大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2020年4月17日(金) 10:41 ~ 11:05
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 私の方から4点御報告させていただきます。
まず第1点目は、羽田空港におけるサーモグラフィーの運用開始についてです。
10日の会見におきまして、私より、特に発熱などの症状がある方については、航空便の利用をお控えいただくよう、国民の皆さまに対して要請を行わせていただいたところです。
この要請の一環として、本日午後より、羽田空港の国内線の保安検査場において、出発する旅客の皆さまに対し、サーモグラフィーによる体温確認を開始させていただきます。
昨日、緊急事態宣言の対象を全ての都道府県に拡大したところです。
その趣旨を踏まえて、不要不急の帰省や旅行はお慎みいただきたいことに加えて、特に発熱のあるような場合には航空機への搭乗を厳に慎んでいただくことを、国民の皆さまに改めて要請させていただきたいと思います。
詳細は事務方にお問い合わせください。
2点目は、空港の保安検査の高度化等に係るとりまとめについてです。
昨年秋以降、大阪国際空港等において保安検査トラブルが相次いだところであり、国土交通省として原因究明と再発防止策に取り組んできたところです。
航空の安全を確保するため、保安検査の抜本的な運用改善が必要と認識しておりました。
そこで、国、航空会社、空港会社、検査会社等の様々な関係者が集まり、検査員の方を含む現場の皆さまの声も聞きながら、課題と要因の分析を行ってまいりました。
今般、関係者がそれぞれの立場で何をすべきかを明確にした上で、1つは労働環境面の改善、2つは待遇改善と人材確保、3つは検査能力・効率性の向上、4つは旅客の皆さまへの働き掛け、という4つの項目を柱として、対策をとりまとめさせていただきました。
この中には、例えば、各航空会社が個別に検査会社に検査を委託するという契約形態を改め、空港会社等が各航空会社から契約事務を請け負った上で、まとめて検査会社に委託するシンプルな契約形態へ見直すことで、効率的な検査レーンの運営や検査品質の向上を図る対策が取られるものと思っております。
また、厳しいクレーム対応が検査員の負担となっていることを踏まえ、航空会社・検査会社等で協力してクレーム対応を担当する要員を配置し、検査員の皆さんが検査業務に集中できる環境を整備する対策等が盛り込まれております。
さらに、労働環境の更なる改善等による人材確保・育成、保安検査の高度化について、引き続き検討を進めることとしており、航空保安対策に万全を期してまいります。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
3点目は、トラックドライバー世帯の登校自粛に係る教育機関への周知・徹底についてです。
これは、今週14日火曜日の会見の中で、愛媛県の小学校において、トラックドライバーの世帯の児童に対し、健康状態に問題がないにも関わらず、自宅待機を求めた事案の発生を受けて、同じような事案が生じないよう、関係省庁に申し入れるなど、適切に対応することをお話しました。
実はその後、同県の中学校及び高校でも同様の問題が発生していたことが確認されました。
国土交通省としましては、15日水曜日、文部科学省に対して再発防止に向けて速やかに教育機関等に周知・徹底が行われるよう申し入れたところですが、これを受けて、昨日16日木曜日、文部科学省から全国の教育委員会等に対して、偏見や差別の防止の徹底を行うための通知が発出されたと連絡を受けたところです。
国土交通省としては、引き続き関係省庁とも連携しながら、外出自粛の中で不安を感じながらも、国民の皆さまの生活や経済活動を支えるため御尽力いただいているトラックドライバーの方々をはじめとした皆さまが、安心して働きやすい環境となるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
詳細は事務方にお問い合わせください。
4点目につきましては、不動産関連団体に対する通知です。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けたテナント事業者の方々の賃料について、これまで不動産関連団体を通じ、3月31日に、ビル賃貸事業者に対し、支払い猶予などの柔軟な対応を検討することの要請を行いました。
また、4月9日には、ビル賃貸事業者の方々への支援策の周知を行ったところです。
本日、ビル賃貸事業者の方々への支援策について、3点、新たにお知らせいたします。
1点目としては、ビル賃貸事業者が新型コロナウイルスの影響によりテナントに対して賃料減額を行った際の損金算入について、個人事業主についても適用されるとともに、既に減額された賃料についても過去に遡って適用されることとなりました。
これが1点目です。
2点目として、ビル賃貸事業者が、新型コロナウイルスの影響により賃料を減免又は猶予した場合に、1年間、国税・地方税・社会保険料が猶予されることになりました。
これにより、例えば、本年3月期決算の企業において、5月の納付期限となっている法人税について、納付困難なビル賃貸事業者の方々に無担保で納税を猶予することが可能になります。
これが2点目です。
3点目として、賃料の減免又は猶予を行った場合には、その収入の減少額に応じて、令和3年度の固定資産税を半減又は全額免除することとなりました。
なお、今の2点目と3点目につきましては、今国会において、必要な法整備が行われる予定です。
こうした支援措置もぜひ御活用いただいて、賃料について柔軟な対応をお願いしたいと。
私どもはオーナーもテナントの皆さまもそれぞれパートナーだと考えておりますので、パートナーシップを発揮していただいて、協力して難局を乗り切っていただくことを心から期待しているところです。
これらの措置につきまして、本日、不動産関連団体等を通じて周知させていただきます。
詳細は、事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
私からは以上4点になります。

質疑応答

(問)新型コロナの影響を受けている航空業界に対する支援についてお伺いいたします。
米国では巨額の補助金などの政府支援の動きが本格化していますが、国内の航空業界について、従来の支援を拡大していくお考えはありますでしょうか。
(答)航空会社につきましては、水際対策、また、大規模なイベント自粛要請等の影響を大変大きく受けており、便数につきましても、当初計画比で言いますと、国際線が約9割、国内線が約5割減少しております。
これによりまして、2月から5月に限っても、業界全体で約5000億円の減収を見込むなど、経営状態が急速に悪化しており、足下では特に資金繰り対策が喫緊の課題となっているということで、これは十分に承知をしております。
ただ、航空業界への支援についてですが、今、米国ではというお話がありましたが、米国とは市場規模等が異なるために、一概に比較するということは、私は困難だと思いますが、先般閣議決定された緊急経済対策では、航空会社に対しては、着陸料等の支払い猶予、また、日本政策投資銀行の危機対応融資等の活用などが盛り込まれたところであり、航空業界においては、これらにより、当面の最大の課題である資金繰りが可能になるものと見込んでいるところです。
新型コロナウイルス感染症の収束は、今、政府を挙げて早期収束を目指して全力でやっておりますが、現時点では見通せない状況であります。
これが長期化するなどさらに状況が悪化した場合には、航空会社の資金繰り等も踏まえ、更なる支援策について総合的に検討し、適時適切に対応していかなければいけないと考えているところです。

(問)コロナの関係で、ゼネコン各社で一時工事中止するという動き出ていますが、公共工事への影響というのはいかがでしょうか。
(答)大手ゼネコンの一部において、緊急事態宣言のあった地域を中心に、工事を中止とする方針であるということは承知しております。
国土交通省直轄工事におきましては、工事を一時中止するかどうかについては、受発注者間で協議することとしていただいております。
また、一時中止等の申し出のある工事は、4月10日時点でありますが、全国で約100件、これは全体の2%となっておりまして、現時点で執行に与える影響は限定的であるというように考えているところです。
ただし、今後も一時中止等の申出が増えることも予想されていますので、引き続き、状況を注視してまいりたいと思います。
なお、工事を継続する場合において、屋内での作業、移動中の車内、現場事務所での打合せなど、いわゆる3つの「密」が生じやすい場面もあることから、換気の徹底等ですとか、3つの「密」を回避する措置が講じられるよう、既に注意喚起を行っているところです。
引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策を徹底しつつ、公共工事の円滑な執行にも万全を期してまいりたいと考えております。

(問)安倍総理は昨日、新型コロナウイルス対策として国民1人あたり10万円を一律給付する考えを表明されました。
減収世帯への30万円給付を取り下げて、既に閣議決定された今年度補正予算案を組み替えるというのは極めて異例なことと承知しておりますが、10万円給付については、かねてから公明党が強く主張されていた施策でもあります。
緊急事態宣言が全国に拡大されるという、こういう事態の中での今回の方針について、大臣の御見解、お考えがあればお聞かせいただけませんでしょうか。
(答)この件、そうなったことは承知をしておりますが、本件、国土交通大臣としての所管ではありませんし、また私は公明党を代表する立場ではないので、正式なコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、7日に政府が、緊急事態宣言を発令してから局面が変わり、これは公明党の山口代表のコメントにあるとおり、7日に政府が東京など7都府県に対してまず緊急事態宣言を発令してから世の中の局面が変わったと、こうした広範な影響が社会経済に及んでいると、先が見通せずに困っている国民に励ましと連帯のメッセージを送るべきだと力説されたと。
そして、緊急事態宣言が出されてからの国民の苦しみや影響を政治が敏感に受け止めなければならないと訴えられたと、総理との会談の席上で、そういうふうに報道がされております。そうした事態の中で、1人10万円給付に対して、そうしたことも山口代表が訴えられて、総理が回答されて、山口代表が積極的に受け止めていただいたと理解していると言われたと。
いろいろプロセスがあったと思いますが、総理が最終的に10万円の給付という方向でと表明があったと承知しています。
確かに異例なことだと思いますが、そうした中でコロナウイルス感染症の関係で日々状況が変わっておりますし、国民の皆さまの切実な声が政治の世界に届いて、そうした与党からの申出に対して総理が決断されたことについて、私は閣僚の1人として、総理の決断には全く異存がない、そのとおりだと申し上げたいと思います。
ただこれは、繰り返しになりますが、国土交通省大臣の所管ではありませんので、国土交通大臣としてのコメントではなくて、聞かれたのであえてということです。

(問)今週木曜日に発売された週刊文春の記事の中で、赤羽大臣が4月3日から4日にかけて、兵庫の有馬温泉に行かれたという記事がありました。
これについて、そうした事実があったのかという事実関係の確認と、どういった目的での現地への出張だったかというところの説明をお願いできますでしょうか。
(答)これは皆さんよく御承知のように新型コロナウイルスの感染症の影響、特に観光関連、運輸業、大変深刻だということは言われておりますし、皆さんよく御承知だと思います。
私たちもできるだけ現場の皆さんの声を聞いて適時適切な対応をとらなければならないと幾多も表明しているところでして、実は3月の28日、29日、これは沖縄に出張させていただきました。
これは那覇空港の第二滑走路の開通式のセレモニーで行かせていただきましたが、そのときも菅官房長官に同席していただきまして、観光関連、運輸関連の皆さんから要望をいただきまして、そのときに、全体のヒアリングは官邸でもさせていただいておりますし、国土交通省にもそれぞれの団体の長が、全てとは言いませんけど、ヒアリングをやっていましたけど、地域によって随分特性が違うということ、沖縄については離島であるとか少し特殊な事情があるし、それは地域によって違うなということを改めて認識して、様々な指示もさせていただいたところです。
そのときには、修学旅行の話や離島航路の維持の話を指摘いただきまして反映させていただきました。
東京に戻ってきてから、国土交通省の幹部会で政務三役も含めて、環境が落ち着いて反転攻勢の観光の重要政策をタマ込めするに際して、地元の観光業の皆さんそれぞれから大きくヒアリングをしなければならないということで、地域的にこれから政務三役で計画を立てて、そうしたことを実行していきたいという、そういう話をしていたところであり、残念ながら新型コロナウイルスの感染状況が広がってきて、具体化がしにくい状況の中でありました。
この4月3日、4日につきましては、地元の有馬温泉だけではないのですが、兵庫県は城崎温泉、また淡路島は洲本温泉、様々なところがあって、大変深刻だという話を聞いて、私、ほとんど地元には戻っていないので、その3つの温泉の代表者が集まるから是非話を聞いてほしいという要望をこの週にいただきまして、国土交通省の中で相談させていただいて、こういう状況であるので、少人数の会合であることと、また、3密にならないような対応をとること、こちらからも大臣の出張というと大人数になるので、最低限の少人数として観光庁の長官と担当部長、秘書官も一人ですけど、基本的にはその体制で行くということで公務出張をさせていただきました。
4日は実は当初、宿泊業の皆様からお話を聞くという予定でありましたけれども、できれば宿泊業だけではなくて、周辺、関連の地元の飲食業や土産物小売業、リネンなど、その周辺の観光地がやられると、それらの方がより深刻だからということで、そうした皆さんのお話も聞いていただきたいということになりまして、午前中に10名の代表者のお話を聞かせていただいて、午後から宿泊業、これは有馬温泉、城崎温泉、また洲本温泉の代表の皆さんの要望と、午後につきましては、GoToキャンペーンに対する業界からの要望も聞かせていただきまして、3時過ぎまで熱心な、建設的な提言いただいて、3時半の新幹線に飛び乗って6時半から国交省の公務に戻ったと。
そうした経緯でございました。

(問)緊急事態宣言、冒頭もサーモグラフィーの話もありましたが、全国に拡大します。改めて水際対策等々、どういった対策を国土交通省で考えられているかというところと、御所見をよろしくお願いします。
(答)まず、今般、緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されたことを踏まえまして、改めて国民の皆様に、全国において都道府県をまたいだ不要不急の帰省、また旅行をお控えいただくように、お願い申し上げたいと思っております。
特に、今月末から大型連休期間に入りますが、蔓延防止の観点から、人の移動を本当に最小限にするために御協力をお願いしたいと思っております。
また他方、これまで繰り返しこの場でも申し上げてまいりましたが、公共交通や物流につきましては、我が国の国民生活、また経済活動を支える大変重要なインフラでございます。
新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づきましても、緊急事態においてもなお、必要な機能を維持することが求められるということで、認識しておるところでございます。
今般、新たに緊急事態宣言の対象となった地域においても、公共交通や物流の機能が維持されるよう適切に対応する必要があると考えております。
本日この後、省内の対策本部を開催いたしまして、こうした必要な指示をしっかり行いたいと考えております。
国土交通省といたしましては、国民生活や経済活動等をもちろん維持するべく、感染防止対策の一層の徹底を図りつつ、今後の動向を丁寧に把握しながら、関係地方公共団体や関係事業者と連携して、必要な輸送機能の確保に全力を挙げてまいりたいと考えております。
繰り返しになりますが、国民の皆さまにもそうしたことを十分よく御理解いただいて、これは官民挙げて、国民挙げて早期の拡大防止・収束に向けて努力していかなければいけないと考えておりますので、重ねて御協力よろしくお願い申し上げたいと思っております。

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