大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2020年1月21日(火) 10:46 ~ 11:12
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 私から本日の閣議案件につきましては報告するものはございませんが、そのほか、1点御報告をさせていただきます。
この度、「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト~いのちとくらしをまもる防災減災~」という、新しい、言わば大臣プロジェクトを立ち上げさせていただき、これを推進するための「第1回国土交通省防災・減災対策本部」を開催させていただきますので、簡潔に御報告させていただきます。
皆さま御承知のように、近年気候変動等の影響によりまして激甚災害が頻発化し、昨年におきましても台風第15号、19号をはじめ、これまでと次元の異なる自然災害が相次いで発災し、多くの方々が被災されているところです。
こうしたことを受けて、現在、各局それぞれ有識者会議等で、個別の分野において、専門家の皆さまによる検討が進められておりますが、こうしたことと連携しつつ、プロジェクトを立ち上げるのはなぜかというと、1つはこういった災害は 国土交通省のほぼ全局に関わると。
外局、観光庁も海上保安庁も気象庁も当然ですが関わってくると。
全局にとって防災・減災というのは大変大きなテーマだということですが、国民の皆さまの視点に立った防災・減災対策でなければいけないということが1つです。
もう1つは、役所にありがちな各局縦割りであってはならないと。
こうした2つの点からプロジェクトを立ち上げるわけです。
国民の皆さまの視点というと、往々にして専門用語や専門的な情報というのは、国民の皆さまからは非常に分かりづらい、理解がされない。
台風19号の時に指摘を受けましたが、例えば、大雨の特別警報が解除されたと。
安全だと思って自宅に戻ったら、河川の氾濫が起きてしまったと。
こうしたことは国民の皆さまに対して、これから別のリスクが起きるということを含めた情報の発信が必要ではないかということや、ハザードマップも全国の市町村に頑張って作っていただいておりますが、なかなかハザードマップを見てもリスクが分かりにくいし、ハザードマップを基にマイタイムラインや地域での避難体制が構築されている地域はまだまだ数少ないのではないかと。
そうしたことにもつながる国民の皆さまの視点に立った分かりやすい、また、効果的な防災・減災対策を講じなければいけないというのが1つです。
また、各局縦割りを排するというのは、例えば、鉄道の河川に架かる橋脚については鉄道局であり、他方、水管理・国土保全局も関わるわけです。
どうしても局を超えての共同作業というのはやってはいますけど、それを更に強固にしながら、予算の問題も乗り越えて、鉄道の橋脚が崩壊すると再生には大変時間もかかるわけで、防災・減災に資する鉄橋の総点検のあり方や、例えば別の話では、去年の台風15号では成田空港に多くの飛行機が飛んできてしまって、その時点ではアクセスの鉄道等がクローズしていました。
随分改善しておりますが、鉄道局と航空局の連携や、また役所を超える話になりますが、無電柱化についても道路局と経済産業省の皆さまとの連携が必要だとか、役所の論理だと乗り越えられない壁の前にスタックしてしまって、結局国民の皆さまの命と暮らしを守るための防災・減災対策が進んでいないということもしっかり見据えながら、まず国土交通省の中で横串、加えて政府間の関係省庁の中で横串をした、本当の意味での国民一人一人の皆さまの防災意識を高めて、防災・減災が主流となる安全・安心な社会づくりを進めていくことを目的として、このプロジェクトを立ち上げたいと思っています。
この詳細につきましては、後ほど資料を配付させていただきますし、それぞれ会合をやるたびに御報告をさせていただきますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)通常国会が開幕しましたけれども、予算案では防災関連などが多く計上されておりますし、また、国土交通省から比較的多くの提出予定法案があると思います。
どのように審議に臨むお考えなのか、大臣の意気込み含めてお願いします。
(答)20日に通常国会が召集されまして、明日から代表質問が始まり、恐らく翌週からは予算委員会の中で補正予算、また当初予算の審議がされるものと承知をしておりますが、今、お話しいただきましたように令和元年度補正予算案と令和2年度予算案には、今進めている3か年の防災・減災緊急対策の集中的な実施、また、3か年緊急対策後も見据えた防災・減災、国土強靱化の取組の加速化・深化を通じた防災・減災が主流となる安全・安心な社会づくり、また本年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会後も持続的な経済成長を確保するための社会資本整備の戦略的かつ計画的な推進や観光先進国の実現、またスマートシティ、次世代モビリティの推進や魅力ある住生活環境の整備等の施策が盛り込まれた予算ですので、この予算案が効果を最大限に発揮できるように早期成立をお願いしてまいりたいというのが第一点でございます。
そして、提出予定の閣法についても、今回は国土交通省から土地基本法やバリアフリー法、また地域公共交通活性化再生法の改正案、計8本の法案を提出予定しておりますが、これは本当にいずれも大きなテーマに関わり、いずれも国民の皆さまの命と暮らしに直結するような重要な法案だと思っております。
この喫緊の重要課題に対応する、予定している提出法案全ての成立に向けてしっかりと丁寧に説明に努めてまいりたいと思っております。

(問)IR基本方針についてお尋ねします。
昨日、西村官房副長官から基本方針の決定時期について、国土交通省がカジノ管理委員会などと協議を行っている最中との発言がありました。
現在の進捗状況と基本方針の決定時期について変更等があるかお聞かせください。
(答)カジノ管理委員会は当初の予定どおり設置をされました。
私どもの所管である基本方針案につきましては、IRの整備法に基づきカジノ管理委員会が設置された後に同委員会も含めた関係行政機関と協議を行うと。
そして協議を行った結果、IR推進本部の決定を経た上で、基本方針案というのは正式に決定し公表することとしています。
現在1月7日に発足いたしましたカジノ管理委員会を含めた関係行政機関との協議を行っているところでございまして、協議が整い次第、今述べた手順により決定をし公表をするというプロセスに進むと承知しております。
現状ではその決定時期がいつになるかというのは未定です。

(問)新たな防災・減災プロジェクトについてお尋ねします。
横串という御言葉もありましたし、全部局という御言葉もありました。
確認ですが、国土交通省の部局は13ほどあったかと思いますが、全部入っているということでよろしいでしょうか。
(答)はい、そうです。
(問)追加で、対策のとりまとめ時期、恐らく雨期が防災・減災だとポイントになるので、そこまでにとりまとめるお考えなのか。
仮にそうだとすれば、R3年度の予算概算要求にどのように反映させていくのか。
また、ハード面に関して、これソフトも入っていると思うのですが、ハードに関しては、緊急3か年対策が今進められている中でR2年度までになっているので、これは後継的な位置づけを持っているものなのかそのあたりも含めてお願いします。
(答)まず、緊急3か年対策は、近年の激甚災害への対応への反省と教訓にたって、この3か年で決着がつくものということで計画がなされ、事業が進んでいると。
それはしっかり最後の3年目もやらなければならないということは当然でありますが、全国の被災地域を私もこの間ずっと回ってきておりまして、地元の被災自治体の首長の皆さまからほとんど異口同音に、この3か年緊急対策は本当にありがたいけれども、そういう意味では、まだ災害リスクがある地域や箇所はたくさんあると。
ですから抜本的な対策を取ってもらいたいというのが全国の地方自治体の首長の皆さんの、ほとんど同じような御要望でございました。
そうしたことも踏まえ、また、気候変動による相当激甚化している、頻発化しているということに対して、抜本的な対策を取らなければならないということで、それぞれ社会資本整備審議会等の各局の有識者会議に分析は委ねておりますが、それに加えて、国民の皆さまの視点に立ったわかりやすい、本当の意味での効率的な防災・減災対策を取らなければならないということです。
その時期は、恐らく審議会のとりまとめもこの夏、台風シーズンには間に合うように、今精力的に議論を検討していただいておりますので、このプロジェクトについてもほぼ同じような時期にとりまとめをしたいと考えております。
ですから、その案を作る以上は実効性が伴わないといけないので、ただ、御承知のように、その先の予算や財源については、財政当局との協議もまだ全く行っておりませんので、当然我々としては、それを実行せしめるための予算の裏付けはとるように頑張りたいと思いますが、財政当局との協議はもちろんこれからの話です。

(問)新型肺炎のことでお伺いしたいのですけれども、今、中国をはじめ死者も出て、我が国も含めて周辺各国に広がっています。
航空行政と観光行政の観点から、今どのような認識と対策をお考えなのか教えてください。
(答)政府の関係閣僚会議が先ほど開かれまして、政府としての対応が決定しました。その決定された対応を基に、この会見の後に、国土交通省内の省内幹部会を開催しまして、記者の皆さんにも公開して、私の方から関係各局に対して、改めて対応を指示させていただきます。
いずれにしても、中国はこれから春節の季節を迎えまして、中国国内の移動も相当活発に行われるのが例年常でありますし、加えて、近年はその季節が大型連休ということで訪日される方もたくさんいらっしゃいますので、そうしたことについて水際対策をしっかりと取れるように、厚生労働省を中心に、我々関係機関としても対応をしっかり取らなければいけないと考えています。
具体的にはこの後の会議でよろしくお願いします。

(問)2点伺います。
1点目なのですけれども、三菱電機に対するサイバー攻撃について、所管されている鉄道などいろいろなインフラ事業もあると思うのですけれども、所管されている企業に関しての情報の流出や、三菱電機側から何らかの報告があったかどうか、その辺の事実関係と御所感を伺います。
(答)三菱電機に対する不正アクセスの報道は承知しております。
我々は、三菱電機を所管する経済産業省を通じて確認を行っておりますが、現時点におきましては、国土交通省に関する情報の流出は確認されていないと聞いております。
今、三菱電機が原因究明等の対応を行っていると聞いておりますので、国土交通省におきましてもこの動きを注視しておりますし、経済産業省と連携を密に取りながら、しっかりと必要があれば対応していきたいと考えています。
加えて、経済産業省によりますと、現時点においては、JR・私鉄、また、自動車に関する機微な情報の流出は確認されていないと聞いております。
(問)続けてもう1問なのですけれども、先ほど質問があったIRの基本方針案について、一部報道で、公務員とIR事業者の接触を制限するような規定を新たに加える検討をしているという報道もありますが、この辺りの検討状況について、今言える範囲でお願いできますか。
(答)現状、具体的なそうした議論があるというのは承知しておりませんが、政務三役というのは、大臣規範にのっとりまして、行政の中立性や国民の皆さんの信頼に配慮しながら適切に行動するということがそもそも求められていますし、また、公務員は国家公務員倫理法を遵守して適切に行動するということが基本でありますので、今般の事案がまだ詳細に明らかになったわけではありませんが、今般の事案を踏まえて、IR関係者の法令等の遵守を徹底していくのは当然だと思っています。
ただ、それに更にという議論が今どうなっているのか、政府内にそのような議論があるかどうかということは承知しておりません。

(問)IRの基本方針の件なのですけれども、先ほど、現状では決定、公表の時期は未定と仰いましたけれども、これは、今回の汚職事件の影響を受けて未定になった、または遅れた、もう少し丸く言うと、影響を受けてそうなっているということでよいのでしょうか。
(答)それは、何がどうかということではなく、カジノ管理委員会をはじめ、関係行政機関のそれぞれの議論に時間がかかれば、それはまた。
ただ、今の時点でどうなるかというのは、遅れるか、遅れるということについては前提がいつというのがあってということでもないのですが、プロセスはしっかりと踏まなければいけないということですので。
今日の新聞報道を見ると、遅れという報道が多く出ているのですけども、そういうことではなくて、丁寧に議論していかなければいけない、現状はそういうことです。
カジノ管理委員会の審議もこれからと承知しております。
(問)この汚職事件で、IRに関する政府の政策に影響が出始めたという認識でよいのか、またそうではないということですか。
(答)現状では、まだ、そういうことについて、どうかということを発言するような段階ではないのではないかと思います。

(問)IRの関連なのですけれども、野党が廃止法案を提出するなどの動きがありますけれども、改めて、国会ではどのように対応されていくかというところと、来年1月から7月に申請の受付が予定されていると思いますが、その辺のスケジュールへの影響というのはどうお考えになっているのかというところをお答えください。
(答)大枠のスケジュールも変更うんぬんという議論はまだ全くございません。
我々担当の行政省庁としては、今、成立しているIR整備法に基づいてプロセスを粛々と進めるのは一つの責任だと思っていますが、野党から、昨日、廃止法という法案が出されて、その審議が国会でどうなるか承知しておりませんが、その国会の審議の中で、現状の整備法に基づいた我々のプロセスが影響を受けるかどうかということは仮定の話ですから、あまり答えることはできないと思います。

(問)先ほどのIRの件で追加なのですが、まだ事件の全容というか裁判が起こるまではどうなるか分からないと思うのですが、一方で、基本方針については、国土交通大臣として作らなければいけないということになっていると思うのですが、先ほどの質問ともかぶるのですが、この事案を踏まえて、問題意識として、どこまでの範囲かということもあると思うのですが、新たに接触を制限したりということが必要かどうかという問題意識自体は、今お持ちになっているような状況なのでしょうか。
それとも、その辺も含めてまだよく分からないということでしょうか。 
(答)基本的な大原則では、先ほど申し上げたとおりですし、今回のIRに関してのいわゆる疑惑というのが生じて、IRの整備について国民の皆さまから心配する声とかいろいろな声があるということは承知をしておりますので、この前総理も発言されていますように、国民の皆さまの信頼と理解の下で必要な準備を進めていくということが大事なので、そうしたことについては、公正性と透明性を確保しつつ、丁寧に取り組んでいかなければいけないと思いますし、国会における質疑に対しても、どのような質疑があるか当然分かりませんけれども、そうした考えの下で真摯に対応していなければいけないと考えております。

(問)カジノ基本方針のことで伺いたいのですが、先ほど大臣は公表時期については未定ということでしたけれども、衆議院の内閣委員会などで、事務方の方は今年1月を目途に公表するというのを既に示されているわけですが、この1月を目途に公表というのは未定になったということでしょうか。
それとも1月目途というのは維持した状態なのでしょうか。
(答)先ほど申し上げたように、こうした疑惑そのものがどうなのか、まだはっきりはしておりませんが、今回の疑惑を受けて、IR整備について国民の皆さまから心配する声が上がっているということで、カジノ管理委員会はじめ関係の行政機関もより丁寧な審議がされるものだと、必要だと思われて臨まれるものだと我々も承知をしておりますし、そうしたことはよく理解をできるわけでありまして、我々各行政機関と協議を進めて、その上で、先ほど申し上げましたように基本方針案を決定しなければいけないので、恐らくそこに当初よりも時間がかるのではないだろうかと。
皆さまの報道各社の世論調査においても、こうした心配やどうなのだろうかという声も多くなっているのも事実だと思いますので、そうしたことを受けてであります。
ただ、関係行政機関との協議がスムーズにいかないという前提で発言したわけではなくて、スムーズにいけば粛々と私たちのプロセスは進めるという立場にあるということであります。
(問)1月を目途というのは、維持されているということですか。
(答)先ほど申し上げたことが全てであって、カジノ管理委員会も23日に議論が開かれるということでありますので、そうしたことを受けないと、現時点で私が勝手に予断を持って発言するということは適当ではないと思います。

(問)今の質問の関連なのですが、国土交通大臣としては、あくまで1月中のIR基本方針案の決定を目指していきたいという御意向なのか確認させてください。
(答)IR施設の設置というのは初めてのことなので、当初から言っていますように、経済的なプラスの効果と社会政策的なマイナスの効果というのは、当然皆さま持たれているので、そうしたことの中で、心配されるような施設を作ってはいけない。
国民の皆さまの信頼に基づいた、いいものを作ってもらったなと言っていただけるようなことをするのが私の今の役目だと思っていますので、そのことが最優先されるのであって、乱暴な議論をして前に進めるということは元から思っておりませんので、丁寧に、決めたことについては当然説明責任も問われると思いますので、公正性と透明性というのを確保した議論を行っていかなければいけないと思っています。
現時点では申し上げられることはそういうことになります。

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