大臣会見

石井大臣会見要旨

2016年9月16日(金) 10:32 ~ 10:55
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私の方から1点御報告がございます。
自動車の型式指定審査におけるメーカーの不正行為を防止するためのタスクフォースの最終とりまとめについて、御報告いたします。
今般の自動車の型式指定審査における燃費試験の一連の不正行為を踏まえまして、本年4月にタスクフォースを設置し、外部有識者も交えて6回にわたり議論を行い、自動車の型式指定審査におけるメーカーの不正行為を防止するために必要な措置について、検討を行ってまいりました。
三菱自動車工業については、一連の不正行為が明らかになった後の走行抵抗値の再測定について、更に不正な取扱いが判明したところですが、この点に関する措置も盛り込んだ上で、タスクフォースの最終とりまとめを本日公表いたします。
最終とりまとめにおいては、抜き打ちでのデータチェックの導入等の審査方法の改善・厳格化等を行うこと、自動車の型式指定審査における虚偽の申請を法令上明確に禁止し、それに違反した者を型式指定の効力の停止処分や罰則の対象とすること、三菱自動車工業の再測定に関する不正な取扱いを踏まえ、ばらつきを抑える趣旨がより明確な走行抵抗の測定方法を前倒しで導入すること、等を柱としまして、メーカーの不正行為を抑止・防止するための具体的な措置についてとりまとめております。
なお、これらの措置のうち、虚偽の申請に対する不利益処分、罰則の適用に関する措置については、本日、道路運送車両法に基づく省令の改正を行い、即日施行することとしております。
国土交通省といたしましては、このとりまとめを踏まえまして、自動車メーカーが提出するデータに対する厳格なチェックの着実な実施、この度新設しました虚偽の申請に対する不利益処分や罰則規定の適切な運用等により、自動車の型式指定審査におけるメーカーの不正行為の防止に努めてまいります。
後ほど事務方より説明させていただきますので、詳細はその際にお問い合わせください。
私からは以上です。

質疑応答

(問)三菱自動車工業の不正問題について、なお問題が続いている状況ですが、改めて大臣の受け止めをお願いします。
(答)国土交通省が三菱自動車工業の本社及び名古屋製作所に対しまして、9月2日に行いました立入検査の結果について、昨日公表しました。
立入検査では、三菱自動車工業が、走行抵抗の測定において、ばらつきを抑えた上で走行抵抗を測定するとの法令の趣旨に反し、測定したデータから走行抵抗値の低いものを抽出する不正な取扱いを行うに至った経緯等について、益子会長を含む経営陣や開発部門の担当者への聞き取り等を行いました。
その結果、次の点が明らかになりました。
三菱自動車工業は、2012年の段階で、測定回数に上限を設けず、最も走行抵抗が低くなるデータを選択するという、法令の趣旨に反する社内ルールを策定し、それに従って今回の再測定を行っていたこと。
三菱自動車工業は、国が自ら行った走行抵抗の再測定においては、原則として5回測定し、最高値及び最低値を除いた3回分を選択することとしていることを認識した後も、走行抵抗の再測定の方法を改めなかったこと。
更に、複数の台上燃費試験の結果から最も良い燃費値を選び公表したこと。
三菱自動車工業の経営陣は、このような取扱いに関し、異常値を排除すべきとの法令の趣旨の徹底や、具体的な測定方法についてのチェックを行っていなかったことです。
今回判明した三菱自動車工業の再測定の方法は、法令の趣旨に反し、不正かつ極めて不適切であると考えております。
一連の不正行為が明らかになった後に、このような事態が生じていることにつきましては、三菱自動車工業の法令遵守と再発防止に対する姿勢に疑問を抱かざるを得ない、極めて遺憾かつ深刻な状況であると認識しております。
国土交通省といたしましては、昨日、三菱自動車工業に対しまして、立入検査の結果を踏まえ、本年6月に三菱自動車工業が国土交通省に提出しました、再発防止策について必要な見直しを行い、速やかに実施に移すとともに、再発防止策の見直しの内容及びその進捗状況について、9月末までに報告を行うよう指示いたしました。
国土交通省としましては、三菱自動車工業に対し、再発防止のための具体的な取組について、その内容と進捗状況を厳しくチェックしてまいります。

(問)鉄道駅の安全についてお伺いいたします。
本日まもなく、日本盲人会連合の竹下会長が大臣を訪問され、ホームドアの設置促進など、駅の安全性向上について御要望される予定です。
これに関連して3点伺います。
まず、改めて駅の安全についての国土交通省の考え方をお聞かせください。
また、8月26日の検討会でもホームドアの設置前倒しが話し合われましたけれども、今後設置補助に係る予算の増額があり得るのか、これをお聞かせください。
最後に、これは東京メトロに関してですが、東京地下鉄株式会社法に基づき、大臣が監督権限を行使し、設置促進に係る踏み込んだ要望をする可能性があるのか、これについてお聞かせください。
(答)私の方から最初の2点についてお答えします。
先月15日に発生いたしました、東京メトロ銀座線青山一丁目駅の転落事故を受けまして、本日、日本盲人会連合より、鉄道駅の安全に関する要望をお受けすることとなっております。
視覚障害者の方を始めといたしまして、全ての旅客にとりまして、鉄道駅を安全に御利用いただける環境を整備することは、大変重要な課題だと考えております。
このため、国土交通省といたしましては、先月26日に「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」を設置いたしまして、ハード・ソフト両面から、ホームの安全性向上のための施策を検討しております。
ハード面につきましては、ホームドアの整備に関し、今年度予算では22億円を確保しているところでありますが、今回の銀座線の転落事故や2020年のオリンピック・パラリンピックの開催を踏まえまして、引き続き平成28年度補正予算を含め、できる限り予算を確保できるよう努めてまいりたいと考えております。
なお、検討会では、年内を目途に中間とりまとめを行うこととしておりまして、今後、障害者団体等関係者の意見も拝聴した上で、議論を深めるとともに、駅の安全確保に向け、引き続き最大限の取組を進めてまいりたいと考えております。
なお、法律に基づく監督ですが、これは予定しているのでしょうか。
事務方、誰か分かる人は来てますか。
(事務方)今後、東京メトロの状況等を踏まえて、検討してまいりたいと考えております。
(答)今後の検討課題ということであります。

(問)三菱自動車工業の不正、この前のタスクフォースの最終とりまとめですが、大臣にも以前伺ったかもしれませんし、島(自動車局次長)さんにも聞いたんですが、行政の責任はどうなのか。2000年の初頭からホイールハブの不正リコール隠しがあり、3年前に軽のエンジンのオイルシールからのオイル漏れのリコール隠しがあり、そして今回、何度か国土交通省はその度に再発防止策を検討し実践し提案しとやってきて、前回もそうでした。これだけ業界あるいは個社の問題をチェックする、正すチャンスがあったのに、結局2度も3度も4度も、こんなふうになってきているわけで、当局は一生懸命三菱自動車をなんとかするぞ、業界をしっかりさせるぞと仰るが、一番逃れられないのは行政の責任ではないのか、この辺についての御見解をお願いします。
(答)行政としましては、こういった自動車会社の不正行為を正していく、二度と起きないように再発防止をしっかりとやっていくということが大きな責任であると思っております。
ただ、三菱自動車工業につきましては、これまでの度重なる不正行為が重ねられてきまして、案件がそれぞれ異なりますけれども、その度ごとに法令遵守等を求めてきたにも関わらず、この度こういった事態を起こしたことは、私といたしましても極めて遺憾でありまして、ある意味で三菱自動車工業にとっては、今回の事案を踏まえて本当に企業体質を抜本的に改められるかどうか、最終的なチャンスを迎えているのではないか、ここで失敗すれば、もはや消費者からの信頼を決定的に失うことになるのでのではないか、そういった緊張感、危機感を持って取り組んでいただきたいと思っております。
(問)国の責任についてはどうですか。
(答)行政としましては、先ほども申し上げましたが、こういった事案を二度と起こさないように、しっかりと再発防止策を講じていくことが責任であると思っております。

(問)燃費審査の厳格化の件で、虚偽申請を道路運送車両法の罰則にするために、本日から省令改正されるということですけれども、道路運送車両法の罰金は30万円以下ということで、金額的にはメーカーへの効果は余り期待できないのではないかと思いますが、罰金を不正防止策のソースとして使うのであれば、今後、法改正するなどして金額の引き上げなどを検討する必要などもあるかと思うのですが、その辺りの認識をお願いいたします。
(答)当面、速やかに実施できる措置としまして、虚偽の申請に対する罰則の適用、現行法に基づく適用ですから30万円以下の罰金になりますが、それに加えまして一定期間型式の指定の効力を停止することによりまして、生産・販売の一時的な停止を行えるよう、これは自動車会社の自主的な取組ではなく行政の処分として一時的な停止を行えるように省令改正により措置したものです。今後、審査の厳格化等の対策全体の効果を検証した上で、制度の見直しの必要性について検討していきたいと考えております。

(問)昨日、JR九州の株式上場が承認されて、来月、完全民営化されることが決まりました。
この受け止めと、国鉄の分割民営化から29年経ってようやく完全民営化4社目ということなんですが、四国や北海道は経営状況が依然として厳しい状況が続いています。
政府は、国鉄の分割民営化で早期に完全民営化を目指すという閣議決定しているのですが、当面3島会社の厳しい経営状況というのは、JR九州は上場に至っているのですけれども、そのほか2社の経営状況等を踏まえて現状をどう捉えていらっしゃるのかお考えをお聞かせください。
(答)昨日、東京証券取引所がJR九州の株式上場を承認いたしまして、今後、10月25日の上場に向けて株式売出しを実施することとなりました。
国鉄改革から約30年を経て、今般、JR九州が上場によって完全民営化されることは、JR九州のこれまでの様々な経営努力が実を結んだものであると考えております。
JR九州には、上場後も引き続き、九州における基幹的な輸送機関として、鉄道事業をしっかり運営していただきたいと考えています。
その上で、鉄道サービスの向上、関連事業を通じたまちづくりや観光振興の取組など機動的な展開を通じて、九州地域の活性化に更に貢献していただきたいと期待しております。
一方で、JR四国、JR北海道等は、JR貨物もございますが、このJR3社につきましては、できるだけ早期に完全民営化することを基本的な方針としておりますが、まだ経営自立が可能となるような安定的な利益を計上できる段階には至っておりません。
まずは、完全民営化の前提となる安定的な経営基盤の確立に、しっかり取り組んでいただきたいと考えております。

(問)三菱の話に戻りますが、国の測定方法を知った後も再測定の方法を改めず、また従来の方法でやっていたと、しかも性能実験くらいで、また戻すと決めたのに更にやっていたと、理解しがたい事態だと思っているんですが、本当に大臣は怒っているのかどうか、本当のお気持ちはいかがでしょうか。
(答)先ほども申し上げましたように、こういった燃費の不正が明らかになった以降、なおかつ国の測定のやり方も分かった上で不正な測定方法を続けていたということは、三菱自動車工業の企業体質そのものが問われる事案でありまして、法令遵守と再発防止に対する姿勢に疑問を抱かざるを得ない、極めて深刻かつ遺憾な状況であると考えております。
(問)理由といいますか、なぜそういった行為に及んだのかということはこれまでの調査の結果で分かっているのでしょうか。
(答)それは三菱自動車工業自らが一番分かっていることではないかと思いますが、社における自由にものが言えないような企業風土等々いろいろな問題が山積しているのではないかと思っております。
(問)再測定でも不正ということでしたが、益子会長の進退も含めた経営責任についての現時点でのお考えはいかがでしょうか。
(答)益子会長、現社長につきましても日産自動車が正式に資本参加をする段階で辞任することを明確にしていると承知しております。三菱自動車工業はいずれにしろ、新たな経営体制のもとで、二度とこういった不正行為を行うことがないよう再発防止策の実施に真剣に取り組むべきであると考えております。

(問)三菱自動車工業の再発防止の中に、ばらつきを抑える趣旨の測定方法前倒しという話がありましたが、具体的なスケジュール感というのは今お持ちなのでしょうか。
(答)スケジュール感は誰か分かりますか。
(事務方)28年度中にできるようにという形で前倒しを検討しております。

(問)尖閣もさることながら、北朝鮮の核を搭載したミサイルがもしかしたら、というような非常事態になっております。
日本もかつてアメリカに対して宣戦布告をする前に真珠湾を攻撃して、ネバーフォゲットパールハーバーということで、真珠湾はそのような形になって、いつ何時、宣戦布告も無しに核ミサイルが日本に来るかわからないという状態ですが、その警備に当たって海上保安庁も出てるのでしょうか。
(答)弾道ミサイルの監視ということですと、まずは防衛省において行われていることではありますが、当然ながら関係省庁とよく連携を取りながら政府全体として対処していくことでございます。
(問)尖閣も同様でしょうか。
(答)尖閣はまず海上保安庁で対応しているところです。

(問)観光関連で1つお伺いしたいのですが、民泊新法についてですが、昨日、営業日数の上限を180日とする方向で調整中といった報道がありましたけど、政府の規制改革実施計画や、その後の民泊サービスのあり方検討委員会では180日以内で適切な日数を定めるとされてますが、今現在の法整備に向けた検討状況と法案提出のスケジュールについて教えて下さい。
(答)報道は承知をしておりますけども、年間上限180日あるいは条例により上限を削減可能ということは決まったことではありません。
今御指摘のありましたように民泊新法については本年6月、有識者検討会の最終報告書がとりまとめられ、年間提供日数上限による制限を設けることを基本として半年未満の範囲内で適切な日数を設定することとされております。
国土交通省としましては、引き続き、関係省庁とともに、関係者間の意見調整に努めつつ、法整備に向けた準備を進めてまいります。
この法案提出につきましては、関係業界や自治体等関係者と幅広く調整をしていく必要があります。
できるだけ早期の国会提出を目指しておりますが、時間をかけて丁寧に調整をしていく必要もありますので、関係省庁とともに、関係者間の意見調整に努めつつできるだけ早期の法整備に向けて準備を進めていきたいと考えております。

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