大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2021年8月3日(火) 11:06 ~ 11:26
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、1点報告があります。
既に資料をお配りしておりますが、本日の閣議で、8月9日付で政策統括官に財務省大臣官房付の小原(おはら)(のぼる)を任命することについて、御承認をいただきました。
詳細は事務方にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

(問)熱海(あたみ)の土石流災害から1か月がたちました。
政府は先週金曜日に生活再建やインフラ復旧などに関する支援パッケージを取りまとめましたが、国土交通省としてどのように取り組まれるかお聞かせください。
併せて支援策の中には地域観光事業支援のクーポンの上限金額を引き上げることが明記されていますが、具体的な引き上げ額や支援の開始時期の見通しなどについてお聞かせください。
(答)熱海市での土砂災害の発生からちょうど1か月が経過したところです。
改めて、この場をお借りしまして、この度の災害により犠牲となられた方々に対し、心からお悔やみを申し上げたいと思います。
また、今なお行方不明でいらっしゃる方々の早期発見を心からお祈り申し上げます。
また被災された全ての皆さまに対しまして心からお見舞い申し上げますとともに、早期の復旧・復興に全力を尽くすことを国土交通省としてお誓いしたいと思います。
7月30日に政府として令和3年7月1日からの大雨に係る支援策が取りまとめたところですが、国土交通省はこれまで、被災直後より被災自治体に派遣をしているリエゾンやTEC(テック)()FORCE(フォース)等を通じて、被害状況の調査や被災者・被災地のニーズをタイムリーに把握しながら、私自身も被災地に直接足を運び、首長や被災者の皆さまの御要望を直接お伺いしながら被災地・被災者に寄り添った支援策を政府の取りまとめの中に盛り込んだところです。
具体的には、まず、被災者の住まいの確保については、被災者の方々への意向調査を行い、その結果に基づき、熱海市において7月30日より公営住宅等の空き住戸への入居募集を順次開始しています。
引き続き、静岡県や熱海市と連携して、応急的な住まいの確保に全力で取り組んでまいります。
また、大規模な土石流災害が発生した(あい)初川(ぞめかわ)において、国直轄施工による緊急的な砂防工事として、既設砂防堰堤(えんてい)の除石、新たな砂防堰堤の整備等を実施することとしております。
現在、既設砂防堰堤の除石のための進入路工事等を実施している状況ですが、再度災害防止のためにも工事を加速してまいります。
また、熱海市内の被災をしていない宿泊施設において、宿泊予約のキャンセルが相次いでいるなど、新型コロナウイルス感染症の影響と相まって、観光産業は極めて厳しい状況にあるものと承知しております。
その対策として、現行の「地域観光事業支援」を活用したクーポン券の上限金額のかさ上げ等の措置を講じることとしております。
現在、事業主体となる静岡県との間で、かさ上げ金額や実施方法、県の事業ですけれども熱海市に限るなど、具体的なやり方について鋭意詳細を詰めているところです。
こうした風評被害を長引かせず、観光関連事業の支援のため、速やかに結論を出してまいります。
熱海市内の災害を受け、今後の課題として、盛土による災害を防止するための総点検と対応策の検討に国土交通省として率先して取り組むとともに、また線状(せんじょう)降水帯(こうすいたい)の予測精度向上に向けた取り組みの強化・加速化を行うこととしております。
国土交通省としましては、今回取りまとめた支援策に基づき、関係府省と連携しつつ、1日も早い被災地の復興、被災者の皆さまの生活と生業の再建に向けて、全力を傾けてまいります。
 
(問)同じく土石流の関係で、以前、1か月を目途に盛土の全国の抽出を行うと発表がありました。
その進捗が分かればお願いします。
(答)盛土による災害の防止に向けた総点検と対応策の検討につきましては、7月9日に、国土交通省が所有するデジタルマップを利用し、全国における概略的な盛土の可能性がある箇所の抽出を、約1か月を目途に実施するよう指示をいたしました。現在、国土地理院におきまして、8月中旬の完了を目指して鋭意取り組んでいるところです。
国土交通省としましては、抽出された盛土の可能性がある箇所を関係省庁に提供し、内閣官房に設置される予定の関係省庁会議において、重点的に点検すべき箇所を精査した上で、地方公共団体に総点検をお願いしていくことになると考えております。
この総点検の状況等を踏まえ、関係省庁が一体となって、危険箇所への対応や土地利用規制など、安全性を確保するために必要な対応策を検討してまいりたいと考えております。
現時点では以上です。
 
(問)地方のローカル線について、お伺いいたします。
鉄道各社の赤字決算が続いておりますが、JR西日本が秋のダイヤ改正で減便の実施を進めております。
また、ローカル線の見直し議論を地方自治体とも続けております。
昨日も広島県知事がこのローカル線の廃線手続きのあり方の見直しを求めるような発言もされております。
今後もコロナで経営の悪い状態が続くと思われますけれども、こういうローカル線のあり方について、大臣はどのようにお考えか、また、国土交通省として対応どのようになされるかをお聞かせください。
(答)まず、鉄道各社の経営状況ですが、7月30日に、JR東日本、JR東海及びJR西日本の各社が令和3年度第1四半期決算を発表し、3社ともに令和2年度に引き続き、赤字となったと承知しております。
また、JR東海及びJR西日本は、令和3年度の通期業績予想を、令和2年度通期決算時の発表値から下方修正しておりますが、この要因は、当初の見通しに比べ利用状況の回復の遅れが原因と聞いております。
JR西日本は、昨年来のコロナ禍の影響等による利用客の減少の長期化などを受けて、本年5月に、減便を主体とする10月以降のダイヤ改正の方向性を明らかにしましたが、国土交通省として、同社に対し、地元自治体に丁寧に説明を尽くすよう指導してきたところです。
その後、同社から関連自治体への説明を経て、7月28日に、具体的な減便の規模感を発表したものと承知しております。
少子高齢化・人口減少、過疎化が進む地方部では、中小事業者のみならず、JR西日本のような大手鉄道事業者においても、公共交通機関の維持は大変大きな課題です。
加えて、コロナ禍の長期化・拡大により、各鉄道事業者は大変厳しい経営環境に置かれております。
このため、国としてもJRを含む鉄道事業者に対し、雇用調整助成金の拡充・延長、危機対応融資や国税・地方税の納税猶予の特例など事業継続に向けた資金繰り支援を行ってまいりましたが、より経営が厳しい地方の中小鉄道事業者に対しては、第3次補正予算や本年度の当初予算において、地域公共交通機関の支援のための予算を確保し、ローカル線の維持に努めてきたところです。
昨日も広島県知事を含む全国23県の知事より、リモートで、地方の鉄道ネットワークの維持について御要望をいただいたところです。
国土交通省としては、地方の鉄道ネットワークは地域住民の皆さま方の重要な足であり、これからの観光事業にとってもキーとなるアクセスであることから、今後とも、ローカル線の利用促進や持続的な事業の運営について、関係自治体及び鉄道事業者と連携・協力して取り組んでまいりたいと考えております。
JR各社も、安易に廃線にするということはありませんし、昨日、広島県知事から、鉄道事業法の改正も、という話もありましたが、鉄道事業法の現状の中で、廃線をした場合も、当該自治体と相談も無く勝手に廃線にしたということはありませんので、そこはくれぐれもJR各社に対してしっかり指導していきたいと考えております。
(問)1点、追加で。
このローカル線ですけれども、JRという民間企業がですね、地方の公共インフラを今、1社で維持しているという現状があります。
ローカル線の維持に向けて、沿線の地方自治体、どのように費用負担するべきかなど、あり方についてどう考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)ローカル線というのは、今言われたのは、JRも含めたということですか。
(問)JRも含めた。
はい。
(答)地域によって今、上下分離方式を行うといったことや、地方自治体の役割と鉄道事業者の役割、分担もあります。
他方で、一般論になりますけれども、多くの地方自治体の財政状況というのも、なかなか余裕がない自治体が多い中で、今後も公共交通機関が維持できるのかということは、しっかりと課題として認識していかなければならないと考えております。
これは目の前の話ではなく、これからの人口構造的なことを見据えて、中長期的な、大きな課題としてしっかり検討していかなければならないという認識です。
 
(問)先日なのですが、NEXCO中日本が発注した跨道橋の耐震補強工事で、施工不良が見つかったという問題で、調査していた第三者委員会の報告書が先月30日に公表されました。
その中で、工事担当の施工管理者の交代が、国土交通省課長を介した国会議員からの問い合わせが端緒などと、国土交通省職員らの対応が今回の問題を引き起こした要因の可能性の1つだと指摘されています。
報告書にある内容の事実関係と、国土交通省としての所感、併せて、大臣の御意見、お考えを伺えればと思います。
(答)中日本高速道路会社における耐震工事での施工不良に関して、有識者委員会の報告書及び会社としての再発防止策等が取りまとめられ、7月30日に、中日本高速道路会社の社長から、その内容について報告を受けたところです。
これは改めて言うまでもなく、社会インフラの安全性を確保する観点や、耐震工事に限らず公共工事全般に対する国民の皆さま方の信頼性を根本から揺るがすことにつながる施工不良は、絶対にあってはならないことであると認識しています。
今回の事案について、中日本高速道路会社における契約手続き、施工管理等に際して、不適切な業務処理が行われていた事実が判明したことは、誠に遺憾です。
私から中日本高速道路会社の社長に対して、安全を大前提として、国の高速道路事業を担っている同社として、あってはならない事案であり、一から組織体制や安全への認識、発注業務などのあり方について、今回の報告書に基づいた再発防止策を徹底するように、厳重に注意・指示したところです。
中日本高速道路会社においては、今回の事象を重く受け止め、再発防止策を含め、報告書に指摘されている事項をしっかりと取り組むことにより、企業風土を根本的に改革し、公共性の高い企業としての使命をしっかりと果たしていただきたいと考えています。
なお、報告書の中で、御指摘の「国土交通省課長を介した国会議員からの問合せが端緒」となったとの表記は、施工管理員の交代に関する中日本高速道路会社の判断について、この問い合わせが端緒となったと記されており、施工不良等に係る不適切な業務処理について、国土交通省の責任を言及しているものではないと認識しています。
いずれにしても、国土交通省として、全高速道路会社に対して、高速道路の安全性を揺るがす事案の発生防止対策の徹底を指示したところであり、引き続き、しっかりと注視・指導してまいります。
(問)国土交通省としては、対応は適切だったというお考えなのでしょうか。
(答)正確に言うと、施工不良等に係る不適切な業務処理について、国土交通省の責任を追及しているという報告書の内容ではないと認識しております。
 
(問)バス、タクシーの感染症拡大防止対策設備導入補助金についてお伺いいたします。
これは受付開始から1か月少し経ったと思うのですけれども、現下のコロナ禍の中で、まだ、受付開始とはいうものの、設置者への普及までには至っていません。この普及をもう少し急ぐとか今後の対策、バス、タクシーを中心に、どのようにお考えか教えていただけますでしょうか。
もっと言うと、そもそも、タクシー内でフィルター付きのものや、あるいはオゾン発生機があったとしても、実は感染症対策にはならないのではないかという専門家の意見もあるのですが、まずはせっかく補助金がついているので空気清浄機やオゾン発生機を含めて新常態タクシーをどのように増やしていくのかお聞きできればと思います。
(答)一般論として、新型コロナウイルス感染症に対して、様々な専門家とされる方々が、様々な御意見があることは承知しております。
専門家同士でも全く真逆の御意見を言われていることもありますので、基本的には、政府対策本部の分科会の専門家の御指導を仰いで行っています。
バス、タクシー事業の感染症拡大防止対策は、業界にとっては大変重要な経営の生命線につながるということで、大変大きなテーマとして捉えていただいており、そうした中で、令和2年度第2次補正予算、第3次補正予算でそれぞれ対策費として計上させていただきました。
現状、バス事業者については、予算額で想定した事業者のうちの約4割の事業者から申請があり交付決定が行われております。
また、タクシー事業者については、約6割の事業者から申請があり交付決定が行われております。
それぞれの対象としている感染症拡大防止対策設備がいい加減なものでは、予算の正当性が根幹から問われることになりますので、それぞれ新技術を活用した空気清浄機等が公的な試験機関等により車内の換気性能を更に向上させ、より速く車内の空気が綺麗になるなど十分な効果が確認されたものと承知しています。
いずれにしても、今の御指摘はもっともで、お客さんが直接乗るので、バスにしてもタクシーにしても、せっかく予算措置を行なっておりますので、感染症対策が加速化されるように、現場の窓口を行なっている各運輸局へ、改めてしっかり私から指示をしたいと思います。

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