大臣会見

石井大臣会見要旨

2017年9月1日(金) 10:48 ~ 11:07
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

 本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
以上でございます。

質疑応答

(問)今日は防災の日ですが、改めて首都直下地震ですとか、南海トラフ地震ですとか、国土交通省としての地震に対する取組をお聞かせください。
(答)切迫する南海トラフ巨大地震や首都直下地震に対しましては、それぞれ想定される具体的な被害の特性に合わせて、実効性のある対策に取り組むことが重要と考えています。
南海トラフ地震につきましては、短時間で巨大な津波が押し寄せ、沿岸部を中心に広域かつ甚大な被害が想定されますので、避難路・避難場所の整備、ゼロメートル地帯の堤防の耐震化等を推進しております。
首都直下地震に対しましては、建物の倒壊や火災により、特に密集市街地で甚大な被害が想定されることから、住宅・建築物の耐震化や不燃化、無電柱化等を推進しているところであります。
特に、開催まで3年となりました東京オリンピック・パラリンピックに対しましては、先月24日に策定した「首都直下地震対策ロードマップ」に基づきまして、首都地域の防災対策に万全を期してまいります。
今後とも、国土交通省の現場力を最大限活用いたしまして、災害から国民の命と暮らしを守るため、総力を挙げて防災・減災対策に取り組んでまいります。

(問)先日、独立行政法人海技教育機構の練習船で、実習生の自殺や自殺未遂などが3件発生したとの発表がございましたが、海技教育機構の第三者委員会のほか、国土交通省でも対策本部を立ち上げたということでした。
真相究明と再発防止の構築に向けて、大臣の所感をお聞かせ願いたいということと併せて、まだ発表から日は経っていませんが、その後の聞き取り調査などで判明した事実などがあればお聞かせください。
(答)まずは、お亡くなりになられた実習生に謹んでお悔やみを申し上げます。
また、御家族に対しまして心から御見舞いを申し上げたいと存じます。
また、自殺を図った実習生の心の傷が1日でも早く癒えること、更に失踪した実習生が1日でも早く発見されることを心よりお祈りいたします。
こういった事案が1つの練習船において立て続けに起きたことを、非常に重く受け止めているところであります。
国土交通省におきましては、7月31日付けで海事局長を本部長とする「青雲丸対策本部」を立ち上げまして、情報の収集と海技教育機構への指導に当たっておりましたが、私からも海技教育機構に対しまして、実習生の心のケア、原因究明の調査を徹底するよう指示をしているところでございます。
背景等については引き続き調査中ではありますけれども、いわゆるパワハラやいじめ等の有無も含めまして、客観性を持って確認するため、第三者性を確保した調査が必須と考えております。
このため、海技教育機構におきまして、可及的速やかに第三者委員会を設置して、今後の再発防止策も含めた調査・検討を行うことを決めたと承知しております。
国土交通省におきましては、海技教育機構が、第三者委員会の調査に真摯に対応していくこと、また第三者委員会が開かれるまでの間にも必要な調査等を行うこと、第三者委員会の結果等を踏まえて必要な再発防止策に取り組んでいくことにつきまして、引き続き指導してまいりたいと存じます。
なお、発表してからこの間、新たな結果等については報告を受けておりません。

(問)本日、阪急電鉄が伊丹空港に乗り入れる新線を検討しているということで、一部報道がありました。
国土交通省にも意向を伝えているということで、こうした構想についての受け止めと、今後のスケジュールなどについてお話いただければ幸いです。
(答)御指摘の報道があったことは承知をしております。
阪急電鉄において、そういった構想を検討していると聞いておりますけれども、現時点で詳細については承知をしておりません。
まず、鉄道事業者、関係地方公共団体等において検討を進めていただくことが重要であると考えております。
ただ、空港アクセス鉄道の整備は非常に重要でございますので、現在国土交通省におきましては、近畿圏における空港アクセス鉄道に関する検討会をこの7月に設置したところであります。
このため、この検討会における議論等を通じて、関係者における検討を促進してまいりたいと考えております。

(問)先般、マレーシアとシンガポールに出張されて、高速鉄道採用に向けた働きかけを行ってこられたと思うのですけれども、この結果を受けて、日本方式採用に向けた現段階での手応え等あれば、教えてください。
(答)国土交通省等が主催いたしました、シンガポール高速鉄道シンポジウムに出席いたしまして、一般の方々を対象に新幹線システムの導入がシンガポールの社会経済にもたらすメリット等について訴えかけを行ったところであります。
更にシンガポール、マレーシア両国の政府の要人と会談を行いまして、トップセールスを行ったところであります。
これによりまして、両国に対して有意義な働きかけができたと考えております。
マレーシア・シンガポール高速鉄道は、年内にも入札開始が見込まれますので、今後、人材育成や現地企業との協働を含む具体的な提案の検討を加速化いたしまして、新幹線システムの導入に向け、官民連携の下、積極的に取り組んでまいりたいと考えているところであります。

(問)もう1点、貨客混載についてですが、今日から過疎地を中心にして規制緩和が行われました。
バスやタクシーで荷物を運べるようになりましたが、人口減少が進む地方でこうした取組が期待される効果と、今回は自動車分野だったと思うのですが、鉄道なども含めて取組の拡大や推進、どのようなことを取り組んでいきたいか教えてください。
(答)旅客鉄道や乗合バス等の既存の旅客運送における輸送力の余剰といいますか、お客さんが少ないという状況を活用して、貨客混載による貨物輸送を行うことは、輸送機関側も収入増になるということがありますし、あるいは、物流側もトラックドライバー不足の解消や過疎地における物流ネットワークの維持等に寄与するというメリットがあると考えております。
国土交通省では、昨年10月1日に施行いたしました改正物流効率化法に基づきまして、物流の効率化を図る取組に対して認定を行うとともに、その事業計画の策定に係る経費等について支援措置を行っております。
鉄道の貨客混載についても、この改正物流効率化法に基づいて、旅客鉄道を活用した貨客混載の取組について、既に2件の計画の認定を行い、事業を実施しているところでございます。
また、来年度の概算要求におきましては、環境省と連携をいたしまして、旅客鉄道に加えまして、今回新たに対象範囲を拡大いたしました、タクシー及び乗合バスにおける貨客混載の支援予算を要求をしているところであります。
今後もこうした支援等を通じて、貨客混載の取組を積極的に推進していきたいと考えております。

(問)昨日の省内会合において、若手官僚の方々を中心として2030年に向けた議論を始めると仰っていたと思うのですが、こちらの検討というのは今後どのように進められていて、どういったことを想定されているのかというのを、もう少し詳しく伺ってもよろしいでしょうか。
(答)現在、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、官民挙げて準備にとりかかっているところですが、国民の生活に密着する幅広い行政分野を担う国土交通省としては、2020年以降の日本の社会の姿についても、その展望を考えることが重要であると考えています。
そういった次世代における国土交通省の使命や役割について見通しを持っておくべきなのではないか、特に2030年頃にわが省の中核を担っているであろう中堅・若手の職員に真剣に考えてもらいたいと考え、昨日指示をしたところです。
地方の実情を的確に把握することを含めて、様々な外部の有識者の方々とも積極的に意見交換しながら、課題の共有のみならず、その解決策まで踏み込んで整理していただきたいと考えており、若者らしい大胆かつ柔軟な議論を期待しているところです。
また、この検討の結果が広く国民の皆さんに将来のわが国の国土や社会について議論いただくきっかけになればと考えております。
具体的な進め方については、昨日の私の指示を踏まえ、事務方で検討しますので、その状況については、改めて御報告したいと思っております。

(問)北朝鮮のミサイルについてお尋ねします。
今回、ミサイルが日本の上空を通過し、これまでとフェーズが変わったと考えますが、大臣の受け止めと、また北朝鮮が今後も発射するといっているので、国土交通省の今後の対応についてもお聞かせください。
(答)今回の北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、明白な国連安保理決議違反です。
特に今回はわが国上空を通過したものであり、事前に通報も全くなかったということであり、わが国の安全保障にとってこれまでにない深刻かつ重大な脅威であると考えております。
航空機や船舶の安全の観点からも極めて問題のある行為です。
政府としては、このような行為は断じて容認できるものではございません。
国土交通省では、総理指示を踏まえ、私、海外出張しておりまして、小此木国土交通大臣臨時代理から、船舶・航空機の安全確認の徹底、国民及び関係事業者に対する迅速・的確な情報提供、落下物等による被害有無の確認等について関係各局等に指示をしていただきました。
これまで付近を航行する航空機や船舶への被害及び落下物による被害の状況はございません。
国土交通省としては緊張感を持って、これまでにも増して、関係省庁や関係事業者との連携・連絡を密にして適切に対処していきたいと考えております。

(問)海技教育機構の青雲丸について伺いたいのですが、この事案を大臣が報告を受けたのは、いつ、どういうタイミングでしたでしょうか。
(答)私に報告がありましたのは、8月9日です。

(問)ということは、失踪も含めて3件続いているという内容をでしょうか。
(答)そういうことです。

(問)そのとき、大臣はどういう印象というか感想をお持ちになり、その時点でもし海事局に何か指示等出されたのであれば、内容もお聞かせ願えますでしょうか。
(答)先ほども申し上げましたが、3件立て続けに1つの練習船において起こったことは、私も非常に深刻な事態であると受け止めました。
既に私に報告があったときには海事局長を本部長とする「青雲丸対策本部」を立ち上げておりましたので、実習生の心のケアや原因究明の調査を徹底するよう指示をしたところです。

(問)大臣が報告を受けたこととか、記者会見を開いた時間が遅いという御認識はお持ちでしょうか。
(答)まず1つは、実際に実習がまだ続いていたということがあります。
青雲丸の長期実習期間が7月1日から9月10日ということであって、実習生への影響を考慮しなければいけない、更にそれぞれの事案に関係した実習生の御家族の意向や心情に配慮しなければいけないということがございまして、公表の時期については慎重に検討してまいりました。
実習生の実習が終わりに近づいたことから、御家族の御了解をいただいた上で今般一連の事案を公表するとしたところです。

(問)公表(のタイミング)は分かりました。
大臣御自身が報告を受けるまでに最後の事案から1週間以上、9日間経っているわけですけれども、それについてはいかがですか。
非常に深刻な事態だと最初に受け止められた事案が、1週間以上大臣の所には報告がなかったということになると思いますが。
(答)事案の発生から少し時間が経過してからの報告であったと思いますが、今後の対応方針について海事局の方では整理をしてから説明をするということだったと思いますし、いずれにしてもこうした事案が立て続けに起こった背景等をしっかり調べることが重要ですので、今後第三者委員会での調査をしっかり進めていただきたいと考えております。

(問)先週、大臣は海外に御出張だということでしたが、どちらに行かれて、また国土交通省に関係のある航空、観光、鉄道などいろいろな問題、どのようなお話をされてきたのでしょうか。
(答)先ほども御質問いただいたのですが、今回、シンガポール、マレーシアを出張いたしまして、まず第1にシンガポール、マレーシアの高速鉄道について新幹線の導入についてトップセールスを行ったということです。
シンガポールにおいては高速鉄道シンポジウムも開催しまして、新幹線のメリットを大いにアピールさせていただいたということです。
併せて、シンガポール、マレーシアの要人との会見の中では、新幹線の導入のみならず、都市開発や建設産業の課題、あるいは港湾、海事関係、また海上保安等における協力についても意見交換をすることができましたので、マレーシア、シンガポールとの協力関係を今後一層深めていきたいと考えております。

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