大臣会見

石井大臣会見要旨

2016年6月21日(火) 10:56 ~ 11:16
国土交通省会見室
石井啓一 大臣

閣議・閣僚懇

本日の閣議案件で、特に私の方から御報告するものはございません。
このほか、私の方から3点御報告があります。
1点目は、九州の高速道路の料金割引措置の実施について申し上げます。
先週18日土曜日に、熊本地震に関して、道路や鉄道等のインフラの復旧状況や仮設住宅の状況を視察してまいりましたが、その際、観光振興等に向けた、高速道路の料金割引措置について、熊本県知事から直接御要望をいただきました。
これを踏まえ検討させ、九州全体を対象に、高速道路料金が割引となる「九州観光周遊ドライブパス」を、7月15日から実施することとしました。
詳細については、事務方にお問い合わせください。
2点目は、高速道路のピンポイント渋滞対策について申し上げます。
海老名ジャンクション圏央道八王子方面から東名高速に向かうランプにおいて、既存の道路幅員内で、車線を1車線から2車線に増やす運用を、7月中旬を目標に開始します。
また、東名高速大和トンネル付近の付加車線の設置について、東京オリンピックまでには、その運用を開始するよう、高速道路会社に指示しました。
これらのピンポイント渋滞対策により、高速道路ネットワークのストック効果を最大限発揮させ生産性を高めてまいります。
詳細については、事務方にお問い合わせください。
3点目は、三菱自動車工業の軽自動車4車種に係る国の確認試験結果等について、御報告いたします。
三菱自動車工業の排出ガス・燃費試験に係る不正行為を踏まえ、5月2日より、独立行政法人自動車技術総合機構において、三菱自動車工業の軽自動車4車種について、排出ガス値・燃費値の確認試験を行ってまいりました。
本日、その結果について公表いたします。
確認試験の結果概要は、次のとおりです。
確認試験は、諸元表の燃費値等の確認が必要な33台について実施しました。
燃費値については、いずれの車種についても、諸元表に記載された燃費値に比べ、約5%から約16%、平均約11%下回りました。
諸元表の燃費値に比べ確認した実際の燃費値が大幅に下回っていることは、今回の不正行為によるものでありまして、大変遺憾であります。
排出ガス値については、いずれの車種についても、道路運送車両の保安基準を満たすとともに、エコカー減税の適用の前提となる平成17年基準排出ガス75%低減レベルを満たしていることが確認されました。
この確認試験の結果を踏まえ、本日、三菱自動車工業に対し、軽自動車4車種について、諸元表に記載する燃費値を修正して届け出るよう指示いたします。
なお、燃費値については、型式指定の際の要件ではないこと、排出ガス値は保安基準を満たしていたことを踏まえ、これらの車種についての型式指定は維持し、取消し等は行わないこととしております。
会見終了後、事務方より確認試験の結果について説明させていただきますので、詳細はその際にお問い合わせください。
私からは以上です。


 

質疑応答

(問)御説明ありましたが、燃費の確認試験の確認結果について、今お話のあった指示などの判断に当たり、その結果自体を大臣がどのように受け止められたかということをお願いします。
また、これに先駆けて、先週三菱自動車工業から報告がありまして、新たな不正も明らかになりました。
この報告に対する大臣の受け止めと、省としての今後の対応をお願いいたします。
(答)三菱自動車工業の軽自動車4車種に係ります燃費値につきまして、諸元表に記載された燃費値に比べ、国で直接確認しました実際の燃費値が約5%から約16%、平均約11%大幅に下回っております。
これは、三菱自動車工業の不正行為によるものでありまして、私としては大変遺憾に思っております。
また、17日に、三菱自動車工業より5回目の報告がございまして、報告の中で、特に現在販売中以外の多くの車種においても、長年に渡って不正行為が続けられていたことが判明し、これに対しましても大変遺憾に思います。
徹底的な再発防止策の実施とともに、ユーザーに対する誠実な対応が求められると考えております。
国土交通省としましては、今後、三菱自動車工業に対しまして、再発防止策のための取組みを速やかに進めるよう強く求めるとともに、その進捗状況について、厳しくチェックを行ってまいります。
また、先ほど報告したとおり、三菱自動車工業に対しまして軽自動車4車種につきましては、諸元表に記載する燃費値の修正を指示するとともに、今後、軽自動車4車種以外の現行販売9車種につきましても、一部車種において国が直接実測するなど、三菱自動車工業からの報告内容全般について検証を進めてまいりたいと思います。

(問)先週末、熊本地震の被災地で、南阿蘇鉄道の関係者から復旧に向けた国の全面的な支援について要望を受けられています。
現時点でどのような支援が可能か検討状況をお願いします。
(答)先週土曜日18日に、南阿蘇鉄道高森線の被災箇所を視察するとともに、鉄道会社の方々と意見交換を行いました。
実際に被災した橋梁や土砂の流入箇所などの状況を確認しまして、思った以上に被害規模が大きいという印象を受けました。
また鉄道会社の方との意見交換においては、復旧に向けた地元の強い思いを伺いました。
特に交通弱者の方が利用されているということで、何としても復旧をしたいという思いを伺ったところです。
今回の地震で被災した箇所の具体的な復旧方法や復旧費用等を検討するために、まずはしっかりと調査を行うことが必要であり、鉄道会社からも、調査への支援の要望も受けたところであります。
国土交通省としては、南阿蘇鉄道が一日も早く復旧できるように、沿線自治体や鉄道事業者の要望等も踏まえながら、調査を含め、どのような支援・協力が可能か、引き続き検討してまいりたいと思います。

(問)三菱自動車工業の関係ですが、燃費が最大16%違ったことから、エコカー減税はどのぐらい影響が及ぶのかというのはわかりますでしょうか。
(答)本日公表します国の確認試験の結果を踏まえ、三菱自動車工業が軽自動車4車種について、諸元表に記載する燃費値を修正した場合、その車種に対するエコカー減税の額に影響が出てくることは当然あり得ると考えております。
この扱いについては、まず三菱自動車工業が燃費値を修正した上で、税務当局等と調整することになるものと考えております。
なお、三菱自動車工業においては、税額の負担増が生じた場合は、三菱自動車工業が実質的に負担する意向を表明していると承知しております。
(問)型式指定については維持するということですが、三菱自動車工業は、今後、生産再開していく方針ですが、国土交通省としては、生産再開について容認するという立場だという理解でよろしいでしょうか。
(答)省エネ法上、自動車メーカーには、その製造する自動車について燃費値の表示を行うことが義務付けられております。
今回、国の確認試験の結果を受け、三菱自動車工業に対し、軽自動車4車種について、諸元表に記載する燃費値の修正を指示しました。
軽自動車4車種の生産・販売の停止は、三菱自動車工業自らが決定したものでございます。
生産・販売の再開の時期につきましては、三菱自動車工業側が判断することであると考えております。
(問)型式は維持するということですが、三菱自動車工業に対する行政処分というのは特にお考えになっていないでしょうか。
(答)現行制度においては、自動車メーカーが不正な計測に基づくデータの申請や虚偽の申請を行うことは想定されていないため、残念ながらそういった場合の行政処分あるいは罰則という規定がございません。
こういった事態を踏まえて、改めて今後の不正な申請が行われた場合にどのようにするか、行政処分やあるいは罰則については、省内に置いたタスクフォース等を中心として今後検討をしていきたい。
現在そういう規定がないもんですから、それを裁量で処分するということはできないことでありまして、私自身もそういった意味で少し不完全燃焼感があるのですが、国としてはまず、再発防止のための具体策を着実に実施するよう三菱自動車に対して強く指導するとともに、その進捗状況について厳しくチェックをする。
それから、今後の型式指定審査にあたっては、先日省内のタスクフォースで中間とりまとめを行いましたが、その中間とりまとめの内容に沿いまして、今後の型式指定審査に当たっては、事前事後のチェックを他社に比べて厳格化をするということを行ってまいりたいと思っております。
(問)型式の取消しをしなかったことについて、保安基準のほかに均一性というものもあったと思うんですけど、均一性で型式の取消しをしなかったことについてはなぜでしょうか。
(答)取消しの要件で、保安基準不適合の場合は、均一性が満たされない場合ですが、今回の案件で、均一性の方は、もともと申請の値で得たものですけれど、それがきちんと同じように作られているだろうというところを確認しておりまして、そういう意味で保安基準が不適合かどうかというところの判断ですが、これで排出ガス基準が満たしているということによって、なかなか取消しは難しいという判断をしております。

(問)高速道路の料金割引について質問させてください。
冒頭に「割引します」というお話がありましたが、なぜこの時期なのか、それからなぜ九州全体なのか、狙いを補足してください。
また、実施に当たりまして、どんな効果を期待するかとか、地元の人や広く利用者に向けた呼びかけというところを大臣から一言お願いします。
(答)先日土曜日に、熊本地震の被災状況の視察に行った際に、知事から、「まずは観光振興のために高速道路料金の割引を実施して欲しい」という御要請を受けたことが1つございます。
それから既に、補正予算の予備費を活用しまして、九州全域の観光復興のために、熊本・大分を中心として九州各県に対応する割引付きの旅行プランの助成制度を発表しております。
それと併せて効果を発揮させようということも1つの狙いでございます。
九州全域にしたというのは、やはり熊本のみならず、今回の地震の影響は九州各県の観光に大きな影響を与えているということから、九州全体の観光復興という趣旨で、九州の観光周遊をする料金を割り引くということで、7月15日から実施をいたします。
夏休みと秋の行楽シーズン等を利用して、是非多くの方に九州に観光に訪れていただき、観光というのは地域にとっては非常に大きな産業でございますので、復旧・復興をしっかりと促すという意味で、まず観光の復興をしていきたいと考えております。

(問)三菱自動車工業の関係ですが、燃費というのは非常に消費者にとって判断基準となり得るもので、今回の修正でいいというのは甘い対応のように思えるのですが、大臣の不完全燃焼と仰ったところを少し解釈すれば、法律の不備を突かれたというような印象をお持ちなのでしょうか。
(答)法律の不備といいますか、もともと自動車メーカーと国との信頼関係の下で、従来の型式指定の審査が行われているわけで、まさか自動車メーカーがそういった不正行為を行わないという、信頼関係がまったく損なわれてしまったということは、私としては大変遺憾に思っております。
また、ユーザーにとっては、確かに燃費値というのは重要な判断要素でありますから、そのこと自体はユーザーから厳しい反応があるのではないか思っております。

(問)バスタ新宿の件でお尋ねしたいと思います。
利用者からは大変よい施設ができたということを聞いておりますが、いかんせんトイレが少ない。
東京国道事務所は成田空港の国内線に匹敵する利用者があったと言っているのですが、3カ所12人分しか女子トイレがなくて、毎度のように行列を作っており、利用者には我慢し切れない問題ではないかと思うのですが、大臣どうでしょうか。
(答)バスタ新宿については、おかげさまで非常に利用者の方からは好評でございまして、1日約2万人の方に御利用していただいております。
御指摘の女子トイレにつきましては、比較的余裕のある3階への案内も行っておりますが、特にピーク時には4階で多くの方々にお待ちをいただいており、御不便をおかけしております。
私から関東地方整備局に、女子トイレの増設に向けて検討するよう指示をしたところでありまして、しっかりと対応していきたいというふうに考えております。

(問)尖閣の件でお訪ねいたします。
昨今、中国の海軍が領海侵犯を大変繰り返しておりますが、尖閣の警備は、海上保安庁よりも最近は海上自衛隊の方が主体になっているのでしょうか。
(答)まず、中国軍艦の最近の日本近海での動き、たびたび領海侵犯というよりは、領海侵犯はしましたけど、その他の接続水域に入ってきたり、あるいは接続水域の近くに入ってきたりということで、いずれにしましても我が国周辺海域での行動をエスカレートしているということについては、政府として懸念をしているところでございます。
尖閣周辺の警戒監視については、基本的には海上保安庁の方で原則行っているということでございますが、軍艦が近づいてきた場合は、やはり自衛隊の方が警戒等の態勢は取っておりまして、海上保安庁とよく連携をしながら対応をしていくということでありますが、日常的な警戒監視は海上保安庁が担っているということでございます。


 

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