大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2020年8月11日(火) 11:07 ~ 11:26
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 今日は、閣議案件につきましては報告することはございませんが、そのほか1点御報告をさせていただきます。
交通政策審議会の答申についてです。
今般、交通政策審議会から「今後の港湾におけるハード・ソフト一体となった総合的な防災・減災対策のあり方」について答申がありました。
近年の台風による被害は、激甚化・頻発化しておりまして、昨年の令和元年房総半島台風でもそうでしたし、横浜港もそうでしたが、近年各地の港で想定を超えた高潮・高波・暴風による被害が発生し、我が国の産業や物流に甚大な影響を及ぼしているところです。
さらに、従来より南海トラフ地震や気候変動に伴う災害リスクが懸念され、また、新型コロナウイルス感染症の拡大など新たなリスクも顕在化している状況です。
交通政策審議会では、こうしたことを踏まえ、昨年11月から港湾における防災・減災対策のあり方について議論していただいてきたところですが、本答申では、まず、ハード対策として、台風に伴う高潮・高波等に対する施設の嵩上げ・補強や、新たに整備する施設に対して将来の海面水位の上昇を考慮した設計の導入等の施策の方向性が示されました。
また、ソフト対策といたしましては、国や港湾管理者、民間事業者等が連携し、自然災害だけではなく、感染症等の危機的事象にも対応した港湾BCPの策定等について御提言をいただきました。
我が国の輸出入貨物量の99.6%を取り扱う港湾は、人口や資産が集中する島国日本の生命線とも言えるわけです。
本答申を踏まえ、国土交通省といたしましても、ハード対策のみでは防げない災害が生じるとの認識の下、自助・共助・公助を含めたハード・ソフト一体となった総合的な防災対策の具体化に取り組み、災害に対して強靱な港湾機能の形成を進めてまいります。
詳細については、後ほど資料を配付させていただきます。
私から報告は以上です。

質疑応答

(問)日航機の墜落事故についてです。
日航機の墜落事故から明日で35年を迎えることになります。
関係者の高齢化も進んで事故の風化が課題となっているところです。
大臣として御所感、そして、風化を防ぐための取組等がもしございましたらよろしくお願いいたします。
(答)35年前の1985年8月12日、日本航空123便が御巣鷹山(おすたかやま)に墜落をし、単独機の事故では世界最多の犠牲者となる乗員・乗客520名の方々の尊い命が失われた飛行機事故となってしまいました。
当時、私自身ですが、台湾に留学した直後でして、日本語の報道に接する環境になく、また、中国語もほとんど分からなかったため、台湾のニュースで日航ジャンボ機が墜落したらしいという報道について、全く信じられない気持ちと詳細がよく分からないもどかしい気持であったことを今でも鮮明に記憶をしております。
先日の8月7日には、日本航空安全啓発センターを訪問いたしまして、犠牲になられた方々の御遺品や御遺書、また、墜落した航空機の残骸などを拝見させていただきました。
犠牲となられた520名の皆さまお一人お一人には、愛する御家族があり、かけがえのない幸せがあり、そして、成し遂げたい希望や夢があったはずですが、その全てがあの事故により失われてしまったわけです。
特に故障発生後30分余り、死の恐怖と戦いつつ、肉親を思い悩まれ、搭乗機の操縦機能回復を祈られながら亡くなられた方々の御心情、御家族の怒り、悲しみ、苦痛、断腸、痛恨、悔しさに、私自身も胸が張り裂ける思いでした。
改めて、亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の方々へ心よりお悔やみ申し上げる次第です。
山崎(やまさき)豊子(とよこ)さん著書の「沈まぬ太陽」の一節に、520名の犠牲者の真の弔いは、花で飾ることではない。
犠牲者が、あの飛行機の中で願ったことは「死にたくない」の一言に尽きる。
何としても生きたいという思いにかかわらず、悲惨な死を遂げた者に対して、生きている者が為すべきことは、死者の意志を汲んで二度と事故を起こしてはならないと誓い、たとえ、危機的状態に陥ったとしても、乗客の生存率を高めるための方法を講じることである、とあります。
これは小説ですけれども、私はこの安全という意味では、まさにその通りであると思ったわけです。
公共交通機関において、安全の確保は最も優先されるべきものであり、公共交通に携わる全ての者がこの意識を共有し、過去の事故の教訓を風化させることなく、安全向上の取組を進めることが重要です。
本事故以降、我が国の定期航空会社における旅客の死亡事故は発生しておりませんが、しかし、近年、安全を軽視するようなパイロットや客室乗務員による飲酒事案など、安全対策の不備が相次いでおり、航空行政の最高責任者として大変危惧しております。
国土交通省では、引き続き、航空業界に携わる全ての者が一丸となりまして、二度とこのような悲惨な事故が起きないよう、より一層の緊張感をもって取り組んでまいる所存です。
明日、群馬県上野村(うえのむら)において、追悼慰霊式が執り行われる予定となっておりまして、私も出席をさせていただきます。
その際、航空行政を所管する国土交通大臣として、決してこのような悲惨な事故を二度と起こさない、この教訓を無駄にしないとの決意をお伝えしたいと考えております。

(問)「Go To トラベル」に関してお尋ねします。
先週、Go To トラベルに参加している宿泊施設を対象に、新型コロナ対策を実施しているかどうかの調査をされました。
調査結果はどうだったのかと、併せて大臣の御所見をお願いします。
(答)今回の調査におきまして、Go To トラベル事業に参加登録されている宿泊施設において、参加条件として定めた感染症拡大防止策が確実に実施されているかどうかについて、全国の各地方運輸局の所在都市近隣の宿泊施設を中心に、大規模・中規模・小規模の宿泊施設それぞれについて、代表的なものを任意で計24道府県、54宿泊施設を選定して、8月6日、7日に、職員が直接出向き確認するとともに、不十分な点は個別に指導、助言を行わせていただきました。
調査の結果、旅行者への検温の実施や浴場・飲食施設等の三密対策については大半の施設において確実に実施されておりましたが、例えば、エレベーターの人数制限を行っていなかったため、三密を防ぐ改善を指導したのが1施設、また、夕食時のレストランの座席間隔が不十分であるため、三密を防ぐ改善を求めたのが1施設、チェックイン時の列の密集対策が不十分であるため、並ぶ位置の目安となるシールの貼付などの改善を求めたところが1施設、また、Go Toトラベルを利用される方が遵守すべき事項の旅行者への周知が不十分であるため、宿泊施設内での掲示や旅行者への紙の配布などの改善を求めたのが7施設、などについて、現場で指導・助言を行わせていただきました。
一方、工夫が見られた例としては、大浴場の入浴人数を各部屋のテレビでリアルタイムに把握することができるシステムの導入をされているところや、また、エレベーターで使い捨ての綿棒を用意して、エレベーターの各フロアへのボタンを通じた接触感染を予防する取組をされている施設などがありました。
調査の結果概要につきましては、この後、観光庁のホームページに掲載いたしますが、今回の調査結果を踏まえ、実施が不十分であった点については再度徹底を図るとともに、工夫が見られた点については周知を図ってまいりたいと考えております。
また、次回の調査につきましては、各地方で中小規模の宿泊施設を中心に、今月中に実施する予定であり、その後も必要に応じて調査を実施していく予定です。
いずれにしても、今後も感染拡大防止に向けた取組を徹底しつつ、Go To トラベル事業を適切に実施することで、失われた旅行需要の回復に努め、社会経済活動と感染拡大防止の両立を図ってまいります。
ウィズ・コロナ時代における新たな安心・安全の旅行のスタイルの確立と定着・普及に全力を挙げてまいる所存です。

(問)Go To トラベルについてお聞きしたいのですけれども、給付枠の割当てについてです。
この仕組みでは、登録した事業者に対して、事前にどれくらいの割引分の給付がもらえるか、枠がそれぞれ事業者に割り振られる仕組みになっているかと思います。
この給付枠について、どういう基準で割り当てられているかが分からないといった声なども聞かれますが、今後、この辺りの透明性を担保するために、何か、額の公表や基準をもう少し詳しく説明するなど、そうした取組をお考えかどうか教えていただけますか。
(答)現状を御報告させていただきますが、Go To トラベル事業の予算配分につきましては、開始の時点においては、それぞれ各社の販売計画が出そろっていなかったので、全体予算の2割弱につきましては、各社の前年の販売実績に基づいて、仮の配分をさせていただきました。
今後、残りの8割強、大部分につきましては、中小事業者にも本事業をしっかりと活用していただけるように、各社に提出をお願いしているこれからの販売計画に基づいて、執行状況を丁寧に管理しながら適切な配分を行ってまいりたいと考えおります。
また、最終的な配分額につきましては、透明性を確保する観点から、適切に公表させていただくことを考えております。

(問)2点あります。
1つはGo To トラベルの9月以降に開始するとされている、地域共通クーポンについてお尋ねします。
先週7日から今週13日まで、地域共通クーポンについての事業者説明会が予定されていたのが急遽延期となっていますが、その理由と現時点でクーポンの開始時期の見込みがあれば教えてください。
もう1点は、8月15日に終戦記念日を迎えますが、大臣の靖国神社への参拝予定がおありかどうか教えてください。
(答)靖国神社への参拝予定はありません。
観光庁と事務局の間で、若干やりとりのミスがあってキャンセルしたので、しっかりもう一度やるということで指示をしておりますので、9月の上旬から当初の予定どおり開始させていただきます。

(問)1点お聞きしますけれども、先日、モーリシャス共和国で、日本の運航会社の船が座礁しましたが、緊急対策チームが10日に出発しました。
改めて、派遣した理由と国土交通省としての今後の対応について教えていただければと思います。
(答)現地時間7月25日19時25分頃、日本時間では26日0時25分頃に、株式会社商船三井が運航するばら積みの貨物船「WAKASHIO」が、モーリシャス南東沖のサンゴ礁帯に座礁し、最初は油は漏れておりませんでしたが、8月6日から、燃料油等の漏出が発生いたしました。
国土交通省では、外務省とも情報を共有しつつ、同社との連絡を密に取りながら情報収集に努め、また、同社に対して、迅速な被害状況の把握、被害拡大防止のための措置の実施、環境保全・回復の実施を指示しているところです。
今、8月9日に国際緊急援助隊・専門家チームの派遣という御質問がありましたが、これはモーリシャス政府の要請を踏まえまして、8月9日、日本国政府として計6名からなる国際緊急援助隊・専門家チームを派遣することを決定し、海上保安庁から油の防除に関する専門部隊である機動防除隊を含む職員4名を参加させ、現地にて油の防除に関する指導・助言等を行うこととしております。
これら派遣される職員に対しては、全力で現地の支援にあたるよう海上保安庁長官から指示をしたところです。
本件につきましては、関係者に対し、多大な御心配、また、御迷惑をおかけしているところですが、状況の推移を踏まえながら、しっかりと適切に対応してまいりたいと考えております。

(問)先ほど冒頭の幹事社質問の中で出たGo To トラベルの検査の結果についてなのですけれども、大きく目立った不備等が特に現状見つかったわけではないと思うのですが、実際、54施設検査されてこうした結果が出たことについて、大臣としての評価、十分に対策されていたと受け止められるか、その辺りの御所感をお聞かせいただけますでしょうか。
(答)先ほど申し上げたとおり、大雑把な言い方ですけれども、おおむね旅館にしてもホテルにしても、衛生面は、日頃から極めて神経を使われて取り組んでいるところで、大変プライドを持って営業されている方々だと認識しておりますし、この間、私も災害関係で地方の視察で泊まるホテルで全てチェックをしておりますが、感染拡大防止対策は非常によくとられていると思います。
そうした中で、先ほど、現地で改善の指導を行わせていただいたところが何箇所かありましたが、自分のところではこれで十分だろうと思われていた旅館・ホテルももう少し改善の余地があるんだ、ということは、私は非常に意味があると思うので、こうしたことは観光庁としても、参加されているところに情報を共有して、より感染拡大防止策を改善してもらうと。
合格点だけれどももっと十分にやっていってもらうということが非常に大事だと思っております。
今回の54施設は、おそらくその地域の中心的なところにまず行って、模範となってやってもらわなければいけないところがしっかりできているか確認しながら、次回は、中小や小規模のなかなか人手も少ない中でやりくりしているようなところに対しても、足を運んで、現場でもう少しこうした方がいいとか、感染拡大防止策がしっかりとれるように、いい制度として現場を回っていきたいと思っております。

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