大臣会見

繰り上げ石井大臣会見要旨

2019年8月8日(木) 9:51 ~ 10:21
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から報告するものはございません。
このほか、私の方から4点報告があります。
1点目は、羽田空港の機能強化についてです。
国土交通省においては、首都圏や日本の国際競争力の強化、地域と海外の交流による地域活性化、訪日外国人旅行者の更なる受入れのためには、羽田空港の機能強化が必要不可欠と考え、新飛行経路の運用等による羽田空港の機能強化について、これまで、関係自治体と協議を重ねるとともに、関係都県各所において5回にわたり住民説明会を開催するなど、住民の皆様に丁寧な情報提供を実施してまいりました。
こうした取組の総括として、昨日「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」を開催し、関係自治体等から、国がこれまで実施してきた騒音・落下物対策や丁寧な情報提供、及び協議会で新たにお示しした追加の対策について評価する旨並びに国に対してしっかりとした対策を講じることを求める旨の発言、今後、羽田空港の機能強化に関してスケジュールに基づいて進めることを求める旨の発言、羽田空港の機能強化に関し、国の事業として国の責任の下で進めるものと理解している旨の発言、首都圏全体での騒音共有の実現の第1歩として評価する旨の発言等をいただきました。
国土交通省としましては、これらの御発言や住民の皆様方に引き続き心配の声があることを踏まえ、いただいた御意見・御要望をしっかりと受け止め丁寧に対応する旨回答いたしました。
こうした状況を踏まえ、国土交通省としましては、羽田空港において2020年3月29日の夏ダイヤからの新飛行経路の運用開始及び国際線の増便を行うこととし、今後、各種の手続きを進めてまいります。詳細は後ほど事務方から説明させます。
2点目は、復興道路・復興支援道路の開通見通し公表についてです。
東日本大震災からの被災地復興のリーディングプロジェクトとして、国土交通省が整備を進めてきた復興道路・復興支援道路の路線全長約550kmのうち、これまで開通の見通しをお示しできていなかった5区間・47kmについて、用地取得の完了や工事の順調な進捗により、復興・創生期間である2020年度末までに開通する見通しとなりました。
これにより、国土交通省が整備を進めてきた約550kmの全区間が、復興・創生期間内に開通できることとなりました。
用地を御提供いただいた方々や工事に携わった方々の御理解と御協力に、心より感謝申し上げるともに、引き続き、全線開通に向けて全力で取り組んでまいります。
詳細は、後ほど資料を配付いたします。
3点目は、「平成30年7月豪雨に係る施工確保対策について」です。
昨年の7月に西日本を中心に発生した豪雨については、私も本年6月下旬に被災地を改めて視察し、復旧・復興が着実に進められていることを確認いたしました。
一方で、復旧・復興工事の本格化に伴い、広島県を中心に入札不調・不落がやや増加しております。
広島県内においては、依然として県内全域で交通規制が発生しており、作業効率の低下が認められます。
このため、8月19日以降の契約工事を対象に、より適正な工事価格を設定するための「復興係数・復興歩掛」を広島県内において適用することといたします。
今後も、被災地との連携を密にし、早期の復旧・復興に万全を期してまいります。
詳細は後ほど資料を配付いたします。
4点目は、「スマートシティ官民連携プラットフォームの設立」についてです。
国土交通省では、Society5.0の実現に向け、スマートシティやMaaS等の新たなモビリティサービスの実現などの取組を進めております。
その一環で、本日、国土交通省において、内閣府、総務省、経済産業省と共同で「スマートシティ官民連携プラットフォーム」を設立いたしましたので御報告します。
この官民連携プラットフォームは、企業、大学・研究機関、自治体、関係府省等、約470の団体を会員としてスタートいたします。
本プラットフォームにおける事業支援や分科会、会員間のマッチング支援、普及促進活動等を通じ、官民の英知を結集して全国各地のスマートシティの取組を強力に推進してまいります。
詳細は後ほど事務方から説明させます。
私からは以上です。

質疑応答

(問)先ほどお話しもありましたが、昨日、首都圏空港機能強化の具体化協議会で、関係自治体から機能強化実現を求める発言があった一方で、地元には不安の声もまだありますけど、国土交通省としては地元の理解を得たとお考えになっているのか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)昨日開催された「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」において、改めて国としては2020年夏ダイヤ、3月29日から新飛行経路を運用したいと申し上げました。
これに対して、関係自治体からは、国による5巡に及ぶ住民説明会等による丁寧な情報提供、騒音・落下物対策、今回新たにお示しした追加対策について、評価をいただくとともに、引き続き国に対してしっかりとした対策を講じるように要望をいただきました。
また、都からは、国が示したスケジュールに基づき、羽田空港の機能強化実現に向け、手続きを着実に進めていただきたいとの御要望をいただき、また、特別区長会会長からは、羽田空港の機能強化の必要性は理解しており、国の事業として国の責任のもとで進めるものと理解しているが、国に対して万全の騒音対策等をお願いしたい旨の発言をいただきました。
加えて、その他の経路下の自治体からも、今後国が適切な対応を行いつつ、2020年からの羽田空港の機能強化を進めて欲しいとの発言をいただきました。
これらの御発言等を踏まえ、国土交通省としましては、関係自治体等からいただいた騒音・落下物対策や引き続きの情報提供に関する御意見・御要望をしっかりと受け止め、丁寧に対応していくことを前提に、地元の理解が得られたものと判断したところです。
なお、国土交通省としては、関係自治体から御要望いただいた騒音・落下物対策や引き続きの情報提供等を通じてできるだけ多くの方々の御理解を得られるよう、取り組んでまいります。

(問)九州新幹線の長崎ルートについて伺います。
先日、与党の検討委員会の中で国土交通省、佐賀・長崎両県、JR九州の4者で今後協議をしていくよう求めていく方針と報じられていますけど、こうした自民党の意向を受けて、国土交通省としてどのように調整作業をしていくつもりか教えてください。
また、今後、ルートに関しては実現に向けて環境アセスも予算措置として付けていかなければならないと思うのですが、それについて、今回の概算要求での見通しがもし決まっていれば教えてください。
(答)与党検討委員会においては、今月5日の検討委員会において、九州新幹線西九州ルートの今後の整備のあり方について、基本方針が示されたものであります。
基本方針においては、武雄温泉駅での対面乗換が恒久化することはあってはならないことを確認したうえで、新鳥栖-武雄温泉駅間はフル規格により整備することが適当である、国土交通省に対し、国土交通省・佐賀県・長崎県・JR九州の間での協議の実施とその状況の報告を求める、とされたところと承知しております。
国土交通省としては、今回の基本方針を重く受け止めておりますけれども、関係者間での協議の具体的な方法等については、今後検討してまいりたいと考えております。
また、令和2年度予算におけます環境アセスメント費用の概算要求への対応ですけれども、今後の関係者の反応や与党における議論等を踏まえながら、検討してまいりたいと考えております。

(問)全閣僚にお聞きしているので石井大臣にもお尋ねするのですが、来週15日が終戦記念日になります。
靖国神社への参拝を行う予定があるかお話しください。
(答)予定はございません。

(問)羽田の新飛行経路の関係で伺います。
改めて、ルート下周辺の住民からは、騒音や落下物の懸念の声があります。
そのことへの受け止めと、今後の運用を決めたということで、今後それに対してどのように対応していくのか、改めて御発言をお願いします。
(答)新ルート下の住民の皆様から落下物対策や騒音に関する様々な御不安があるということにつきましては、協議会等の場においてもお示しをいただいているところでして、引き続きしっかりと御意見・御要望を受け止め、丁寧に対応していただきたいという御要請があったと理解しております。
国土交通省としては、引き続き、方針としては決定しましたけれど、先ほど申し上げましたように、引き続きの情報提供に関する御意見・御要望をしっかりと受け止めまして、丁寧に対応していきたい。
引き続き、住民説明会等も開催していきたいと考えております。

(問)名護市辺野古の米軍基地建設で伺います。
沖縄県が埋立承認撤回を取り消した国土交通大臣の裁決は違法として、取消しを求める抗告訴訟を昨日那覇地裁に提起しました。
7月の関与取消し訴訟と併せて2つの訴訟が進むことになりますが、大臣の受け止めをお願いします。
(答)沖縄県が新たな訴訟を提起したという報道は承知しておりますが、具体的な訴状の内容も承知しておりませんので、その件については、コメントは控えさせていただきます。

(問)承認撤回を取り消す国土交通大臣の裁決は違法であるという県の主張については、現時点でどのようにお考えでしょうか。
(答)具体的な裁判の件でありますから、それは法廷において、私どもの主張はしっかりと申し上げたいと思います。

(問)6日に発生した京成電鉄の停電のことでお伺いします。
このトラブルでは変電所の機器故障が原因ということですけど、駅間で停まった電車の中でエアコンも止まってしまって、体調不良を訴える人が相次いだということですが、近年、猛暑で熱中症対策というのが重要になっていて、来年この時期五輪もあってですね、利用者の増加も見込まれるなかで、今回浮かび上がった課題や今後の国土交通省の対応についてお聞かせいただいてもよいでしょうか。
(答)8月6日午前8時30分頃、京成電鉄で停電が発生し、京成本線をはじめとする6路線で運転を見合わせ、8本の列車が駅間で停車しました。
駅間停車した列車では、停電により空調が停止したため、18名の方が、熱中症などにより、病院に搬送される事態になりました。
京成電鉄によれば、停電の原因は、変電所機器の故障とのことですが、故障に至った経緯等については調査中です。
国土交通省としては、8月6日に、京成電鉄に対し、原因究明及び再発防止策の検討と併せて、より早く乗客を救済することはできなかったのか、旅客への案内は適切に行われていたのか等についてしっかりと検証したうえで、報告するよう指示したところです。
駅間に停車した列車からの乗客の早期救済については、昨年6月に発生した大阪北部地震において非常に大きな課題となったことから、国土交通省では、三大都市圏の鉄道事業者が参加する連絡会議を開催し、降車誘導に必要なはしご等を車両や駅等に配備する、一般の乗客の協力による降車誘導を行う等の対策をとりまとめ、全国の鉄道事業者に周知しているところです。
国土交通省としては、来年のオリンピック・パラリンピック等を迎えるにあたり、列車が駅間に停車した場合の対策は重要な課題と考えており、明日9日に、京成電鉄を含めた首都圏の鉄道事業者を集めた緊急の会議を開催し、とりまとめた対策が適切に実施されているか等について議論する予定です。
各鉄道事業者においては、大量輸送機関として、より一層の緊張感をもって、安全安定輸送に努めてもらいたいと考えております。

(問)この件に関連しておたずねしたいのですが、大阪北部地震だけではなくてJR東日本の雪の中での停止についても凍えてしまうのでということで、乗客を早く誘導するようにということが言われていました。
たびたびそういうことがあるわけですが、鉄道事業者が乗客に対するそういった早期の降車に対する配慮というものがそもそも足りないのではないか、大臣の御所見をお願いします。
(答)JRの、雪によって車両が停止した件については大阪北部地震の案件とは別に、自治体との連携等々様々な課題があったと承知しておりまして、それについてはまた別途対策等も検討しているところであります。
駅間停車対策については、特に大都市圏の鉄道が重要ということから昨年6月29日に連絡会議を開催いたしまして、一応の対策をとりまとめておりますので、その対策がしっかりと実施されるように我々も促していきたいと考えております。

(問)もう1点はオートバイの駐車場対策についてです。
先日、都の事業者が駐車場整備が追いついていなくて利用者が激減している、経営も立ち行かないということを都の政党に要望を出しています。
四輪車の駐車場利用は車体の大きさで車室の利用を制限するわけですが、なぜかオートバイでは排気量が基になっています。
排気量を基にして駐車場の利用を制限することの合理性について大臣の御所見をお願いします。
(答)駐車場の利用に際しまして排気量による制限を行うか否かは第一義的には、当該駐車場を運営する地方公共団体や事業者において、地域の駐車需要や施設管理上の影響等を考慮して判断されるものと認識しております。
国土交通省といたしましても、自動二輪車の駐車スペースの確保は重要な課題と認識しており、地方公共団体と連携しつつ、自転車駐車場等における自動二輪車の受入れを含めまして、自動二輪車駐車場の拡大に取り組んでまいりたいと考えております。

(問)それが排気量の制限に引っかかってくるわけですが、同じ車室に一台を駐めるのであって放置対策をするということであればここには合理性はないと思うのですが、このあたりはやはりこだわるべきことなのでしょうか。
(答)法律上は、自転車駐車場は自転車と50cc以下の原付と、これは道路交通法による区分と連動しているということのようでありますが、法律は法律として、私どもといたしましては自転車駐車場等における自動二輪車の受け入れを含めて、二輪車の駐車場拡大に取り組んでいきたいと思います。

(問)新ルートの関連で2点お伺いします。
1点目、先ほど地元の合意は得られたという御発言がありましたけど、今年に入ってから新ルートが上空を通過する渋谷区とか品川区の議会のほうでルートの見直しを求める趣旨の決議もでております。
そのあたり理解を得られたとの御発言と矛盾しないのか、お考えをお聞かせください。
もう1点追加の対策として着陸の進入角度、従来3°だったものを3.5°にすることもあると、対策を明らかにされておりますけど、そのあたり技術的な面として安全への影響はないのか、他の空港と比べて決してメジャーな方法ではないと思うのですけど、そのあたりの安全性への懸念に対してあればお願いします。
(答)品川区議会や渋谷区議会における決議や意見書の採択など、羽田空港の機能強化について様々な意見があることは承知しております。
今般の羽田空港の機能強化に対し、品川区からは、落下物対策や騒音軽減に向けた更なる取組、区民への丁寧な説明とともに、新飛行経路案を固定化することがないような取組を求めたいとの御意見をいただいております。
また、渋谷区からは、羽田空港の機能強化に関しては、国の事業として国の責任において実施して欲しいとの御意見をいただいております。
こうしたことから、国土交通省としましては、関係自治体からいただいた騒音・落下物対策や引き続きの情報提供に関する御意見・御要望をしっかりと受け止め、丁寧に対応していくことを前提に、地元の理解が得られたものと判断したところです。
なお、国土交通省としては、関係自治体から御要望いただいた騒音・落下物対策や引き続きの情報提供等を通じてできるだけ多くの方々の理解をいただけるよう、取り組んでまいります。
もう一つですが、3.5°の降下角については、国際民間航空機関(ICAO)が定める国際的な安全基準に則ったものであり、安全性は確保されるものと考えております。

(問)羽田の新飛行ルートの関係で教えてください。
後ほど詳細の説明があるやにお話しがあったのですが、折角の機会なので1点教えてください。
住民の理解を得られたということで次の準備としてアメリカ以外への配分、対象国、地域の選定という段階に入るかと思うのですけど、航空交渉の検討状況ですとか、あるいは配分対象、国、地域に対する、どのような地域が該当してくるのか、もしそのあたりで、現時点で教えていただけることがあれば教えてください。
(答)羽田空港の夏ダイヤの調整は、国際的なガイドラインに従い、例年9月頃から行われております。
本日の発表を受けまして、国土交通省として、各国航空当局との正式な手続きに着手し、就航国や運航便数、日本側の運航会社等、来年の夏ダイヤからの増便に向けて必要な事項を速やかに決定してまいりたいと考えております。

(問)九州新幹線のことで、与党PTが西九州ルートで方針を示したことで、その方針の中で4者協議のことが書いてありました。
佐賀県側はフル規格を前提とした協議にはのらないという考えを示しているのですが、国土交通省としては今後どのように対応していくつもりなのかということと、佐賀県の反応に対する見解をお聞かせください。
(答)御指摘のような報道があったことは承知しておりますが、国土交通省としては、関係者の反応を正確に把握しつつ、今後の対応について検討してまいります。

(問)復興道路の建設は復興・創生期間内に終わるということで、その効果とかはどのように考えられてますでしょうか。
(答)復興道路・復興支援道路は、復興のリーディングプロジェクトとして、概ね10年間という短期間での全線供用を目指して事業を進めてまいりましたので、この復興・創生期間内の全線開通は、地域のにぎわいやなりわいの再生及び震災からの復興を力強く後押しするものとして、非常に意義のあることだと認識しております。
地域の皆さまをはじめ、事業の推進に御支援・御協力をいただいている多くの関係者の皆さまに感謝を申し上げたいと思います。

(問)羽田でもう2点程追加ですが、1点目は、3.5°の問題で、先程安全性は確保されているというお話しがありました。
先日の協議会で出席していた千葉県側の自治体、県であったり、千葉市、成田市あたりだったと思うのですけれども、成田空港でも同じ3.5°に出来ないものか検討を、という御発言がありました。それについての現時点での御見解をお伺いします。
(答)成田空港も3.5°の降下角にできないかという要望があったということですね。
(事務方)成田空港など他の空港についての現行経路に関する降下角の引き上げにつきましては、今回の羽田の新経路の運用状況を踏まえつつ、他の航空機等との間隔確保等の課題の有無を検証したうえで、慎重に判断していきたいというのが我々の考え方でございます。

(問)もう1つ、現在この新ルートを適用するのは、南風の時の午後3時から7時、入れ替えの時間も含めてということになっておりますけれども、単純な便数増という意味での機能強化であれば、現行のルートよりかは、毎時着陸回数が80回から90回に増えて、便数が増やすことができると思います。
3時~7時以外の時間に新ルートを拡大する考えがあるのかお聞かせください。
(答)現時点では、地元に御説明している案でいくということでありまして、それ以上のことは全く白紙であります。

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