも処分を行うこととしています。
国土交通省としては、本特別監査の結果を踏まえながら、今回のような悲惨な事故を二度と起こさないよう、「知床遊覧船事故対策検討委員会」において、徹底的に安全対策を検討し、実施可能なものから順次取り組むとともに、7月には中間的なとりまとめが行えるよう、精力的に検討を進めてまいります。
詳細は、この後、事務方から説明させます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)2問お伺いします。
1点目、冒頭お話された特別監査に関してお伺いします。
事業許可取り消しという重い判断にいたった理由について、もう少し詳しくお伺いしたいのと、再発防止に向けた今後の取り組み方針についてお願いします。
(答)取消処分の理由ですけれども、有限会社知床遊覧船は、今回の事故を受けて実施した特別監査により、海上運送法の違反事項を多数重ねていたことが確認されました。
具体的な違反事項としては、一つ目に、安全統括管理者及び運航管理者である社長は、両ポストに求められる職務を理解せず、会社への常駐義務を果たさないなど、当該事業者の安全管理体制が欠如していたこと。
二つ目に、会社は、社長が運航管理の実務経験がほとんどなかったにも関わらず、社長を運航管理者に選任する虚偽の届出を行っていたこと。
三つ目に、事故当日の気象・海象が発航を中止すべき条件に達する状況であったにも関わらず、船長は発航中止を行わず、社長も発航中止の指示を行わなかったこと。
四つ目は、社長は、船舶と陸側の連絡方法が設備の故障等により不十分な状態であるにも関わらず、船舶との通信が可能か十分な確認を行わなかったこと。
五つ目として、船長から社長への定点連絡が全く行われず、社長は、事務所を不在にして、船舶の動静の把握を怠ったこと、等、安全管理規程により構築されるべき複層的なセーフティネットが機能せず、輸送の安全確保の仕組みを破綻させました。
これらの違反行為が、今回の乗員・乗客26名を巻き込んだ重大な事故の発生と被害の拡大の大きな要因となっており、昨年6月の特別監査において指摘された事項の違反を繰り返すなど、安全管理体制の改善意識が見られないことが、今回の特別監査において確認されました。
当該事業者にこのまま事業を継続させることは、再び重大な事故を起こす蓋然性が高いことから、事業許可の取り消しという最も重い行政処分が適当であると判断したところです。
2点目の再発防止策ですが、国土交通省としましては、本特別監査の結果を踏まえながら、今回のような悲惨な事故を二度と起こさないよう、知床遊覧船事故対策検討委員会において、徹底的に安全対策を検討し、実施可能なものから順次取り組むとともに、7月には中間的なとりまとめが行えるよう、精力的に検討を進めていきたいと思っています。
(問)もう1問お願いします。
今日、遊覧船の引き揚げが予定されていますけども、作業の見通しと事故原因究明に向けたお考えをお願いします。
(答)遊覧船「KAZUI(カズワン」に対する詳細な船体調査の結果、引き揚げが可能な状況であると判断できたことから、先週20日金曜日の事故対策本部会議において、私から船体の引き揚げを開始するよう指示しました。
21日より引き揚げ作業に着手し、昨日23日の時点で水深20メートルの地点まで吊り上げを完了しており、現在は水深の浅い斜里(しゃり)港の沖合に移動しています。
今後、作業船上への船体引き揚げを行った後、陸揚げ予定地である網走(あばしり)港へ移動することになっており、早ければ今週中にも網走港に陸揚げされる見込みとの報告を受けています。
陸揚げ後は、運輸安全委員会が事故原因の究明を行うことになりますが、国土交通省としては、二度と今回のような悲惨な事故を起こすことのないよう、知床遊覧船事故対策検討委員会の議論及び運輸安全委員会の調査結果も踏まえて、安全対策の徹底に万全を期していきたいと思っています。
 
(問)訪日観光の関係でお伺いいたします。
実証事業最初のツアーの参加者が本日到着すると思います。
今後、訪日観光の受け入れを本格的に再開するにあたって、これまで2年間観光客の受け入れは停止されていた訳ですけれども、再開にあたってはどのような課題があるとお考えでしょうか。
(答)感染拡大の防止と社会経済活動のバランスをどのように取っていくかは、コロナ禍において観光政策を進めていく上で大きな課題です。
その中で、特にインバウンドの再開については、受入地域の皆さまの理解や安心感の醸成を図りながら、進めていくことが必要であると考えています。
このため、まずは、今後の訪日観光再開に向けて、必要な材料を収集するための実証事業を行うこととしており、本日からツアー参加者の入国が開始される予定です。
そういう意味では今日は非常に節目の日になるのではないかと私自身自覚しています。
また、感染防止対策の遵守方法や緊急時対応等について、旅行会社や宿泊事業者等が留意すべき点をまとめたガイドラインを策定する予定です。
訪日観光再開については、こうした準備の状況を踏まえて、政府内で引き続き検討を進めていきたいと思っています。
まずは今回のツアーを受け入れしてくださる地域・方々、旅行者、両方が安心安全、納得するものを見つけ出して、それに従ってガイドラインを作る作業をしっかり行っていきたいと思います。

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