大臣会見

赤羽大臣会見要旨

2020年1月10日(金) 10:53 ~ 11:13
国土交通省会見室
赤羽一嘉 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件につきましては、私の方から報告するものはございませんが、それとは別に、私の方から1点御報告させていただきます。
2019年の訪日外国人旅行者数についてです。
2019年の訪日外国人旅行者数は、対前年比プラス2.2%の3188万人となりました。
昨年は、韓国からの訪日旅行控えや相次ぐ自然災害による影響がありましたが、その中でも、戦略的なビザ緩和、CIQ体制の充実、交通ネットワークの充実、多言語表記などの受入環境整備、観光資源の磨き上げ、日本政府観光局を中心としたプロモーションなどに取り組んできたことが、こうした成果となって現れたものと認識しております。
ラグビーワールドカップでは、期間中、世界中のラグビーファンが全国各地を訪れていただいたことによりまして、特に出場国からの訪日旅行者数は対前年比で29.4%増加しました。
その効果は訪日旅行者数の増加に留まらず、通常の外国人旅行者の平均滞在日数よりも5日長い平均13泊の滞在をしていただき、約2.4倍の消費を行っていただいたほか、日本各地の地域住民との交流も生まれるなど、多くの地域に賑わいと活気をもたらしました。
インバウンドの数とともに、質を高め、これを地方創生につなげていくという点で、今後の取組に当たりまして大きな成果であったと認識しております。
引き続き、このような好循環を生み出せるように、1つは多言語対応やバリアフリー化などの受入環境整備、国際的なスノーリゾートの形成、ナイトタイムエコノミーの活性化などの地域の観光資源の磨き上げ、こうした取組の担い手となる、質の高い観光地域づくり法人、DMOの育成について、政府一丸・官民一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
本年2020年は観光ビジョンに掲げた、「訪日外国人旅行者数4000万人」等の目標年です。
また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催や、首都圏空港、那覇空港等の機能強化が予定されている年でもあります。
こうした絶好の機会を最大限活用し、日本政府観光局を中心に、地域の観光の魅力を世界中に強力かつ戦略的に発信する、「Your Japan2020」キャンペーンを強力に展開し、地域への誘客を進めてまいりたいと思います。
更に、特に中国については、春に予定されている習近平国家主席の訪日を見据え、引き続き日中間で観光交流拡大に向けた更なる協力を進め、地域間交流や青少年交流といった取組を含め、幅広い交流促進を実現していきたいと考えています。
また、本年は、中国、韓国とともに3か国で毎年開催している日中韓観光大臣会合を日本がホストする年であり、兵庫県淡路島で開催するよう準備を進めているところです。
大臣会合の開催は、各国の観光担当大臣間の信頼を深め、日本の魅力をアピールする好機です。
このような機会を通じて、私自身が先頭に立って観光交流の拡大を進めてまいりたいと考えております。
なお、国・地域別の数の数値や要因などの詳細は、来週1月17日の観光庁長官の会見にて発表させていただきたいと思います。
私からは以上です。

質疑応答

(問)中東情勢についてなのですが、イラン情勢が、現在、緊張状態にありますが、中東海域の海上交通や観光客の安全確保などに向けた国土交通省の対応状況についてお願いします。
(答)今般の事態の発生を受けまして、国土交通省におきましては、中東の海域を運航する船舶運航事業者に対して、1月4日及び6日に引き続き、8日にも改めて注意喚起を行うとともに、航行の支障の有無について確認を行いました。
また、航空事業者については、1月8日に、欧州路線を運航する本邦航空運送事業者に対して、安全航行に係る注意喚起を行うとともに、翌1月9日には、中東方面の便を運航する外国航空会社等に対し、日本人旅客に対して適切な情報提供・注意喚起を行うよう要請いたしました。
そして、中東地域へ渡航するツアー客につきましては、1月8日に、旅行業協会を通じ旅行会社に対し、ツアー客へ外務省の最新の渡航情報等、現地のリスク情報の提供を行うことなどを要請したところです。
更に、1月9日には、イラン・イラクへのツアーの企画、その主催につきましては、中止を含めた慎重な判断を行うことを要請しているところです。
引き続き、関係省庁と緊密に連携を図りながら、船舶、航空機の安全航行、旅行者の安全を確保するために、適時適切な情報提供、注意喚起等を緊張感を持ってしっかり行っていきたいと考えています。

(問)質問が2つあり1点目ですが、先ほど仰っていた昨年の訪日観光客に関連して、今年2020年は4000万人の目標達成の年ですが、やや厳しい見方も出ております。
JTBの予測ですと今年はインバウンドは3400万人に止まるという数字も出ておりますし、8兆円の消費目標の方も現状なかなか目標までは数字の乖離があると思います。
政府の4000万人と8兆円の目標の達成についての意気込みと具体的な方策を改めてお聞かせください。
(答)訪日観光客に対する政策につきましては冒頭にも申し上げましたように、2019年の訪日外国人旅行者数は、対前年比プラス2.2%の3188万人と2013年以降7年連続で過去最高を記録しており、この間、約4倍に増加しています。
韓国との関係や10月は毎週末台風災害があったようなことがあっても、前年比プラスになっているという現実です。
また足下でも、11月までの数字を見ると、対前年同期比で中国がプラス14.2%、東南アジア諸国がプラス14.0%、欧米豪がプラス13.7%と、今言った韓国を除けば極めて好調に推移しています。
また、世界全体の旅行者数は、プラス5.4%の年間14億人、特にアジア・太平洋地域ではプラス7.3%の年間3.5億人と伸びており、日本に来ていただける外国人旅行者もまだまだ伸ばす余地が大いにあると考えております。
このため、世界の旺盛な旅行需要を日本にしっかりと取り込んでいけるよう、先ほど申し上げたように、1つは多言語化やバリアフリー化など、日本の旅行を真に楽しむための受入環境整備を進めること、自然・食・文化・気候という日本の恵まれた観光資源を磨き上げること、こういったことをしっかりスピード感をもって進めていきたいと考えております。
以前の記者会見でも御報告しましたが、沖縄を上空から視察させていただいた際に、沖縄の各島を囲む美しい海を見て、非常に魅力的なリゾートとなる相当大きな可能性を秘めていると実感したところです。
具体的にまだまだ観光資源、開発できる余地があると考えております。
加えて、ラグビーワールドカップの時に実証されましたように、多くの外国人の皆さまにできるだけ滞在期間の長期化を促すことなどによりまして、消費額の増加にもつなげていきたいと考えております。
その上で、本年はオリンピック・パラリンピック東京大会が開催されるわけでありまして、この開催に合わせて首都圏空港や那覇空港等の機能強化、各地で進められている再開発プロジェクトの相次ぐ完成による都市の魅力の向上等、日本への関心がかつてないほど高まるため、日本各地の魅力を海外に発信する絶好のチャンスであると考えています。
このため、JNTOを中心に、全国のキーコンテンツ情報を世界中に強力かつ戦略的に発信する、「Your Japan2020」キャンペーンを強力に展開していきます。
キャンペーンでは、日本初の城泊や祭りなど、全国の観光資源を、1年にわたってPRをし、地域に外国人を誘客していくことが狙いです。
かねてから申し上げているとおり、2020年4000万人、旅行消費額8兆円等の目標達成は大切です。
そして、観光は交流を生み出し、地域に賑わいと活気をもたらします。
それに加えて、外国との相互理解が促進されるという、数字だけに止まらない大きな価値ももたらすと考えています。
重ねてになりますが、地方には多くの魅力的な観光資源が眠っており、私は、これらを磨き上げ、開花させていけば、過疎化が進む地域を活性化できると確信しています。
私たちは評論家的な立場ではありませんし、その目標に向けて実行を進めなければならないので、しっかりと人ごとではなく目標達成に向けて、ありとあらゆる手段を打っていき、観光政策なくして地方創生なしとの強い決意の下で、目標達成に向けて全力で取り組んでまいりたいと思っています。
なお、韓国の問題については様々なレベルで、政治自体も日韓関係、私は好転の兆しが少しずつ出てきていると思いますし、政治家のレベルまたは民間レベルでも相互交流に対する努力も進められていると思いますので、私は韓国との観光の政策についても今年は好転させていかなければいけないと決意しております。

(問)もう1つなのですが、千葉市が来年1月から7月のIR申請の見送りを表明しました。市長は一連の汚職事件による判断の影響を否定しているのですが、IR認定申請を検討している自治体に動揺が広がっているのではないかという声もあります。
昨年9月の観光庁の調査で意向を示した8地域のうち、早くも2地域が撤退して上限3の枠の見通しに対して認定の倍率が低くなっているとも言えます。
改めて今回の事件を受けて近々公表される基本方針や日程の見通しに変更がないか確認させてください。
また、この事件を受けて自治体や市民の懸念や不安を払拭するための方策など検討しないのかどうかについても合わせてお聞かせください。
(答)つまびらかではありませんが、少なくとも北海道がこのIRの誘致を見送ったことは、いわゆる今の一連の事案とは別で、それにかかる計画の実効性や投資額の見合いなど様々、それぞれの自治体が御自身でいろいろ計画を算段する中でその結果判断されたということだと思っておりますので、それについてはそれぞれの地方自治体の皆様方が判断されることだと、コメントは差し控えたいと思っております。
いずれにしても私たち国土交通省としましては、IR整備法に基づいて必要な準備を進めていくために、今、特に公平性と透明性を確保しながら丁寧にこれからのプロセスを進めていかなければならないと考えております。
加えて、日程については区域整備計画の選定にあたってのルールを明確に定めるのが基本方針であります。
ですから、この基本方針をしっかり示すことが逆に言うと各自治体の申請、出てきたものを選考するにあたっての選定のプロセスの公平性と透明性を確保することにつながると考えておりまして、そういう意味では基本方針については大変重要だと思っておりますので、その決定時期については現段階で変更することは想定しておりません。

(問)訪日観光客数の関連で私からもお伺いしたいのですけれども、19年は3188万人ということで、政府目標達成のハードルはかなり高いと思いますけれども、他方で、大臣が冒頭発言されておりましたように、今年は羽田、成田の発着枠の拡充ですとか、那覇の第二滑走路の供用開始といった空路の大幅な機能強化が予定されております。
これらの機能強化によって訪日客数の押し上げにどの程度効果があると見込んでらっしゃるのか、もし数字がありましたら御説明いただけたらと思います。
(答)まず羽田空港につきましては、本年夏ダイヤ、3月29日からの新ダイヤですが、新飛行経路の運用開始により、国際線の発着枠が年間約4万回増加する予定としております。
発着枠の増加分につきましては、訪日需要への対応等の観点からアメリカ、中国を中心とした9か国・地域に配分を行っています。
また、成田空港についても、管制機能の高度化や高速離脱誘導路の整備を行いますので、これも同じように本年夏ダイヤより空港処理能力が年間約4万回拡大するものと期待しております。
更に、那覇空港は、滑走路の増設により発着容量が年間約13.5万回から約24万回に拡大すると想定しております。
現在、13.5万回という発着の現状ですが、実質は16.6万回発着が行われておりまして、大変な遅延等が発生してしまっているというのが現実でございます。
こうした数字を基に、一定の前提での試算となりますけれども、空港機能強化の取組により、空港処理容量としては、訪日外国人旅行者の年間約600万人相当の増加に対応できる環境が整うことを見込んでおります。
国土交通省としましては、これらの空港機能強化を最大限に活用し、JNTOや各空港の関係者とも連携した国際航空路線の誘致、容量だけ大きくて実際エアーが飛んでこなければ意味がありませんので、国際航空路線の誘致を積極的に行うとともに、各空港での受入れ体制に万全を期し、この訪日外国人旅行者数の目標達成に向けて、関係者一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。

(問)JR北海道の維持困難線区についてお尋ねします。
地域の自治体からは、路線維持の地元負担を今後も続けるのは財政上難しい、2021年度以降は続けられないといった声とか、国鉄改革を進めた国の責任で負担してほしいという意見が挙がっています。
北海道の鈴木知事も昨年末に同様の意向を表明していますけれども、これについての大臣の受け止めと、今後の費用負担のあり方についての考え方をお聞かせください。
(答)JR北海道に対する国の支援については、現在、令和元年度及び2年度の2年間で400億円台の支援を行うこととしております。
現行法上、この支援の期限は、令和2年度末までとなっておりまして、令和3年度以降については、我々としては、JR北海道の経営改善に向けた取組や、地域の関係者と一体となって行う利用促進・コスト削減等の取組状況をまず検証して、これに着実な進展が確認されることを前提として、支援を継続するための所要の法律案の提出を検討することとしております。
その中で具体的な支援のあり方については、こうした議論の過程において、北海道の関係者とも協議しながらしっかりと検討してまいりたいと考えているところであります。

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