大臣会見

石井大臣会見要旨

2016年9月2日(金) 10:10 ~ 10:38
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
以上です。

質疑応答

(問)先日、国土交通省の来年度予算の概算要求の概要を公表されましたが、大臣としてどのような思いで今回の要求をまとめられたのか、また、特に力を入れた取組などがあれば御紹介いただけますでしょうか。
(答)この度の台風10号でも大きな被害が生じておりますけれども、概算要求ではまず、国民の安全・安心の確保に重点を置いております。
具体的には、東日本大震災からの復旧・復興を加速化する、その他、ソフト・ハードを総動員した防災・減災対策、また、インフラ老朽化に対応いたしました戦略的な維持管理・更新、また、戦略的な海上保安体制の構築、こういった予算を重点的に要求しているところであります。
また、生産性向上による成長力の強化や、地域の活性化と豊かな暮らしの実現、これも重要な課題と考えております。
人口減少・高齢化社会の下でも、我が国が経済成長を続けていくためには、社会全体の生産性を高めていく必要があります。
すでに御承知のとおり国土交通省としては、本年を生産性革命元年と位置づけて省を挙げて取り組んでるところでありますけれども、概算要求におきましては、効率的な物流ネットワークの強化や、首都圏空港等の機能強化など、生産性向上に寄与する戦略的な社会資本整備や、訪日外国人の受入環境整備、大型クルーズ船の受入環境改善など、観光先進国の実現にも力を入れて取り組むこととしております。
加えて、コンパクト・プラス・ネットワークの形成、空き家対策の推進、既存住宅の流通・リフォーム市場の活性化など、子育て世帯や高齢者世帯が安心して暮らせる住まいの確保と魅力ある住生活環境の整備等の予算についても、重点的に要求をしているところであります。
厳しい財政状況でありますけれども、必要な予算が確保できるよう、今後の予算編成過程において、しっかりと対応していきたいと思っております。

(問)今、大臣からもお話がありました、本年度補正予算と来年度概算要求に盛り込まれました、羽田空港の機能強化についてお尋ねいたします。
国はこれまで新飛行ルートについて航空機からの騒音に関しては詳細に説明をする一方で、航空機からの落下物の安全性については十分な説明をしてきていない傾向があると思います。
例えば、2013年7月ですが、ILSを使った着陸態勢に入ろうとするキャセイパシフィック航空の機体から、重さ1.8キロの主翼のフラップのカバーが成田市内に落下しました。
この事案を始め、2010年から少なくとも13件の落下物事案が発生していますが、こうした情報は住民向けの広報資料には言及がありません。
丁寧な説明を心がけるのであれば、まず事実やデータを従前に公表した上で住民の理解を求めていくべきだと考えます。
御見解をお願いします。
(答)羽田空港の飛行経路の見直し等による機能強化につきましては、より多くの方に幅広い御理解をいただくために、昨年来2回にわたりまして、一都二県において説明会を開催いたしまして、航空機からの落下物の実態、航空機落下物への対策等についても御説明させていただきました。
説明会におきましては、住民の皆様から、人口密集地帯である都心上空を飛行する際の落下物に対する懸念の声などをいただいております。
今、御指摘いただきましたけれども、過去10年間落下発生件数は、成田空港周辺では18件あるということについても言及をしてございます。
こうした御意見を踏まえまして、7月に開催をいたしました第4回協議会において、国の方から、1つは、航空会社に対し点検・整備の徹底を指導するなど、引き続き落下物の未然防止に万全を尽くすとともに、2つ目には、国の職員による駐機中の航空機をチェックする仕組みを新たに構築するなど、未然の防止策を強化する、こういった方針を示させていただいているところであります。
国といたしましては、落下物対策を含めまして、羽田空港機能強化に関する取組につきまして、引き続き丁寧に情報提供してまいりたいと考えております。

(問)三菱自動車の件ですが、新たに9車種のうち8車種から燃費のカタログ記載値の乖離が見られますが、この件に関しまして御意見をお願いします。
(答)三菱自動車工業の軽自動車4車種以外の現行販売車9車種につきまして、国土交通省におきまして確認試験を実施したところ、9車種中8車種において、諸元表に記載された燃費値に比べ、最大約8.8%、平均約4.2%燃費値が下回ることが確認されております。
また、三菱自動車工業は、走行抵抗の測定において、ばらつきを抑えた上で走行抵抗を測定するとの試験法の趣旨に反し、測定したデータから走行抵抗値の低いものを抽出するという、不正な取扱いを行っていたことも確認されております。
三菱自動車工業につきましては、一連の燃費に関する不正行為により、軽自動車4車種に引き続き、それ以外の現行販売車につきましても、燃費値が諸元値を下回る結果となり、ユーザーに大きな不信感を与え、我が国の自動車業界に対する信頼を傷つけていることにつきまして、改めて猛省を促したいと思っております。
特に、今回の不正行為が明らかになった後で、燃費値の再測定におきましても、試験法の趣旨に反する不正な取扱いが行われていたことにつきましては、今回の燃費不正問題に対する三菱自動車工業の取組の姿勢そのものが問われる、極めて遺憾な事態であると考えております。
国土交通省といたしましては、このような事態に至った経緯等について徹底的に調査をした上で、その結果も踏まえ、三菱自動車工業の再発防止策の取組状況を厳しくチェックをしてまいりたいと考えております。
このため、本日午前9時より、三菱自動車工業の本社及び名古屋製作所に対して、立入検査を実施しているところであります。
この度の確認試験の結果を受けまして、国土交通省は8月30日に三菱自動車工業に対し諸元表に記載する燃費値等の修正を指示するとともに、修正後の燃費値による表示が適切に行われるまで、対象車の販売を自粛するよう要請をいたしました。
更に、昨日、国内外の自動車メーカーに対しましてこのような不正な取扱いを行わないよう文書で指示するとともに、自動車メーカーの走行抵抗データ測定時の立ち会い等により、その徹底を図ってまいりたいと考えております。
なお、走行抵抗値の測定方法につきましては、データのばらつきを抑える趣旨がより明確にされた新たなルールを、燃費審査基準全体の見直しの一環として、平成30年10月に導入することを予定しておりましたが、今回の事案を受けまして、データのばらつきを抑える新たなルールの導入の前倒しを検討することとしたいと思います。
(問)今日の立入検査ですが、再発防止の状況を厳しくチェックするという意味合いでしょうか。
(答)不正行為が明らかになったあとの燃費値の再測定においても、試験法の趣旨に反する不正な取り扱いが行われてきた、その経緯等について、徹底的に調査することが目的でございます。
(問)本社と名古屋製作所ですか。
(答)そうです。
(問)三菱自動車工業からもいわれているように、法令には走行抵抗値の取り方は詳しくは書いてはいないわけですが、今回の三菱自動車工業のやり方は違法だったのかということと、ルール自体がそれほど詳しくないだけに、三菱自動車工業以外の他のメーカーでもそのやり方をしている可能性があると思うが、三菱自動車工業以外の他の自動車メーカーを調べる予定はないのか、その2点について教えてください。
(答)まず、現行法におきましては、往復3回測定をして平均値を取ることにしておりますが、実態はかなりの数のデータを測定しているわけです。
ただ、工学的にいえば、そのデータの平均値を取るというのが通常の考え方です。
ところが三菱自動車工業においては、最もいいとこ取りをしている。
たくさんデータを測定した上で、最も走行抵抗値が低くなるようなデータの取り方をしている。
それは常識的に言っても極めて不適切といわざるを得ないと思っております。
厳密にいえば違法ではないかもしれないが、極めて不適切であるということでございます。
(問)新たなルールを先ほど平成30年を前倒しするということですが、WLTPの導入だと思いますが、前倒しはどのくらいできるのでしょうか。
(答)なるべく前倒しをするということです。
(問)2点目で他の自動車メーカーについて質問をしたのですがいかがでしょうか。
(答)国内外の自動車メーカーに対してデータの不正な取り扱いを扱えないよう文書で指示をしております。
ちなみにスズキの26車種につきましては今回測定したところ諸元値内に入っております。
(問)改めて他のメーカーを調べるというは考えはないのでしょうか。
(答)現時点ではありません。

(問)ボーイング787の件ですが、不具合が多発して全日空も安全性の観点から事前にエンジンを交換する措置に動き、欠航が続いてきたわけですが、これについてどうお考えでしょうか。
(答)ボーイング787におきましては、ロールスロイス社製のエンジンの内部部品の不具合により出発地に引き返すなどのトラブルが8月に4件発生しています。
特に8月20日に発生しました中圧タービンブレードに関する不具合については、本年に入り同様の不具合が国際線で2件発生しておりました。
今回初めて国内線でも発生したものであり、国内線の一部の運航に影響を生じたところです。
国土交通省では、全日空から継続して状況を確認するとともに、不具合の再発防止策をとるなどの指示をしてきたところです。
また、中圧タービンブレードに関する不具合については、ロールスロイス社を管轄する欧州航空安全庁に対し、抜本的な再発防止策、及びそれまでの間の運航阻害を最小限とする措置を講じるよう要請しております。
いずれにしましても、国土交通省としましては、引き続き、航空交通の安全確保に万全を期してまいります。

(問)三菱自動車工業についてですが、今回の立入検査で、一連の問題を巡っては3回目になりますでしょうか。
(答)確認してあとで(回答します)。
ただ1回の立ち入り検査で何日も入るということがありますので。

(問)台風の影響で岩手県で1000人以上の孤立者が出たり行方不明者がいるわけですが、国土交通省の対応について教えて下さい。
(答)今回の台風10号は、気象庁が1951年に統計を開始して以来初めて、東北地方の太平洋側に上陸し、岩手県をはじめ東北地方で多くの被害をもたらしたほか、北海道では既に台風7号、11号、9号で被害を受けており、それに引き続いての大雨となり、多くの被害が発生しました。
今回の台風により10名を超える多くの方々が亡くなられるとともに、負傷者や家屋の浸水被害等も発生しております。
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
国土交通省では、8月20日から続く大雨に対し、21日に非常体制を発令しておりますが、第10号により、岩手県、北海道等で甚大な被害が発生したことなどを踏まえ、第2回災害対策本部会議を31日に開催し、対応の徹底を指示したところでございます。
今回の大雨により、多くの河川で水位が上昇し、北海道の十勝川水系札内川及び石狩川水系空知川において堤防決壊が発生したほか、北海道、岩手県、青森県管理の多くの河川で浸水被害が発生しております。
また、河川氾濫に伴い道路、鉄道等が被害を受けており、まだ、全容は明らかではないものの、岩手県岩泉町をはじめ、多くの孤立集落が発生しています。
国土交通省では、北海道開発局や東北地方整備局のみならず、関東・北陸・中部・近畿・中国・四国の各地方整備局からテックフォースを派遣し、早急に被害状況を把握するため、ヘリなどによる調査を行うとともに、孤立集落の解消に向けた道路の啓開、浸水の解消に向けたポンプ車による排水などを行っているところです。
また、海上保安庁では、31日朝より、北海道及び岩手県において、巡視船と航空機による行方不明者の捜索、ヘリコプターによる孤立者の救助などを実施しています。
現地の状況を適切に把握した上で、引き続き、全力で被災地の支援に取り組むとともに、被害箇所の早期復旧を進めていきたいと考えております。
(問)水防災意識社会再構築ビジョンについて取り組んでいるわけですけど、また今回避難勧告が出ていないということもあり、まだ浸透し切れていない実態が明らかになったわけですが、今後どのようにしていくお考えですか。
(答)水防災意識社会再構築ビジョンにつきましては、従来、直轄河川109水系において策定を進めてきましたが、先日、新たにこれを都道府県管理河川にも拡げることを既に決定しており、今回の水害を踏まえ、その取組を加速させ、市町村との連携を深めていきたいと思っております。
具体的には都道府県管理河川においても、水位周知河川等の指定を促進していくこと、河川情報の提供の強化等に取り組み、市町村長がより適切に避難の判断ができるよう、そういった環境作り等を進めていきたいと思っております。
なお、今週末も台風12号が北上しており、九州に上陸するという予報もあります。
本日より、都道府県の河川担当部局に対しまして、自治体への情報提供に関する注意喚起を緊急に実施していきたいと思います。

(問)広島と島根を結ぶJR三江線のことについてお伺いします。
昨日JR西日本が今月中に廃止の届出をすることを正式に表明したのですが、受け止めと、沿線との協議が十分だったかどうかについてのご見解をお願いします。
(答)JR三江線は、1日1キロあたりの平均利用者数が、平成26年度には50人になるなど、利用状況が大変厳しい路線と承知しております。
本年2月より、沿線6市町、JR西日本、島根県及び広島県をメンバーとする「三江線に関する検討会議」において、持続可能な地域公共交通のあり方について検討が行われております。
その結果を踏まえ、JR西日本は、利用者数が少なく、鉄道の特性が発揮できていないこと、活性化の取組を行ってきたものの、引き続き厳しい利用状況であることなどから、今般、三江線の廃止を表明したものと承知しております。
国土交通省としましては、地域の実情に適した地域公共交通のあり方につきまして、引き続きJR西日本と地域との間で十分に議論していただきたいと考えていまして、必要に応じ助言等を行ってまいりたいと考えております。
(問)廃止の届出制についてですが、届出制は事業者が届け出れば受理されるということで、そうなると採算が取れないローカル線等は、今後他の地域でも廃止されて、鉄道網が縮小していくことも考えられるのですが、例えば最低限の財政支援とか、何か国土交通省として対策のお考えはないでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたように、利用状況が厳しい鉄道路線については、地域の皆さんと、いかにその地域の公共交通があるべきかという議論をしていただいて、まずは利用促進に向けての取組等をやっていただくということが重要だと思いますし、また地域と協議をする中で、やはり地域の皆様にも一定の御理解をいただいた上で、路線の廃止等の決定はなされるものと考えております。

(問)先ほどの概算要求に関連して、整備新幹線の件ですが、新幹線が開通すると、並行在来線が分離されて、第三セクターが運営しているわけですが、並行在来線の関係の自治体からは、国土交通省としては、並行在来線に関しての支援制度も色々講じていると思いますが、JRとの乗り継ぎ割引に関して、財政支援制度を創設してほしいということを長年要望をしていて、今回の概算要求では制度としては盛り込まれていないようですが、これについてのお考えと、政府として整備新幹線の建設加速ということを謳っておられますが、新幹線のレールが延びれば延びるほど、並行在来線という問題も今後出てくるかと思うのですが、これに対しての大臣の御認識をお願いします。
(答)まず、整備新幹線自体、地域から非常に御要望の強い路線であるというように承知をしております。
ただ、整備新幹線を造れば、従来の並行在来線をどうするかといった議論は当然ありますので、従来のルールからいえば、引き続き存続が必要な路線については地域で第三セクター等で運営していただく、これが基本的なルールかと思っております。
今、御指摘のあったJRとの乗り継ぎの支援というのは、詳しく承知しておりませんで、今直ちにお答えは出来ませんが、いずれにしましてもそれぞれの地域とよく御相談をしながら対応していく課題であると思っております。

(問)台風の関連ですが、御発言はありましたが、結局、河川の水位が上がってきているという情報が、多くの人に正しく伝わらなかったことが被害を招いたという課題も指摘されていますが、多くの人に正しく情報を伝えることについて、改めて今回の件を受けてお考えをお願いします。
(答)これにつきましては水防災意識社会再構築ビジョンの中で検討していることですが、洪水情報のプッシュ型配信ということで、9月5日から市町村単位で洪水情報の配信を開始する予定です。
これは、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクの携帯端末に対して、河川の氾濫の恐れがある時に、メールを一斉送信することによって避難行動のきっかけとなる情報を市民に提供するものです。
関東東北豪雨災害から1年を前にして、まずは先行的に鬼怒川のエリアである茨城県常総市、愛媛県の肱川のエリアである大洲市において、全国に先がけて実施したいと思っております。
国が管理する109水系を対象に実施するよう準備中でありまして、準備の整った河川より出来るだけ早期に運用を開始したいと思っております。
(問)今の関連ですが、先ほど国直轄河川の109以外の、都道府県の河川にも枠組みを広げるというお話もありましたが、今のプッシュ配信の仕組みというのは、今後5年間で109の河川の沿岸自治体に広げていきたいと。
まず5年間で109水系をやるということですが、この仕組みを都道府県管理河川にも広げていく予定はあるのかということと、その場合のタイムスケジュールはどうかということについて教えて下さい。
(答)水防災意識社会再構築の取組を都道府県管理河川にも広げるということにつきましては、先月、国土交通省の水災害対策本部において決定されたばかりでして、今後具体的にどのように広げていくかという議論の中で検討していくべき課題であると思っております。
これから検討していくということです。

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