大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2020年9月1日(火) 11:17 ~ 11:38
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件に関しまして報告するものはございませんが、そのほか1点御報告させていただきます。
令和2年7月豪雨による被害に対する緊急的な対策の推進に向けた出張所の設置についてです。
国土交通省では、令和2年7月豪雨により甚大な被害を受けました河川、道路の災害復旧工事等を迅速に進めるため、本日、九州地方整備局八代(やつしろ)河川国道事務所に「八代復興出張所」を設置いたします。
災害復旧工事等を専属で担当する組織として出張所を設置することによりまして、迅速に関係機関調整を行い、円滑な工事の実施等を可能とし、被災地の復旧・復興を加速化してまいりたいと思います。
詳細については後ほど資料を配付させていただきます。
私からの報告は以上です。

質疑応答

(問)先日、安倍首相が辞任を表明されましたが、この辞任についての受け止めと、後任の首相に求められる資質や期待される今後の取組についてお考えをお聞かせください。
(答)先月28日金曜日の臨時閣議の場におきまして、安倍総理御本人から総理を辞任したい旨の表明がありました。
振り返りますと2012年12月、自公政権の政権交代が実現しまして、安倍総理大臣は、国の最高責任者として、当時はリーマンショック、東日本大震災、そして前政権の経済・雇用政策の失政等によりまして、深刻な円高デフレ不況が続き、国民の多くの皆さまが苦しんでいた大変厳しい状況の中から、国を抜本的に立て直すために、想像を絶する重圧の下、粉骨砕身の戦いをされてこられたことを、私も総理の近くにいた一人としてよく存じ上げておりました。
この8年弱の間で、当時の状況から比べましても、改めて言うまでもないと思いますが、日経平均株価ですとか、GDP、税収などの経済指標、また、有効求人倍率、失業率などの雇用に関する指標、共に随分改善されたことは事実でありますし、私自身が経済産業副大臣として担当させていただいておりました東京電力福島第一原発事故からの復旧というのは、事故炉の廃炉という、人類史上初めての挑戦で大変な難事業でありましたが、こうしたことも総理のリーダーシップの下、着々と進んでいる。
同時に、福島イノベーションコースト構想、これは当時の福島県の浜通り、故郷を追われて夢も希望も持ちにくい、本当に展望がない中で、私が現地の責任者として作り上げたものでありますが、政府の中でほぼ味方のない新しい構想について、総理が先頭に立って応援団として推進をしていただきまして、この福島イノベーションコースト構想に関する法制化も実現し、またそれを推進する組織もでき、この9月12日には、ロボットテストフィールドの開所式、実は相当の企業も張り付いておりますが、毎年国において200億円から300億円の予算が定期的に計上され、そしておそらく近々、地元の教育機関、人材育成機関もできるという、大変大きな前進をしたのも、これもひとえに総理のリーダーシップがあったからだと思っております。
加えて、国土交通省に関して言えば、防災・減災、国土強靭化の3か年緊急対策の実行ですとか、観光立国への政策の強力な推進。
ややもすると決められない我が国の政治から、決断する、実行する政治ということで、私は大きな業績があったと思っております。
加えて、現在、新型コロナウイルス禍との戦いの最中で、御病気のためとはいえ、退任を決められたことは、安倍総理御自身の無念さもいかばかりかと、深くお察し申し上げるところでありますが、他方で、新型コロナウイルス禍で苦しむ国民の多くの皆さまに対して、私どもは大きな責任がありますので、こうした時点で退任の決断をされたことは、私は政治家として、引き際は見事であったと思っています。
行政は一刻も停滞は許されませんので、私自身も、総理のこうしたお考えを呈して、与えられた任期中、職務・職責を全うしてまいりたいと考えております。
次の総理に何を期待するかというのは、私の立場で申し上げることはせんえつですけれども、基本的には新型コロナウイルス禍の戦いが継続しておりますし、その継続、しっかりシームレスに行いながら、より国民の皆さまのためになる政策をしっかり実現できる政権と、そのリーダーシップを取っていただきたいと思います。

(問)国内の航空各社の経営についてお伺いします。 日本航空や全日空をはじめ、持ち直しの基調にあった国内線の減便が9月から再び拡大する見込みになっています。
今後の減便の見通しと、航空会社への支援の取組について、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)本邦航空会社の国内線の需要につきましては、今お話がありましたように、緊急事態宣言の全面解除後、少しずつ回復してきたと承知をしておりますが、7月以降は感染再拡大により需要が伸び悩み、書き入れ時である8月のお盆の時期も帰省の自粛等があったかと思いますが、対前年比約35%にとどまるなど、需要回復の動きは鈍化しているというのは御指摘のとおりです。
こうした状況を受けて、航空各社は9月の減便割合を拡大する方向にあり、特に日本航空、全日空の大手2社では、当初計画比で4割以上を減便する見込みとなっております。
これまで政府は、着陸料や航空機燃料税等の支払い猶予、日本政策投資銀行の危機対応融資等により、各航空会社の資金繰り対策を支援しているところであり、このことにより、当面の資金繰りは可能になる見込みだと承知をしております。
今後は、需要回復を目指し、「Go To トラベル事業」を通じて、当然、感染拡大防止対策を徹底しつつ、失われた国内の観光需要を回復させるとともに、関係省庁と連携して水際対策等を徹底しつつ、段階的に出入国規制を緩和することなどにより、航空業界の経営環境の好転を図りながら、同時に各社それぞれの意見をしっかりとお聞きしながら、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

(問)総理の辞任に関連して伺います。
Go To トラベルはこれまで政府全体の方針として進められてきましたけれども、総理の交代に伴って政府の方針が変わる可能性も考えられます。
事業方針や今後の進め方への影響をどのように考えておられるか、教えてください。
(答)再三申し上げておりますが、Go To トラベル事業は、すそ野が大変広い観光関連産業、地方経済そのものであり、地方の雇用を支えている大変大きな産業が、新型コロナウイルス禍でこの春から大変深刻な状況が続いていると。
これを放置すると本当に厳しい状況になるということで、これまでにない未曾有の予算を計上しながらチャレンジしている事業です。
「感染拡大防止」と「経済社会活動の再生」との両立を目指し、加えて、具体的に言いますと、ウィズ・コロナ時代における安全安心な新たな観光のあり方というものの定着・普及を図るということです。
そうした大きな大義の中で7月22日から始めておりますが、正式には9月の上旬に報告をいたしますが、速報値で、割引で商品販売を開始した7月27日月曜日から8月27日木曜日までの一月の間で、我々が承知をしているのは、少なくとも約556万人泊の利用実績があったと聞いておりますので、足下堅調にきているのではないかと思っております。
こうしたことを考えれば、総理がどなたになるか、どういう内閣になるかというのは私が申し上げることではありませんが、いずれの内閣になったとしても、どなたが総理になられたとしても、Go To トラベル事業は、これまでの事業方針に変更なく、継続されるものと私は確信しております。

(問)沖縄県の本部(もとぶ)港で、国際クルーズ拠点整備事業に参画しているゲンティン香港が債務不履行に陥っているということですけれども、国土交通省として把握している事実関係と、本部港整備事業の継続の是非についてどのように考えているか教えてください。
関連ですが、新型コロナの影響で全国的にクルーズ需要が急減していますが、回復の見通しや、概算要求も近づいている中で、国際クルーズ拠点整備を前提とした事業継続の必要性をどのように考えているか、併せてお願いします。
(答)沖縄県の本部港は、港湾管理者である沖縄県とゲンティン香港社が連携して国際クルーズ拠点の形成を図る港湾として、平成29年7月、国土交通省が国際旅客船拠点形成港湾に指定しました。
その後、平成30年3月に、ゲンティン香港社が旅客ターミナルビルを整備して、同社が岸壁の優先利用を行うことを内容とする協定が沖縄県との間で締結されたところですが、現時点では、ターミナルビルの整備には至っていないというのが現状です。
一方、ゲンティン香港社が、令和2年8月19日に、債権者への支払を一時停止することを公表したと伺っております。
これを受けて、沖縄県が同社に旅客ターミナルビルの整備の可否について問い合せをしているところであると承知しておりますので、まず、国土交通省としては、沖縄県とゲンティン香港社の調整状況をしっかり注視した上で、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
また、二つ目の御質問のクルーズ船については、今般の新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、我が国への外航クルーズ船の寄港がゼロとなるなど、大変厳しい状況が続いているところです。
こうした状況というのは、相当、体勢を立て直さないと簡単には復活しないと考えておりまして、国土交通省としては、本年4月に「クルーズ船利用者の安全・安心の確保に向けた有識者ワーキンググループ」を設置し、クルーズ船の受入れの再開に向けて、事業者及び港湾管理者などの関係者が講じるべき措置等について、有識者への意見聴取をするとともに、厚生労働省をはじめとする関係省庁との調整を進めてきているところです。
クルーズというのは、観光政策の中でも大変伸びてきている、また有望であったアイテムです。
この新型コロナウイルスで相当打撃を受けたのは確かでありますけれども、時間が掛かるにしても、クルーズを安心して楽しめる環境を整備するために必要なガイドラインを今月中にも取りまとめる予定ですので、まず、第一歩からしっかりと進めていきたいと思います。
そうした上で、国内外の感染症対策の動向等を踏まえ、また、外航クルーズ船の寄港の再開にも取り組んでいきたいと考えております。

(問)冒頭発言に関してのお尋ねです。
今回熊本県の方に復興事務所を設置されるということですけれども、熊本は2016年にも地震が発生しまして、今回の豪雨と、相次いで大規模な災害に見舞われています。
復興の課題はどこにあるとお考えでしょうか。
(答)今回は国の直轄代行をするに当たって、構えというか、組織をしっかりしながら、人員も手当てをしなければいけないということで、地元に出張所を作ります。
この「八代復興出張所」という名前にしたのは、河川については、球磨川(くまがわ)本川の災害復旧、これは直轄ですが、それに加えて球磨川の9支川の権限代行による災害復旧。
道路関係も、球磨川に掛かっていました10橋梁の本復旧、これを権限代行で行うとともに、球磨川両側の道路、国道219号、県道等の本復旧も権限代行で行うということで、大変大きな復旧工事になると思いますが、河川と道路が相当リンクしていますので、河川事務所や国道事務所ということではなくて、一緒にという意味から出張所で復興を行うということです。
このことが、当面、出張所を設置した目的でありますし、お話がありましたように、近年の豪雨災害の頻発地域でもありますので、この前の会見でもお話させていただきましたが、気候変動に伴って激甚化・頻発化する大きな豪雨災害に対する地域住民の皆さんの安全・安心を守るための防災・減災対策はどうあるべきか、委員会で検証が始まったところですので、その委員会の皆さんで検証しながら、地元の皆さんの御意向も踏まえて、熊本県や関係市町村からも御意見が出ているようですので、そうしたことも踏まえながら、できる限り年内に、より良い対策を講じなければいけないと考えているところです。

(問)今日は9月1日防災の日ということで、改めて現状の日本の防災対処能力や、今、どのような課題があるのかお聞かせください。
(答)自然災害は様々でして、近年の豪雨災害に対して社会資本整備審議会に諮問をし、先日報告したように河川の治水対策については上流から下流、また本川から支川、流域全体を俯瞰して、それぞれの市町が各々対応するのではなく、国と県と市、町が共通の認識で計画的に対応していく。
これが基本であると思っております。
そうした意味で、国の1級河川については、流域治水プロジェクトというものを作りながら、それぞれの地域で、国、都道府県、市町村等と協議会を立ち上げて行っているところであり、これを着実に推進できるような予算の裏付けもしていかなければいけないということが1つです。
もう1つは、今日は9月1日ということで、関東大震災があった日ですので、地震に対しての訓練をいたしました。
政府全体では、南海トラフ地震、国土交通省につきましては首都直下型の地震対策の訓練です。
水害と地震は相当違うという状況をどれだけリアリティをもった対応ができるか。
水害というのは、ある意味では言葉は難しいですが、少し予想ができるというか、対応ができるのですが、地震は突然来て、交通機関や道路網、通信網、ライフライン等が途絶して正確な情報が取れないということや、国土交通省だけではないですが、職員が集まれないなど、そうした中でどれだけの正確な情報、被害状況を把握しながら適切な対応をとれるかということは、私は個人的には、普段からの準備がどれだけできるかということに懸かっていると思います。
今日はこうした訓練を行いましたが、そうした話を私の思いとして発言をして、国土交通省の中の対応についても、より現実に沿うような改善をしていくということは、それぞれの部局で検討してもらって、そして、想定外というものを少なくしていけるような事前の防災対策、準備を行っていかなければいけないと思っております。
予測については、精度をどれだけ高められるかということで言うと、科学技術も進歩しておりますので、予見ができれば準備もできますので、気象庁に対しての予算もしっかりと確保しながら、国民の皆さんのいのちとくらしを守ることに資する防災・減災対策を講じていきたいと思っております。

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